俺がカイドウの息子…?   作:もちお(もす)

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歩みを止めるな

 

 

キラーはキッドの下へと走っていた。

背後からトラファルガー・ローの追ってくる気配を感じながら。

 

愛用しているパニッシャーを駆使して城内を破壊し、文字通り道を“斬り開く”。

 

 

「……っ…この音は!?」

 

走り続けていたキラーの耳に何か巨大な物が降って来た様な音が届く。

嫌な予感は強くなるばかりだ。

 

全力で前へ進むキラーはついに、城から脱出した。

 

目の前には荒れ果てた国の姿が広がっているが構ってなどいられない。

今、自分がすべきなのはキッドに目的を終えた事を知らせることなのだ。

 

まだ遠い場所で派手な戦闘を繰り広げている相棒の姿を確認してキラーが体の向きを変えた時だった。

 

 

「此処にいたのか!!

鳳凰レオヴァから受けた恩を仇で返す恩知らずがァ!!!」

 

怒号と共に巨大な拳が振り下ろされる。

それをギリギリで避けたキラーは知った顔に目を丸くした。

 

 

「……ハイルディン…!?」

 

「キラー、お前らは総督と鳳凰レオヴァの優しさが何故分からねェ!!

あんなに楽しくやってたってのに!!

それを……受けた恩義を…忘れたってのか!?」

 

怒りと悲しさが混ざったような顔で再び拳を振り上げる巨人、ハイルディンを見てキラーは仮面の下の表情を変化させた。

だが、キラーの冷静な部分は先ほどの大きな音がハイルディンが空船から降りてきた音だろうと考察する。

 

 

この空船とは百獣海賊団が所有する船の一種である。

機動力、スピード共に海を進む船とは比べ物にならぬ程優秀な船なのだ。

 

百獣海賊団が恐れられる理由はその強大な戦力にあるが、その戦力を世界中の何処にでも素早く向ける事が出来るのはこの空船あってこそなのである。

 

その事実を良く知っているキラーは冷や汗を流す。

 

トラファルガー・ロー、ハイルディン。

この二人は送られてきた増援なのは確実だ。

 

そうなれば更なる増援が来る可能性も0ではない。

いや、寧ろレオヴァならばやるだろう(・・・ ・・・・・・・・・・)

 

一度増援を送り、わざと時間をずらして第二陣の増援を送る事で不意を突き背中を取る…という手法を駆使する彼の姿を散々見てきたではないか。

 

キラーは先ほどの、目的を果たして即時撤退を選んだ自分の行動がやはり間違いではなかったと強く感じ、足に力を込める。

 

そして、大きく振りかぶっているハイルディンの足下を目にも止まらぬ速さで駆け抜けた。

 

ろくに言葉も交わさず走り出して行ったキラーを見てハイルディンは叫ぶ。

 

 

「何故だ!!何故なんだキラー!!!

お前らが裏切ったことで、鳳凰レオヴァがどれだけ傷付いたか…分からないような男じゃねェだろう!!!」

 

心の底からの叫びの中、ハイルディンはレオヴァを思い浮かべる。

 

ハイルディンにとって大恩人であるレオヴァ。

 

いつも気高く、だがどこか親しみやすい大切な“友”。

そんな彼が珍しく肩を落としていた姿は心が傷んだ。

 

にも関わらず、自分の問い掛けに答えもしないキラーへの怒りや動揺はハイルディンの中にあった大切な“友”、レオヴァとの記憶(出会い)を呼び起こした。

 

 

 

 

今より約10年ほど前に大きな夢を胸に、巨人族の誇り高き戦士であるハイルディンとその仲間達は広い海へと船を出した。

 

その夢とは、共に育った4人の仲間達と全巨人族を束ね巨兵海賊団を復活させることであった。

 

 

何十年も戦士としての修行をつんで来たハイルディンには確かな自信があった。

必ず夢を叶えてみせるという気概も、十分であった。

 

しかし、彼らは理解していなかった。

この海がどこまでも残酷であることを。

 

 

 

ハイルディンは船長として海賊船を手に入れる為、他の4人の仲間達と別行動をとっていた。

 

そして巨人族が乗っても沈まぬ最高の船を手に入れ、新世界へ戻ろうとシャボンディ諸島を訪れたのが最悪の始まりであった。

 

 

「巨人族…!?ムフフ~!ツイてるえ~!

