前回も感想、誤字報告感謝です……!!
編笠村、鈴後、九里の3つの村は発展していた。
工場では意欲のある職人たちにより日々多くの武器が作られ
農場では健康的な汗を流しながら農民が笑顔で野菜や果物を栽培し
3つの全ての村は豊かで平和だ。
まるで俺たちの村だけ別の国のようであると訪れた商人たちが口々に言うほどだ。
しかし、この3つの村にも4ヶ月前まで問題があった。
豊かであるがゆえに、山賊や盗っ人が後を絶たなかったのだ。
ワノ国は夕方を過ぎると日が落ち暗くなる
そうすると、どうしても悪い輩が行動しやすくなってしまう…
村人たちもなんとか出来ないかと策を練ったが、どれも上手くいかなかった。
ある時、様子を見に来て下さっていたレオヴァ様に子どもが
『レオヴァさま……よるね、こわい人くるのっ…!』
と泣き付くとレオヴァ様は真剣な面持ちで話を聞いて下さった。
『そうか、そんな事になっていたとは……
だが大丈夫だ、直ぐにおれが何とかしよう
…今まで怖いのによく頑張ったな、偉いぞ。』
全て聞き終えるとレオヴァ様は子どもを優しく撫でる
不安で泣いていた子どもはすっかり安心して笑顔をレオヴァ様に向けていた。
そしてレオヴァ様は言葉通り直ぐに村人たちの不安を解消した。
なんと3つの全ての村に "
初めて見た"街灯"に村人たちは大変驚いた。
夕方はまだしも、夜になると足下を見るのがやっとだった村の道を街灯は明るく照らすのだ。
女や子どもは特にこれを喜んだ。
それに燃料はレオヴァ様とカヅチ殿が電気タンクなる物に補充して下さっているらしい……
なんでもカヅチ殿はレオヴァ様から直々に不思議な力を授かり……電気を扱えると言うのだ。
流石はレオヴァ様……気高き雷を司る鳥の化身様……!
まさか電気の力まで授けられるとは…
カヅチ殿もレオヴァ様の
更に街灯のみに留まらず、レオヴァ様は"
守護隊は山賊や盗っ人などの悪人から村を守り、子どもたちに勉強を教えるのが仕事だ
他にも困っている者を手伝うこともある。
この、"街灯"と"守護隊"のおかげで怯える夜は綺麗さっぱり無くなった。
今では職人に続く憧れの職業の1つにすらなっているのだ。
平和になった夜道を歩きながら、俺は今日もレオヴァ様に感謝の祈りを捧げるのであった。
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あの任命式から、私たちの村はすっかり変わった。
工場の周りの自然は枯れ果て、水は飲むだけで体を壊してしまうほど汚れていた。
近隣の生き物も汚染され、肉や魚なんて食べられない。
農場の作物も汚染された水では満足に育たず、奇跡的に実をつけたとしても、それは汚染されており食べた者は三日三晩寝込んだ。
原因のわからぬ感染病も広まった。
モノノ怪と契約したからだと謂れのない罪を被せ感染者を酷く扱う者すらいた。
皆が限界だった。
けど、今は違う。
周りの自然は取り戻されつつあり、水も綺麗になった。
生き物たちの汚染も確認されなくなり、肉や魚を食べられるようになった。
流行っていた感染病もなんと特効薬が配られたのだ。
そう、配られた……無償だった…!
私たちは喜びのあまり涙を流しながら抱き合った。
いつから変わったのか。
それはワノ国の全ての工場の管理権がレオヴァ様のものになってからだ。
レオヴァ様は工場管理の統括になるやいなや方針を180度変更し、働いていた者たちの現状や工場付近の村の環境を改善。
ほぼ全ての村で流行っていた病気を何とかしようと
船医さん達と特効薬を開発し、さらに再発を防がなければならないと宣言すると
ワノ国全ての水に変革をもたらした。
レオヴァ様はこれを上下水道と呼び
汚い水と綺麗な水を完全に分け、汚水を"ろ過"する施設を御作りになられたのだ。
それによって、あの感染病は一切見なくなり
安全な水が手に入るようになった。
ひと月に一度"水賃"という対価を払うことになったが、それが驚くほど軽かった。
それに対価を払えない者は1日レオヴァ様から頂けるお仕事をこなせば良いともされており。
綺麗な水を提供するから対価を…と言われて震えていた全ての者は呆気にとられた。
本当にこんなに軽い対価で……と狼狽える私たちにレオヴァ様は仰られた。
『水は生きていく上で絶対に必要なものだ。
その水に高価な対価を求めたら皆の生活はどうなる?
…本当であれば無償化したい……だが、ろ過施設で働く者にも賃金が必要なんだ。
完全な無償化は無理だ……しかし、これからより良くしていく為の資金だと思ってほしい』
私たちは直ぐに答えた。
無償化が無理なことなど重々承知していると……!
私たちだけでなく施設で働く者のことも考える素晴らしいレオヴァ様に預ける資金ならば喜んで払うと!
