俺がカイドウの息子…?   作:もちお(もす)

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遭遇、ドタバタ研究所

 

 

メイン通路の入り口側から火の手が上がっていた。

 

じわじわと燃え広がる炎の中心には巨大な肉片が転がっており、異様な臭いを放っている。

 

それに僅かに顔を歪めたゾロがパニッシャーについた血を払っているキラーを振り返る。

 

 

「…これ、終わったのか?」

 

「動いている様子もない。

このまま灰になるだろうが……思いの外炎の範囲が広がってしまったな。」

 

少し困った、というような声を出すキラーにゾロは思わず声を荒げた。

 

 

「いや、だから火薬の量多くねェか?って止めたよな!?」

 

数分前のやり取りを思い出し突っ込むゾロの言葉を綺麗に流すと、キラーはくるりと踵を返す。

 

 

「…想像以上の火の早さだ。

さっさとキッドに合流して、目標を捕らえて脱出しないとな。」

 

「無視かテメェ!?」

 

さっさと走り出してしまっているキラーの背中に、またゾロは叫ぶと刀を納めて床を強く蹴ったのだった。

 

 

 

────────────────────────────────────────────────────────────────────────

 

 

 

キラーとゾロがβ版バジリスクの討伐に成功し、研究施設内を走り回っていた頃。

 

ヴェルゴに遭遇したサンジ達は目の前に広がる煙から距離を取り、様子を見ていた。

 

約1分間ほど漂った煙は段々と薄くなり、やっとサンジ達は正面の状況を把握出来るようになったのだが。

そこにはヴェルゴとチョッパーの2人が倒れている。

 

すぐにナミをブルックに任せてサンジはチョッパーを抱き抱え、再び皆の元へと下がる。

 

 

「おい、チョッパー!?」

 

軽く体を揺らすが返事はない。

サンジが冷や汗を流しながら、そっとチョッパーの胸に耳を当てる。

 

とくとく…と規則正しく鳴る心臓の音にほっと息を付くと、ブルックが声をかけてきた。

 

 

「……ど、どうですかサンジさん。

やはり眠っているだけなんですか?」

 

「あぁ、多分な。

おれは医者じゃねェから断定は出来ねェが、息もしてるし熱がある感じもねェ。」

 

良かったと、安堵の笑みを浮かべるブルック達はもう一人の倒れている男。

ヴェルゴをどうするかと唸るのだった。

 

 

何故こうなったのか、それは数分前に遡る。

 

サンジ、ブルック、チョッパー、ウソップ。

この4人でヴェルゴに対抗していた。

 

4対1。

数だけで見れば圧倒的に優位な状況にも関わらず、サンジ達は苦戦を強いられていた。

 

それはヴェルゴの全身に武装色を纏わせる戦術のせいで攻撃が殆ど通らないことで、実質戦力になっていたのがサンジとブルックだけだった事。

更に、ナミと言う守らなければならない存在がいたことで攻めきれなかった事。

などの理由により、ヴェルゴの善戦を許してしまっていたのである。

 

このままでは負けるまでは行かなくとも、設置した爆弾の起爆時間が来てしまう。

それにナミの容態も心配である。

この戦闘の飛び火で石のようになっている体が割れる可能性もあるのだ。

 

サンジ達の焦りはどんどん膨らんで行った。

 

その時だった。

チョッパーがある提案をしてきたのだ。

それは、この研究施設で見つけた睡眠薬を応用して作られたと言う“スモークグレネード”を使おうというものだった。

 

最初こそ、良くわからないものを使うべきではないと反対したサンジ達だったが、チョッパーのナミの体が心配だという鬼気迫る訴えに渋々了承した。

 

そして、サンジとブルックの猛攻で隙が生まれた所に、ウソップが不思議な植物でヴェルゴを拘束することに成功。

作戦通りスモークグレネードを投げ込んだ。

 

だが、ここで予想外な事が起きた。

ヴェルゴはその煙に気付くや否や、全力で拘束を解いてしまったのである。

 

このままでは失敗する。

そう全員が思った時、チョッパーが飛び出した。

そして思わず追おうとしたブルックに

 

『これ睡眠薬によく使われる薬草の臭い!本当に説明通り睡眠煙なんだ!

おれが行くから、ブルック達は後のこと頼むよ!!

