俺がカイドウの息子…?   作:もちお(もす)

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解き放たれたオモチャ達

 

 

 

「笑えない冗談は止せ、ピーカ…!!」

 

普段の張り付けたような笑みが消えて恐ろしい形相になっているドフラミンゴに臆せず、ピーカは言葉を返した。

 

 

「事実だ、ドフィ!」

 

焦っているせいで普段のよりも更に声が高くなっているピーカの声を聞くと、ドフラミンゴは額に手をあて低い笑い声を漏らす。

その笑い声からは怒りや苛立ちが滲んでおり、ピーカは軽く息を飲んだ。

 

 

「…フッフッフッフッ!!

それじゃあ、なんだ?

今、戦えるウチの戦力はお前とディアマンテにピンク。

後は百獣から来たクザンとその部下共だけになったと?」

 

事実を確認するように目線をピーカへ向けたドフラミンゴに頷きを返す。

 

分かっていた事とは言え、最悪の事態が肯定された事でドフラミンゴの顔に浮かんでいた怒りと焦りの色が強くなっていく。

 

 

「ドフィ、どうする?

“鳥カゴ”を使うのか?」

 

ピーカの問いに数秒沈黙した後、ドフラミンゴは口を開いた。

 

 

「鳥カゴは……使わねェ。」

 

「いいのか?使わなくて…」

 

何が言いたいのかを感じ取ったドフラミンゴはピーカが言い淀んだ言葉じりを汲み取り、口を開く。

 

 

「ガキ共だけじゃなく、金獅子もいる。

確かに鳥カゴは今の状況で必須の策と言っても過言じゃねェ……だが、あれは体力の消耗も早い。

今のさばってる馬鹿共を殺ったとして、こっちまでバテる訳にはいかないんだ、ピーカ。

……協力関係とは言え百獣が背中を刺さないとは限らねェ。」

 

「百獣にとってもドフィはなくてはならない存在だ。

裏切るような真似…」

 

「確かに上手く武器や生産品をさばくにはおれのツテは百獣にとってもデカいだろうなァ。

まぁレオヴァの頭がありゃ……

いや、今はいい。それよりも馬鹿共の始末が先だ。

ピーカ、お前は“革命軍”を止めに行け!

おれは…金獅子とガキ共を片付ける。」

 

「ドフィも出るのか!?」

 

思わず驚きの声を上げたピーカに、相変わらず険しい表情のままドフラミンゴは言葉を投げた。

 

 

「これだけ好き勝手されて黙ってる訳にもいかねェ。

何より後手に回るのは悪手だ。」

 

そう言うとドフラミンゴは部屋の大きな窓に手をかけ、城から飛び立って行ってしまう。

 

その背中を見送り、ピーカは革命軍をこれ以上進軍させぬ為に工場へ急ぐのだった。

 

 

────────────────────────────────────────────────────────────────────────

 

 

ドフラミンゴが城を出る少し前に時は遡る。

 

サボとウソップ達の協定により、工場破壊が進んでいた頃。

やはりと言うべきか、工場を守る為に幹部であるトレーボルとシュガーが現れた。

 

幹部の命令により捕まえようと迫ってくるオモチャ達から逃げ惑うウソップと、トレーボルと交戦するサボ。

ウソップとサボのサポートに回るブルックという構図のまま数十分が経過した時だった。

 

挑発してくるウソップに腹を立てたシュガーが前に出すぎた瞬間。

霊魂となりほぼ幽霊のような見た目のブルックが目の前に突然現れたのである。

 

よし、捕まえた!と気を抜いていた時。

なんの前触れもなく至近距離にこの世の者とは思えぬ姿が現れたら人はどうなるだろうか?

