俺がカイドウの息子…?   作:もちお(もす)

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コメント・感想をありがとうございます!

後書きにて捕捉などありますので、よろしければ~!

今回オロチの能力のネタバレ(?)っぽい内容が含まれております。
(中の人はジャンプ買ってるので、知らない間にジャンプの内容洩れてたら申し訳ない…m(__)m)







閉幕

テレビにて流れる一大報道にワノ国の民衆は怒りと恐怖に震えた。

 

 

将軍・オロチの悪行と本性が次々と公開されていく 。

 

外界の人間との人身売買で花の都の民を売りさばいていた事、自分の欲望を叶えるために行った少女に対する非道な手術、罪の無い村人たちへの処刑の事実。

 

そして、オロチの根本にある民への復讐心。

 

 

華族は家で、平民は広間に集まって見ている。

皆が衝撃の事実にテレビから目を離すことは出来なくなっていた。

 

 

──────────────────────

 

『オロチ殿……これはどういう事だ…!

都の民を国外に奴隷として売り渡すなど、許されることではないだろう!?』

 

『黙れ……!!貴様に口を出す権利なんざねぇんだ…!

ワノ国は将軍である、おれのモノ……!!

どうしようが勝手だ……海賊の息子ごときが…わきまえろ……!』

 

『ッ……それが国の頂点に立つ者の発言か…!?

国とは民あってこそ……民がいない国などただの土地だ!

上に立つ者とは己の利益ではなく、皆の利益を考えるべきなのではないのか!?』

 

『いいか、おれにとっては

この国の奴ら全員が!黒炭を虐げた罪人たちだ!!

皆、いつ死んでくれてもかまわねェ!

おれが "将軍" の座についたのは!

 この国を滅ぼすため……復讐するためだ!!!』

 

 

──────────────────────

 

 

 

 

国の頂点に立つ将軍は復讐の為に生きていた。

そして今も民を苦しめ悪行の限りを尽くしている。

 

オロチを止めようとするレオヴァの姿に誰もが心打たれた。

 

テレビに映るカヅチと言う男は高らかに告げた。

 

 

『以上が極悪人オロチの本性である!

 

我ら近衛隊(このえたい)守護隊(しゅごたい)、ヒョウ五郎一家、狂死郎一家

 そして総大将にはレオヴァ様が!

 

この総戦力にて!

我々を…ワノ国を苦しめる最大の悪を討ち取ってくださる……!!

民衆よ!! この国は…ワノ国は救われるのだ…!!!

もう既に、討ち入りは始まっている……!!』

 

 

ワノ国の国民は歓喜した。

 

ついに! ついにレオヴァ様が我々を救ってくださる……!!

始まっている討ち入りが無事、勝利で終ることを皆が祈った。

 

 

 

 

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レオヴァ、狂死郞、ヒョウ五郎の三人はオロチを追い詰めていた。

 

 

「おいおい、どうなってやがる!

確かにレオ坊がアイツの首を落としたよなァ…!?」

 

「何故オロチは死なない!?」

 

「落ち着け二人とも……冷静さを欠くな。

説明しただろう、奴も特殊な能力持ちだ」

 

「そうだった……頼もしいぜ、レオ坊…!」

 

「えぇ、レオヴァ殿……一度で駄目なら何度でも引導を渡すまで…!!」

 

 

血で濡れた着物を纏ったオロチは息も絶え絶えに喚く。

 

 

「ハァッ……ハァッ……ち、ちくしょう!きさまら!!

よ、よくも将軍であるおれにッ……カイドウが黙ってないぞォ……!」

 

 

「父さんがお前のような外道を助けると思うのか?」

 

「カイドウ様は明王様だ……!

翳った国をレオ坊と照らしてくださる御仁よ

……貴様なんぞに力など貸すものか!」

 

「……レオヴァ殿の父が貴様のような下衆の言葉に耳など傾ける筈も無し…!」

 

 

じりじりと焼けつくような殺気に飲まれながら

オロチは頭の"7つ"ある大蛇へと変貌を遂げた。

 

 

「なめるなァ……!!