レオヴァ様は驚いた顔をしたあと、すぐに微笑み
『ありがとう
必ずや皆の期待に応えよう』
そう真摯に返して下さった。
私たちはレオヴァ様の言葉を希望に日々生きているのだ。
しかし、私たちの村はオロチ直属の大名たちによって管理されている
その為、上納金や村の方針などをレオヴァ様が決めることは出来ない。
だけど、レオヴァ様は"工場の管理"の名を掲げ
あらゆる手段を使い私たちを助けて下さっている。
裏でオロチとの攻防があることは誰が言わずとも皆が気づいていた。
救おうと懸命に頑張ってくださるレオヴァ様の邪魔をするオロチとその大名。
そんな圧力や嫌がらせさえ気にせずレオヴァ様は私たちの生活を支えて下さっている。
どうにか……どうにかレオヴァ様のお役に立てないのか…
私たちはレオヴァ様に、役に立てることがあれば言って欲しいと懇願した。
だってレオヴァ様は身を粉にしてまで、あのお言葉を守るべく行動して下さっているんだ。
なにもせずに見ているだけなんて私たちには出来ない……!
けれど、レオヴァ様は私たちを労ってくださるだけだった
『ありがとう。
皆のその気持ちだけで十分だ
工場管理統括として出来ることは少ないが…
……出来る限りのことはしていく』
俺のやれることは少ない、苦労を減らしてやれず…すまない
と申し訳なさそうな顔するレオヴァ様を私たちは必死に否定した。
少なくなどない!レオヴァ様が謝る必要などないのだと!
…本当になんと慈悲深い御方なのだろう……
確かに未だにオロチから課せられる上納金は重く大名や、その家臣たちからの扱いはゴミのようだ。
しかし、あの頃はゴミのように扱われるだけでなく、水も食べ物も何もかもが無かった。
それと比べれば今は楽園のようだ!
綺麗な水に餓えずに済むほどの食べ物…
…そして私たちを"人"として尊重してくださるレオヴァ様という存在。
味方でいて下さる方がいると言うことが、どれ程の救いか…!
どれだけの安心を私たちに与えているのか…きっとレオヴァ様は知らないのだろう
私たちがどれ程までにレオヴァ様の存在に救われているのかを。
今日も私はレオヴァ様のあの優しさに満ちた幼さの残る微笑みを思いだし…感謝を捧げながら眠りについた。
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浪人笠を被った男が逃げ惑う男達を次々と斬り倒しながら追い詰めて行く。
とうとう、崖へ追い込まれた生き残り達は必死に声を上げる。
「ま、まってくれ……!!
おれたちゃ言われた通りッ……ちゃんと仕事はしたぞ!?」
「そ、そうだ……!しっかり村を襲って……!
奪ったもんの半分だって、しっかり渡したよなぁ!?」
「話がちがう……簡単な盗みをすりゃ…おいら達を雇ってくれるって……!」
何とか助かろうと叫ぶ男達の首を浪人笠を被った男は容赦なく斬り、海へと投げ捨てた。
「馬鹿な奴らめ…
…あぁ…だが主の役に立ったのだ!
奴らのような
刀を握った手に力を込めながら浪人笠の男はうっとりと呟く。
「斬るべきものは斬った…
……主の下へと急ぐか……おれがお守りしなければ…そう、おれが……」
崖に背を向け林の中へと消えていく。
そこには首のない遺体だけが無惨に転がっていた。
「で、レオヴァ本当にあの野郎に任せて良かったのかよ?
絶対に話を洩らさないようにするならキングのマヌケ
…まぁ、どうしてもっつーならおれ様が殺っても良かったしよォ」
大丈夫なのかァ…?とおしるこを啜りながら心配するクイーン
ジャックもクイーンの言葉に賛同するように続ける。
「……おれだって、できる…です!
兄御たちが いそがしいなら言ってくれりゃ……」
二人は今回の人選に不安や不満があるようだった。
しかし、レオヴァは二人の視線を気にするでもなく応える。
「いや、洩れた時のリスクを考えているからこそ
彼に……カヅチに任せたんだ。」
ジャックはわからないと言うように首を傾げる
クイーンも話の続きを促すように無い顎をしゃくった。
「キングやクイーン、ジャックに任せた場合
もし仮に話が洩れたら誤魔化すのも手間だろう?」
「けどそりゃ、あの野郎も同じだろ?
「あぁ、近衛としてカヅチは有名だ
誰よりも早くおれに見込まれ、誰よりも忠義に厚いと皆が噂している
…忠義に厚い部下がおれの意志を"勘違い"して迷走してしまう…それならば皆に言い様があるだろう。
……なにより忠義に厚いのは事実……だから拾ったんだ」
そう言って微笑むレオヴァにクイーンは声を上げて笑った。
「ほんっと!よくやるぜレオヴァ~!
けど今回はずいぶんとリスク高ェやり方だよなァ」
「リスクは高かった……だが成果は上々だろ?