一番はナミの安全だからな!!もし、おれが寝ちゃってたら起こしてくれ!』

 

と声を掛けながら煙の中へ消えて行ったのである。

 

あのチョッパーが睡眠薬に使う薬草だと言ったのだから、きっと大丈夫だろうとは思いながらも。

やはり、心配の方が勝っていた。

 

けれど、後を追っては何かあった時に不味い。

そう冷静な判断を下したサンジとブルックは慌てるウソップとナミを落ち着かせ、煙が引くのを待ったのである。

 

 

こうして、体を張って煙の中にヴェルゴを足止めさせたチョッパーをサンジは抱えながら、やっと倒れた男を見る。

 

先ほどまで黒光りしていた体は普通の肌色に戻っている。

恐らく、チョッパーと同じく眠っている状態なのだろう。

 

ならば、目が覚める前に拘束すべきだとブルックが足を踏み出した時だった。

 

 

「ちょっと、まさかヴェルゴって子殺られちゃったの~!?」

 

場違いな声にブルック達が目線を動かすと。

そこには派手な髪に派手なメイク。そして派手な服装の乙女(おとこ)がいた。

 

その人物はカツカツとヒールの音をならしながら倒れているヴェルゴに近付くとホッとしたような顔になる。

 

 

「なによ、寝ちゃってるだけなのね。」

 

びっくりしたわ~!と頬に可愛らしく手をやるイカツイ乙女(おとこ)に、キョトンとしていたブルック達だったが、サンジが驚いたような声を上げる。

 

 

「おま、え……トネグマか!?

 

目を見開き、ヴェルゴの側にいる人物を見るサンジに周りが知り合いか?と首をかしげた。

 

 

「あら?サンジちゃん?

やだ~!ちょっと、久しぶりじゃない!

見ない間に随分、男前になっちゃって。」

 

サンジを見て明るい笑みを浮かべて声をかけてきたトネグマに、更にブルック達は混乱する。

 

 

「……なんで、こんな場所に…」

 

「そりゃ、お仕事よ!

私だってこんな気持ち悪い場所イヤよ~!?

何よりレオヴァ様もここの研究施設には良い顔してないじゃない?

好き勝手やってるイネットとか言う裏切り者を110発ぶん殴ってやりたい気分!!」

 

ねぇ?と世間話をするノリで話してくるトネグマは、サンジが知る通りの気さくなトネグマだ。

 

全く敵意を感じない態度にウソップとナミが緊張で止めていた息を軽く吐く。

 

するとトネグマはヴェルゴに近付き、ひょいと担いでしまった。

その光景に、何をするのかと慌てたブルックが声を上げる。

 

 

「ちょっと!?…彼をどうするつもりです!?」

 

「どうって……このまま寝かせておいたら怪我しちゃうでしょ?

早く避難させてあげないとね♡」

 

さも当然のように言うトネグマにそれは確かに、と思いつつも

拘束しなければならない事を思い出したサンジ達が焦った顔になる。

 

 

「待ってくれ!

また起きて暴れられたら困るんだ。」

 

そう言いながら近付いて来たサンジにトネグマは笑い声を上げると、お洒落なつけ爪が光る手に武装色の覇気を纏わせ引っ掻くように腕を振るった。

 

トネグマの筋肉質な腕が繰り出す引っ掻く動作は、服を突き抜け肉を抉る。

 

咄嗟に身を後ろへ反らしたことで、直撃を免れたサンジだったが肩から鎖骨にかけて四本線の跡が出来てしまっていた。

 

突然の敵対に、一気に戦闘態勢に入った一味にトネグマは未だにクスクスと笑い声を上げている。

 

 

「トネグマ、てめぇ…何しやがる。」

 

「ちょっと、ちょっと~!

こっちのセリフよ、サンジちゃん。

アナタ、麦わらの一味なんでしょ?

打倒百獣の同盟に入ってる相手が傍に来たら、百獣の一員である私が構えるのは当然じゃなぁい?

……ホント、あんなに優しくして下さってたレオヴァ様を裏切るなんてヒドイ話よ。サンジちゃん。」

 

すっと、笑みを消したトネグマの顔にゾワリと寒気を感じた一味は息を飲んだ。

 

 

「キッドちゃんもキラーちゃんも家出なんて反抗期の子どもでもあるまいし、考えられないわよねぇ?

サンジちゃんももう子どもじゃないでしょ?

ってことは、カイドウ様とレオヴァ様に敵対する意味分かってるのよね?

