俺がカイドウの息子…?   作:もちお(もす)

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誤字報告ありがとうございます!

感想もニッコニコしながら読ませて頂いております!


共に歩むは…

男は酒を片手に庭園を眺め、待ち人の到着までの時間を過ごしている。

 

 

共に歩むと決めてから早1年。

 

 

まるで祖父と孫の様に仲が良くなった二人は度々時間を設けては様々なことを語らい、時には外へ(おもむ)き人々を助けたりなどして過ごした。

 

 

そして、今日は"ある恒例行事"と化した事を成すため、男は縁側(えんがわ)で待っていた。

 

 

 

 

ゆったりとした時間を過ごす男の耳に、二人分の早足に歩いてくる音が届いた。

 

 

襖の向こうから声がかかる。

 

 

「レオヴァ様が到着しやした…!」

 

 

「そうか、入れてくれ!」

 

 

男の許可を得て、屋敷の者が襖を開く。

 

そこにはいつも通り子どもとは思えぬ佇まいの少年が立っており、軽く手を上げ挨拶をした。

 

 

「ヒョウ爺、久しぶりだな。

 かわりないか?」

 

心地いい声と優しい表情にヒョウ五郎もつられて笑顔で返す。

 

「はっはっは!久しぶりだ!

おおう、変わりねぇさ。 お陰さまでな」

 

 

レオヴァは上機嫌に返された言葉にそうか。と頷くと当然の様に縁側で座るヒョウ五郎の隣へ腰掛けた。

 

 

 

「それで……今日もまた九里へ行くのか?」

 

「あぁ、もちろん今日も行く。

 おでんと話がしたい。」

 

「……はぁ、まぁレオ坊が行くってんなら、おれも行くがよォ…」

 

 

 

ヒョウ五郎は大きな溜め息をついたが、止めることはしない。

レオヴァの(おこな)いに間違いはないのだから、きっと重要なことなのだろう。とヒョウ五郎は渋い顔をしながらもついて行く。

 

 

 

 

 

 

彼が渋い顔をするのにも訳がある。

 

 

それはヒョウ五郎がレオヴァと共に歩むと決めてから半年ほど経った時だった。

レオヴァがおでんに会いたいと言い出したのだ。

 

 

『ヒョウ五郎……おでんと話がしたいのだが…付いてきてくれないだろうか?』

 

 

そう神妙な面持ちで告げたレオヴァに理由を聞くと

 

 

『オロチなき後、将軍として上に立つなら おでんと言う男が相応しいんじゃないかと思ったんだ。

……なんせ康イエが仕え続ける男なんだ、きっと器の大きな男なのだろう。』

 

 

と、自分の話を無下にした康イエを買うような言動であったため多少驚いたが、ヒョウ五郎もおでんとレオヴァが組めば直ぐにでも国を取り戻せるのではないかと希望を抱き、九里へ向かった……

 

 

 

─── だが、結果は失望であった。

 

 

わざわざ土産を持ち(みずか)ら出向いたレオヴァに対して、おでんは門前払(もんぜんばら)いしたのだ。

 

 

この国の後ろ楯でもあるカイドウの子息に対して、大名としてあまりにも(よろ)しくない対応である。

 

 

ヒョウ五郎は憤慨(ふんがい)し、()めるレオヴァや門番を押し退け城から出てこない おでんの下へと向かった。

 

 

止めようと掴みかかって来た錦えもんとカン十郎を引きずりながらも襖を壊さん勢いで開けると

そこには一人静かに外を眺めるおでんの姿があった。

 

用事があるようにも見えぬその姿にヒョウ五郎は(まく)し立てる様に何故会わないのかと詰め寄る。

 

 

しかし、おでんは

『あいつにゃ、会わん……帰ってくれ』

 の一点張りである。

 

 

理由も言わぬ おでんにヒョウ五郎が刀を抜きかけた時、後を追ってきたであろうレオヴァが止めに入った。

 

『ヒョウ五郎!