巨人族は壊れにくい良い奴隷(・・・・)だぇ。

早く捕まえて首輪をつけてお父上様に献上するのだえ~!!」

 

この一言でハイルディンを政府の人間が囲んだ。

 

だが、ハイルディンは長らく修行をつんだ巨人族の戦士である。

その場に居た取り巻きの部下達では捕まえることが叶わなかった。

 

この時、すぐに逃げるという行動に移せばハイルディンは違う未来を歩んでいただろう。

 

しかし、彼はそうしなかった。

誇り高き巨人族を侮辱した天竜人を許せなかったのだ。

 

 

ハイルディンが怒りに染まった表情で天高く拳を振り上げた時だった。

彼の足元が凍りつき、氷柱(つらら)が体を貫いた。

 

血を吐きながら倒れ込むハイルディンを男は更に氷で固めながらゆっくりと天竜人の前へ出た。

 

 

「…天竜人に手ぇ出しちまったか。」

 

憐れみを含んだ声で呟くと男はハイルディンに止めを刺そうと腕を上げたが、それを天竜人が止める。

 

 

「お前、待つえ…!

それは奴隷にするから殺すのは許さないえ!!」

 

「……あ~、そりゃあ気が利かんで申し訳ないですね。」

 

そっと手を下ろしたクザンは拘束されるハイルディンを見て眉間に皺を寄せると、仕事は終わったとばかりに踵を返す。

 

 

「…殺してやるのが、優しさなんだろうけどな……」

 

小さく呟いた声は誰にも拾われることはなかった。

 

 

 

 

それから、クザンに一瞬で倒されたハイルディンが次に目を覚ますと檻の中であった。

 

目の前では巨人族を侮辱したあの天竜人がニタニタと笑みを浮かべている。

 

 

「お父上様に教わった通りに、しっかりと躾るえ!」

 

その天竜人の言葉を皮切りにハイルディンの人生において最悪の日々が始まった。

 

 

食事も睡眠もろくに与えられず、面白半分に拷問され続ける日々だった。

 

しかし、それでも決してハイルディンは折れなかった。

巨人族としての誇りと夢が地獄の日々を生き抜く支えになっていたのだ。

 

どんな責め苦を与えられてもハイルディンは反抗し続けたのだ。

自分はいつか巨人族を束ね巨兵海賊団を復活させる男なのだ、と。

 

 

一方、そんなハイルディンの姿は天竜人を酷くイラつかせた。

 

全て思い通りになることが当たり前で、自分達こそが世界の全てでありルールなのだ。

自分達の思い通りにならない事があってはならない、そんな思考しかない天竜人にとって

普通ならばとっくに心など折れ、服従しているはずの奴隷が未だに歯向かう姿は不愉快でしかなかった。

 

 

そしてどれだけ拷問を繰り返したかも忘れた頃。

天竜人はついに、この奴隷に愛想を尽かし放置することに決めた。

 

日の届かない狭く冷たい牢屋へ奴隷を無理やり押し込めたのだ。

 

 

その後、ハイルディンが牢屋を移動してから天竜人が現れることはなかった。

 

ハイルディンが餓死しそうになるとほんの少しの腐った食べ物を投げ入れてくる世話係と呼ばれる人間が来るくらいである。

 

音もせず、光もなくただ狭い牢屋の中で何もすることも出来ない時間は痛みを伴うどんな拷問よりもハイルディンの心を蝕んでいく。

 

何よりもハイルディンの心を抉ったのは、排泄に行くことを許されぬ事だ。

 

 

「喋る許可ももらってねぇってのに、その上馬鹿なことまで言うんじゃねぇ!

奴隷が使えるトイレなんざあるか、テメェらはペットの獣と同じだ。

したいなら、そこでしな。」

 

それだけ告げると世話係は無慈悲に部屋の外へ出ていった。

 

拘束されているせいで食べる時は手を使えず、排泄もその場ですることを強要される日々。

 

檻の清掃も腐った食べ物を投げ入れに来た時にホースで水を撒き、排水へ流すだけという粗末なものだった。

 

そんな人間以下の扱いを続けられたハイルディンの心は少しずつ砕けていった。

巨人族として、戦士として……人間としての尊厳や誇りを完膚なきまでに潰されたのだ。

 

 

暗い牢屋ではどれだけの時間が過ぎ去ったのか知ることは出来なかったが、永劫に続くと錯覚するような生活に変化が訪れた。

 

ハイルディンの存在を思い出した天竜人が、もう必要ないと奴隷商人に売り渡すことを決めたのだ。

 