……あの方達を害するならアナタでも容赦しない。

私を救ってくれた人達も、百獣の大切なみんなも傷つけさせやしないわ。」

 

強い覚悟と殺気を纏ったトネグマの圧に一味が体を硬くする。

だが、予想とは裏腹にトネグマはヴェルゴを抱えたまま踵を返した。

 

 

「なっ!?おい、待て!」

 

「…私、馬鹿じゃないのよ?

サンジちゃんだけならまだしも、その骨の子達まで相手に出来る気がしないし……仕事を優先させてもらうわね。」

 

ニコッと、作ったような笑みを浮かべて手を振るトネグマに。

好きにさせるかとサンジが走りだそうとして、その場に崩れ落ちた。

 

何故、サンジが膝をついたのか分からずウソップが駆け寄っていく姿をしり目に、トネグマはまたカツカツとヒールをならしながら歩いて行く。

 

 

「私を追うより、サンジちゃんの解毒剤を探すのをオススメするわ。

まぁ、私の毒を治せる薬がここにあるのかは知らないけど。

……サンジちゃん、百獣に入りたくなったら歓迎するわよ。レオヴァ様も喜ぶだろうし♡」

 

じゃあね、と最後に声をかけるとトネグマは“剃”のような動きで瞬く間に見えなくなっていった。

 

荒い呼吸を繰り返すサンジと、腕が石のようになっているナミ。

そして寝たまま起きる様子のないチョッパーの三人を抱えたブルックとウソップの表情は険しいものであった。

 

 

 

────────────────────────────────────────────────────────────────────────

 

 

 

「コミソンとか言うヤツどこにもいないじゃん!!!」

 

研究施設内に侵入したうるティは空になっている檻を苛立ちのままに殴り付けていた。

 

そんな荒れている姉の姿にページワンは大きな溜め息を吐きながら、間違いを指摘する。

 

 

「誰だよ…コミソンって……コラソン(・・・・)だろ、姉貴。」

 

「名前なんかど~でもいいんだよ、ぺーたん!!

そいつと黒いヤツと羽のヤツ捕まえるのが任務なのにぃ~!!

うわ~ん!レオヴァ様に褒めてもらえなくなるのヤダヤダヤダ~!!!

 

「駄々こねるなよ…

あとヴェルゴとモネは捕まえるんじゃなくて、危なそうなら手を貸してやれ(・・・・・・・)って言われてるだけだからな?

無理やり捕まえようとかするなよ!?」

 

す・る・な…だとォ!?

お姉ちゃんになんて口の利き方するんだ、ぺーたん!!

 

「ぐわっ!?

ちょ、姉貴ッ……任務中にやめっ…!!」

 

もっと優しくしろ~~!!!

 

いつものように弟の襟を掴み、ぐわんぐわんとうるティは容赦なく揺さぶった。

 

頭がシェイクされるような感覚に目を回しかけていた弟だったが、突然その手が放される。

勢いのまま倒れたページワンは何するんだ、と文句の1つでも言ってやろうと姉を見上げた時だった。

 

 

「…ぺーたん、何かヤな気配する。」

 

珍しく静かな声で壁の向こうを睨み付けている姉の姿にページワンは文句を言うのも忘れ、すぐに態勢を整えた。

 

確かに微かに何かの気配を感じる。

そう思ったページワンが足に力を入れた瞬間。

物凄い力でいつの間にか人獣型に変形していた姉に引っ張られて部屋の右端へと連れていかれる。

 

さっきから何だよ、と文句を言うよりも早く先ほどいた場所の壁が壊され中に気持ち悪い生き物が入り込んで来た。

 

 

イタイネイタイ、オナカス、クカラヒトホシイィィ!!

 

話し声とも鳴き声とも取れない不協和音を放つそれは。

ダンゴムシやヤスデを混ぜ、悪意を煮詰めたような見た目をしていた。

 

あり得ないほど鮮やかな殻には目なのか模様なのか解らぬモノがついており、中途半端な位置にある足か手か区別がつかない部位はワサワサと動いている。

 

その気持ち悪さにページワンが目を見開くと、頭の上から声が降ってくる。

 

 

 

キッッモ!なにあれ!?ヤバすぎ!!」

 

直球すぎる暴言に今回ばかりは内心で同意していると、その生き物がのそりと此方へ顔らしき部位を向けて来た。

 

 

「コドモオイシイネ!!タクサン!ハ、ゥゥオ!!」

 

5メートル近い長さの生き物が突撃してくる。

 

すぐに構えたページワンだが、横を姉が通り抜けて行く。

 

 

「私のぺーたんにぃ~…近付くなァ!!