 ()せ、なにをするつもりだ…!!』

 

その強い声に思い止まる。

 

 

 

非礼をレオヴァが謝罪するもおでんは答えることはない。

 

ただ

『……話すことはねぇんだ、帰れ』

と突き放すのみ。

 

 

それにレオヴァは

『すまなかった、礼を欠いた…

 ……また、会いに来る』

とだけ言い残し、怒りのおさまらぬヒョウ五郎を連れ帰ったのだった。

 

 

 

その後も月に一度のペースで土産を手に会いに行くレオヴァだったが、やはり全て門前払いという結果である。

 

 

そう、だからこそヒョウ五郎は苦い顔をするのだ。

 

 

 

おでんはもう駄目だ。視野の広さや器のデカさを買っていたヒョウ五郎だったが、ここ1年ほどの おでんからは昔の輝きは感じられなかった。

いや、むしろレオヴァと出会い共に歩み始めてからは、考えもなしに好き勝手やるただの我が儘な男にすら見えてきていた。

 

 

もし仮におでんが将軍になったとしても俺はレオヴァにつく。そう考えるヒョウ五郎にとって九里へ行くのは無駄足(むだあし)の様に感じているが

他の誰でもないレオヴァの望みならば叶えねばならぬと、"おでんはもう、要らんだろう"と言う言葉を飲み込んでいたのであった。

 

 

 

 

 

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二人はヒョウ五郎の部下を数名だけ連れ、九里へと来ていた。

 

 

町へ入るとレオヴァの周りに人だかりができる。

 

 

「あ、レオヴァ様じゃないですか…!

この前はありがとうございました。

あの薬のおかげで……娘はすっかり元気に……!」

 

「おぉ……レオヴァ様じゃ……!

あの治療をして頂いてから体の調子がよくてのぅ

お陰さまで孫たちの面倒をみれて幸せじゃあ!」

 

「レオヴァさま~、あそぼ~!」

 

「れ、レオヴァさま!

実はここ最近、畑の調子がわるくて……どうしたら良いんでしょうか…」

 

 

 

ヒョウ五郎と部下たちは誇らしげに一歩下がった所からその光景を見ている。

 

 

 

「いや~流石レオヴァさまですね、親分!」

 

「たりめぇよ!なんたってレオ坊だからな

あいつァ本当に色んな事を知ってる……あれだけの知識…並大抵の努力じゃねぇだろうさ」

 

「そうですよね!

いつも本読んでますし……ほんとスゲェ人だぁ…」

 

 

部下がしみじみと新しい(ぬし)の凄さを噛み締めていると、話が一段落ついたのかレオヴァが戻ってくる。

 

……いまだに周りには大勢の町人たちがくっついて来ているが…

 

 

 

「ヒョウ爺、皆そろそろ おでん城へ行こう」

 

「……おう、そうだな」

 

「……へい!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

おでん城へ向かい、話し合いを提示したレオヴァだったが、またしても結果は拒絶であった。

 

 

 

都へ帰る為にまた、下町へと歩むレオヴァの背をヒョウ五郎と部下は悔しさに拳を握り締めながら付いて行く。

 

 

「くそ……なんだってレオヴァ様がこんな扱いをッ…」

 

「バカ殿のくせに…許せないっす……!」

 

「城の下にも降りて来ねぇで門前払いなんざ、あり得ねぇですよ!!」

 

「……おでんのヤツぁ…昔はちっとはマシだったんだがなぁ…」

 

 

 

ざわめき始める皆をレオヴァが止める。

 

 

「いや、まだおれが彼に会うには努力が及ばないだけだろう

皆の気持ちは解っているが、そう悪く言わないでやってくれ」

 

そう困った様に微笑むレオヴァに皆、口をつぐむ。

 

 

 

「毎回 嫌な思いをさせてしまってすまないな…

……皆、いつも付き合ってくれてありがとう。」

 

その言葉にまた皆は心打たれる。

 

 

これだけ無下にされても悪口ひとつ言わず、それどころか自分たちを気遣う優しさに

やはりレオヴァ様こそ…!と心中で強く想うのだった。

 

 

 

 

 

 

町を出る前にレオヴァは土産を町人たちに渡していた。

 

 

「レオヴァ様、こんなに宜しいのですか?!

