俺がカイドウの息子…?   作:もちお(もす)

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前回も感想やご意見ありがとうございます~!!
いや、本当に嬉しすぎて!
夜勤の休憩時間全部これにつぎ込んでます!笑

後書きにて今作の恋愛について言及しております。
あんまり中の人を感じたくない人はスルーして頂ければ…!

私はカイドウパパを幸せにするんだ……




嗤う取引相手

 

 

 

 

 

 

 

広く豪勢な部屋で数人の男たちが取引相手を待っていた。

 

 

「んね~んねぇ~~ ドフィ~

今回の取引相手はわざわざ~ おれたちが出迎える価値のある奴なのか~?」

 

 

べちゃべちゃと音を立てる男の言葉に独特なサングラスを掛けた金髪の男……ドフラミンゴが答える。

 

 

「あぁ…! 今までで一番デカい取引だ

これを成功させりゃ他とは比べ物にならねぇほど上質な武器が手に入る

……そいつの背負う"名"も他とは別格だ」

 

 

「確かに、ドフィの言う通り…!

だが、今日来るのはガキの方だろ?

ここまでの出迎え準備をするまでもねぇさ」

 

 

背の高いヒラヒラした男の言葉を咎める様にドフラミンゴは言う

 

 

「侮るな、むしろその歳で独自に高性能の武器を生産するだけでなく……売買のルートを作り、このおれにまで話を持ってくるような奴だぞ?

フフフフ…ただのガキな筈がねぇ……!」

 

 

周りの男たちは確かに…と言うように頷いた。

 

神妙な面持ちの男たちの下へ一人の少女が走りよる。

 

 

「若さま~! お客さんまだ…?」

 

「ベビー5か……あぁ、まだ約束の時間まで少しある

……どうかしたのか?」

 

「ううん、ただお客さんに出すのはお茶かコーヒーか聞きにきたの!」

 

 

問いに少し考える素振りを見せた後、ドフラミンゴはベビー5の頭を軽く撫でながら、紅茶にしろと指示を出した。

 

指示をもらったベビー5は笑顔でまた部屋から出て行く。

 

 

 

しばらくファミリーで雑談をしていると約束の時間が迫る。

 

 

 

ドフラミンゴは屋敷の中に入ってきた取引相手の気配に口角を吊り上げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

部屋の扉が開くと同時に元気な声が響く。

 

「若~~ お客を連れて来ただすや~ん…!!」

 

 

声の主であるバッファローは後から入ってくる客人の為に扉を押さえる。

 

少年と青年の間のような顔立ちの角のある黒髪の男は微笑みを浮かべながら正面に座るドフラミンゴに声をかける。

 

 

「ドンキホーテ・ドフラミンゴ。取り引きに応じてくれた事、礼を言う。

改めて…おれはレオヴァ、ぜひ実りのある時間にしよう」

 

 

「フフフフ……ドフラミンゴで構わねぇさ、レオヴァ…!

さて…立ち話もなんだ、そこに座ってくれ。」

 

 

ドフラミンゴに促され、向かい合うように置かれたソファーにレオヴァとその連れは腰掛けた。

 

 

お互いに軽い世辞を言い合うと、すぐに本題に入った。

 

二人はテンポよく商談をまとめていき、今後の話をしようとドフラミンゴが口を開いた時だった。

 

 

ベビー5が用意し、運んできた紅茶を机に置こうとして

手を滑らせたのだ。

 

 

ドフラミンゴ含め他の男たちも気付いたが既に遅く、綺麗な装飾の施されたティーカップは地面へ触れる直前だった。

 

 

「…っ……!!」

 

 

誰かわからぬ息を飲む音にベビー5はきつく目を瞑ったが

いつまでも硝子の砕ける音はしなかった。

 

恐る恐る瞼を上げると地面とぶつかり砕ける直前だったティーカップを手に微笑むレオヴァがいた。

 

 

なぜ割れていないのかわからずに、きょとんとするベビー5の耳にレオヴァの声が届く。

 

 

「良い香りだな……なんて言う紅茶なんだ?」

 

 

ベビー5と目線を合わせるように屈んだレオヴァの瞳をじっと見つめながら小さい声で答えた。

 

 

「えっと、ローズティーって…言うの」

 

 

「ローズティー…?

