「落ち着いたか?」
「はい…お見苦しい所をお見せしました」
スキマシアター終了から数十分、なんとか気を持ち直した藍は転げ回り乱れた衣服を整え未だ紅い顔を誤魔化すように答えた
「別に構いやしねぇよ、言ったろお前は俺の孫みたいなもんだって
かわいい孫が恥ずかしくて悶えた所で面白くはあれ、見苦しいなんて事はねぇよ」
「あ、ありがとう御座います…その…」
夜幻はそんな藍の頭に手を置くととても優しく、家族に向けるような微笑みを浮かべながら撫でつつ言った
藍はその撫でる手に少し俯き恥ずかしそうにしながらも嬉しそうな声で礼を述べた
そしてそのまま少しして意を決したように夜幻の方を見ると---
「お、おじいさま…」
---と小さく恥ずかしそうに呟いた
「わ、私は夕食の支度をしてきますねっ!」
その恥ずかしさに耐えきれなく無ったか藍はそのまま顔を真っ赤にしたまま台所へと走り去っていった…
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藍が去って行った後の居間では紫と夜幻が話していた
「まさか藍が自分から父様の事をおじいさま呼びするとはねぇ
久しぶりにかわいらしい姿を見た気がするわ」
「まったくだ、俺を見たときに必死に刃向かってきた姿を見て立派になったかと思ったが…
やっぱ根は甘えん坊な子狐のままだな」
微笑ましい物を見たような雰囲気で話す紫と夜幻
すると夜幻がふと頬杖を付きながら呟いた
「それにしてもおじい様ねぇ…
藍に初めて会った頃にも思った事だが、まさか孫が出来るとは思わなかったな…」
「あら、不満でもあったの?」
夜幻のその言葉に怪訝そうに問いかける紫
そんな紫に夜幻は揶揄うように笑いつつ口を開いた
「いーや?
不満なんてねぇよ、あの泣き虫な紫が立派に母親してるのが微笑ましいだけさ」
「な、泣き虫って…何時の話しをしてるのよ!」
「稽古が嫌いでえんえん泣いて、怖い夢見りゃびぃびぃ泣いて…
転んで怪我すりゃわんわん泣いて、迷子になりゃ寂しくてぴぃぴぃ泣いてた紫が…
こうも立派になって俺は親父として感激のあまり泣いちまいそうだ」
「だからそれ父様が私を拾ったばかりの…もう数千年は昔のことでしょう!?
いつまでもその話で揶揄わないで!」
自身の養父が口にする揶揄うような言葉の数々に紫はムキになり頰を膨らませ妖怪の賢者とは思えないような、見た目相応の様子で反論していた
「悪い悪い、機嫌を直してくれ」
そんな紫の頭を撫でつつ謝る夜幻、すると紫はその手を拒みはしないものの不服そうな顔で夜幻を見ながら口を開いた
「子供扱いは止めてって何度も言ってるじゃない…
私は今や妖怪の賢者なの…もう子供じゃないのよ?」
その言葉を聞き夜幻は面白そうに、それでいて優しげな笑みを浮かべた
そのまま紫の頭を撫でつつ---
「何言ってんだ、俺から見ればお前はまだまだ子供さ
あの頃の…チビで泣き虫で、甘えん坊な癖して…
いつも無理して弱いところを見せまいとしてた頃の生意気娘のままだよ」
「無理なんてしてないってば…」
大切な者に語りかけるような優しい声で言い聞かせた夜幻
それでもなお機嫌を直さずに紫は拗ねたような様子で反論した
そんな紫に呆れたような目を向けつつ夜幻は頭を撫でていた手を離すと紫の体を引き、頭をあぐらをかいた自身の脚に乗せさせ---
「何処が無理して無いってんだ、今のに反応できないくらいフラフラじゃねぇか
どうせ自分じゃ気付いて無かったんだろうけどよ…
愛娘が無理し過ぎて、倒れそうだってのに父親が気付け無い訳ないだろ?
…あまり自分の父親舐めんじゃねぇよ」
「ごめん…なさい…」
そう叱るように言いつつ紫の頭を撫でていた
事実、紫は夜幻に体を引かれ頭を脚に乗せさせられた時…
所謂膝枕をされたその瞬間から体から力が抜け、強い眠気に襲われていた
「昔から何かと甘えたがりなくせにこういう時は無理しやがって、本当に生意気な娘だよお前は
…野郎の硬い脚で悪いけどな、このまま膝枕しててやるから今は寝てろ」
「うん…おやすみ、おとーさま…」
そう言いつつ子供を寝かしつけるように頭を撫でる夜幻
その言葉に紫はうとうとしながら返事をすると目を閉じ寝息を立て始めた
「あぁ…おやすみ紫、良い夢見ろよ…」
すぅすぅと寝息を立てる紫の顔に掛かった髪を搔きあげつつ起こさぬよう言う夜幻
その膝枕で紫は普段の妖怪の賢者である姿からは想像出来ないような、まるで親に甘える幼気な少女のように安心しきった安らかな顔で眠るのだった---
新たに出すとしたらこの中の誰?
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八雲紫の義兄
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八雲紫の義妹(毒舌双子)
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八雲夜幻のかつての部下