貴様など…おれ自らの手で葬っ…て…」

 

雄叫びをあげながら突撃してきたオロチの6つの首がレオヴァとヒョウ五郎、そして狂死郎の手によって一瞬で切り落とされる。

 

 

「う"ぐあがぁ"……!!!」

 

痛みに悶えるオロチとそれを冷たい目で見つめる三人の男。

 

 

「狂死郎……お前の手で引導を渡してやれ」

 

「レオ坊が総大将だぜ?…なんだってその若ぞうに…」

 

「レオヴァ殿……俺で良いのか…?」

 

「あぁ、狂死郎こそ相応しい

……お前が彼の意思を継ぎ…オロチを討て」

 

「ッ……!? 御意!!」

 

 

レオヴァの言葉に強く頷くと悲鳴をあげるオロチの最後の首を切り落とした。

 

顔を手で覆い俯きながら、色んな感情が混ざり涙を流す狂死郎の肩をレオヴァは優しくたたき、周りに聞こえぬ様に耳元で小さく囁いた。

 

 

「……彼を死なせたおれが言うべき言葉ではないかも知れないが…

傳ジロー…よく今まで折れずに頑張った……

 お前は誰にも負けぬ素晴らしい侍だ。」

 

 

その言葉に涙も拭かずに狂死郎が顔を上げる。

 

夕日を背に、隣に立つレオヴァの笑顔が狂死郎には"かの太陽"のように暖かく見えた。

 

 

「おい、皆が待ってるぜ!

勝鬨(かちどき)を上げるに相応しいのはレオ坊だろ!」

 

ヒョウ五郎の言葉に、城下に集まっている民衆の下へとレオヴァと狂死郎は歩み出した。

 

 

 

 

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ワノ国の国民はテレビに映った勝鬨(かちどき)を上げるレオヴァを見て喜びと感動の雄叫びをあげる。

 

同じくテレビに映る城下の民衆も大歓声でレオヴァを迎えている。

 

 

『オロチはおれと狂死郎、そしてレオ坊によって完全に討ち取った……!!

いま、この瞬間より……ワノ国の夜は終わった!!』

 

 

ヒョウ五郎に続くように狂死郎も声を上げる。

 

 

『長らくこの国を苦しめていた男は消えた!

やっと、やっとだ……ワノ国の夜は明けた…!!』

 

 

二人の言葉が終るとまた大きな歓声が響く。

 

 

『レオ坊、なにか言葉を……!

ワノ国中の人間がレオ坊の言葉を待ってんだ!』

 

 

ヒョウ五郎に促されレオヴァは二人の前に出る。

 

 

『まず、礼を言わせてくれ。

ヒョウ爺、狂死郎…そして今日討ち入りに共に来てくれた皆。

ありがとう、 この勝利は皆が共に来てくれたからこそだ!

 

そして、謝らせて欲しい……

オロチの悪行を全て突き止めるのに時間がかかりすぎた……その間辛い思いを皆がしていた筈だ

もっと早く行動に移せず……すまなかった。』

 

 

レオヴァの謝罪に城下にいる民衆もテレビの前の民衆も口々に叫んだ。

 

 

「レオヴァ様が謝る謂われなどございませぬ!!」

 

「レオヴァ様がいたからこそワシらは頑張れたんじゃ!」

 

「貴方が立ち上がって下さったから今があるのです!」

 

「そんな!?お顔をお上げください!感謝はあれど怒りなど!!」

 

「オロチに売り払われた嫁は帰ってきました!

それは貴方様が連れ戻して下さったからです!!

どうか、謝らないでください!」

 

「苦しめられている間寄り添って下さったレオヴァ様を誰が責めましょうか!!」

 

「レオヴァさま……なんとお優しく…偉大な方……!!」

 

 

民衆の叫びが響く中、ヒョウ五郎の手によってレオヴァは頭を下げるのを止めさせられる。

 

 

「レオ坊……これが皆の答えだ…!!

今日は希望の日だ……暖けぇ言葉をおれたちにくれ!」

 

 

そう言って笑うヒョウ五郎に礼を言ってレオヴァも微笑み返す。

 

 

「皆……ありがとう。

そうだな…今日は希望の日だ。

未来について語ろう……!

今、この国には将軍が……王が居ない

だが、オロチのような王ならば必要ない…そうだろう?

国を……民を想える者が王になるべきだ!」

 

 

レオヴァの言葉に賛同するように民衆は声を上げていく。

 

 

「……皆も賛同してくれるようだな

ならば、次の王は

 ヒョウ爺…ヒョウ五郎が相応しいとおれは思う!」

 

 

レオヴァの予想外の言葉に民衆がざわめき、ヒョウ五郎も驚きに声を上げる。

 

 

「おいおいおい!!レオ坊なんだっておれが!?」

 

「誰よりも優しく、強い。

ヒョウ爺の優しさに触れた者も多いだろう

そんな男が王ならば、皆も安心出来る筈だ。」

 

「待ってくれレオ坊……!