初めて聞く飲み物だ……ずいぶんと可愛らしいんだな」

 

 

「!……そうなの! 紅茶にね!かわいいお花を入れて、あと甘いお砂糖もね!それから……」

 

「べ、ベビー5……そこまでざます…!!」

 

 

レオヴァが紅茶を褒めたことが嬉しかったのか、はしゃぎ始めたベビー5をジョーラという奇抜な女性が止めに入る。

 

 

「ごめんなさいね、この子ったら本当に……!」

 

「ご、ごめんなさい……」

 

 

うつ向いてしまったベビー5の頭を優しくレオヴァは撫でる。

予想外の行動に周りの人間は目を見開く。

 

 

「気にしなくていい

寧ろおれは珍しいモノが好きでな……もっと聞かせて欲しいくらいなんだが

…ドフラミンゴ、構わないだろうか?」

 

 

「フフフ……もちろん、構わねぇ!

ベビー5、さっきの話を聞かせてやれ」

 

 

「はい若さま!」

 

 

元気よく返事をするとベビー5とレオヴァは暫く紅茶の話を続けた。

 

 

途中でドフラミンゴが話を引き継ぐように代わり、武器の商談の他に、紅茶の取り引きも新たに加えられた。

 

 

 

「フフフフッ……予想以上に話のわかる相手で嬉しいぜ

今後も互いに良い話ができそうだ」

 

「ふふ…おれとしても思っていた以上に良い商談がまとまって嬉しい限りだ

……紅茶楽しみにさせてもらうぞ、ドフラミンゴ」

 

「あぁ……!

とっておきのヤツを用意するさ!」

 

 

 

二人は笑顔で次の予定を決めると、別れの挨拶を済まし

ドフラミンゴの声を背にレオヴァは屋敷をあとにした。

 

 

 

 

「優しい人だったね~!」

 

「危なかっただすやん!

あの人じゃなかったらベビー5の首は飛んでただすやん!!」

 

「……思ってたのとは印象が違ぇが」

 

「べへへへへ~…あいつドフィを凄く気に入ってたみたいだね~

ドフィなら上手く使えるよ~ んね~!」

 

「……………」

 

「若の交渉の腕は流石だ…!」

 

「今回の取引も完璧だったイ~ン!」

 

 

喜ぶファミリーたちに囲まれドフラミンゴはほくそ笑む。

 

 

「とんでもねぇ奴なのは間違いねぇが……

逆にああ言う奴なら利益関係が有る限りは信用できる…

フフフフフフッ…良い取引相手が手に入った……!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

レオヴァとドレークは大きな取引を終わらせ船へと急いでいた。

 

 

「レオヴァさん……せっかくの休みに取引なんて…

またキングが五月蝿いんじゃ?」

 

「大丈夫だ。

今回は珍しい紅茶の取り引きの"ついで"に武器の話もしただけだ

なにより父さんから渡された

"休みの日にやっちゃならねぇ事一覧表"には

新しい取引先を増やすなとは書いてないからな」

 

 

そう言ってニッコリと笑うレオヴァにドレークは苦笑いで返す事しか出来なかった。

 

 

 

 

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僕は今日ほど巡回に来たことを後悔した日はない。

 

 

どうせ今日もいつもと変わらず、海賊がいると知っている島を知らんぷりして横を通りすぎるだけのはずだったんだ……

 

 

まさか、まさか百獣海賊団と戦闘になるなんて……!!

 

 

 

 

僕は目の前に転がる真っ黒な人だったモノをみてただ震えていた。

 

 

ああ……こんなことなら…海軍なんてさっさと辞めればよかった!!

 

 

そこかしこから聞こえる悲鳴に可笑しくなりそうな気を保ちながらも電伝虫を探した

 

なんとかして、応援を呼ばなければ……僕は殺されるっ!

 

 

必死に探し回りなんとか見つけた電伝虫に手を掛けた時だった。

 

突然の銃声に後ろを振り返ると帽子をかぶった少年が立っていた。

 

 

「あぐぁ……い、いてぇ……」

 

撃たれた背中の痛みに呻く僕に近づくと

その少年は僕の眉間に銃を向け言った。

 

 

「……海軍も、みんな死ねばいい」

 

 

僕が最期に見たのは憎しみに染まった少年の目だった。

 

 

 

 

 

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オレは地獄を見た、そして人間の汚さを見た。

 

こんな世界…………ぜんぶ壊れれば良いんだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あの地獄からでて、全て壊すと誓った。

 

オレの残り時間はあと3年と少し

それまでに出来る限りのモノを壊したい。

 

 

色んな船に潜り込み、移動を重ねた

途中で手榴弾や銃も手に入れた。

 

そして、次の移動をどうするか考えてる時だった

……オレは海軍に捕まったんだ。

 

 

 

捕まってすぐに珀鉛病だとバレて殺されそうになった時だった。

 

 

海兵たちが慌ただしく叫び始める。

 

 

「うわぁあ~……!!