 

物凄い音と共に蹴り飛ばされて行った生き物は、壁を突き破り見えなくなった。

 

 

「うわ、何か足についたでありんす…キモ……」

 

「追撃に行くぞ、姉貴。」

 

壊れた壁の奥へ向かうページワンの後ろをうるティはすぐに追う。

 

 

「ぺーたん、置いてくな~!!」

 

そう頬を膨らませながら壊れた壁を乗り越えた先にいた人物を見て、姉弟は揃って声を上げた。

 

 

「「あ…!」」

 

「あ"…?」

 

「お、誰だ?」

 

1枚壁を抜けてその更に奥へ飛ばされた気持ちの悪い生き物のもとへ行こうとした姉弟は、同じく別の壁の穴を潜って先へ進もうとしている二人組を見て目を丸くした。

 

 

「おま…!」

 

てめぇ、クソバカキッド!!!ぶっ殺してやるゥ!!

 

ンだと、ガキィ!!

 

数メートル飛躍すると頭突きの態勢になったうるティにキッドは軽く仰け反ると、コンマ数秒後二人の頭突きが炸裂した。

 

その衝撃波で付近の壁に亀裂が走ると、スタッと少し後方にうるティが着々する。

 

キッドはこめかみに流れる血を雑に拭うと、ギロリとうるティを睨んだ。

 

 

「邪魔すンじゃねェよ!!」

 

「はぁ!?邪魔しないワケねェだろォ!?

お前のせいでレオヴァ様の仕事増えて一緒に遠征行く話パァになったんだぞ!!死んで詫びるでありんす、クソバカキッドォ!!!」

 

「知るか!おれ関係なくあの野郎は仕事中毒だろうが!!」

 

「あの野郎、だとォ…?

レオヴァ“様”だろうがァ!ウルトラバカ野郎!!!

 

再び頭突きを繰り出してくるうるティから距離を取り、キッドは腕に纏わせていた鉄屑を飛ばした。

 

凄い勢いで迫ってくる鉄屑から身を守ろうと防御体勢をとったうるティだったが、それが直撃することはなかった。

獣型になっていたページワンが尻尾で打ち返したのである。

 

様子を傍観していたルフィは、突然自分の方へ飛んで来た鉄屑を慌てて避けるとスピノサウルスになっているページワンへムッとした顔を向けた。

 

 

「危ねェだろ!!」

 

「…敵に気を使う必要があるのかよ。」

 

恐竜特有の鋭い瞳がぐっと細められる。

 

 

「ぺーたん守ってくれたでありんすか!?

も~~~!!さっすがはぺーたんでありんす!!キャー♡」

 

はしゃぐ姉に心なしかげっそりした雰囲気を纏わせながら、ページワンはキッドへ顔を向けた。

 

お互い数秒睨みあった後、ページワンは不満げな雰囲気を全面に出しながら預かっていた音貝(トーンダイアル)を投げ渡す。

 

 

「……レオヴァ様からだ。」

 

反射的に受け取ってしまったキッドが、途端に嫌そうな顔になる。

 

 

「…ふっ…ざけんな!!ンなもんいらねぇよ!!!

 

「レオヴァ様の音貝(トーンダイアル)いらないとかスーパーウルトラあり得ないでありんすけど!?」

 

「はぁ…話し方ぐちゃぐちゃになってるぞ、姉貴。

……おれは渡してくれって頼まれただけだからな、捨てるなら捨てろよ。」

 

ページワンが普段出さないような冷たい声で言い捨てた時だった。

 

床が微かに揺れたかと思うと、奥の壁の穴から先ほどの気持ち悪い生き物が凄い勢いで現れたのだ。

 

キッド達とうるティ達は互いに逆方向に距離を取る。

 

 

「うわ、また来たでありんす!」

 

「……その生き物は無視して行くぞ、姉貴。

キッドにアレは渡したし、後はコラソンとヴェルゴって奴らを見つけねェと。」

 

「むぅ…あのクソバカキッドのことボコボコにしないでありんすか!?」

 

「それで任務失敗したら元も子もねェだろ!