優しさってんならレオ坊の右に出る奴ァいねぇ!

それに、今までの民を救う考えだって全部レオ坊が休む間も惜しんで実行してきたじゃねぇか!」

 

「それなら王になったヒョウ爺をおれが補佐しよう。

おれはワノ国の生まれじゃない…海賊なんだ……

…そんなおれが王になるわけにはいかない」

 

「んな事ァ全員知ってる!!

今さらレオ坊の生まれで文句言う奴ァいねぇさ!」

 

「……ヒョウ爺…

おれじゃ……駄目なんだ。

……わかって欲しい」

 

「レオ坊…………おめぇがそこまで気にするってんなら

 …おれが王になってやる。」

 

 

二人のやり取りにワノ国中が息を飲み、レオヴァ様は権力を求めぬ御方だと皆が感動した。

 

普通であれば、我こそがと声を上げる場面だと言うのにレオヴァ様は民の心を考え、欲に目が眩む事なくヒョウ五郎を次の王にすると仰った。

しかも、それだけでなく補佐まですると言うのだ。

明王カイドウ様のご子息という地位にいながら

威張らず、民の為ならば平民であるヒョウ五郎の下とも言える補佐につく。

 

民衆は感激に言葉を失う。

 

ヒョウ五郎は目に涙を浮かべながら声を上げる。

 

 

「皆、聞いてたな……!!

おれが将軍に……王になった!

そして、今おれァ初仕事をしようと思ってる

……レオ坊、将軍の言葉にはどれくらい効力があるっつー考えでいくんだ?」

 

「そうだな……民の意見が第一だとおれは思ってる。

だから、基本的には皆の反対が多い場合は将軍の言葉だろうと効力は失くす方針だが」

 

「そうか! ならおれの初仕事にゃ問題ねぇ!

いいか、みんな良く聞けェ!

 おれァ…ワノ国将軍ヒョウ五郎!

今、この瞬間この国の将軍と言う地位を…

─── レオヴァへ継承するッ…!! 」

 

「ヒョウ爺……!?」

 

静まっていた民衆たちは、まるで希望の光を見つけたかのように歓声を上げる。

城下の人々もテレビの前の人々も抱き合って喜びあっている。

 

焦ったようなレオヴァの横で、してやったりとヒョウ五郎が笑う。

 

 

「何故そうなるんだヒョウ爺…!

こんなデタラメな……この継承は無効だろう!」

 

「んん…?

なんだレオ坊!

さっき民の意思を尊重するって言ってたじゃねぇか……!

見ろ! これが民の意思だ……!!」

 

 

 

「さすがヒョウ五郎親分……!!」

 

「レオヴァさま~!どうかお導きください!」

 

「やった!夢じゃないんだ!!」

 

「レオヴァ様万歳ッ……!」

 

「我らがレオヴァ様!貴方以上に将軍に相応しい者などおりませぬ!」

 

「親分よくぞ言ってくれた……!」

 

「おれらはレオヴァ様の国で生きてぇんです!」

 

 

響き続ける民衆のレオヴァを求める声にヒョウ五郎は嬉しそうに笑った。

レオヴァの肩にヒョウ五郎が手を置くと民衆は黙り、二人の行く末を見守る。

 

 

「オロチはこの国で生まれたが、国を滅ぼそうとした。

レオ坊は外海で生まれたが、国を守ろうとした。

レオ坊……生まれなんて関係ねぇのさ。

おれァ…死ぬまでにレオ坊が治める国を見るのが夢だった。

どうか、この老いぼれの願い……叶えちゃくれねぇか?」

 

 

そう言って真剣な表情で真っ直ぐとレオヴァを見るヒョウ五郎に観念したように微笑む。

 

 

「他でもないヒョウ爺の夢か……

わかった、おれは将軍の地位を受け取ろう …!

……皆、おれは国を豊かにするよう全力を尽くす!

しかし、おれは完璧じゃない…

…共に国を良くしてくれるだろうか?」

 

 

ワノ国全土の民衆から今世紀最大の歓声が溢れた。

 

すべてのワノ国の民が望んだ景色が広がっている。

長く辛く苦しい夜は終わったのだ。

 

民衆は訪れた夜明けに止まぬ歓声を贈り続けた。

 

 

 

 

 

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戦いと新たな将軍の着任式が終わり、狂死郎とレオヴァは鬼ヶ島のある部屋へと向かっていた。

 

 

部屋の近くまで着くと腕を組み、深く帽子をかぶったローが部屋の前で壁にもたれ掛かっている。

 

 

「ロー殿……!!