 

叫ぶ者、思わずひっくり返える者、動じない者。

人それぞれだろう。

 

一方、シュガーは悲鳴を上げる者であった。

悪魔の実の能力を手に入れてから、今までずっと守られて来た彼女にとってそれはあまりにも刺激が強すぎた。

悲痛な声を上げると、そのままパタリと地面へ倒れた彼女はしっかりと気を失っている。

 

まさに、ウソップの作戦通りであった。

 

まず自分にヘイトを向けさせ、攻撃させる。

こうやって意識を自分へと完全に向けさせ

よし、捕まえた!と思った時。

その気の緩みを利用して、驚かせる。

それがウソップの作戦であった。

 

見事、最高のタイミングで顔を出しシュガーを驚かせたブルックも素晴らしい働きであったが

この作戦を実行するまでの数十分間、シュガーの作り出した頭割り人形からの猛攻に耐え続け、仲間を信じ身を削ったウソップあってこその作戦だったのである。

 

そして、シュガーが倒れた時。

サボとトレーボルの戦いも終結した。

 

もともとサボが善戦していたのだが、シュガーが気絶した事で動揺した隙に重い一撃を食らってしまったのである。

 

こうして、シュガーを倒すという目標を達成した事でオモチャ達は呪縛から解き放たれたのだ。

 

 

それから時は進み、ドフラミンゴが城を出た時刻と同じ現在。

 

サボとウソップ達は工場の破壊を終えるだけでなく。

人へ戻った大勢の元オモチャ達と共に進軍を開始していた。

 

次なる目標はドンキホーテファミリーの捕縛である。

 

サボに率いられるまま進む元オモチャ達と、城までの道を共に進むウソップ。

 

そんな中、ブルックだけは別行動をしていた。

 

その理由は“地図”である。

今回、ドレスローザ王国への侵入の目的は3つ。

1つ目が仲間を治す薬。

2つ目が武器工場の破壊。

そして、3つ目がこの“地図”なのである。

 

打倒百獣にはあまり関係のない“地図”なのだが。

今後、海賊王を目指す為にはほぼ必須アイテムであり、打倒百獣同盟においてこの入手を条件に手を組んでいる海賊団もいる為、どうやっても手に入れなければならない。

 

そんな重要な地図の場所を知っているかもしれない!と言う男が現れたのだ。

 

その男の名は“錦えもん”。

オモチャにはされていなかったが、廃棄BOXという広いゴミ溜めの中に落ちてしまっていた。

 

もはやここまでか、そう諦めかけていた錦えもんを救ったのがブルックだったのである。

 

たまたまウソップとの作戦中。

霊魂の姿になっていたブルックはゴミ溜めの存在に気付き、そこにいる人間を見つけた。

 

その後、戦いも一段落ついた時に生きている人がいるから助けようとブルックがサボ達に訴えた事で錦えもんは救出された訳である。

 

命を救われたと大いに感謝した錦えもんはブルック達を手伝うと申し出た。

 

こうして、目標である薬や地図の話を聞き。

地図ならば知っているかもしれない!とブルックを案内する事になった。

 

 

地図の為に進むブルックと錦えもん。

解放の為に進むサボと元オモチャ達。

薬のために城へ向かうウソップ。

3人は目標へ向けて大きく進み出していた。

 

────────────────────────────────────────────────────────────────────────

 

 

場所は変わり、百獣海賊団のとあるナワバリにて。

 

あからさまに不機嫌ですと顔に書いてあるクイーンと、口をへの字に曲げているフーズ・フーの正面にレオヴァは腰掛けていた。

 

 

「ハァ~~…それじゃあ

あの野郎の裏切りは確定なワケかよ!!」

 

「ほぼ確定だな。

何か理由がある可能性も0ではないが…

父さんにもおれにも相談せずに行動してるんだ。

どちらにせよ、罰は受けてもらう。」

 

「ったく、可愛がってやってたのにムカつく野郎だぜェ~!!」

 

「テメェの所から裏切り者が出るのは2人目だな。」

 

「んだァ?フーズ・フー、言いてェ事があるなら聞いてやるよ…ボコした後でなァ!!」

 

「完全に管理不足だろ。

レオヴァさんの手を煩わせンなよ。」

 

「うるせェ~~!!!

イネットの件もこれもおれ悪くなくね!?

ちゃんと世話してやってたし、可愛がって面倒もみてやったのによォ!!」

 

「テメェのやらかしの後始末させられすぎて、嫌ンなって裏切ったんじゃねェか?」

 

「別に後処理ばっかさせてねェわ!!!」

 

「2ヶ月前に南の海(サウスブルー)の研究所が爆発した件も部下に片付けさせてただろ、苦情出てンだよ。」

 

「……チクった馬鹿どいつだ??」

 

告げ口される事について思い当たる節がありすぎるのかアイツか…コイツか?と首を傾げるクイーンにレオヴァが普段よりも少し低い声を出す。

 

 

「クイーン、その件はおれの耳にも入っている。

……あまり部下を泣かせるような真似をしないでくれと頼んでいたと思うんだがなァ?」

 

「ウゲッ……レオヴァまで話が行ってんのかよ…」

 

「……クイーン?」

 

「わ、分かってるっての!!