ひゃ、百獣海賊団だ……!!!」

 

「うそだろ!

なんでこの島に…!?」

 

「ここはドンキホーテファミリーの島じゃないのか!?」

 

「そんなことより逃げるのが先だ……!」

 

 

 

 

隙ができたのを見逃さずオレは目の前の男を刺して逃げ出した。

船から飛び降りようかと考えてると

俺を追ってきていた男が目の前で雷に打たれて死んだ。

 

肉の焦げた嫌な臭いだけ残して物言わぬ屍になった男を鼻で笑う

 

そうだ、オレを痛め付けた海兵なんて死んで当然だ。

 

 

どんどん倒れて行く人間の中心に変わった服の男が立ってた。

 

 

その男はまるで魔王みたいだった。

 

黒い髪に角……それに表情ひとつ変えずに海兵を次々殺して行く。

 

オレも……あんな力が欲しい

ぜんぶ壊せるような絶対的な武器が欲しい……!

 

 

 

魅入られたようにその人を眺めていると目の端に人影が映った。

 

 

「はぁっ…はぁっ、しにたく、ない!

おうえ、応援を、よばないと僕、殺されっ!」

 

 

そう言いながら船室へと入って行った海兵を見てオレは唇を噛み締める。

 

死にたくない?

ふざけんな……お前らは散々殺してきたくせにッ……

 

 

拳銃を手に握ると海兵の後ろを静かについて行った。

 

 

 

そして油断していた男を殺して、電伝虫を壊した。

 

 

オレは死んだ海兵の首をナイフで切るとそれを引きずって魔王みたいな人を探した。

 

 

増援を呼ぼうとしてた奴を殺したんだ

これを手柄にいっぱい壊せる方法を教えて貰おう……

 

 

首をずるずると引っ張りながら船室の扉を開け外に出ると

眼帯のようなマスクをつけた顎に傷のある男がオレに刃物を向けた。

 

 

「っ……なんだ!?

下がってくれレオヴァさん…この子ども……生首を…!」

 

 

 

傷のある男に凄まれると足が震えた

だけどオレにはやらなきゃならない事がある

死ぬのは怖くない……

 

そう思うと動かなかった足が動いた。

 

少しずつ前に出るオレについに傷のある男が刃物を振り上げた。

 

 

 

 

「ドリィ、待て」

 

 

 

オレ目掛けて下ろされた刃がピタリと数ミリのところで止まる。

 

傷のある男は一瞬で魔王の隣まで下がると何か話をしていたが、そのまま何処かへと行ってしまった。

 

 

今なら聞けると思って重い首を引っ張って

魔王の前まで持っていき、足下に置いた。

 

 

「こいつ、応援呼ぼうとしてたから殺した…手柄だよな?

 おれにいっぱい壊す方法教えてくれよ」

 

 

 

じっと魔王を見つめて答えを待っていると

不思議そうな顔をしながらも魔王はしゃがんでオレと目を合わせた。

 

 

 

「…何を壊す方法が知りたい?」

 

「目にはいるものを全部壊したい……!!」

 

「…何故?」

 

「町も…!家も……!人間も……!!……全部壊したい

おれは"白い町"で育った……もう長くは生きられねェ…!!」

 

「…………そうか、教えても良いが…

お前だけでは到底無理だ」

 

「無理じゃねぇ!

方法さえわかればっ……おれだって!」

 

「なら教えよう、必要なのは実力と冷静な判断力だ

……お前にそれがあるのか?

少なくとも冷静な判断が出来る奴とは思えねぇが…」

 

「っ……出来る!出来るようになる!

おれは、壊すんだ……ぜんぶッ……!!」

 

「盲目だな……

だがまぁ、白い町で育ったんだ……仕方がないことか」

 

 

 

そう言うと魔王の雰囲気が変わる

 

オレは一瞬で全身冷や汗が止まらなくなった

 

やっぱり魔王だったんだ…………殺される…

くそ、まだ全然壊せてないんだッ……!!

 

こんな所じゃ死ねねぇ…!