ひ、日和さまは……日和様はどうなったんだ!?」

 

狂死郎はローの下へと駆け寄ると懇願するように問いかけた。

 

 

「酷い状態だった

……だが、出来る限りのことはしたつもりだ。

二の腕から顔に筋肉を移植したから、表情を動かせるようになった。

脳に入れられてた薬もほぼ全て除去することにも成功はした。

ただ、精神的なショックから記憶の混濁がある。

まぁ、話せるようにもなったし、あとはリハビリだな。」

 

 

ローの言葉を聞き狂死郎は安堵の表情を浮かべる。

 

 

「良かったッ……!!

なんと、なんと礼を言えば…!ロー殿、レオヴァ殿!!

この恩は必ず……必ず返します!」

 

 

深々と頭を下げる狂死郎にレオヴァが声をかける。

 

 

「狂死郎……あの子の側に居てやれ。

ロー、構わないだろう?」

 

「あぁ、もう動けてるし問題ねぇよレオヴァさん。」

 

「かたじけない……!」

 

 

部屋の襖を開け、中へ入ると鬼灯の花を持った少女がいる。

少女は入り口を振り返り、狂死郎を見ると花を手放して駆け出し抱きついた。

 

 

「傳ジロー……!!

無事で良かった…ロー様から討ち入りに言ったって聞いて…!

けれど、貴方とレオヴァ様なら必ずオロチを討ってくれると心から信じていました……!

やっと……やっと父上の無念をっ……ありがとう傳ジロー!」

 

 

安堵と喜びから涙を流す日和を見て狂死郎もたまらず涙を流した。

 

 

「日和さまッ……! 良かった…本当に良かった!!」

 

「で、傳ジローも……泣いてるの?」

 

「おれが不甲斐ないばかりに……日和様…申し訳ありませんでした!

もう、おれは大切なものを見失ったりなど致しませぬ!

オロチを討ち取った今、この時から!

おれは日和様の幸せの為に生きます……!」

 

 

勝利を心から喜んだ二人はその3日後、レオヴァから屋敷を与えられた。

 

 

『日和殿は怖かった記憶を全て忘れているようだ。』

 

『それは喜ばしいのですが……いったい何故…?』

 

『自衛本能だろう……心が壊れるのを防ぐ為の人間の本能のようなものだ

つまり、それほど辛い目にあったと言うことだろうな…

……彼女の為にも暫く穏やかな場所で過ごしたらどうだろうか?』

 

 

日和を心配するレオヴァの優しさを素直に受け取り、狂死郎は田舎へと移り住んだ。

 

辛かった日々を忘れる様な和やかな時間を二人は過ごしている。

 

 

 

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「ついにレオヴァ坊っちゃんが将軍になったか」

 

「いや、けど侠客のジジィを将軍にって言い出した時ァまじでビビったけどな!?

継承するって言い出さなかったらどうするつもりだったんだよ…?」

 

「ヒョウ爺はおれを好いてくれてるから、問題ない。

……名乗り出るよりワノ国の民から一目置かれる男に懇願された方が体裁も良いだろう?」

 

「ウォロロロロロ~!!

レオヴァの台本通りってことか!

だが、これでレオヴァも本格的に外にも出られるわけだ」

 

「最初は少しバタつくと思うがすぐに問題なく国は回る算段だ」

 

「なら、レオヴァが使えると考えてる他のナワバリも本格的にイジってく感じかァ?」

 

「あぁ、使えるナワバリは良くしていく

そして、今後は防衛の人材も同時に集める予定だ。」

 

「そうだなァ……!

レオヴァの言う通り、強ぇ奴ァ集めて損はねぇ!

キングとクイーンも引き入れは続けろ……!」

 

「任せてくれよ、カイドウさん!」

 

「了解した。」

 

 

 

数十分ほど今後のレオヴァの方針案を聞き、大方決め終わった4人は雑談を始めていた。

 

 

「てかよォ……狂死郎と小紫って生かしといて良いのかよ?」

 

「狂死郎は内政が出来て腕も立つ、かなり便利だ。

小紫は普段は使い道がないが……今後の赤鞘への対策用だな。

……人材が集まり次第処分も視野に入れている

わざわざ不安要素を全て残す理由もねぇ。」

 

「なーるほど! スペアみてぇなもんか!

