俺がカイドウの息子…?   作:もちお(もす)

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※注意※
今後、赤鞘好きの人には辛いかもです!すみません!!



悲観せず進め

 

 

人のいない会議室の椅子にキングは腰掛けていた。

周りに騒がしいクイーンや、他の幹部達の姿はない。

 

静かな部屋で手に持っていた書類の最後の1枚を読み終えると、そっと会議室の扉が開いた。

 

 

「すまない…待たせたな、キング。」

 

そう言って申し訳なさそうな顔で部屋に入って来たレオヴァの方へ目線を向けて、キングは仮面の下の眉を僅かに上げる。

 

パッと見ならばレオヴァは普段通りに見えるが、付き合いの長いキングはその違いに気が付いた。

 

 

この雰囲気や歩き方は明らかに苛立って(・・・・)いる。

 

レオヴァよりも先に、予定の空いているキングが部屋に来ているなど当たり前の事なのだ。

平常のレオヴァであれば、謝る真似はしない。

 

『早いな、キング。

では、早速本題に入るか。』

と、効率重視な話題運びをする筈だ。

 

私的な場であればレオヴァとキングは二人で雑談も楽しむが、仕事となると無駄な前置きは省く傾向にある。

 

外面(そとづら)のレオヴァしかしらない者が見れば、要件中心にテキパキ進める姿を冷たく感じるだろうが、キングはそう言うレオヴァだからこそ信頼を置いている。

 

そんなレオヴァがまるで外面の時にするように、遅刻して来た訳でもなく謝罪を述べる時は決まって苛立ちなど、強い感情を抑える為に気を張っている事が多い。

 

と、即座にレオヴァの状況を看破してキングは書類を机の上に置いた。

 

 

「いや、時間通りだ…レオヴァ坊っちゃん。

で、その様子だと青キジの野郎はしくじったのか?」

 

単刀直入なキングの言葉に僅かにピクリとレオヴァの眉が動く。

 

 

「……そんなに顔に出ていたか?」

 

「逆だ、出て無さすぎる。

おれと二人だってのに、そのポーカーフェイスを張り付ける時は決まって機嫌が悪い時だろ。」

 

違うか?と足を組み直すキングに降参だと、レオヴァは張り付けていた微笑みを消す。

 

先ほどとは打って変わって眉間に皺を寄せて愛想のない顔になったレオヴァにキングは小さく笑った。

 

 

「カイドウさんとレオヴァ坊っちゃんは分かりやすい。」

 

「……そう言うのはキングだけだ。」

 

お前には敵わないと溜め息を吐き、レオヴァはキングの正面の椅子にドカりと腰掛けた。

 

そして、手に持っていた書類を机の上に置きキングの方へと滑らせる。

 

 

「半分はお前の予想通りだ。

……まぁ、クザンはしくじっちゃいねェがな。」

 

「言い方に含みがあるな?」

 

キングは一言返し渡された紙を手に取ると、それに目を通す。

 

軽く流し読みして分かったのは、ドレスローザの件は成功とはいかなかったが失敗でもないという、まずまずの結果だと言うことだ。

 

基本的に任務は成功以外ないと考えているキングだが、内容を見るに仕方がない状況だったと言うのは理解できた。

 

だが、ならば何故レオヴァの機嫌が悪いのかが分からない。

 

レオヴァはキングとは違い、幹部や部下達の任務失敗を気に留めるタイプではない。

 

寧ろ、失敗してしまったのなら仕方がない。

次に活かそうと励まし、裏で自らその尻拭いをするような男だ。

 

尚且つ、先ほど“クザンはしくじっていない”と明言している。

と、なれば彼の苛立ちはこの案件ではない可能性もある。

新しい問題でも発生したのだろうか、と書類から目線を上げたキングとレオヴァの目が合った。

 

 

「読んだ感じでは、まずまずの結果だが…」

 

「……あぁ、悪くはねェな。

ローが地図を手に入れているのもデカい。

クザンもそれだけのメンツ相手に良くやってくれた。」

 

