俺がカイドウの息子…?   作:もちお(もす)

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[男主メモと関係性]を更新いたしました!
↑設定などまとめたものです。

前回も感想やコメント楽しく読ませて頂きました、ありがとうございます!
誤字報告も助かります、感謝です!
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外海編
災いに覆われた国


 

 

鬼ヶ島の一室にて。

 

 

「……と言うわけなんだが…

父さんに頼んでも良いだろうか?」

 

 

「上手くいきさえすりゃ、これ以上ねぇほどの手柄じゃねぇか!

ちょうど良いのを知ってる、準備は任せてレオヴァはそれに集中しろ」

 

 

「ありがとう、父さん。

こんな事……父さん以外には頼めねぇから助かる!

出来るだけ良い割合になるよう手を回すことに専念させて貰おう」

 

 

「ウォロロロロロロ……!!

それぐれぇ大したことじゃねぇよ…!

レオヴァの発想にゃ毎度驚かされるがなァ…

だが、油断するな…アレは中々やっかいだ。

 

……まぁ、レオヴァには言うまでもねぇことか!」

 

 

「勿論だ、今回はジャックも連れていく…油断はない。

……ふふ、父さんに心配されるなんて何時振りだ…?

 

あと、おれが戻って来たら例の発表をする手筈で良いのだろうか?

それによってジャックの仕事を増やそうかと思うんだが…」

 

 

「ガキの頃からレオヴァは危なっかしさの欠片もねぇからなァ

 

あぁ、それで構わねぇ。

戻って準備が終わる頃にはキングとクイーンも揃う様になってる」

 

 

「了解した。

では、おれはそろそろ向かうことにする。

……土産を楽しみにしていてくれ」

 

 

「ウォロロロロ~!

お前からの土産だ、楽しみにしてるぜレオヴァ!」

 

 

カイドウの言葉に微笑むとレオヴァはそのまま船へと向かった。

 

 

 

 

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ベポは目の前の光景に驚愕の声を上げた。

 

 

「え、えぇ~~!?

レオヴァさま!船で行くんじゃないの!?」

 

「どうしたベポ?

これも船なんだが…」

 

「いや、レオヴァさん…これは船とは別モンだろ…」

 

 

驚きと物珍しさにピョンピョンと跳ねているベポの隣でレオヴァが首をかしげた。

ローは更にその後ろで頭を抱えている。

 

そして、固まっている者を気にする事なくジャックは黙々と船へ食料など必要なものを積んで行く。

 

 

 

「れ、レオヴァ殿……これは一体……?

おれの知る船とはだいぶ違うようなのだが……」

 

「わぁ~!

わたし、こんなに大きな船初めて見ました…」

 

 

固まっていた狂死郎と小紫がやっと声を上げる。

 

 

「この船はおれの図案を元に、ワノ国の素晴らしい職人たちのお陰で完成した…謂わば空を行く方舟(はこぶね)だ。

これで、普通に海を渡るより速く移動できる。

…危険な外海に長く小紫を置くのは狂死郎も困るだろう?」

 

 

「確かに…!

奴隷として外海にいた者たちから話は聞き及んでおります。

小紫の安全を考えたら最善の策かと…!!

それにしても…まさかレオヴァ殿は船まで作れるとは

……流石は…鳳皇(ほうおう)の名を冠する御仁……恐れ入りました!」

 

「本当ですね……こんなに凄い船をお作りになってしまわれるなんて…!

ドレーク様のお話の通り、とても博識なのですね!」

 

 

「いや、二人とも待ってくれ。

これはワノ国の職人の皆の腕があってこそ作れた船だ。

おれが凄いわけではない。」

 

「はははっ! レオヴァ殿、ご謙遜を!」

 

 

 

話している三人の元へ荷積みを終えたジャックが降りてくる。

 

 

「レオヴァさん、全て運び終わった。

……連れて行くのはその4人で良いのか?」

 

「ジャック、荷積みありがとう。

そうだ、今回はおれを含めた6人で行く

……狂死郎と小紫の正体を知っている者は少ない。

なにより、二人の心を考えると他の者が居ては安心出来ないだろう。」

 

 

「わかった。

レオヴァさんが決めたことなら、おれはそれで良い。」

 

 

「……レオヴァ殿…お気遣いありがとうございます。」

 

「はい、わたしもまだ…慣れておりませぬゆえ…」

 

 

「いや、二人にとってもゾウは気になる場所だったのだろう?