チクった奴探したりしねェって!」

 

「ありがとう、そうしてくれると助かる。

あまり厳しくすると報告や連絡がこっちに上がってこなくなるからなァ。

いざって時に連携が取れなくなるのは組織として致命的だ。

この百獣海賊団で連絡系統が上手くいかないとありゃ、総督補佐官として父さんに合わせる顔がねェ。

……で、クイーンのうっかり(・・・・)の話は良いとして…」

 

「アレをうっかりで済ませるのかよレオヴァさん…」

 

無人島のナワバリに建てた研究所を大破させるレベルの大爆発事件をうっかりだし仕方ないというスタンスで終わらせたレオヴァにフーズ・フーが溜め息を吐く隣で、クイーンは特にお咎め無しで終わった事に内心ガッツポーズを決めていた。

 

そんなこんなで横にズレてしまった話題をレオヴァが戻していく。

 

 

「正直な話、この状況下で裏切り者が出たのは手痛い損失だ。

おれとしても奴には期待していた分、ショックも大きい…」

 

残念だと眉を下げ僅かに俯いて見せたレオヴァに間髪入れずにクイーンは言葉を返した。

 

 

「あ~、ハイハイ

レオヴァ、おれらの前ではそういう演技(前置き)はいらねェから話続けてくれるか?」

 

「……クイーンはおれを何だと思ってるんだ」

 

信頼してた(・・・・・)じゃなくて期待してた(・・・・・)って時点で察するだろォ~!

そもそも、レオヴァはアイツあんまり好きじゃなさそうだったし?」

 

「…まぁ、その辺に関しては否定はしないが嫌ってはいないぞ?

父さんへの態度があまり好ましくねェな、とは思っていたが」

 

「そうだろうと思ってたぜ…

で、マジな話……実質的な損害は?」

 

急に真面目な声に切り替えたクイーンに驚くことなく、レオヴァは説明を始める。

 

 

「ウチの一部のナワバリ情報に、数人の幹部の性格や能力。

任せていた任務と今後任せる予定だった任務の予定の組み直しに、支給品として渡していた武器などの流失……と特に重要なのはこれくらいだな。

不幸中の幸いと言えるのは、“回復薬”は渡していなかった事か…」

 

「ウチの幹部の能力については対策しようもねェしまだ良いとして…

百獣製の武器とか持ってかれたのはめんどくせェなァ~。

あとはナワバリ情報でヤバいのはハチノスか…?」

 

厄介な事になったと唸るクイーンにフーズ・フーが口を挟む。

 

 

「ハチノスについてはレオヴァさんの指示もあって深い所までは教えてねェ。

ただ地理はある程度把握してんだろうし、ハチノス内の武器庫の場所とかは知ってるだろうな」

 

「え?マジ?

じゃあ、地下のアレ(・・)とかは知らねェ感じか?」

 

「あぁ、地上部分しか教えてねェよ」

 

「シリュウの野郎の研修では地下もやってただろ?」

 

「あれはレオヴァさんから指示があったからな」

 

「…ってことは、レオヴァはアイツが裏切るって気づいてたのか!

分かってたなら言えよ~~!?」

 

自慢のわがままボディをズイッと近付けて来たクイーンにレオヴァは首を横に振って返す。

 

 

「おれもまさか裏切るとは思っていなかった。

ただ信用するにはまだ足りないと思ってフーズ・フーに地下研修はしないでくれ、と頼んでいただけだ」

 

「……レオヴァの基準って結構厳しいよなァ…

もう少し人を信用して行こうぜ?」

 

「テメェがレオヴァさんにそれを言うのかよ」

 

「お前には言われたくねェわ!!仮面野郎!」

 

睨み合う二人にレオヴァは困ったように笑うと言葉を割り入れた。

 

 

「おれ達海賊が人との信用云々の話をするのは止そう。

少なくともおれは父さん、クイーンやフーズ・フー達しか信頼していないと言うだけで人間不信な訳ではないからな」

 

「うん、レオヴァからのビックラブが重ェわ」

 

「ふざけた事言ってる場合かよ、テメェ…」

 

呆れたような顔でこちらを見るフーズ・フーにクイーンがまた何かを言おうとするより早く、レオヴァは話を進めて行く。

 

 

「それで、奴の裏切りによってハチノスがかなり危険な状況になってしまった訳だが…」

 

「そうそう!!どうするよ、レオヴァ?