 本当に、毎度ありがとうございます……!」

 

町人の代表の様な男が頭を下げると次々に人々は礼を口にする。

 

 

人々の前には大量の食料と水、そして薬があった。

 

 

頭が上がらない、と言うような町人たちにレオヴァは優しく声をかける。

 

 

「うちの村で出来たモノでな、とても美味しいからぜひ九里の皆にも食べて欲しかったんだ。喜んでもらえて嬉しいよ」

 

 

にこりと微笑むと町人たちは一概に感無量と言う様な表情でレオヴァを見つめる。

 

 

 

「本当に…どんなお礼をすれば良いのやら……!!」

 

 

「礼など皆の嬉しそうな顔と言葉で十分だ

……うちの村の皆に伝えればとても喜んでくれるだろうしな」

 

 

「れ、レオヴァさまぁ……!」

 

 

町人たちは感激で潤む目元を押さえる他なかった。

 

 

 

そろそろ時間だから、と町から出ていくレオヴァ達を見送る声は、姿が見えなくなっても暫く続いた。

 

 

 

 

 

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~花の都城内にて~

 

 

 

大広間で豪勢な宴が開かれている、その場所で

 

たくさんの花魁を侍らせ鼻を伸ばす男、オロチと

黒いジャケットに身をつつむ勇ましい顔つきの大男、カイドウが話をしている。

 

 

 

 

「 カイドウ!

またお前の息子がおでんに会いに行ってるそうじゃないか……!!」

 

 

「ア"ァ"…? それがどうしたってんだァ……ヒック…

レオヴァの自由だろう……!!」

 

 

 

カイドウの声にオロチも花魁もビクリと体を揺らす。

 

 

 

「い、いや確かにそうだが……

…おでんなんかと関わらせるのはお前の息子にとって良くない事

……そうだ!きっと悪影響が……!」

 

 

 

カイドウは酒をあおっていた手を止め、オロチをギロリと睨む。

 

 

「ヒック……なんだとォ……おれのレオヴァがあんな男に影響されるって言いてぇのかァ……!! ウィック…」

 

 

ドスンッ!という音を立て、カイドウが力任せに置いた酒瓶が粉々に砕ける。

所々から悲鳴が上がり、オロチの顔も真っ青である。

 

 

 

カイドウの怒り出した気配を即座に察知したクイーンは少し離れた場所で佇んでいたキングの近くへ避難する。

 

 

「あ~マジか、怒上戸(おこりじょうご)かよ……あれヤベェか~?

……おい、キングてめぇ行けよ!」

 

「知るか、テメェが行け」

 

「冗談じゃねぇ……!

ありゃ完全に酔ってんだろ……飛び火するなんて御免だぜェ…」

 

「分かってんなら、おれにふってんじゃねぇよ」

 

 

クイーンとキングが言い合いをしているうちにカイドウはまた酒をあおる。

 

 

 

 

 

「ウィッ…ク……だからなァ……レオヴァがあんなバカ殿に感化されるなんてことはよォ……!あるわけねぇだろう!!」

 

 

またもやドスンッ!という音と共に酒瓶が砕け、床にヒビが入る。

 

 

 

慌てふためく城の者たちだったが、遅れてやって来た彼の声に少し落ち着きを取り戻す。

 

 

 

「…父さん?

一体どうしたんだ、そんなに荒れて」

 

 

レオヴァは真っ直ぐカイドウの下へ向かい事情を聞く。

 

 

 

「…なるほど。それで父さんは怒ってたのか

オロチ殿、気に病ませてしまって悪いな。

だがオロチ殿の考えている様な事にはならないから安心してくれ」

 

 

真っ青なオロチにレオヴァは柔らかく話しかける。

 

 

 

「う、うむ……そうか!

なら良い!くるしゅうないぞ!」

 

 

レオヴァに対する"くるしゅうない"と言う言葉にキングとカイドウの眉間に皺が寄るが

 

「ありがとう

………では、そろそろ帰らないか?