部下を労るレオヴァの声色に嘘はない。

キングはすっと目を細めて無言の圧をレオヴァにかけた。

なら何故機嫌が悪いのか、と。

 

暫くキングからの声のない訴えに気付かない振りをしていたレオヴァだったが、相手に折れる気がないと悟ると溜め息を漏らした。

 

 

「…個人的な事で、大した理由じゃねェ。」

 

「なら、話しても問題ないな?」

 

間髪入れずに返されてレオヴァは苦い顔になる。

だが、そんな顔でキングは分かりましたと下がってやる気などなかった。

 

 

レオヴァはこの百獣海賊団で間違いなくなくてはならない潤滑油のような存在なのだ。

 

あらゆる人種や価値観の闇鍋と化した百獣海賊団で内部争いがなく結束力が高いのは、カイドウの“力”とレオヴァの“甘さ”があるからだとキングは考えている。

 

恐怖と暴力だけでは、ここまで組織は大きくならなかった筈だ。

 

元々キングはカイドウと長く共に居た為、恐怖と暴力だけあれば全て解決出来ると考えていたが、そこにレオヴァは新しい選択を持ち込んで来て上手く昇華させてみせた。

 

カイドウが百獣海賊団の心臓なら、レオヴァは血液なのだ。

 

 

そんな重要な存在のレオヴァの精神が不安定になる事をキングは危惧していた。

 

昔からレオヴァはあまり自分から吐き出す事をしない。

だから、キングは敏感に変化を感じとり、無理やりにでも吐き出させていた。

 

その行為は端から見れば強引で無神経に見えるだろうが、レオヴァと言う男には良い手段なのは間違いない。

 

 

この昔から変わらぬキングの接し方に、レオヴァは諦めたように口を開いた。

こうなったキングにはカイドウですら折れるのだから。

 

 

「……本当に下らねェ事だぞ。」

 

「構わねェ。

おれ相手に前置きは必要ねェよ、坊っちゃん。」

 

早く話せと目で語ってくるキングから視線を外し、レオヴァは口を開いた。

 

 

「……おれはまた(・・)選択を誤った。

おれが正しく“理解”出来ていれば、ドレスローザでキッド達は父さんの下に連れ帰れた筈だった(・・・・)んだ。」

 

小さな声で溢された言葉にキングは目を細め、次の言葉を待った。

 

 

「ローがいればキッドは確実に足を止める…そう思っていた。

あとは足を止めたキッドを、ローならば予め渡していた麻酔薬で大人しくさせられる。

キラーもキッドが捕まれば逃げられはしないだろう、それはヒートやワイヤーも同じ。

だが、違った…即時撤退を選択出来るようになっていた……おれは読み誤ったんだ。」

 

大きく溜め息を吐いて口を一直線にキツく結び、手で顔を覆う姿を見てキングがゆっくりと口を開く。

 

 

「そんな事で苛ついてたのか?

レオヴァ坊っちゃんらしくもねェ。

…あぁすれば良かったなんて過ぎた事をいくら考えても、無意味だ……どんなに喚こうが過去は変わらねェ。

そんなモンは弱者と馬鹿の思考だ。

アンタはカイドウさんの息子。

強者でなくちゃならねェ(・・・・・・・・・・・)……分かるよな、レオヴァ坊っちゃんならおれの言いたい事が。」

 

身を乗り出してこちらへ顔を近付けたキングの目を俯いていたレオヴァは顔を上げて視界に捉えた。

 

先ほどまでぐるぐると後悔に苛まれていたのが嘘のように、冷静さが戻ってくるのを感じてレオヴァは自分の間違い(・・・)に気付く。

 

 

「そうだ…過去は二度と変えられねェ……

悪い、キング。本当におれらしくなかった。

……はぁ、父さんの息子として情けねェ。

過ぎたことで“もしも”を語るなんて、非生産的だったな。

今後、どう動くかに脳のリソースを割くべきだった……そうなると、おれはどれだけ時間をロスしたんだ?

