カラン…コロン…カララン…コロロン…
黒い浴衣に身を包み下駄を鳴らしながら山道を進むその男は背に流し1つに纏めた長い黒髪をワシワシと搔きながら口を開いた
「いやぁ…やっと着いた
しばらく出掛けてただけでこんなにわからなくなるものなんだなぁ、こりゃ俺が衰えたのか…
はたまたアイツの腕が上がったのか…どっちかねぇ?」
ポツリポツリと言葉を紡ぎながら男は見えない壁のようなもの---
結界に触れると容易く穴を開け中に入っていきその場から姿を消すのだった
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「まったく…紫様の寝過ごし癖にも困ったものだ」
そう言いながら八雲藍が主である八雲紫のためにいつも通り
「邪魔するよ」
「あ、はーい…っ!?」
あまりにも自然な様子で声をかけてきた相手を一度は受け入れた藍
しかし八雲邸に誰かが入ってこれらる筈も無いと気がつきその声が聞こえた方を警戒しつつ振り向いた
「おぅおぅ、昔となんら変わってねぇな
相変わらず古風で心地良い所だ」
(何者だ!?一体どこから!?どうやって侵入した!?)
いつの間にか現れていた妙に既視感のある男を警戒しながら睨んでいるとその男は振り返り藍に声を掛けてきた
「さて…そこの狐さんよ、紫は何処に居るんだ?」
「…貴様何者だ、どうやってここに入った」
「ん、質問に答えんか…
失礼な奴だな、まぁ番犬としちゃ合格ってところか…俺は紫の知り合いだよ
どんなに記憶をたどっても主である紫から夜幻という名を聞いたことが無い藍は警戒を解かずに相手が何者か見定めようと受け答えを始めた
「いや…知らんな、知り合いだと?
そんな言葉が信用出来る筈もあるまい」
「ほー…まぁお前さんの信用なんか知ったこっちゃ無いがな
上がらせてもらうぞ?」
そう言いながら土間から室内へと入ろうとする夜幻を阻むように術で襖をピシャリと閉める藍
「待て、紫様はご不在だ
…いや、仮に在宅であったとしても、何処の誰かも分からぬ相手に目通りなど罷りなる筈もあるまい
お引き取り…願おうか…!」
「うんうん、実に良いね!!
主人に忠実、従順で健気…俺の式にも見習って欲しいくらいだ!
…ただねぇ、狐さんよ
俺は紫の知り合いだと言っているだろう?
いい加減にしてくれないとねぇ…」
緊張した顔つきで言う藍とそれとは対称的に明るい顔で振り返りながら藍の忠心を褒める夜幻
しかしだんだんとその顔は暗くなり声も低くなっていく、そして---
「怒るよ?」
藍はおろか紫よりも強いのではないかと思ってしまうほどの妖力が放たれ、それが威圧となり藍を襲った
そして夜幻が藍の方へ近づきもう駄目かと言うとき
「藍ー?
何を騒いでるの、朝ごはん出来たー?」
「ゆ、紫様…!
こちらに出てきては…!」
襖を開いて紫が姿を現した、藍はそれを見て慌てて主を逃がそうとし声を掛けようとして---
「あら、父様じゃない
いつの間に帰ってきてたの?」
紫が発した『父様』という言葉に遮られた
「…え?
えぇーーーーー!?」
謎の訪問者である夜幻は紫の父であったらしい
それに驚いた藍の叫びが八雲邸に響いたのだった
新たに出すとしたらこの中の誰?
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八雲紫の義兄
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八雲紫の義妹(毒舌双子)
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八雲夜幻のかつての部下