「瞳ちゃ~ん!絶対行くからね!待っててねー!」
「は、はい…」
瞳ちゃんが来ておよそ五ヶ月。
季節は夏真っ盛り。
つまり…運動会の時期だ。
瞳ちゃんは五ヵ月、光希君は三ヵ月、茜ちゃんは二ヵ月、これが一緒に過ごした時間。
もう瞳ちゃんが来て半年になる。
これだけ過ごせば、瞳ちゃんも普通の家の子と同じように…いやそこまでではないが、多少我が儘を言ってくれるようになった。
光希君のホームレスのおじさん達との交流も変わらず、時にお酒を持って行きたいとも言い、口調も優しめになった。
茜ちゃんは恐怖の感情もほぼなくなり、僕達に対する遠慮も少なくなりそして…重度のシスコンになった。
瞳ちゃんに抱きつく、顔を擦り付ける、などは当たり前。
それから…後から知ったが、カフェでバイトを始めたらしい。
上司もいい人で、環境としても良い方らしい。
などなど…変化は良い方に、元々良かった所は変わらなく、現状最良の状態で生活している…と思う。
「…何がそんなに楽しみなんだ…?」
「そりゃ瞳ちゃんが頑張ってる尊~い姿をこのカメラに永遠に残すのが楽しみなのよ~♪ね!育さんもそうでしょ!?」
「まあそれは楽しみだけど…自重してね?」
「瞳に対する態度うぜぇ。」
「二人とも辛辣ぅ!でも他にもたくさん――で――の―」
一人語り始めた茜ちゃんを無視し、光希君は台所に向かう。
瞳ちゃんは小学校、茜ちゃんはバイト、僕はもちろん会社、一人だけ何もしてないことが気になった光希君は、家事をほとんどしてくれる。
運動会の弁当を作ってくれているのだ。
まあいつも料理は頼まないが…光希君の弁当を、瞳ちゃんも食べたいだろう。
いや…皆で作った弁当を、だ。
「育が作った方が旨いけど…いいのか?」
「皆で作るのを瞳ちゃんに食べてもらおう?喜んでくれるよ。」
「そうそう♪」
運動会に持って行く弁当は完成した。
少し早めだが家を出よう。
―――――
「………あ!居たよ!」
開会式から瞳ちゃんを探していた。
やはり人数が多く見つけるのは難しかったが、茜ちゃんが見つけてくれた。
同学年の子と綺麗に並び、しっかりした行進で校庭の真ん中まで歩く。
瞳ちゃんだけでなく、小さい子供達の可愛らしい姿。
もう茜ちゃん大興奮である。
「きゃ~!可愛いー!(パシャパシャッ)」
「…なんで育以外の年上は、変態ばっかなんだ…」
「……」
苦笑いするしかない。
瞳ちゃん達子供達は、宣誓を終え、入場門まで戻って行った。
―――――
「…うーん…瞳ちゃんの出番遠いなー…」
「大人しく待てないのかよ…」
「まあまあ…気長に待とう?えっと…一時間位…」
「ま、可愛らし~い子供達を眺められるのはいいけどね~♪」
と茜ちゃんが呟いていると、隣から似たことを言っている、しかも聞き覚えのある声が聞こえる。
『眼福眼福♪―ん?』
お互い見つめあい、同士を見つけたように手を組んだ。
「分かってるねあんた…」
「そっちこそ…」
「変態同士が会っちまった…」
「あんまり言わないでね…」
外野の仲が深まりながら、運動会は始まった。