この局面での時間ロスほど馬鹿馬鹿しいモンもねェってのに。」

 

「それでこそ、レオヴァ坊っちゃんだ。

そもそもウチを抜けた奴らにいつまでも執着するな。」

 

「いや、執着しているつもりはないんだが……」

 

「……してるだろ。

レオヴァ坊っちゃんはおれと同じように、いつも通りカイドウさんの事だけ考えてれば良い。

それが最善だと、自分でも言ってただろ。」

 

「…?

おれはずっと父さんの事を考えてるぞ?」

 

調子の戻った姿にマスクの下でキングは笑う。

レオヴァはこうでなくては、と。

 

 

もしもの話をし、弱気になるなんて。

去った相手を理解しようなんて。

裏切った相手を生捕りにしようなんて。

全くもって、レオヴァらしくない(・・・・・・・・・)のだ。

彼はいつ如何なる時もカイドウの為に奔走しているべきだ。それが自分が同志と認めた男の在り方なのだから。

 

 

次の作戦を、と話し始めたレオヴァに相づちを打ちながらキングは内心でぼやく。

 

「(レオヴァ坊っちゃんの思考を鈍らせるあのガキ共は…邪魔だなァ……)」

 

思い浮かべるのは目障りな赤色。

 

もし、あの裏切り者を殺したらカイドウとレオヴァは怒るだろうか?

そんな事を頭の片隅で考えながら、キングは作戦会議の内容を記憶していくのであった。

 

 

────────────────────────────────────────────────────────────────────────

 

 

 

ドレスローザでの攻防を終えてから暫く後。

麦わらの一味とその同盟はゾウへ辿りついていた。

 

ミンク族に敵ではない事を示す為、ナミとロビン、チョッパー、フランキーの4人を除いた麦わらの一味とキラーは島へと降り、錦えもん達と共にモコモ公国へ訪問したり。

 

金獅子のシキは麦わらの一味の船を降ろし、近くの島へ食料などの補充に行くと言って錦えもんからビブルカードの切れ端を受け取ったり。

 

キッドもシキと共に船に残って、ヒートとワイヤーと共に次の作戦の為の準備へ取り掛ったり、と各々が役割り分担をし別行動となったが2日後にはまた合流し、打ち合わせをするという約束をしてあった。

 

 

しかし、約束の前日に問題は起こってしまう。

 

赤鞘達から百獣海賊団について話を聞き、お互いに協力し合おうと誓い、それぞれが出発の準備をしていた時だ。

 

イヌアラシとカン十郎、菊の丞が気を失っている日和と泣いているモモの助を抱えてモコモ公国へと慌てたように戻って来たのである。

 

食料を調達しに言ったサンジ達の代わりに荷運びをしていたルフィとゾロ、キラーの三人は何事かと首をかしげ、周りのミンク族が慌てていると赤鞘達も集まって来た。

 

そんな中、異変に気付き一番に声を上げたのは錦えもんだった。

 

 

「何事だ!?」

 

叫びながら日和とモモの助を心配するように駆け寄った錦えもんにイヌアラシが怒りの形相のまま返す。

 

 

「傳ジロー……いや、狂死郎だ!!

裏切り者が此処に来ている、すぐに戦闘の準備を!!」

 

「な!?傳ジローが…!?

いや、それよりも日和様は…」

 

怪我をしたのか、と錦えもんが聞こうとした時。

イヌアラシ達が通って来たであろう道の後ろから、人影が現れた。

 

 

「ひ、日和様!!モモの助様ぁ!!」

 

肩で息をしながら現れた男の姿に、錦えもんとアシュラ童子以外の赤鞘は鋭い視線を投げ、刀を抜いた。

 

 

「貴様!?ここまで追ってくるとは…」

 

「モモの助様にも日和様にも、手出しはさせません!」

 

かつての仲間からの敵意に狂死郎は顔を歪ませながら、口を開く。

 

 

「待ってくれ、おれは話をするために…!」

 

「話すことなどない!!」

 

言葉の途中で斬りかかって来た河松の一太刀が狂死郎の肩に僅かに触れる。

 

咄嗟に後ろに避けた事で深傷を負うことを免れた狂死郎は手で傷を押さえながらも、刀を抜くことはしなかった。

 

 

「ま、待ってくれ!