守護隊は早く作っておきたかったしな」
「レオヴァさん……しゅごたい、作らなくても
おれたちを村に向かわせてくれれば…けいび、できる!」
「このズッコケジャックがよォ……!!
レオヴァが本当に村の治安のためだけに面倒なことするワケねぇだろ~?」
「クイーンの言う通りだ、もちろん村の治安は大切なのは言うまでもない…が、それだけじゃない。
ワノ国の人間でウチの為に戦ってくれ、かつ強い者は多い方が良いだろう?」
「……?
けど、しゅごたい関係なくレオヴァさんの為なら
死ぬ気でたたかうような奴ばっかだ
……九里のやつらがそうだった…です!」
「確かにそうだが……強い者が欲しいんだ
強くて百獣海賊団を良く思っている集団…
今後には欠かせなくなってくる……国家的な権力を作りたいからな」
「こっかてきな?…けんりょく……」
「あ~ダメダメ……ジャックにはわかんねぇって!
ま、その話は今じゃなくていいだろ~」
「それもそうか…
この話はもう暫く先の話だからな」
突然終わってしまった話にジャックは不満を露にするが、二人に軽くあしらわれて終わってしまった。
クイーンはこの国が百獣海賊団のモノになる時を楽しみにしている。
そして、カイドウの考える"とある案"を知りレオヴァが驚く顔を想像して更に楽しい気持ちになるのだ。
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カイドウの機嫌はここ最近で一番と言っていい程良かった。
邪魔であった光月の排除に続き、総督補佐官への任命
そして、全ての工場管理権のレオヴァへの譲渡。
全てがカイドウとレオヴァの作戦通りに進んだ。
自慢の息子の先読みの強さにカイドウは更に気を良くする。
おれの息子にかなう奴がいるか……?
いや絶対にいねェだろう……!!
そう豪語できるほどにカイドウの息子の出来は良かった。
なにより、その出来のいい息子は誰よりもカイドウを慕い尊敬している。
いつもの数倍は美味く感じる酒を呷りながらカイドウはキングに話を続ける様に促した。
「……と言うワケで3つの村全ての守護隊が完成形に近い出来になった様で…
侍は部下として質がイイらしい……ヘタなウチの部下共じゃ歯が立たねぇ強さだ
…カイドウさんの言ってた戦力増強もレオヴァ坊っちゃんは
「ウォロロロロロロ~~!!
ワノ国
確かに侍の強さは目を見張るモンがあった
強さ・技術・性格…全てが理想形だとレオヴァが言ってたのも頷ける」
「レオヴァ坊っちゃんは相手の内側に入るのが巧いようで…
任命式後すぐに動き出したのも今回の為の布石だった様に思う
……オロチの耳障りな声が減ったのもレオヴァ坊っちゃんの根回しの結果だろう」
「言われてみりゃ……前まで煩くレオヴァのことに口を出してきたってのに、最近じゃ大人しくなったな」
「えぇ、侍共の睨みに怯えてんのかと
なにせ今カイドウさんが敵になっちまうと縋るもんが無いのがオロチの現状なんで」
「……そろそろ殺っちまっても良い頃合いじゃねぇのか」
「おれもカイドウさんの意見にゃ賛成だが……
レオヴァ坊っちゃんはもう少しあの馬鹿を野放しにしときたいと」
「そうか、なら構わねぇ!
レオヴァの役に立つうちは生かしておいてやれ…!
ウォロロロロロ~!」
「はい。……ただオロチの側近のババァは殺すべきかと」
「ババァだぁ…?
……あぁ、レオヴァがおれたちに注意しろと言ってた奴か 」
「マネマネの実の危険性を考慮すると……消すのが得策かと」
「……あんな弱ェババァがか」
「万が一があるだろ、カイドウさん」
「お前もレオヴァも心配性だなァ……!
まぁだが、構わねぇ…キングが言うなら消すのが一番だろ
………で、今度の遠征は問題ねぇだろうな?」
「えぇ問題なく
レオヴァ坊っちゃんの仕事も暫くなんとかなる様に割り振った
一番懸念していたワノ国連中のレオヴァ坊っちゃんがいない間の管理は守護隊と近衛が請け負う手はずになってる
カイドウさんとレオヴァ坊っちゃんが遠征に行く間はおれとクイーンがワノ国に残って下手な真似はさせねぇよう動く」
「だいぶ時間がかかったが…やっとか……!」
空になった酒瓶を投げ捨てカイドウは立ち上がる。
「キング……今すぐレオヴァを呼べ
出港するぞォ……!!」
船へと向かって進み出したカイドウは
久々の親子での遠征に思いを馳せた。
[補足]
守護隊→レオヴァに選ばれた者だけで構成された部隊
犯罪の取り締まり、子どもの教育、細かい雑務をこなす。
武装色の覇気を扱えるのが最低条件の部隊でもある。
黒炭カヅチ→近衛に昇進、レオヴァから雷の悪魔の実を食べさせられる
ワノ国で唯一レオヴァから特別な力を与えられたと喜び更に盲目的な忠誠を誓う。
(汚れ仕事や雑用を担っている)