久々だからおれは父さん達と一緒に晩飯を頂きたいんだが…」

 

 

そのレオヴァの提案で気を持ち直す。

 

 

 

「ウォロロロロ!そうだなァ……!ウィ…ック

ヒック…レオヴァがそうしてぇなら帰るとするかァ…」

 

 

そう言い立ち上がると露台(ろだい)へ出て

そのまま龍となり飛び立って行ってしまった。

 

キングもそれに続いて飛び立って行く。

 

 

 

 

「では、オロチ殿。

顔を出して早々ですまないがお(いとま)させて頂く」

 

「ぁ、あぁ! また来るが良いぞ!」

 

 

軽く挨拶を交わすとレオヴァも露台から巨鳥に変わり飛び立ってしまう。

 

 

そして、そこには独りクイーンが残された。

 

 

 

「え、いやレオヴァおれは…!?」

 

カイドウさんやキングはまだしも、レオヴァまで!?とショックを受けているクイーンだったが、すぐに気を取り直し部下を呼び出して帰るのだった。

 

 

 

 

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戻って来た三人だったが、着いて暫くするとカイドウは寝始めてしまいレオヴァはガックリと肩を落とした。

 

 

「レオヴァ坊っちゃん…

……カイドウさんを起こすか?」

 

 

レオヴァの落ち込み様にキングも気を使ったのか起こす事を提案したが、レオヴァはそれを断る。

 

 

「いや、父さんも遠征帰りで疲れてんだろう

……それに酔っている父さんを起こすのは至難の技だ…諦めよう」

 

 

「…わかった、なら直ぐに食事を運ばせる」

 

 

そう言うとキングは部下に指示を出し始めた。

 

 

 

 

 

レオヴァが座るとほぼ同時に食事が運ばれて来る。

どうやら料理人たちは既に準備を済ませていたようだ。

 

 

「キングは食べないのか?」

 

「おれはいい、後で別のモノを食べる」

 

「そうか、なら頂こう」

 

 

 

箸を取ると、間髪いれずに襖が開く。

 

 

「おいおいおい……!

レオヴァ置いてくなんざ酷いじゃねぇか!」

 

 

クイーンが文句を垂れ流しながら部屋へ入ってきた。

 

 

「おい、うるせぇぞ

レオヴァ坊っちゃんは今から食事なんだ

 無駄に絡むんじゃねぇよ……!」

 

 

「うるせぇのはテメェだキング…!!

って…ん? 飯食うのにカイドウさん居ねぇじゃねぇか!」

 

 

クイーンが首を傾げるとレオヴァが苦笑いを交えながら答える。

 

 

「父さんは寝てる

……起こすのは色々と大変だからな…」

 

 

「……あぁー…結構酔ってたからなァ……」

 

 

納得、という様にクイーンが相槌をうつ。

 

 

「まぁ、気落ちすんなよレオヴァ!

そうだ、このクイーン様が一緒に食ってやろう…!」

 

 

良い案だ!とテンション高めのクイーンは直ぐに部下に命令し、自分の分を用意させた。

 

 

キング、クイーン、レオヴァで食卓を囲む光景はなかなかに奇っ怪である。

 

それぞれ正反対の大男に挟まれ食事を進めていたが

クイーンが何かを思い出したのか、あっ!と声を上げる。

 

 

 

「クイーン? どうしたんだ急に」

 

「チッ……黙って飯も食えねぇのか…」

 

 

二人はそれぞれの反応を返したがクイーンはキングの言葉を綺麗に右から左へ受け流したようだ。

 

 

 

「いや、前から気になってたんだけどよ…

レオヴァは何でわざわざ九里に馬鹿殿とか言われてるヤツに会いに行ってんだよ?

そもそもアイツはカイドウさんとの契約でレオヴァには会っちゃいけねぇ事になってるハズだよなァ…?」

 

 

 

そう、おでんは3年ほど前に交わしたカイドウとの契約で、レオヴァと一切の関わりを持たないと誓わされていた。

 

内容はレオヴァの担当している区画で作られた食べ物を無償で九里へ配布する代わりに、レオヴァとは一切の接触、会話を禁じると言う内容である。

 

 

これがある限りレオヴァの九里大名への訪問は現状まったくの無駄なのだ。

 

 

挙げ句、その契約をしらない小心のオロチは慌て胃を痛める日々である。

 

 

 

しかし、クイーンの問いにレオヴァはニッコリと笑うと一言、内緒だ。と言うだけであった。

 

 

 

「え~~!!

スッゲェ気になるんだが……」

 

 

「…詮索が過ぎるぞ。

レオヴァ坊っちゃんの意を汲めねぇマヌケが…!」

 

 

「…ア"ァ"?

