(手伝ってもらいたいのは山々なんだけど…)
(うん…)
眠る三人を見て頷き合う。
光希君の草臥れた顔、一日中見ていてくれたのだろう。
瞳ちゃんの安らかな顔、多分釣られて寝たな。
そして寝ている間は平和な育児…とも言い切れないが、手伝うこともないだろう。
(また別の日に来てもらう方が…)
(泊まりじゃ駄目かな?お兄さん…駄目?)
(僕はいいけど…)
(す、少し待ってて下ひゃい!)
(?)
(育さん…)
茜ちゃんが東雲さんのことを感情的に心配する中、あわただしく、しかし静かに東雲さんが戻ってくる。
(あ、あの!泊まってもいいって!許可貰いました!)
(そういえば実家暮らしなんだっけ。)
(はい!でも大丈夫です!)
(…ありがとう。)
(…育さん!私出掛けてくるねー!)
「えっ!?ちょっとどこに…)
(……)
彼女なりのちょっとした気遣いがされたようだ。
とはいえ二人きりになろうが眠る子供の近くで出来ることなどなく…
(…僕は夕食作ってくるから…三人のこと見てて。)
(分かりました…)
茜ちゃんの望むようなことは起こりそうもない。
―――――
「ん……」
「あっ」
「あれ…?俺…寝てたのか…」
「おはよう光希君。もうご飯出来てるから、一緒に食べよう?」
「んー…そんな寝てたか…瞳は?」
「少し前に起きて、もうご飯食べてるよ。一日ありがとう。お疲れ様。」
「あー…何か凄い疲れた…なんか寝てる間にあったか?」
「まあ…子供はすぐに泣くからね…」
「お疲れ…世の母親は全員やってのけることなのか…」
「本当にね…」
そんな風にお母様方の世話能力を認識しながら、僕らは頷き合った。
その後光希君も東雲さんがいることに疑問を持ち、茜ちゃんのように説明をした。
「手伝ってもらえるのはありがたいけどさ…あまり来るのは出来ないんだろ?それだと意味なくないか?」
「う…」
「まあ僕より知り合いが多いし、同じ子供のいる人が、赤ん坊の頃はどうだったか聞けるしね?ネットよりもよほど信頼出来ると思う…」
「でもそれなら会社で十分だし、来る必要はないな。」
「うう…」
「えと…僕があまりに疲れたら任せられる大人がいても…」
「そもそも瞳の世話んなった大家さんがいるだろ。」
「……」
中学生に言い負かされる大人二人。
というか…
「光希なんでそんな意地悪なの?」
茜ちゃんが代弁してくれたそれだ。
光希君にしては対応が酷い。
まるで東雲さんを近づけたくないような…
「いや…育に告って振られた人って瞳に聞いたことあるから…ストーカー紛いのことしてて、育は言いづらいと思ってな…」
「……」
「……」
「そうなのぉ!?いや~そうゆう恋ばなはJKの本領よ~?で?で?どうだったの?てゆうか家まで連れて来るのになんで振ったの!?」
「…うざい。」
光希君の一言に衝撃を受けた茜ちゃんは、すぐに態度を変え、正座した。
しかしなるほど…そう見える人はいると思う。
そう納得した僕らは、弁明した。
なんとか誤解を解いて、光希君の了承も得た。
―――――
「色々悪かった…今までも陰ながら助けてもらってたんだな…」
「いいよいいよ。私も…会ったこともないのに、知らない人がいたら警戒するのは当然だしね。」
「はあ~…育さんに春が来たと思ったのにな~…こんないい人いて駄目ならもういっそ…私か瞳ちゃんが結婚するしかないね!」
「…お兄さんがいいなら…」
「!!そそ、それは駄目ぇ!」
「…僕は結婚する気ないからね…ごめん。それに子供に手は出さないよ。」
「ざ~んねん。でも…まだまだチャンスはあるよ~?」
「からかうのは止しなさい。」
「はーい。」
夕食を食べながらのそんな会話は、仲のいい一家の光景のようだった。
―――――
――日
いつも協力してもらっている東雲さんに、赤ん坊のお世話も手伝ってもらうことになった。
まあ光希君と瞳ちゃんに赤ん坊はなついているようで、やっぱりお世話は二人がすることになった。
東雲さんは、主に赤ん坊を育てる方法を聞いて教えてくれる役だ。
それ以外に僕が数日いない時や、早く上がっていたら来てくれたり、とてもありがたい。
大人になるまで大切にすることを、僕は密かに誓った。
赤ん坊の名前出してないのは呼ぶタイミングがなかったからです。のでここで出します。母親の名字は到離(とうり)。ですが手紙に子供は名前だけということにしてたので、この際名字は唐荷島として、名前は了(りょう)。ちなみに男の子です。母は廻(めぐる)です。
追記:書く気が起きないのと終わりをどうするか思い付かない。そこまで切り悪くないしもう完にしときます。
ここまでありがとうございました。
気が向いたら何年後みたいなのは書くかもしれないです。これの続けて何年後かの奴書くかもしれないから小説情報は未完です。