頼む……錦さん!!」

 

必死に叫ぶ狂死郎の姿に錦えもんは刀の鞘に手をかけられずにいた。

 

だが、他の赤鞘は油断する様子はなくモモの助と日和を守るように立ち塞がった。

 

 

「奴が連れてきた百獣の手下が日和様に得体の知れぬ毒を当てたのだ!!

皆、距離をとれ!あのクイーンの様に汚い手を使ってくるに違いない!!毒の兵器を…!」

 

叫んだイヌアラシの声にミンク族は直ぐに後方へと飛び退いたが、ルフィ達は訳が分からずその様子を眺めていた。

 

話を聞く限り、あれが例の裏切り者の“狂死郎”なのだろう。

しかし、彼から殺気なんてものは感じない。

 

困惑するルフィ達を置き去りにするように赤鞘達のやりとりは続く。

 

 

「違う…!

あれはモモの助様に襲いかかろうとしていた獣を止めようとして百獣の者が射った催眠弾だ!毒ではない!!」

 

「そうなのか…?」

 

「止せ、騙されるな錦えもん!!

助けようとしたならば何故、日和様に当たっている!?」

 

その疑問に狂死郎は直ぐに答えを返した。

 

 

「それは日和様がモモの助様を庇おうと突然飛び出して来たからだ。」

 

「…言い訳にもならん。

先ほどの言い分が本当ならば、声を出して知らせれば良い話!」

 

「そうです!

そうすれば日和様に誤射をするような事態にもならなかったではありませんか!!」

 

「それはおれも考えた!

だがっ……おれが姿を現せばこちらを警戒するだろう!?

そうなったら、モモの助様を助けるのが遅れるではないか!!」

 

叫び返す狂死郎の言葉を聞いてもイヌアラシは馬鹿馬鹿しいと首を振る。

 

 

「その程度で反応が遅れ守れぬほど、愚かではない!」

 

「そもそも、貴方が余計な真似をしなければ私達はモモの助様を助けていました。

……貴方のせいで、日和様は撃たれたのです!!」

 

菊の丞の言葉に狂死郎の瞳が揺れる。

 

自分のせいで、日和様が…

過去の日和を守れなかったトラウマがフラッシュバックして固まる狂死郎に河松が再び刀を振り下ろす。

 

しかし、その斬撃が当たる事はなかった。

 

河松の刀を受け止め、狂死郎を庇ったのは錦えもんだった。

 

 

「…っ……錦、さん…?」

 

「錦えもん!?何故庇うのだ!?」

 

赤鞘達は錦えもんを見る。

一身に視線を集めながら、彼は河松を軽く後方へと吹き飛ばし刀をしまう。

 

 

「やはり、まずは話さなければならん!

……拙者は…まだ傳ジローが裏切っているとは思えんのだ。

我々はずっと苦楽を共にした仲ではないか!

一度、冷静に傳ジローの言い分を聞こう…それからでも遅くはない。」

 

そう言って拳を握りしめる錦えもんの背中を狂死郎は瞳にうっすらと涙を浮かべながら見つめた。

 

 

「(…錦さん……やっぱりアンタは!!)」

 

礼を述べようと半歩前に出た狂死郎の動きを止めるように、河松がまた声を荒らげる。

 

 

「説明しただろう、錦えもん!

奴は…狂死郎は今や大臣になりワノ国を支配するレオヴァの手伝いをしているんだ!!

それに百獣海賊団の幹部であるササキと言う男とも強い関わりがある!

レオヴァは正統な後継者であるモモの助様の存在を無視し、国民を騙して国を支配しているのだぞ。」

 

「……っ…だが…レオヴァ殿がイヌアラシ達が言うような非道を行うとは思えん……」

 

言葉を詰まらせる錦えもんにイヌアラシは言葉を投げつける。

 

 

「錦えもん、貴様もレオヴァに騙されているんだ!!

