伝説になったツインターボの『オールカマー』の裏側で動いていた人達 若しくは チームカノープスの活動日記   作:雅媛

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カノープスの南坂トレーナーはアニメでは気弱な態度しか見せてないですが、イクノやネイチャのレースプランといい、10話の計画をすぐ思いつくところといい、非常識で有能な人間なんじゃないかと思っています。


4 トレーナーから見たオールカマー

もったいない。

自分に縋りつくターボを見て、最初にそう思った南坂は自分を恥じた。

 

グレードスリー、オールカマー。

ターボの次の出走予定のレースだ。

重賞であり、これに勝てるウマ娘が入学した子たちの1割にも満たないと考えると、ここで勝てるというのは十二分な実績である。

ただ、きっと、今の状態のターボなら、グレードワンのレースだって、例えば次に予定している天皇賞秋だって、勝つことができるだろう。

それくらい彼女の心は張っていた。今までの彼女が積み重ねて来たモノが発揮されるだろう。

絶頂期のメジロマックイーンやトウカイテイオーとやっても十分勝負になるだろうと確信できるぐらいの仕上がりになる自信があった。

ただ、おそらくその絶頂期は一瞬だ。オールカマーで勝てば終わる。そうしてその後、立ち直るまで時間がかかる、いや、もしかしたら立ち直れずいいところなしで終わるかもしれない。

だからこそ一瞬だがもったいないと感じ、そんな大人の都合をターボ自身の願いに優先させる気持ちになった自分を恥じた。

 

トレーナーとして、自分がすべきことは、このターボの走りを伝説にすることだ。

負けることなんて考える必要がない。

天皇賞春の後空気の抜けた風船のようになったライスシャワーや、すでに引退を見据えている他バなど眼中にすら入らない。

このターボを見てイクノが勝つ気になったならば、警戒しえた相手だったろう。

だが、さすがのイクノも勝てる気がしないと自覚しているのが一目でわかった。

 

仕上げのトレーニングはチームメンバーがやってくれるだろう。

データとトレーニング管理に関してはイクノが調べ上げて共有するだろう。

体調管理についてはネイチャがかいがいしく世話を焼くのが目に浮かぶ。

あとは三人が暴走しがちなのをタンホイザが止めてくれれば十分だ。

トレーナーである自分が少しだけ様子を見て気を遣うだけでターボはきっと最高に仕上がる。本当にいいチームである。

なので、トレーナーがするべきことは演出だった。

 

当日、ミニライブをジャックするのは確定だ。

トウカイテイオーに、本当にあきらめないターボの姿を見せつけて初めて意味がある。

あらかじめ生徒会に演出として話を通すことも考えたが、おそらく通らないだろうから止めた。

「ターボが勝つ」という一番重要な部分が信じてもらえないことはわかっていた。

それにレースに絶対はないと却下されるだろう。悔しいが冷静な判断であり反対は難しい。

ただ、あのトウカイテイオーには甘い会長のことだ。うまくいけばかばってもらえるだろうことは折り込む。

 

加えて、今度のミニライブがトウカイテイオーの引退ライブであるという噂を積極的に流した。

トウカイテイオーの引退。今までは予想や噂の範囲でしかなかったが、学園に所属する人間から流せば確度の高いものとして大きく取り上げられるだろう。

そうすれば、今度のミニライブを見に来る人間は爆発的に増える。

普通のグレードワンのウィニングライブなんか目でないぐらい人が集まるだろう。

 

ジャックするための準備も重要だ。

当日の裏での映像担当は誰か調べる。

ウマ娘の身体能力は非常に高く、自分ではとてもかなう相手ではない。

かといってウマ娘同士本気で争えば流血沙汰になってしまう。どうにか穏便に済ませる方法を考える必要があった。

どうやら担当はメイショウドトウらしい。

ならばマチカネフクキタルにも話を通しておこう。

タンホイザと一緒に話をしに行けば、同族なのもあって融通を効かせてくれるはずだ。

占いの結果として、何があっても抵抗しないでおとなしくしてくれるように話をしてくれるようお願いする。

 

あとはスピカのゴールドシップにもそれとなく話を通しておいた。

通しておいた、というか、会いに行ったら何をどう察したのかわからないが、当日の詳細なスケジュールに舞台裏に侵入可能な隠し通路、レースシーンを流すための配線接続の方法まで書かれたノートを何も言わずにくれた。

あいかわらず底知れない娘である。しかし彼女がチーム思いであり、スピカのメンバーのためならいくらでも努力するのは知っていた。

だからこれも嘘はないだろう。ありがたく使わせてもらおう。

 

こんなところで準備も万端である。

あとは各自、するべきことをするのみである。

ターボが伝説になるミニライブまで、残す時間はわずかであった。

 

 

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