「あぁあーーん!」
「わ!どうしたの!?」
「赤ちゃんが泣くのなんて…オムツかお腹減ったかじゃない?」
「だ、大丈夫だよ~…」
「確かオムツに線があるんだっけ?平気ならお腹減ったんだと思う。」
「う、うん…」
今光希君がオムツやミルクを買いに行ってくれている。
オムツも三枚程しかなく、ミルクはあと五杯分くらい。
少しの間だが、お世話しててくれたおじさん達に感謝だ。
「…大丈夫。漏らしてると黄色らしいけど青いし、匂いもしないから…お腹減ったんだね。」
「すぐに作ってきます!」
小学生にして赤ん坊の世話とは…あまり見ない光景だ。
―――――
「人肌くらいの温度でいいんですよね?大体これぐらいだと思って…」
「………大丈夫だと思う。…でも少し心配だからもう少し冷まそう…」
「買って来たぞー」
「あ、光希君。どうだった?」
「以外と高いな。オムツとミルク。店の人おすすめらしい。」
「ありがとう。」
「どうだ?」
「うん。飲んでるよ。」
「はぁ~…瞳ちゃんも可愛いけど、赤ちゃんってなんだか小動物感して凄く可愛いなぁ~」
「皆こんな時があったんだよ。」
「今は可愛くないの?」
「勿論可愛いよ。僕にとっては皆可愛い子供達だからね。」
勿論胡桃ちゃんも…
しかし胡桃ちゃんは親とも兄とも思ってくれない。
「……」
「…胡桃ちゃんも…」
「…!」
「……はぁ…」
「話せないね。」
「育だけだしな。」
「お兄さん…」
「僕も分かってるんだけどね…やっぱり少し…くるよね…」
きっかけがあっても話せない程の溝。
どうすれば話しが出来るだろうか。
赤ん坊がキューピッドになってくれないか。
突拍子もないことを考える程度には、僕は悩んでいた。
―――――
「じゃあ僕は仕事に行く…けど…任せても大丈夫?」
「何かあったら電話するっての。他も出る時心配してたけどさ…最悪胡桃もいるし。」
「うん…」
心配ながらも仕事に行かないわけにもいかない。
他の皆もそれぞれ出かけ、家にいるのは二人だけ。
「本当に何かあったら電話しなよ!?」
「しつこい。」
―――――
「……」
「…育さんどうかしたんですか?何だかずっと上の空みたいで…」
「ああえっと…」
「また誰か増えたんですか?」
「うっ…」
東雲さんにはある程度話している。
どんな子が増えたとか何歳だとか、大抵は彼女も把握している。
度々協力もしてもらっているし、今回も少し聞いてみようか。
そう思い、赤ん坊のことを話した。
―――――
「なるほど…心配なら午後から帰宅したらどうですか?私が変わりますよ。」
「いや…それは悪いし、光希君達なら問題ないとも思うよ。」
「本当ですか?うーん…」
「…何かあったら電話かけるように言ってあるから、電話が来たら頼むかも…」
「!任せて下さい!育さんのためなら残業上等ですよ!」
「…あまり無理しちゃ駄目だよ。」
そう会話してから、特に何もないまま定時となる。
僕が帰る頃には日も暮れていて、何人か既に帰宅していた。
少し上の空だったことも自覚しているから、作業がいつもより遅れていたのだ。
「早く帰ろう…」
「あ、育さん!私ももう上がりなので…その…お家に行ってもいいですか!?」
「え…」
「あ!いえ!駄目なら大丈夫だけど…赤ちゃん私も見たいかな~…とか瞳ちゃん元気かな~…て思って…決して疚しい気持ちは…」
「大丈夫だよ。別に疑ったりしてないから…でも帰りが凄く遅くなっちゃうし…せめて休みが合った日の方が…」
「明日休みですし、歩きで帰りますよ。そんなに遠くもないし、いい運動です!」
「遠くないって…確か五駅分じゃ…」
「大丈夫です!それより行きましょ!子供達が待ってますよ!」
「そうだね。とりあえず行こうか。」
そうして東雲さんを連れて帰ることになった。
終電過ぎていたら泊めることも考えよう。