不安要素ってほどの奴らとは思えねぇけどな~…」

 

「……念には念をだ。」

 

「ま~たそれかよ!

念に念を重ねて……また念……ゲシュタルト崩壊するぜェ…」

 

「徹底的にやるレオヴァ坊っちゃんのやり方は良い。

なによりカイドウさんに盾突くやつは邪魔なだけだ」

 

「ウォロロロ……!

レオヴァらしくて良いじゃねぇか!

好きにやりゃ良いんだ、おれの息子なんだからなァ……!」

 

 

その後も続く雑談は、ほぼカイドウの息子自慢大会となり……クイーンは引きつった笑いを浮かべた。

 

 

 

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今回、オロチ処分の為に俺はまず大義名分を作ることにした。

その為に、黒炭ひぐらしを手に入れる事は必須条件だった。

 

 

『ひぐらし……お前の能力は何よりも必要だ。

オロチを捨て、おれと来るなら安全と身分を約束しよう

 

……お前もわかっているんじゃないか?

オロチは民衆を蔑ろにしすぎた……遅かれ早かれ力を付けた民衆が暴動を起こすだろうな。

それに巻き込まれオロチと共に死ぬのか?

おれは"身内は"大切にする……それが初めは敵だった者だとしてもだ

一緒に行こう、ひぐらし……お前の力を貸してくれ』

 

 

いつ終るかもわからぬ天下への不安、オロチの何も考えなしの態度

そして、キングから受けた拷問。

全てが限界だった黒炭ひぐらしは目の前の救いに飛び付いた。

 

引き入れてすぐに映像の作成や大名達の前での証言など全て(おこな)わせた。

 

他にも、光月日和の場所も特定し、河松と離れさせ狂死郎と合流させたり

狂死郎の動向把握とオロチの不信を煽らせる為に度々"老婆"と入れ替えた。

 

光月日和には老婆が入れ替わっている間、ドレークやビィクター博士と話をさせ時間を稼いだ。

 

 

光月家への憎しみを抱いた民衆に強い恐怖を感じていたり、侍の娘としての誇りの揺らぎ、少女の花魁としての不安、親の仇オロチへの接待のストレスも相まって不安定な光月日和に赤鞘は生きていると教えてやり、慰めた。

 

リスクと手間が大きいが、狂死郎のコントロール以外で彼女には今後"大切"な役割がある…

それまでは健康に生きてもらわなければならない。

 

 

証拠集めや大義作りの合間にもヒョウ五郎や守護隊へオロチの様々な話を流し、反感を更に高めた。

近頃、俺の政策もあり苦しむ民が減ったので、適度な憎悪を()めるには必要な作業だった。

 

それから、以前よりオロチが取り引きしていた者はマークしていたのでワノ国の人間を回収してまわった。

 

何処からどんな情報が漏れるかわからない以上、躾の終わっていない人間を外に長く出したくはない。

……まぁ、それに外での奴隷経験は良い楔になるだろう。

事実、売り捌かれた者たちは外での体験をよく皆に話してくれている。

 

 

オロチの悪行の証拠、売られた民の救済、我慢の限界へ達した民衆。

必要なものが整えられたので、俺は開始の為の準備に取りかかった。

 

光月日和の顔に手術を施し、頭部に縫い目を付け、声帯を一時的に使えなくした。

その後、偽造の手術報告書を作らせる。

 

脳を弄るようなことはしていない。

ただ狂死郎に罪悪感を抱かせるための偽りだった。

 

なにより壊れた精神や、脳の回復は難しい

どうせ治すのにわざわざ壊すなど二度手間だろう。

最近忙しいローに無駄な手間はかけさせたくもない。

 

 

しかし、偽造書類だけでは少し弱い。

そのため、Dr.ウォルタ・フリーと言う鬱病などを治す医師を選び連れて来た。

治療方法に問題がある事で有名な彼なら信憑性も高い。

 

彼をキングに暫く預けたのち、老婆と一芝居うたせ映像を手に入れた。 

 

 

日和を欲しがるオロチに

手術を受けさせれば全て受け入れる素直な性格にできると説明し、実演もさせた。

 