じゃあテメェはわかるってのかァ……!?」

 

 

「少なくとも言わねぇって事は言うべき事じゃねぇってことだろうが!

フンッ……そんなことも解らねぇのか?」

 

 

「よし、ぜってぇ殺す……!!」

 

 

「テメェがおれを殺れる訳ねぇだろう…!」

 

 

 

 

殺伐とした二人をよそにレオヴァは箸をすすめている。

 

「ん、このウニとか言うヤツ旨いな……」

 

なんて呑気に感想を呟くほどである。

 

 

 

止める者がいない二人がついに暴れだすか、という時に奥の部屋から大男が勢い良く現れた。

 

 

「おい!キング、クイーン…

出来たばかりの城を壊すつもりか…!?」

 

 

カイドウの怒号に二人は殺気を静める。

 

 

「すいませんカイドウさん!キングのアホ野郎が…」

 

「悪いカイドウさん……クイーンのバカ野郎が…」

 

 

「ったく、どっちでも良い!

いいから壊す様な真似はするなよ!」

 

 

「そうだぞ、今朝父さんが壁を1枚蹴破って部屋が大きくなったばかりだからな。

 二人とも気をつけてくれ」

 

 

「おい、レオヴァ……ありゃたまたま壁が壊れただけだぞ」

 

 

バツが悪そうなカイドウにレオヴァはなんとも言えない笑みを返すだけだった。

 

 

 

「それより父さん。

起きたなら何か食べるか?」

 

 

「いや、いらねぇ

……そうだ、例のモノが手に入ったぞ」

 

 

「! 早いな…

そんな直ぐに見つかる物じゃなかったと思うんだが…

 父さんに頼んで良かった…!」

 

 

驚いた顔をする息子に気を良くしたカイドウはそのままレオヴァの隣へ腰掛け、クイーンに持って来るよう声をかける。

 

 

 

「ウォロロロ…!お前が欲しがるって事は役に立つ算段があっての事だろ

あれくらい造作もねぇ…!」

 

 

「本当に父さんには敵わないな

勿論、今後それを使ってワノ国……ひいては百獣海賊団の為に役に立つ物を作る予定だ」

 

 

「お前の考えることは突拍子もねぇことばかりだが…全て良い方に転がってる!

これからも好きにやれ!ウォロロロロ~!」

 

 

「ありがとう父さん

期待に応えられるよう精進する…!」

 

 

和やかに会話を楽しんでいる親子の下にクイーンが帰って来た。

 

 

「持ってきたぜ~ カイドウさん…!」

 

 

クイーンの手には彼の大きさと比べると小さな箱がある

レオヴァはそれを受け取り中を見て目を見開く。

 

 

 

「……おぉ…やっぱり変わった形なんだな……」

 

 

「まぁ悪魔の実なんてどれもヘンテコな形してんだろ」

 

 

「……で、レオヴァ坊っちゃんはそれを誰に食わせるつもりなんだ?」

 

 

「ああ…それはおれも気になってたが…

レオヴァの事だ、誰か候補がいるんだろ?」

 

 

「父さんの言う通り候補はいる。

ただ、食わせるのはもう少し後になるが…」

 

 

 

「ん~? 最近入ったヤツでレオヴァのお眼鏡にかなう様なヤツいたかァ……?」

 

クイーンは自分の記憶を辿るが、それらしき人物の記憶はない

キングも同様に考えていたが思い当たらなかったようだ。

 

 

しかし、カイドウはニヤリと笑いレオヴァに自身が思い当たった人物を告げる

 

「…お前が拾った侍だな?」

 

 

「そうだ。

…父さんにはお見通しだったか」

 

自分の考えを解ってもらえた事にレオヴァは嬉しさを滲ませる。

 

カイドウも読みが当たり上機嫌に笑っている。

 

 

 

 

「……おぉー…まさかカイドウさんが当てるとはなァ…」

 

「…まぁカイドウさんはレオヴァ坊っちゃんの事だけは良く見てるからな……」

 

 

二人小さく呟きあった言葉は、別の話題で盛り上がる親子には届かずに消えて行った。

 

 

 

 

 

 

 


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