 

そうして、ハイルディンは下界へと降ろされた。

けれど彼を待っていたのは変わらぬ現実である。

 

人間ではなく“奴隷”。

その事実はどこであろうと変わらない。

 

背に刻まれた天竜人の焼印はハイルディンから元々の気高さを奪って行った。

 

 

これからもずっと奴隷として生き、夢も希望もなく死んでいくのかもしれない……いや、きっとそうだろう。

ハイルディンがそういう思いを抱え、全てを諦めようかと思っていた時だった。

 

凄まじい爆音と共に奴隷商人の支部が崩れて行ったのだ。

 

崩れ去った天井には夜空が広がり、月や星よりも明るい光が降り注いだ。

 

その光はバチバチと音を立てたかと思うと、奴隷商人達を次々に貫いていく。

 

そして檻の外に誰ひとりとして立っている者が居なくなった時だった。

 

崩れた天井の大きな隙間から翼を持った人間が降りて来たのだ。

 

ハイルディンはこの世の生き物とは思えぬほど美しい翼を広げキラキラと輝く人を、ただ呆然と見つめていた。

 

 

「そ、そんな……まさか…レ、レオヴァ様…?」

 

希望にすがるように呟かれた誰かの声が、夢か分からなくなっていたハイルディンの意識を呼び戻した。

 

誰かの呟きに続くようにハイルディンの側の檻から声が上がった。

 

 

「「「レオヴァ様っ…!!」」」

 

掠れたその呼び掛けに答えるように男は翼を光らせながら、檻に歩みよって行く。

 

 

「…酷い環境だ……

皆、遅くなってすまない、迎えに来た。

おれと共にワノ国へ帰ろう。」

 

レオヴァと呼ばれた男がそう言って鉄柵を壊すと、檻にいた者達は安心したのか号泣し始めた。

 

もう助からないと絶望していたのだと、すがり泣きながら訴える者達を翼の男は優しく受け止めた。

 

 

「もう大丈夫だ、おれが来た。

金輪際、オロチに人身売買なんていう馬鹿な真似はさせねぇと誓う!!

……今、おれやヒョウ爺はこんな事が二度と起きないように“ある事”を進めてる。

これ以上、オロチの暴虐に黙っているつもりはない。

おれと共に来てくれるか…?」

 

力強いレオヴァの声に泣いている者達は何度も頷いている。

 

 

「「「当たり前ですッ…レオヴァ様と共に参ります!!」」」

 

「皆……ありがとう。

だが、まずはゆっくり休んでくれ。」

 

そう言ってレオヴァが合図を出すと次々に部下と思われる者達が現れ、奴隷になっている者達の手枷や首輪を取り、外へと連れ出している。

 

 

「ドレーク、このまま皆を船に。

…絶対に誰一人としてこれ以上傷付けさせるな。」

 

「了解だ、レオヴァさん。」

 

ドレークと呼ばれた男はすぐに周りに指示を出すと、口を開いた。

 

 

「ところでレオヴァさんこの場所は…」

 

「無論、破壊する。

こんな場所を残す理由もねぇだろう。」

 

翼の男がキッパリと言い放つと眼帯の男は頷き、仕事に戻っていった。

 

 

その光景をいまだ、ぼんやりと眺めていたハイルディンの前に翼の男がやってくる。

彼は檻を壊し、身体中に巻き付けられていた鎖と首輪を外すとこちらを見上げ口を開いた。

 

 

「鎖は外した。

あとは好きにすれば良い。」

 

そう言って出ていこうとする翼の男の背にポツリとハイルディンは溢した。

 

 

「……(これ)が取れても、おれには何も出来やしねェ…」

 

掠れた声で溢された言葉にレオヴァが振り返る。

 

枷を外されても尚、立ち上がらずに項垂れているハイルディンの下に戻ってきた翼の男は顔を覗き込むと目を合わせてくる。

 

 

「おれはレオヴァ。

…お前、名前はなんて言うんだ?」

 

「今のおれに……名乗れるような名はねぇ…」

 

すっと目を反らしたハイルディンにレオヴァは柔らかい声色で話しかける。

 

 

「そうか、なら好きに呼ばせてもらうが……大太郎坊(だいだらぼう)なんてのはどうだ?」

 

「だいだら…?