ほら、行くぞ…って!」

 

姉を引っ張りながら奥へ消えていったページワンをキッドが睨み付けていると、気持ちの悪い生き物…イネットが襲い掛かってくる。

 

再び交戦を開始したキッド達は一刻も早い捕獲を試みるのであった。

 

 

 

────────────────────────────────────────────────────────────────────────

 

 

 

イネットに襲われ気を失っていたロビンだったが

ルフィに助け出された後、無事に意識を取り戻していた。

 

暫くは見た目が人ではなくなったイネットと戦うルフィの後方支援に努めていたのだが、状況が一変したのだ。

 

追い詰められたイネットは逃げ出した先で、良く分からない果物の様なモノにかぶり付いた。

すると、まだギリギリ人型だった姿は見る影もなくなり、虫を色々混ぜたような見た目になったのである。

 

さらに耐久性も上がったのか攻撃を受けてもしぶとく耐え忍んでいた。

 

このままでは埒が明かない。

なによりこのままでは、起爆装置が駄目にされた時用に爆弾に付けてある時限装置での爆発に巻き込まれてしまう。

 

そう判断したロビンはルフィに声をかけ、解決策を探しに出ると途中でコラソンを助け出し、二人はまた情報集めを開始した。

 

 

そこで分かったことは

イネットが食べたのは人造悪魔の実である可能性が高い事。

この施設に唯一ある人造悪魔の実はSMILE・“insect ver.”と“beetle ver.”の完全版であるという事だ。

 

ロビンとコラソンが見た資料によると、SMILE・“insect ver.”と“beetle ver.”は虫か昆虫の能力がランダムで手に入るSMILEらしい。

それも1つ食べると1日だけ人造の能力者になれる代物だ。

 

1日だけでも能力者になれるこのSMILEは応用が利くため商品として人気らしく、ジョーカー(・・・・・)という男の商品の目玉格だと言う。

 

物を継続的に売り続けたい売り手側の思惑と、ランダム性でのリスクを最小限に抑えつつ手っ取り早く強化できるSMILEが欲しい買い手の需要が上手く噛み合ったのだろう、とロビンは予測した。

 

だが、知りたいのは対策である。

 

完全版は1日で効力が消えず、ほぼ動物(ゾオン)系の悪魔の実と言って差し支えないものだ。

ならば時間経過で解決はできないし、そもそも時間がないから焦っているのが現状。

 

ロビンとコラソンは必死にあらゆる情報源に目を通して行った。

 

そして、やっと使えるかもしれない情報を手に入れたのだ。

 

“炎への耐性付与実験”

そう書かれた資料には、イネットが行おうとしていた自身への実験内容が細かく記されている。

 

長々と続く文を読み終えると、ロビンは内容を即座に頭で要約した。

 

 

何十枚にも及ぶ資料。その実験の結果は“失敗”。

イネットはどうやら“火”に弱いらしい。

そして、それを克服するために色々と実験をしたようだった。

 

その中に“insect ver.”と“beetle ver.”のSMILEを食べて実験したという趣旨の記載もある。

けれど、それでも炎への耐性はつかなかったと記されているのだ。

 

ならば今、完全に人ではない何かになっているイネットにも炎ならば有効打になりえるのでは?

その答えに辿り着いたロビンはコラソンを振り返った。

 

 

「あったわ…!

私はこれを伝えに行くけれど、あなたも来る?」

 

「あぁ!

おれも欲しい情報は手に入れた、イネットの捕獲手伝うぜ!!」

 

力強く頷いたコラソンにロビンも頷き返すと、大きな破壊音が聞こえる方へと走り出すのだった。

 

 

 

────────────────────────────────────────────────────────────────────────

 

 

 

ヴェルゴからモネが石化させられた、という連絡を受けていたドフラミンゴは城の中で続報を待っていた。

 

だが、5分後にまた連絡をすると言った相棒から未だに連絡が来ない。

 

もう5分以上過ぎている。

たかだか5分、そう思うかもしれない。

 

だが、ヴェルゴに限ってドフラミンゴを待たせるなどあり得ない事だ。

もし連絡出来なくなりそうならばその連絡をし、交戦中でも約束を守るべく連絡を寄越してくるような男なのだ。

 

そのヴェルゴから連絡がない。かけても応答がない。

 

それ即ち、あのヴェルゴが出られぬほど苦戦する相手が侵入してきていると言う事だ。

 

ドフラミンゴは焦りを感じていた。

 

あの研究施設兼工場はレオヴァから預かっているものである。

万が一、それを失うことがあれば……

いや、きっとレオヴァは穏やかにドフラミンゴを許すだろう。

 

 

『気にするな。

ドフラミンゴ、お前に非はない。

責めるべきは侵入し破壊した相手だ…違うか?