実演内容はオロチの連れて来た性格のキツイ美女が、手術後に大人しく素直になる、と言うものだ。

……実態はローの能力でこちらで用意した女と中身をすり替え演技させただけに過ぎないのだが、オロチはそれを信じた。

 

その後、役割を終えたDr.ウォルタ・フリーを狂死郎と鉢合わせする様に仕組み殺させた。

 

これで今、手術の有無の事実を知るのは俺とキング、ローだけとなった。

 

 

廃人演出の為に、老婆を器として完成している光月日和の中に入れた。

老婆はキングに渡しておいたお陰で精神異常を起こしていたので、問題なく"予定通りの光月日和"が準備できた。

 

 

光月日和の中身は安全な方の器へ移すことも成功し、

これで討ち入りは開始できる状態となった。

 

細かい事を言うなら、予め民衆が見れる様にテレビを普及させる、準備中にオロチの気を反らす為に老婆に父さんの姿を真似させ一芝居うったり、狂死郎との会談などあるが……まぁ大した手間ではなかった。

…手間ではなかったが……あんな老婆が父さんの形をとった事もオロチのジャックへの暴言も腸が煮えくり返る思いだったが………致し方がない…

 

 

兎に角、舞台は整え終わった。

 

俺はヒョウ五郎と狂死郎を連れ、オロチを討った。

 

思っていた以上に弱いオロチに加減が大変だったが、民衆的には問題ないようなので良しとする。

 

敵を討ち取った事を民衆にヒョウ五郎、狂死郎と共に告げた。

 

次の王にヒョウ五郎を推薦する。

彼の性格的にあの場で俺に地位を譲ることは解っていた。

 

民衆に求められ、上に立つ……この目標は無事達成された。

録画され一部始終は残る、次のワノ国の国民の教育にはうってつけの教材になるだろう。

 

計画の核の部分を知るのは俺含め三人のみだ、この部分さえ洩れなければ問題ない。

 

 

俺は父さんの喜ぶ顔を見ながら笑った。

 

 

 

 

 

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おまけ

 

~ 日和 ~

 

 

 

日和は傳ジローと"偶然"の再会を果たしてから、花魁の従者として経験を積まされていた。

 

蝶よ花よと育てられた日和にとって今の生活は辛いことばかりだ。

だが、もっと辛そうな傳ジローを見て黙る他なかった。

 

正体が周りにバレたら殺されるかもしれない恐怖から友人を作ることもできない…

悩みや不安を相談できる相手もいない日和の心は少しずつ閉じていった。

 

 

ある日、従者の仕事が急遽なくなり、暇を持て余していた日和は少し散歩していた。

 

曲がり角からはしゃぐ声が聞こえ、気になった日和は声の下へと向かった。

そこには沢山の子どもたちが綺麗な見た目の菓子を食べていた。

 

 

「可愛いあんこ美味しいね!」

 

「ちがうよ!水ようかんだよ~?」

 

「あれ?見たことない子だ……はやくおいでよ!

お菓子なくなっちゃうよ?」

 

 

突然声をかけられた日和は慌てたが、子どもたちは気づかずに日和の手を引いて進んでいく。

 

 

「レオヴァさま~

新しい子きたよ!この子にもお菓子くださいな~」

 

「え……れ、レオヴァさま!?

わ、わたしはお菓子いらない……!」

 

 

日和は驚きに声を上げた。

 

自分は何度かネコマムシに連れられて会った事がある……バレたら処刑される!

そう思った日和は手を引く子どもたちから逃げようとしたが、急に抱き上げられてしまう。

 

 

 

「きゃっ……!」

 

「ほっほっほ!

遠慮するでないわ小娘…!

レオヴァ様発案の羊羮はうまいぞ~!

見た目も美しくてフランシュも大好きでのぅ」

 

「あ、ビィクター博士だ~!」

 

「おじいちゃん!またれきし教えてよ~」

 

「そうじゃな!おやつ食べ終わったら歴史の授業するかのぅ!

レオヴァ様~、ワシとこの子に羊羮お一つ下され……!」

 

「博士はもう3個目だろう。

最近甘いものを食べすぎて太ったと聞いたが?

……フランシュに言いつけるぞ」

 

「フランシュに怒られるのは勘弁じゃ…

レオヴァ様は厳しいのぅ…」

 

「菓子は子ども達に食べて欲しくて持ってきているんだぞ?

……それに博士には健康に長生きして欲しいからな」

 

「れ、レオヴァ様ぁ~!