対策立てねェとだろ?」

 

「クイーンの言う通りだ。

まずは侵略して来ている奴らを退(しりぞ)けなくちゃならねェんだが、それはルッチに頼んである」

 

「…ロブ・ルッチか」

 

口角を下げたフーズ・フーに気付くと、クイーンは悪い笑みを浮かべた。

 

 

「元世界政府で有能って噂の野郎だろ~?

今回でっかい手柄立てちまうんじゃねェのォ?」

 

「ハッ!

無能な政府の集まりで頭一つ抜けようが知ったことかよ」

 

「……あ"?

ンだよ、このネタあんまり効かねぇのか

つまんねぇなァ~~!!

 

「悪魔の実の能力の系統が似てるからって比べられてメソメソすると思うのか、おれが?

笑わせんな、おれのが確実にカイドウさんとレオヴァさんの役に立ってるに決まってんだろ。

あんな野郎に負けるビジョンが見えねェな」

 

鼻で笑い飛ばすフーズ・フーにつまらないとクイーンが顔を背けると、レオヴァが溜め息を吐く。

 

 

「…クイーン、また話が逸れてるぞ

それとおれは身内を誰かと比べる真似は好かねェ。

フーズ・フーの代わりはいねェし、ウチの自慢の幹部だ。

軽口言い合うのは構わないが……ラインを越えるような事は止せ」

 

真面目なレオヴァの声にハイハイと軽く返すとクイーンは冷め始めてしまっているお汁粉の鍋に手を伸ばす。

その横でフーズ・フーは小さく笑い、レオヴァを見た。

 

 

「本当にもう気にしちゃいねェよ、レオヴァさん」

 

「そうか、フーズ・フーが良いならおれもそれでいい。

クイーンがあまりにもしつこかったら言ってくれ、父さんに灸を据えてもらおう。」

 

「ングッ!?

ちょ、そこでカイドウさんは卑怯じゃねェ!?」

 

お汁粉を吹き出しかけたクイーンにレオヴァとフーズ・フーは笑い、切り替えるように話を戻していった。

 

 

「そう言う訳で、ハチノスはホーキンスが守ってくれていたがルッチを向かわせてある。

おそらく、奴が裏切ったとあればホーキンスだけでは厳しい戦いになるだろうからな。

回復薬もあるし大怪我にはならないとは思うが…」

 

「もう向かわせてあんのか…」

 

「既に出発済みだ、万が一の事も視野に入れてな。

ホーキンスは大切な身内だ、何を差し置いても失う訳にはいかねェ。

最低限度ハチノスの防衛さえ出来ればあとはどうにでも出来るしなァ。」

 

「それじゃ、あとはドレスローザが問題なければってトコか?

……いや、赤鞘の件もあるか…」

 

お汁粉を口に含んだまま渋い顔になったクイーンの言葉にレオヴァも表情を曇らせる。

 

 

「ジャックに頼んであるから大丈夫だとは思うが…穏便に済まなかった場合が面倒だな。

狂死郎はササキの事もあるし仕事も出来るから処分したくはねェが、小紫が戻らなかった時にどうなるか…

ドレスローザ王国でのいざこざも金獅子のシキにキッド達……そして麦わらの一味までいる…」

 

おれ様のキュートな小紫たんは何がなんでも連れ帰って来いってジャックには言ってあるけどな!!

 

小紫た~ん!と騒ぐクイーンを尻目に大きな溜め息を吐く珍しい姿に、フーズ・フーが気遣うようにこちらを見る。

その行動にレオヴァはハッしたように表情を引き締めた。

 

 

「すまない、今のはあまり気にしないでくれ」

 

「……何かあればいつでも言ってくれよ、レオヴァさん」

 

「勿論だ。

ありがとう、フーズ・フー」

 

微笑みを返して来たレオヴァにそれ以上詮索することなく終えたフーズ・フーの心遣いを無視するようにクイーンが声をかける。

 

 

「どーせいつも気にしてた麦わらの野郎とガキ共の事だろ?」

 

「……違う…とは言えないが、それだけじゃねェ。

ドフラミンゴが持ってる“地図”が問題なんだ。

…あれを奴らに手に入れられたら厄介すぎるだろう。」

 

「あ~…確かにめんどくせぇわ、それは。

でも青キジの野郎に命令だしてんだろ?」

 

「頼んではある。

……しかし、本当に実物を持ってくると思うか?