……まぁ、勝手にすればいい。」

 

「じゃあ、大太郎坊(だいだらぼう)と呼ばせてもらう。

…で、行くところはあるのか?」

 

レオヴァの問いにハイルディンは沈黙した。

 

行くところはある。

だが、今の自分が行くべきではないと思っていた。

敗北し前に進めぬ心はハイルディンの自信を消し去ってしまっていたのだ。

 

 

「行こうと思っていた場所はあった……

だが、もうおれは行くに相応しくなくなった…」

 

「なら、暫くおれと来い。

ここに留まっていられると、この場所を壊せないんだ。」

 

「………分かった。」

 

 

そうしてハイルディンはレオヴァと共に暗い檻の外へと一歩を踏み出した。

 

外に出て見上げた満天の星空は何よりも美しく、ハイルディンの頬に一筋の涙が伝った。

 

 

 

 

 

檻から出て数年が経った。

痩せ細っていた体は健康状態を取り戻し、ハイルディンの精神面も少しずつ回復していた。

 

この頃には実力を取り戻そうと修行も始めており、檻に閉じ込められていた時とは別人のようであった。

 

 

しかし、やはりハイルディンは苦しんでいた。

檻から出られても、あの悪夢の日々が完全に消えるワケではないのだ。

 

夢に見る記憶に魘されることも少なくはない。

 

なにより背に刻まれた“奴隷の焼印”がハイルディンが誇り高き戦士に戻ることを邪魔していた。

 

この焼印の存在は、いつまでもハイルディンが奴隷であると示し続けている。

 

何をしていようともこの非情な現実はハイルディンから安息を奪い去り、苦しみを与え続けた。

 

 

だが、そんなハイルディンでも全てを忘れられる瞬間があった。

 

それはレオヴァとの組手だった。

 

レオヴァはいつだって真剣にハイルディンの相手をしていた。

もちろん、それは組手でも変わらなかった。

 

容赦のない怒涛の攻撃に、隙のない立ち回り。

そんなレオヴァから一本取るべく死に物狂いで奮闘している間だけは、自分が誇り高き戦士に戻れている気がしたのだ。

 

それに組手中はレオヴァの猛攻を防ぐのに必死で、無駄な雑念は勝手に消えてくれる。

 

レオヴァとの激しい戦闘だけがハイルディンの心にある暗闇を忘れさせてくれるのだ。

 

 

 

そして、あの日もそうだった。

 

いつものようにハイルディンはレオヴァから一本も取れず、疲れきって芝に倒れ込んでいた。

 

 

「大太郎坊、前よりも拳のキレが良くなって来たな。

今回も楽しい組手だった。」

 

そう言ってハイルディンの側に腰掛けたレオヴァのほうへ顔を向ける。

 

 

「ハァ…ハァ……鳳皇レオヴァ、お前は相変わらず…余裕、そうだな…」

 

「おれは百獣海賊団の幹部なんだ。

腕が衰えては部下達に示しがつかねぇだろう?」

 

そう言って笑うレオヴァとの時間は穏やかであった。

 

レオヴァの方を向いていた顔を動かし、ハイルディンはそっと天を仰ぎ見た。

空はどこまでも青く澄んでいる。

 

お互いに沈黙を続けていたが、先にレオヴァが口を開いた。

 

 

「大太郎坊…急にこんな事を言って困惑させると思うんだが……この薬を飲んでくれないか?

……おれのことを信じて欲しい、害はないと誓う。」

 

突拍子もないことを真面目な声色で言われ、ハイルディンはレオヴァを見つめた。

 

レオヴァの瞳は出会った時とかわらず、どこまでも真っ直ぐにハイルディンを見つめている。

 

小さく笑うとハイルディンは上半身を起こし、口を開いた。

 

 

「もちろんだ、理由は知らないが……おれはお前になら殺されても文句はない。」

 

微笑んだレオヴァから薬を受けとるとハイルディンは一気に飲みほした。

 

急に襲ってきた眠気にまたハイルディンが芝に横になるとレオヴァの声がうっすらと聞こえる。

 

 

「信じてくれてありがとう。

……その気持ちを無下にはしないと、おれの名に誓おう。」

 

その声を最後にハイルディンの意識は遠のいていった。

 

 

 

そして、次に目を覚ましてハイルディンは初めて声を上げて泣いた。

 

それは嬉しさからであり、安堵に近い感情であった。

 

ずっとハイルディンを苦しめていた背中の烙印が跡形もなく消えていたのだ。

 

夢ではないかと幾度となく確認した。

だが何回確認しても、あの忌々しい焼印はどこにもない。

 

 

「ッ……グズッ…う、ウオオオオ~~!!