ワシは……ワシは世界一の幸せ者じゃっ……!」

 

「博士はレオヴァさま大好きだもんね!」

 

「レオヴァさまもだよ~」

 

「仲良しさんだよね!」

 

 

その言葉に感動のあまりうち震える博士を見て苦笑いしているレオヴァ。

二人を見ていつもの事だと子どもは笑う。

日和は懐かしい暖かさに肩の力を抜いた。

 

しかし、レオヴァと目が合った瞬間に息を呑む。

 

レオヴァが日和の顔を見て驚きの表情になったのだ。

日和はやはりバレてしまったと小さく震えた。

 

ビィクター博士の腕からは既に離れたというのに足が動かない。

こちらへ歩み寄ってくるレオヴァをただ呆然と見ていることしか出来なかった。

 

目の前に来たレオヴァに死の覚悟を決め瞳を閉じる。

 

 

だが、痛みは訪れず

手のひらに何か乗せられる感覚だけがあった。

 

瞼を開けると、目の前に膝をつき優しく微笑んだレオヴァが日和の手に小さなお皿を乗せていた。

 

皿の上のお菓子は日の光を反射して天の川の様にキラキラと光輝いている。

まるで夜空をそのまま切り出してきたかのような美しい羊羹に先程の恐怖を忘れて日和は感動した。

 

 

「わぁ……きれい…」

 

 

思わず呟いた日和の頭をレオヴァが優しく撫でる。

 

 

「おれがウチの料理人と相談しながら作った羊羮(ようかん)だ。

なかなかの自信作でな……味も保証しよう。

そこで皆と一緒に食べるといい。」

 

 

そう言って日和を長椅子に案内するとレオヴァは他の子ども達の所へと行ってしまった。

 

 

悪意どころか善意しか感じないレオヴァの態度に日和の警戒心は緩む。

 

それに手の上にある美しい羊羮を食べたい気持ちが強かった。

 

 

星空を閉じ込めた様な綺麗な一口サイズの羊羮を菓子ようじを使い口に運ぶ。

 

味甚羹(みじんかん)小倉羮(おぐらかん)の二層になっている羊羮のあっさりとした上品な味わいに日和の顔から久方(ひさかた)ぶりの笑顔が溢れた。

 

 

それから帰ろうとするレオヴァを日和は引き留めた。

 

 

「……お話が…」

 

「お前…………おれが…憎くはないのか?」

 

「っ!……やっぱり、気づいていたのですね…」

 

 

その後、人払いをし二人は話した。

 

レオヴァの昔と変わらぬ穏やかな姿に日和は安堵した。

やはり父上との戦いはレオヴァ様が自分の親を守る為の戦いだったのだと。

そして、やはり悪はオロチであると。

日和はそう確信した。

 

 

そして、そこでドレークと言う男を紹介され、日和は親しくなった。

ドレークと言う男は真面目かつ遊びのない男だったが

それが日和にとっては好ましく映った。

 

毎日何十人と欲にまみれた人間を相手にしている日和にとって、真摯に悩みを聞いてくれるドレークはレオヴァと同じように年の離れた兄のような存在になった。

 

 

数年が経ったある日、重要な話があると呼び出されドレークの護衛にてレオヴァの下へと向かった。

 

そして衝撃の事実を聞かされる。

 

ずっと可笑しいと思っていたのだ。

急に始めた裸踊りもレオヴァへの門前払いも。

 

 

『今、おれは様々な情報を集めている。

そこで判明した事なんだが……オロチはおれと会ったら民を更に国外へ売りさばくと…そう言っておでん殿を脅していたようなんだ。

……すまなかった…………おれは、おでん殿を…』

 

 

手で顔を覆いながらの悲痛なレオヴァの言葉に日和は涙を流しながら首を振った。

 

 

『謝らないでください……あの戦いは父上も覚悟の上でした…

父上ならば勝っても負けてもレオヴァ様を恨むことはなさらないはずです…!