最悪、同じ内容を書き記して持ち帰って来て欲しいとは言ってあるが…」

 

小さく唸るレオヴァの言葉はクザンを疑うような内容であったが、クイーンはそれもそうかと納得していた。

 

クザンはレオヴァにスカウトされる形で百獣国際連盟の部隊へは加入したが、百獣海賊団に所属している訳ではないのである。

 

端から見ればどちらも同じだと思われがちだが、百獣海賊団からすれば大きな違いだ。

 

そして、元海軍大将であるクザンをクイーンはあまり信用していない。

レオヴァはある程度は信用してはいるようだが、クザンの“正義”への思いが消えたとは考えていない。

 

その“地図”が百獣の手に渡ることで平和の均衡に大きなヒビが入るとクザンが考えた場合、持ち帰らない。

又は偽の地図を渡してくるのではないか、と危惧していたのだ。

 

 

クイーンとレオヴァのやり取りを聞いていたフーズ・フーもそんなレオヴァの心情を察し、提案をする。

 

 

「…心配ならウチから誰か向かわせるってのはどうだ、レオヴァさん?」

 

「おれもちょうど同じ事を考えてたんだ、フーズ・フー。

だからササキを向かわせてある。」

 

「「……アイツを…?」」

 

滅多に声が被らないクイーンとフーズ・フーの言葉が重なった。

2人の顔には僅かに驚きの色が浮かんでいる。

 

 

「……え、ササキの野郎を向かわせたのかよ?

アイツに隠密とか無理じゃね…?」

 

「…レオヴァさんの行動の早さには舌を巻くが、ササキは……人選ミ…いや、アイツしか空いてなかったのか?」

 

散々な言われようなササキであるが、それには理由がある。

 

彼は海賊らしく戦いを好み、豪気で豪胆。

部下達からも慕われる気のいい男なのだが、少し抜けている所があるのだ。

 

戦闘中に彼特有の能力で突進するはずが、うっかりバックしてしまったり、隠密の任務中に間違えて潜伏先の建物を全壊させてしまったりと、彼のおっちょこちょいエピソードは尽きない。

 

 

けれど、そんな頼りがいがあるのに少し天然な彼だからこそ部下達は支えようと頑張って尽くしている為、決して欠点ではない。

……のであるが、同じ幹部達からは弄られるネタと化しているのが現状だ。

 

そして、そんな彼に“地図”を奪ってくるという隠密寄りの任務が課せられた事にクイーンとフーズ・フーは驚き、不安の色を覗かせたのである。

 

 

一方、隠密向きではないササキに地図を任せたレオヴァもそれは理解していた。

ササキはナワバリ管理や討伐遠征では頼りになるが、隠密任務では少し不安要素があると。

 

だからこそ、既に手は打ってあった。

 

 

「大丈夫だ…クイーン、フーズ・フー。

今回はササキの補佐をローに頼んである。」

 

「ローが居るのか…なら、まぁ。」

 

「アイツが行ってるならあのアホのポカもなんとかするかァ?

ってか、レオヴァもローの野郎がいるなら最初から言えよ!!

一瞬、スゲェ不安になったわ!!」

 

「その言い種はササキに悪いだろう、クイーン。」

 

ムッと口を曲げたレオヴァにクイーンが今までのササキのうっかりミスの歴史を語り始める。

 

自分の事は棚に上げてつらつら言葉を並べるクイーンにより、また三人の会話は脱線していくのであった。

 

 

────────────────────────────────────────────────────────────────────────

 

 

…っぶぇっくしょい!!

 

「おい、風邪じゃねェだろうな…ササキ。」

 

「体調は問題ねェよ。

もしかしたら、噂されてんのかもなぁ?」

 

「あぁ、レオヴァさんが前に言ってたやつか。」

 

「そうそう!