 

オレは全身を刺すような恐怖に襲われながらも銃を構えた。

 

 

魔王はそんな俺を見て目を細めると

 

「ふふ……素質は十分だ」

 

と言って綺麗に微笑んだ。

 

 

突然のことにビックリすると同時にオレは気を失った。

 

 

 

 

 

 

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目を覚ますとオレは魔王に抱えられ運ばれていた

 

わけがわからずポカンとするオレに魔王が声をかけてくる。

 

 

「ん、目が覚めたか?

もうすぐ、おれの船につくが晩飯はどうする?」

 

「……は…?」

 

 

 

意味がわからねぇ!! なんだコイツ……!

 

さっきの魔王の双子か!?

 

 

あの時オレに殺気を向けて来た奴と同一人物とは思えないほど、

おおらかに微笑む魔王にオレは混乱した。

 

 

 

「だ、誰だよお前!」

 

「……殺気を当てすぎたか?

まさか…記憶が飛ぶとは……」

 

「記憶はある……!!」

 

「じゃあ判るだろう

お前がおれに声を掛けてきたんだ」

 

「雰囲気が別人じゃねぇか!!

魔王のくせに変な笑い顔やめろよ!」

 

「……魔王…?」

 

 

つい口が滑り魔王と呼んでしまってオレは固まる

魔王も歩いていた足を止めた

しまった……怒らせた!?と思ったオレの思考とは裏腹に魔王は笑いだした。

 

 

「ふ、ふはははは…!!

ま、魔王……ふふふ……なんだ随分と……ふふ、子供らしい事を」

 

「な…! う、うるせぇ!!

だってお前角あるだろ!」

 

「ふふふふ……角があると魔王なのか…」

 

「そ、それに!いっぱい海兵殺してた!」

 

「海賊なら海兵と会えば大体ああなる」

 

「なんか変わった服きてるし!」

 

「これはワノ国の衣装、着物だ」

 

「ぐっ……えっと、……なんか黒いし…」

 

「お前も黒髪だろう?」

 

 

 

くそ!!コイツぜんぶ論破してくる!!

 

 

 

 

「ふぅ……いや、こんなに笑ったのは

ジャックの悪魔の実事件以来だ…ふふふ……」

 

「ちくしょうっ……バカにすんな!

てか離せよ!何処に連れてく気だよ!?」

 

「なんだ…お前が色々壊したいと言うからウチに連れて行こうかと思ったんだが

……嫌なら構わないぞ?

おれの腕から抜け出すことも出来ないお前が全て壊せると思うならな」

 

 

…………ムカつくけど確かに魔王の言う通りだ…

何回も抜け出そうと踠いてたけどびくともしない

……オレは弱い…………強かったら、最初からみんな死ななかった…

 

 

黙ったオレの耳に魔王が囁く。

 

 

「どうする……?

おれは海賊だ。一緒に来ればきっと色々壊せるだろう

…だが普通の幸せは掴めないぞ」

 

 

 

魔王と……この人と行けばきっとたくさん壊せる!

 

普通の幸せ…? そんなのもう失くなったッ……!!

 

どうせあと数年で死ぬんだ……ただで死んでやるもんか

ぜんぶぜんぶぜんぶ壊してやるッ……!!

 

 

 

「お前と行く…!

死ぬまでにいっぱい壊すんだ…!

幸せなんてもう失くなった!!!」

 

「……そうか

オレはレオヴァ……お前の名前は?」

 

「ロー……トラファルガー・ローだ」

 

「良い名前だな」

 

「ッ…!………フンッ…」

 

 

 

オレは魔王……レオヴァの腕の中で船へ着くのをただ黙って待っていた。

 

 

 

 

 

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着いたぞと声をかけられ顔を上げると大きな船が目の前にあった。

 

船の上からは男たちが声を上げている。

 

 

 

「おぉ~!レオヴァさま~~!」

 

「野郎ども!レオヴァ様のお帰りだァ……!!」

 

「飯の準備は完璧ですぜ!

レオヴァ様の好きな海鮮中心にしやした!」

 

「レオヴァさま、風呂も入れますよ!」

 

「いや~!今回の海戦もレオヴァ様とドレークさんいたから

 おれたちゃヒマでしたぜ!?」

 

 

 

魔王はたくさんかけられる言葉に笑顔を返すと

高くジャンプして、船に飛び乗った。

 

危うく舌を噛むところだった!