武士の誇り高き戦いに貴方は勝利した…それだけのことですわ……

それにレオヴァ様もご自分のお父様の命のため、必死だったことは解っております……

もし、わたしが同じ立場なら家族のために全力を尽くし戦ったでしょう…

…憎きはオロチ……ただ一人にございます……!』

 

 

日和の言葉にレオヴァは驚き、日和を見つめる。

 

 

『…日和殿は……強いんだな…

 ……ありがとう。』

 

『光月おでんの……父上の娘ですもの』

 

 

二人はオロチへの1ヶ月後の討ち入りを強く誓いあった。

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

俺はドレークの成長の為に日和を任せた。

 

 

ドレークは私情を抑えるのが上手い

必要とあれば周りに合わせることも、嘘をつくことも出来る。

それに人の心の機微を察するのも得意だ。

 

おそらくは幼少の頃の扱いが原因だろうが、今はそれを本人が武器として使えている。

 

 

この諜報向きな能力を伸ばせば今後さらなる活躍が期待できると考えた俺は、任務としておでんの娘との信頼関係を築くように伝えた。

 

結果、ドレークは見事におでんの娘の信頼を勝ち取った。

父さんが気に入るのも納得の有能さだ。

 

だが、一つだけ予想外な事があった。

それは光月日和の……精神面の強さだ。

 

狂死郎でさえ精神の安定を保てなかったと言うのに

あの女は揺れることはあれど、崩れることなく…自身を律していた。

……面倒この上ない。

 

 

なにより利益の少ない者に割く消費や時間は惜しい…

早めに選別を終え、処分をどうするべきかと俺は羊羮を食べながら考えていた。

 

 

 




補足とレオヴァへの現時点での印象など

現時点での他海賊などからの印象

ビックマム
赤ん坊の頃に一度会った事がある。
珍しいモノを作っているという噂や英雄ガープとやり合ったと言う噂を聞き、気になっている。
レオヴァが17の時に縁談を一度送ったがカイドウからの返事は酷いものであった。
二人の手紙の内容を要約すると以下の通りである。
───────────────
『息子の噂は聞いてるよ、優秀らしいねぇ。
ウチの娘と結婚式させりゃ互いの利益になる。
断ったりしねぇよな?お前はおれに借りがあるよねぇ…?』
『ふざけんなババァ、レオヴァは俺の息子だ。
どこの誰にもやらねぇ……殺すぞ。
借りは昔の話だ、もう関係ねぇ。』
────────────────

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白ひげ
まだ、おでんの事を知らない。
カイドウとか言う暴れん坊小僧の息子がレオヴァ、程度の認識。

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海軍本部(世界政府こみ)
カイドウの息子であることは認知しているが、目立った争いを起こしていないので注目度は低い
[現時点(26話)でレオヴァの懸賞金:1億5000万]
┗何も事件(被害)がないので、カイドウの息子と言う肩書きのみでこの金額。

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ガープ
あの時は手配犯ではないし、強そうなので海軍に連れて帰ろうとした。
懸賞金がついた今は、あれじゃ金額が低いと騒ぎたてている。
しかし、事件を起こしていない(知られていない)ので懸賞金は上がらなかった。

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ドフラミンゴ
レオヴァの異常性(カイドウ至上主義)を何となく感じているがハッキリとはわからない
だが、利益を出し続ければ良い取引相手だと理解している。

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コラソン
百獣と兄が取引し始めるきっかけを作ったレオヴァの実力を警戒している。
だが、ベビー5への対応を見て根は悪人ではないだろうとも思っている。

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モリア
ワノ国へ攻めいったが大敗。
その後部下の無惨な姿を見せつけられるなどして屈辱を味わった。
レオヴァの印象はあまりないが、カイドウへの憎しみはある。
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わかりずらい所の捕捉など

・ローの討ち入り前のシャンブルズについて
黒炭ひぐらし→完成済みの日和の体
光月日和→前回手足をローに取り外された男の体
四肢のない男→拷問部屋にいるひぐらしの体

計三人を入れ替えていた
その後は元に戻して、黒炭ひぐらしは死亡済み。
日和の入っていた体は昏睡状態なので記憶なし。

・テレビについて
普段は録画済みのモノを流しているが、討ち入りの時は生中継だった。
事前に大きな発表があると知らされ工場などは休みになっていた為、多くの民衆が中継をみれた。

・近衛隊のメンバー
黒炭カヅチ、トラファルガー・ロー、ヒョウ五郎の元3名を隊長に各々数人の部下あり(ヒョウ五郎のみ例外)

・ヒョウ五郎の立ち位置
討ち入り前はレオヴァと対等な同志(世間的には)
レオヴァの将軍就任後に正式に部下となる。

・狂死郎、日和の現在
えびす町にて村の指揮をまかされ、大名の様な立場にいる。
基本的にのんびり日和と過ごしている。
たまにレオヴァと飲みながら語り合う。
ドレークは未だに日和と文通にてやり取り中。
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