……そうだなァ…共に奴らを潰すってのはどうだ?』

 

そう言って高いワインをドフラミンゴに送り、慰めてくれるに違いない。

きっと増援も用意して、至れり尽くせりな対応をするだろう。

 

それは確信だった。

レオヴァは絶対にドンキホーテファミリーに責任を負わさせてはくれない(・・・・・・・・・・)だろう。

 

優しさからか?仲間意識からか?

それとも付き合いが長い友人としてか?

 

否、どれも違う。

レオヴァという男がそんなに甘っちょろい男ではない事をドフラミンゴは理解している。

 

時には優しき人格者の様に振る舞い。

時には気の許せる友の様に振る舞う。

……そう、振る舞う(・・・・)のだ。

 

本心ではどこまでも百獣海賊団の事しか考えていない。

カイドウと百獣の為ならば、どんな事でもするだろう。

そういう男だ、とドフラミンゴはレオヴァを認識していた。

 

だからこそ、ドフラミンゴは手段を問わないやり方のレオヴァを取引相手として気に入っていたし、

彼を聖人だ救世主だと崇める馬鹿を見て嗤いながら酒を飲んでいた。

 

 

しかし、もし今回最悪の事態になった場合。

 

レオヴァがこちらに非があると責めなければ、借りを作ることになる。

……奴に借りを作るのは非常に不味いのだ。

 

今はまだ同盟のような対等な関係だが、

その借り1つあれば、レオヴァならば事実上ドンキホーテファミリーを百獣海賊団の傘下に下らせることも出来る筈だ。

 

ただでさえ、百獣国際連盟なんてものを作り上げ勢力を拡大させ続けている手腕の持ち主だ。

その借り1つは、簡単にドフラミンゴの命取りになり得るだろう。

 

 

ドフラミンゴはレオヴァを認めている。

取引相手としても、同じ上に立つものとしても。

 

だが、傘下に入るなど絶対に御免だ。

 

ドフラミンゴは天竜人()として生まれた男である。

人の下についていい存在ではない。上に立つ存在なのだ。

 

その意識が強いドフラミンゴは百獣海賊団とは今の関係を維持する以外の選択肢を持ち得なかった。

 

 

ならば、どうすべきか。

すぐに答えに辿り着いたドフラミンゴは受話器を手に取り、部下へ命令を下す。

 

 

「……バッファロー、ベビー5…大至急パンクハザードへ向かえ。

侵入者を殺し、死体を持ち帰って来い…!!」

 

「パンクハザード!?

わかっただすやん、若!」

 

「任せて、若!

必ず役に立ってみせるから!」

 

可愛い部下からの素直な返事に、任せたぞと声をかけて受話器を置く。

 

ドフラミンゴはこの後起こり得るあらゆる可能性を考慮し、部屋を後にした。

そして、幹部達がいるであろう部屋へ向かって歩き出すのだった。

 

 

 

 





ー補足ー

キッド:うるぺーに遭遇後、イネットと交戦再開
ルフィ:同じく交戦再開中
 
・β版バジリスク討伐成功
ゾロ:脇腹石化中、本調子ではない。
キラー:石化しかけたが、即座に上着を脱ぎ捨て免れた。火薬を使いすぎた為に施設が炎上開始。

サンジ:トネグマの攻撃により謎の不調(毒??)
ナミ:鎖骨辺りから指先まで石化中
チョッパー:寝ている(起きる様子はないが…?)
ブルック:不味い状況だと冷静に分析、内心焦りがある
ウソップ:混乱中、軽症のみ

うる&ぺー:パンクハザード到着、任務開始
トネグマ:ヴェルゴ確保、サンジに異常状態付与

イネット:いつの間にか虫か何か分からないモンスターへ進化!
 
・情報収集
ロビン:有用そうな情報ゲット→ルフィのもとへ
コラソン:必要な情報は手に入った、ヴェルゴの拷問によりそこそこ重傷。

・船番
フランキー:???(何かあったようだが…?)

ー後書きー
アンケートのご協力ありがとうございます!!
百獣視点多めという回答が多かったので、今回は少し説明系を増やして駆け足にしてみました!
次回からもポンポン進めてパンクハザード編さっさか完結させます~!
アンケートボタンポチポチ勢が60人以上いて私はニッコリ。ノリ良い方多いなぁ!?w
どの回答でも投票してくださった皆様に感謝!!

そして、ここまで読んでくださった皆様にも感謝ァ!ありがとうございます!!

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