……声くらいかけろよな…

 

 

 

周りに集まっている男たちを退けて顎に傷のある男が魔王の隣に立つ。

 

 

「レオヴァさん遅いから心配して…って

……れ、レオヴァさん?

その子ども……連れてきたんですか…」

 

 

「新しい船員だ…まぁ暫くは海賊見習いだな

 皆よろしく頼む。」

 

 

「おい!話がちがう!

おれは見習いなんかやってる時間ねぇんだ…!」

 

 

オレが魔王に怒ると周りの男たちが怒りの形相で睨み付けてきた。

 

 

 

「おいおい……このガキ、誰にそんな口きいてんだァ?」

 

「レオヴァさま…そいつ一回教育が必要かと……」

 

「クソガキが! レオヴァ様になんつー態度だ!」

 

 

 

「そこまでだ。

子ども相手にムキになるな…」

 

 

呆れたような魔王の声に周りの怒りオーラが少しずつ消えていく。

 

 

無意識にほっと息をついたオレの耳に聞きたくない言葉が飛び込んで来た。

 

 

 

 

「ちょ、おい!おまえら!

そのガキ……は、珀鉛病じゃねぇか…!?」

 

 

 

男のその一言に周りはどよめきだした。

 

 

 

「珀鉛病…って……し、白い町の……!?」

 

「やべぇ!うつる!死ぬぞ!?」

 

「え!?死ぬのか!?

れ、レオヴァ様……!」

 

「レオヴァさま!ガキ離してくだせぇ……!」

 

「海に放り捨てるぞ……!」

 

「そうだ!レオヴァ様になにかあっちゃ、ワシらは生きて行けん!」

 

 

 

 

魔王から引き剥がそうと伸びてくる悪意ある沢山の手にオレは体を強張らせた。

 

 

 

「いい加減にしねぇか……!!」

 

 

 

この一言で全員の動きが止まる

魔王はさっきまでの微笑みが嘘のように眉間に力が入っていた。

 

 

 

「珀鉛病は中毒……他人への感染なんざ根も葉もねぇ噂だ…!

…おれは言った筈だよなァ………ローは新しい船員(クルー)だと。」

 

 

 

オレは驚いた

会う奴はどいつもコイツも移るからとオレを殺そうとしたりバイ菌のように扱った

海軍に白い町の生き残りだと引き渡されそうになったのも一度や二度じゃない

 

なのに……魔王は、レオヴァはオレの病気は移らねぇって…アイツらに怒ってる……

 

魔王の顔をじっと見ていると目があった。

 

 

 

「……ロー、悪かった…」

 

 

 

そう言ってオレの頭を帽子ごと撫でる魔王は悲しそうな顔をしていた。

 

 

 

 

 

「っ……す、すまねぇ……レオヴァさん

おれたち……勘違いで…」

 

 

この世の終わりのような顔をした男たちが魔王に頭を下げた。

 

それを見た顎に傷のある男が怒鳴る。

 

 

「お前たちは正しくない情報に踊らされて

身内に手を出そうとしたんだぞ…!

…謝るべきはこの子にだろうが……!!!」

 

 

 

っ……べつに、今さら気にしてなんかいない

そう言おうと思ったけど上手く声がでなかった。

 

男たちは怒鳴られてハッとした様に顔をあげた。

 

 

 

「ドレークの言う通りだ

……2度と噂で決め付けて身内を傷つけるような真似だけはするな

…いいな?」

 

 

「「「「はいっ!!」」」」

 

 

 

でかい声で返事をすると男たちは次々にオレに謝りながら頭を下げた。

 

……どうしたらいいかなんて分からねぇからオレは魔王の結われた長い髪で男たちと壁を作った。

 

 

 

「……皆、オレは少し部屋で休憩する

出港してくれ……ドレーク、後は任せるぞ」

 

 

「はい、レオヴァさん。

あとは任せてゆっくり休んでくれ」

 

 

 

 

色々あってつかれた……最近ずっと食べてないし寝てない

……揺れる魔王の腕の中でオレはついに睡魔に負けた。

 

 

 

 

 

 

 

 







感想欄にてレオヴァの恋愛について何個かありましたので答えます!
『私は…推しの女の子に酷いことは出来ん…!!以上!!』ドドンッ

まぁ、アンケートにて恋愛は無しになったので
女の子キャラは身内には入れても恋愛はなしですかね~

今作ではカイドウパパと言う最大の推しの幸せに邁進しやすぜ!!

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