おれは、おれ"は……や"っと人に戻れ"た"のかッ!!」

 

ハイルディンの今まで抑えていた気持ちが洪水のように溢れだした。

 

 

「檻を出てもッ……枷が取れても…お"れは"奴隷だった!

あの、あの忌まわしい焼印があるかぎりッ…!!!

おれ"は人間には戻れ"ねぇとっ…そう"思って"!!」

 

その場に泣き崩れているハイルディンの言葉をレオヴァは何も言わずに受け止める。

 

止めどなく溢れる想いをハイルディンは側で背をさすってくれるレオヴァへぶつけた。

 

今までハイルディンはこの気持ちを抑えていた。

誰かに吐き出しては、本当にもう自分は立ち上がれなくなるのではないかと思っていたからだ。

 

 

しかし、違ったのだ。

溢れる想いを全て吐き出したハイルディンの心は軽くなっていた。

 

背中にあった重荷はもうない。

まだあの日々の記憶という忌々しいモノはあるが、ハイルディンは気高さを取り戻したのだ。

 

巨人族として、戦士として。

もう2度と折れない。

 

そう心でハイルディンは誓うと、涙を拭いた。

そしてレオヴァに向き直ると、膝を突く。

 

 

「おれの……おれの名はハイルディン!

鳳凰レオヴァ、この恩は絶対に忘れねェ…!!

おれの命を救い…そしておれに誇りを取り戻してくれた、人間に戻してくれた恩は一生をかけて返すと誓う!!!」

 

力強い声でハイルディンは誓いを立てた。

目の前のレオヴァはそれに答えるように笑う。

 

 

「やっとお前の名前が聞けたな、ハイルディン…良い名だ。

なら、おれもひとつ誓おう。

ハイルディンが龍を仰ぐ限り、必ず味方であり続けると。」

 

 

レオヴァの言葉を聞くとハイルディンはまた瞳に雫を溜めながら、豪快に笑いだした。

 

「ッ……ディガガガガガ!!

あぁ!本当に、本当にデカイ男だ…!!鳳凰レオヴァ…!

……聞いてくれ。

実は、おれには“夢”がある!!」

 

そう言って語りだしたハイルディンの話をレオヴァは楽しそうに聞き続けた。

 

 

この日から、ハイルディンは己を完全にとり戻した。

 

そして、また海へ出て4人の仲間達と共に新巨兵海賊団を結成し、ワノ国にて正式に百獣海賊団の傘下に入ったのだった。

 

 

ハイルディンにとってカイドウは理想の“王”の姿であり

レオヴァは大恩人であると同時にかけがえのない“友”であった。

 

そんな二人が君臨する百獣海賊団の傘下に入ることは、ハイルディンのやる気を更に向上させた。

 

 

いつの日か全ての巨人族を束ね、あの巨兵海賊団に引けをとらぬ偉大な海賊になり百獣海賊団へ…レオヴァへ恩返しをし、友として恥ずかしくない男になる。

とハイルディンは心に決めていた。

 

 

夢を語ったあの時、馬鹿にすることなく

『ハイルディン、お前なら必ずやり遂げられる。』

と暖かい言葉をくれたレオヴァを思い出し、ハイルディンは進んだ。

 

 

「見ていてくれ鳳凰レオヴァ…!!

おれは必ず夢を果たし、あの恩を返すぞ!

友と呼んでくれたことは後悔させはしねェ!!」

 

生き生きと進むハイルディンの目に、もう曇りなどない。

 

 

 

 

 

 

懐かしい記憶がフラッシュバックしていたハイルディンは意識を現在へと戻す。

 

数百mほど先にはキラーの背がみえている。

確実に捕え、レオヴァに謝らせねばなるまい。

 

 

「待て、キラー!!!」

 

ドスン!と大きな音を立てながらハイルディンも走り出すのだった。

 

 

 




ー補足ー

・レオヴァがハイルディンのいた奴隷ショップに来た理由
オロチ討伐前に売りさばかれたワノ国の人間を回収しに来ていた。
大衆を味方につける為とワノ国の外が如何に惨い世界なのかを売られた人間達に広めさせる為に助けた。
(国獲り編で少し出ていたレオヴァが売られた国民を助けたという話はこれ)

・ハイルディン
既に百獣海賊団の傘下であるがまだ名はそこまで売れていない(数年間インペルダウンに居た為)
巨人族とワノ国(レオヴァ)を繋げる橋渡り的な存在。

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