おでん様を殺し、日和様を遊女へ貶め…ミンク族を連れ去っている。

そんな男をまだ信用しようと言うのか!?」

 

黙ったままの錦えもんに菊の丞が悲しげな顔で訴えかける。

 

 

「錦様、気持ちは分かります……ですが!

あの時ワノ国で…九里で錦様や人々と笑い合いあっていたレオヴァ殿はいないのです!!変わってしまった…!

見たでしょう、あの討ち入りの時の瞳を……敵に向ける顔だった筈です!思い出してください!!」

 

「レオヴァ殿は……いや、しかし…確かにあの時は……」

 

錦えもんは葛藤していた。

彼の記憶の中にあるレオヴァは民を思う素晴らしい少年だ。

 

九里に訪れては錦えもんの馬鹿話に笑い、子ども達の遊び相手をするような心優しい姿の記憶しかない。

 

おでんを嘲笑する町人がいて、腹を立てやるせなさに俯けば彼はいつも錦えもんの背を優しく叩いて言うのだ。

『彼はそんな人ではないと誰よりも錦えもん達が知ってるだろう?

まだ会った事はないが、錦えもんや傳ジローが慕う人だ。

きっと素晴らしい男さ、良ければ彼の話を聞かせてくれ』

……と。

 

錦えもんにとって、おでんは希望や夢を与えるような存在で。

レオヴァは安心感や自己肯定感を与えてくれるような存在だったのだ。

 

年の離れた彼を、錦えもんは友人だと思っていた。

 

 

そんな、言葉を吐き出せずに唸る錦えもんの背中に狂死郎が手を伸ばした時だった。

 

 

「ここに居たのか、狂死郎さん。

急に走っていくからビビったぜ。」

 

この重い雰囲気の中、場違いなほど呑気な声を出したシープスヘッドに一気に注目が集まる。

 

 

「…ぇ、なんだよ?どういう雰囲気だ!?」

 

あわあわと頭を抱えるシープスヘッドに、菊の丞が斬りかかる。

百獣海賊団と丸分かりな服を着ている男だ、敵なのは間違いない。

 

 

「うおっ!?

て、めェ!?いきなり何しやがる!!」

 

怒ったシープスヘッドが反撃しようと体を変化させた瞬間、狂死郎が間へ入った。

 

 

「駄目だ!待ってくれ!!」

 

「っ……危ねぇ!?」

 

突然割り込まれたにも関わらずギリギリで攻撃を止めたシープスヘッドだったが、菊の丞の刀は狂死郎の背中を裂いた。

 

呻き声を上げてよろめいた狂死郎に慌ててシープスヘッドは手を伸ばす。

 

 

「ちょっ…!?おい!!狂死郎さん、大丈夫かよ!

なんだよ、どうなってる!?

赤鞘は狂死郎さんの仲間なんだろ!?」

 

ギロリと菊の丞を睨み付けるシープスヘッドだったが、カン十郎や河松達からも刀を向けられている事に気付くと一歩後ろへと下がった。

 

 

「……話し合いって雰囲気じゃねェな。

狂死郎さん、戻るぞ。」

 

「まだ……ちゃんと話せていないんだ…!」

 

自分の体を支えている手を押し退けようとする狂死郎をシープスヘッドは止める。

 

 

「どう見ても話し合いは無理だろ!?

仲間を斬るような奴らだぞ!」

 

「まだ、モモの助様と日和様のお気持ちは聞いていない!!」

 

大声を出して傷が痛むのかまた呻き声を漏らす狂死郎にシープスヘッドはどうするべきかと迷っていた。

 

すると、再び攻撃をしかけようとしてくる河松達の気配を感じて、シープスヘッドは変化させた体を盾に狂死郎を庇う。

 

 

「~ッ!!

てめェら、狂死郎さんの話を聞けよ!?

