東雲さんは息を切らして謝罪をしている。
別に平気と言っても頭を下げ続けてしまう。
これだけでも相当良い子だ。
世の中謝ることも出来ない大人もいる。
まあ逆に謝り続けられても困るが。
「大丈夫だから…ほら、人目も…」
「ご、ごめんなさ……!?」
謝りながらふとこちらを見た東雲さんは、目を見開いて驚いている。
瞳ちゃんがいることに困惑しているようだ。
僕には家族がいない。
親戚との交流がないことも、職場の人は知っている。
彼女からすれば、何の関係もない少女が、僕に引っ付いているようにしか見えないことだろう。
隠し子か、それともロリコンとでも勘違いしたのか、本当に混乱しているようだ。
「ああああの……そ、そそその子…は…?」
「ああえっと…とりあえず一から説明したいし…少し早いけどお昼にしようか?」
時刻は十一時。
昼食の時間としては、微妙なところだ。
彼女は承諾し、一階のフードコーナーで食事にする。
僕はうどん、そして二人は…まさかのうどん。
他にも色々あるというのに、三人全員一緒の食事だ。
まあ考えていることは何となく分かる。
(育さんと一緒に食事…!)
(……美味しそう…)
(本当に…分かりやすいなぁ…)
二人とも凄い笑顔だ。
話しかけるのを躊躇ってしまう。
しかしチラチラと瞳ちゃんを見る東雲さん。
そろそろ説明した方がいいだろう。
―――――
「成る程…」
「うん。納得いったかな…?」
「ふむ…育さんらしいですね!」
「へ…?」
「恋愛している人は相手の人のことをよく知ろうとするものですよ!でも…」
「?」
「優しいところは、育さんを知る人なら皆分かってます。ね?瞳ちゃん。」
「はい!」
優しいとか他人に言われると少し恥ずかしい。
瞳ちゃん凄い笑顔だし、東雲さんちょっとにやけてるし。
(でも、優しいって言われて、嫌な人はいないね。)
「ありがとう。」
―――――
食事を終えた僕達は、すぐに服屋へ向かった。
それからは僕は特に出来ることもない。
二人が選び終えるのを待つばかりだ。
「これとかどうでしょう?」
「うん可愛いね。まあ素材が良いから当然だね。」
薄青のワンピースに麦藁帽子。
よくアニメとかで見るスタイル。
何となく僕を意識して東雲さんが選んだのが分かる。
リアルで見てみたいっていったことあったな…そういえば…
でも季節的にちょっと早い。
そして次の服。
「やっぱり女の子だし、ピンクは似合うね!」
「うん。それもいいね。」
「あ、あの…」
「よし!次は…」
―――――
アニメとかで着せ替えされてぐったりする女の子とか、たまに見るよね。
リアルで見るのは初めてだよ。
ということで着せ替え終了。
最初の二つ、ワンピとピンク貴重の白線の入ったシャツ、そして麦藁帽子は購入。
他にもいくつか購入して、その日はお開き…とはいかない。
東雲さんがイオンのゲームコーナーに寄ると言った。
瞳ちゃんがゲームを気に入っていることも話したので、おそらく一緒に遊ぼうと思っているのだろう。
当然『一緒に遊ぶ』の中に僕もいる。
ゲームコーナーに着いた。
時刻は、およそ三時。
服選びに三時間近くかけていた恐ろしい現実。
女の子は凄い。
「何やろっか?」
「んー育さんはどれが好きですか?」
「まあ太鼓はいつもやるかな。」
「やっぱりそうですよね…」
「太鼓…?」
「あれのことだよ。」
そうして僕が指指す先には、太鼓とバチが設置されている。
太鼓の○人と呼ばれるリズムゲームだ。
せめてゲームでも少しは運動しないとね。
「子供がやるにも向いてるし、やってみる?」
「は、はい!」
―――――
「育さん流石に上手いですね…」
「あはは…結構やってるからね…」
「瞳ちゃんも上手だったよ!難しいをクリア出来たし、普通なんてフルコンだし!」
「うん。でもなぁ…」
「…あ…」
「?」
「う、ううん!何でもないよ!瞳ちゃん!」
インドア派への道のりは短い。
―――――
「今日はありがとう。」
「いえいえ~こちらこそ楽しかったです。」
「あ、ありがとう…ございます…お、お姉さん…」
「!お姉さん…ふふ…」
「じゃあまた仕事で…」
「はい!でも…またお休みには誘って下さいね!」
東雲さんは駅へ向かう。
僕達は徒歩なので、イオンで別れる。
「じゃあ行こっか。」
「はい。」
―――――
「…今日はありがとうございます。」
「うん?」
「私に気を遣ってくれたんですよね…?」
「ああ、うん。瞳ちゃんは女の子だし、お洒落は好きでしょ?」
「……」
「…楽しかった?」
「……はい!」
―――――
三日目
同僚の東雲さんに協力してもらい、瞳ちゃんの服を買った。
とても可愛い瞳ちゃんが見れて、僕も嬉しく思う。
ゲームコーナーでも楽しそうな瞳ちゃんが見れて、瞳ちゃんにとっても楽しい一日に出来たみたいだ。
ただ少しゲーム中毒の心配をする生活。
気を付けることにしよう。
育児は大変だなぁ。
前の話と分けた意味ない気がしました。作中の一日=作品の一話にしようと思ってます。当然何日かで一話とかもやらなきゃ一年間の話終わりまで365話とか長過ぎてまずいのでします。でも学校まではこのスタイルで。