噂されるとくしゃみが出るってメーシン(・・・・)があるって言ってたよなァ。」

 

「迷信、な。」

 

「はははは!それだ、それ!

レオヴァさん難しい事言うからよォ。」

 

ケタケタと笑い声を上げるササキに呆れつつ、ローはドレスローザ王国の地理が書かれた紙へ目を移した。

 

キングから渡されていたその資料を頭に入れているローの隣でササキは並べられた野菜チップスを口へ放り込んで楽しげに声を上げた。

 

 

「最近、海軍の奴らとやって暴れたから噂されてんのかもしれねェな!」

 

「…懸賞金額で騒いでんのはお前らだけだろ。」

 

「なんだよ、ローは上がって嬉しくねェのか?

別におれも額が全てなんざ思ってねェけど、箔が付くしなァ!

あと、絶対フーズ・フーの額は追い抜く!!」

 

「まだ競ってんのかよ…」

 

「あれだけ煽られて黙ってらんねェだろ!?」

 

フンッと気合いを入れているササキに呆れつつも微かに笑うと、ローは資料を手渡した。

 

 

「お喋りはこれくらいにして、最終確認だ。

ドレスローザの地形は頭に入れてあるな?」

 

「おう、大体な!」

 

「……大体ってのはどこまでだ?」

 

「城の場所と、工場の場所は問題ねェ。」

 

「…城の内部の構造は?」

 

「………あ~、っと…上の方に……宝物庫?」

 

「いつもこう言う任務の時は資料を読めってレオヴァさんに言われてるだろ!」

 

「いや、読んだって!!

ただなんか文字ばっかりで分かり難いんだよ!

レオヴァさんの資料は図が中心だけどよ。

キングのやつは字ばっかで…」

 

「……レオヴァさんは人によって資料作り分けてるからな。

キングの資料が読みづらいのは分からなくはないが…はぁ…

なら、おれが説明するから聞いててくれ。」

 

「悪ぃ、頼む!!」

 

軽く頭を下げたササキにローはどう説明しようかと頭でまとめながら言葉を紡いだ。

 

 

ドレスローザ王国到着まで、あと1時間。

 

 




ー補足と後書きー

戦闘可能陣営
・ドンキホーテファミリー
ドフラミンゴ:ほぼ全快
ピーカ:城を変形させたりと裏方で頑張っていたので少し体力を消耗している
ディアマンテ:ロビンと好戦したがコアラに邪魔され逃げられたが、未だほぼ体力は消耗せず
ピンク:倒れた仲間達を回収して回っていた為、戦闘なし。体力の消耗はしている

・ドンキホーテファミリー増援組
クザン:キッドとシキによりかなり消耗しているが、足止めには成功

・打倒百獣同盟
キッド&シキ:まだ余裕はあるが、連携がとれていない為クザンを倒せずにいる
ルフィ:ドンキホーテファミリーの幹部数名を撃破、まだ体力には余裕あり
キラー:ラオGを撃破後は隠密行動中、体力はほぼ消費なし
ロビン:ディアマンテと好戦したが大きな負傷はなし、デリンジャーとも交戦したがコアラの協力があり倒すことに成功
ウソップ:シュガーとの戦闘で負傷、体力も残り僅か
ブルック:多少の負傷はあるが体力には余裕あり

・麦わらの一味の協力者
サボ:トレーボルと好戦したが、大きな負傷はなし
コアラ:ロビンと共にデリンジャーと交戦し勝利、消耗は少ない
バルトロメオ&キャベンディッシュ&サイ&イデオ:人形から復活!消耗はほぼなし
───────────────────────

レオヴァ:ルッチをハチノス、ササキ&ローをドレスローザへ向かわせた。
ドフラミンゴを助けるつもりはあるらしいが、“地図”が本命かと思われる。

クイーン:おしるこ美味ぇ~~!!♡

フーズフー:最近怪しい動きをしている人物の事でレオヴァに呼び出されていた。
実はその人物の監視も頼まれていた模様。

ササキ:ドレスローザへ向けて気合い十分!
キングの作った資料が読みづらくてしょんぼり

ロー:地図を任されているので普段より気が引き締まっているが、ササキと居ると少し気が抜けるようだ。
キングから受け取った資料でドレスローザの地理や城の内部はバッチリ。

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