「さて…色々聞かせてもらおうか?」
「…はい。」
自分は悪いことをしていないとは言えない以上、目の前の警官はとても恐ろしく思えた。
突然の暴力、罵倒、殺人未遂、これが僕の罪。
たとえ相手が子供を虐げた殺人犯とはいえ、罪に問われないとは言い切れない。
「まず聞きたいのは…喧嘩の理由だな。近くにはスタンガンもあったし、男はナイフを持っていた。まあただの喧嘩ではないんだろう?」
「はい…実は……」
これまでのことを包み隠さず話した。
それを警官は、適当に相槌を打ちながら聞いていた。
男のこと、争いの経緯、武器の所有、本当に様々聞かれる。
「……」
「ふむ…洗えばもう少し出そうだな…まあ十分聞かせてもらったし、確認が取れてから改めて聞くこともあるから、今日はもう帰ってくれていい。脚は平気か?」
「大丈夫です。入院する程でもないですし…」
「送って行こう。怪我人一人帰す訳にも行かんからな。」
「…ありがとうございます。」
こうして帰ることになった。
―――――
「あんた、子供はいるかい?」
「はい?」
「いやなに…親が怪我して帰ったら驚くだろう。あんたの親でも子供でもな…」
「……います。二人…」
「そうか…今あの男の娘もいるんだよな?…しばらく預かってくれる気はあるか?話しの限り一人はまずそうだ。子供と接すれば、少しは癒えるだろう。」
「勿論…可哀想ですから…」
「…よし。そうと決まれば早く行かないとな!」
パトカーは加速する。
法廷速度ギリギリだが…
―――――
「そんで怪我してきたのか?」
「………」
「…ごめんなさい…ごめんなさい…」
泣きじゃくる瞳ちゃんは僕に抱き付き、光希君には詰問され、女の子はひたすら謝る。
男が何をしてきたかを除き、三人には何があったかは話した。
脚のことがなければ隠せたが…流石に隠せなかった。
「…無茶すんなよ。お前がいないと…困る…」
少し濁して言う。
やはり素直ではない。
「心配かけてごめんね。でも…もう、きっと大丈夫。君ももう、平気だよ。」
「………」
「お姉さん…」
彼女の手は震えている。
親が捕まった喜びより、親の復讐に怯えている。
まだ完全には治らない。
ただ、優しく接して、少しでも心の傷が癒えていくのを願うしかない。
―――――
「育。」
「どうしたの?光希君。」
「…聞かないつもりだったけど………あいつの親、何したんだ?」
光希君は軽口に聞いてきた訳ではない。
話したらまずいのは瞳ちゃん、光希君には話しても平気だろう。
そう思い話している途中だ。
肩は震え、怒りが分かりやすくなっていく光希君。
男を許すつもりもないというのが見える程だ。
出会えばすぐにぼこぼこにするだろう。
そうだ…彼女も、彼も、境遇にさほど差はない。
どちらも虐げられていたのだから…