この人は武器すら構えてねェんだぞ。」

 

「黙れ、海賊と話すことなどない。」

 

「……チッ、こいつらも偏見クソ野郎かよ。」

 

シープスヘッドは吐き捨てると、重傷の狂死郎を担ぎ上げた。

 

そして、何を…と目を見開く狂死郎を肩に乗せ後方に飛び退く。

 

 

「これ以上テメェらとの会話は無意味だ。

仲間を信じてやれねェクソ野郎共が、狂死郎さんがどんだけレオヴァさんに頭を下げたかも知らねェで!!

……って、ことで!!

やっちゃってくださいよ、ジャック様ァ!!

 

森に向かってシープスヘッドが叫ぶと、7メートルはある巨体が姿を現した。

 

ただ者ではない気配に、赤鞘達の会話に呆気に取られていたルフィとゾロもハッとして構えをとり、キラーは見覚えのある男を警戒するように武器に手を添えた。

 

だが突然現れた大男は赤鞘達ではなく、シープスヘッドをジロリと睨んだ。

 

 

「……軽口を叩きやがって。

また、組手でしごかれてェのか?」

 

「す、すいません!!!調子に乗りましたァ!!!」

 

狂死郎が落ちないようにしながらも頭を下げるシープスヘッドに大男は軽く怒気を飛ばしてから、やっと赤鞘達に目線を向けた。

 

そして、その奥にいる男を見つけて忌々しげに眉間に皺を寄せる。

 

 

「…キラー、だと?

青キジの野郎はしくじったのか。」

 

「……ジャック…何故、お前がここに。」

 

数秒、睨み合うとジャックは前へ一歩踏み出した。

 

 

「てめェとキッドの野郎は潰す…!!

だが今回、用があるのは赤鞘だ。」

 

ジャックは錦えもん達を見下ろして、問う。

 

 

「レオヴァさんと話をするか、敵対するか…選べ。」

 

告げられた問い掛けに、錦えもんの瞳が揺れた。

 

 

 

 





ー補足ー

・麦わらの一味と赤鞘
ルフィ、ゾロ、サンジ、ウソップ、ブルックの5人は錦えもんとカン十郎以外の赤鞘と対面。
モモの助達を助けた恩人として、ある程度の信頼を勝ち取った。
その後、赤鞘が全員揃ったと言うことで現世居残り組の河松とイヌアラシによる百獣海賊団の非道の数々(?)が明かされた。
途中でアシュラが違うと声を上げたが、獣人島に居たから非道に気付けなかったのだと二人から叫ばれ、軽い喧嘩になりかけたがモモの助の前だとアシュラが我慢する事で収まった。

・麦わら達のモコモ公国への認識
レオヴァによって大半の国民が連れてかれ、過疎化が進んでいる。
ポーネグリフも百獣海賊団が奪ったらしく、ここにはない。
傳ジロー、現在は狂死郎と名を変えている裏切り者に唆されネコマムシは裏切った(イヌアラシ談)


・現在いる赤鞘と他メンバー
錦えもん、カン十郎、雷ぞう、イヌアラシ、河松、菊の丞、アシュラ童子。日和&モモの助。


・サンジ達
サンジ、ブルック、ウソップはゾウの森に食料調達に向かっているらしい。

・キッド達
シキと麦わら以外の同盟メンバーと連絡が取れずに苛立っている。
ハチノスでの作戦がどうなったのか不明な為、次の襲撃場所をハチノスにするかをヒート&ワイヤーと相談中。

・狂死郎
真打ち達の間では、ワノ国でレオヴァの補佐をしている侍兼ササキの友人であると言う話は有名なので狂死郎さんや、狂死郎親分と呼ばれ敬意を払われている。
特にササキの直属の部下達からとても慕われているらしい。
シープスヘッドはササキ直属の部下達とも仲が良いので狂死郎の身を案じていた。

ー補足②ー
麦わら視点をカットしたので分かり難かったので補足させて頂きますと、麦わらの一味は石化・睡眠・毒の全て解毒済みです。
なので今のところ普通に行動出来ています。

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