気にしないでくれ。

元よりおれも可愛いベポの頼みで行く予定だったからな。」

 

 

「えへへ……レオヴァ様にお願い聞いて貰っちゃった!」

 

「ったく…里帰りが終わったらちゃんと働かせるからな!」

 

「アイアイ!キャプテ~ン任せてよ!」

 

 

 

まるで遠足に行くような気軽さの一匹をよそに、皆が船へと乗り込んだ。

 

 

 

「では、離陸する。

多少揺れるから小紫は狂死郎に支えてもらってくれ。」

 

 

レオヴァの言葉に頷くと狂死郎は小紫へ手を貸す。

 

 

その大きな方舟はレオヴァの操作に合わせて浮き上がると、そのまま輝く海の上を滑るように進み始めた。

 

皆は心地よい風を感じながら眩しい朝日に目を細める。

 

 

 

ゾウへのビブルカードを見つめるレオヴァの瞳を見たものはいない。

 

 

 

 

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数ヶ所の島を経由し、想定よりも早くゾウへと辿り着いた。

 

 

ゾウの背の上に船を浮かばせ終わると、モコモ公国を見下ろす。

 

 

「…ベポから聞いてはいたが予想以上だ……!

巨大なゾウの上に本当に町がある…

だが、何故川や森が……魚も食べると聞いているが養殖はしていないんだったな…?

ならそれは、どうやって海から何百メートルも上の土地へ届く?

いや、そもそも地質は……他にも何百年以上もゾウは皮膚の上に島を乗せて体に異常はないのか?

獣人族が住み始めた経緯と文明の発達の道筋も……」

 

 

 

レオヴァの突然の饒舌さに小紫と狂死郎は呆気にとられていたが、ローが説明に入る。

 

 

 

「……レオヴァさんは自然とか文化に目がないんだ。

初めて見るものを前にすると大体ああなるから、気にしなくていい。」

 

「そうだったのですね…!

わたしも初めて見る光景には気持ちが高ぶりますし、レオヴァ様にもそう言う所があると知れてなんだか嬉しいです…!」

 

「いやはや……! あれほど楽しげな姿は初めてお目にかかったが。

レオヴァ殿のその性格が、あの博識さや素晴らしき(まつりごと)の才として発揮されていると…!」

 

 

 

ローの話を聞き納得した二人を無視するかの様にジャックはレオヴァの下へと一直線に歩いていく。

 

 

 

「……レオヴァさん、どうせなら下に降りて直接遺跡を見に行った方が面白ェかと」

 

「…っと、それもそうだな。

見ているだけでは全て仮説にすぎない…

では、降りるとしよう。

船は空中にて待機させる、皆はおれの背に乗って地上へ行くぞ。」

 

 

「……?

レオヴァ殿は確かに6mほどの大きさの鳥になるが我らが乗るのは…

 ……な!?」

 

 

狂死郎の言葉の途中でレオヴァが黄金の巨鳥の姿へ変わる。

 

翼を広げたその姿はいつもの大きさの5倍はあるようだ。

あまりにも大きなその姿に言葉を失った狂死郎と小紫をローが能力で背の上へと移動させた。

 

 

 

「レオヴァさん、失礼します。」

 

「全員乗ったぞ、レオヴァさん。」

 

 

ペコリと律儀に頭を下げてから背に乗るジャックにレオヴァは微笑んだ。

そして、ローの言葉でゆっくりと地上へ舞い降りる。

 

 

 

地上に着くと、皆を下ろしたレオヴァの姿が元に戻る。

 

それと同時に姿が見えぬ何者かから声がかかった。

 

 

 

「貴様らは何者だ……!?

ここはモコモ公国、勝手な侵入は許さん!

名を名乗れ……!!」

 

 

「勝手に立ち入ってしまい申し訳ない。

おれはレオヴァ、後ろの者はおれの部下と連れだ!」

 

 

「……何をしに来たのかは知らんが立ち去れ…!!

今、この国には災いが降り注いでいるのだ」

 

 

「……災い?」

 

 

「えぇ!?そんな……!

災いって……こ、怖いよキャプテン……お化けかな?」

 

 

 

ジャックの後から覗いたベポの姿と声に何者かが反応する。

 

 

「……もしかして…ベポか!?」

 

 

ガサガサっという音と共に目の前にヒョウの獣人が現れた。

 

 

「あれ?……パンサルくん?」

 

「べ、ベポ!!

心配したんだぞ!?

兄を探しに行くと言って勝手に出ていって……!

まだ幼いお前には無理だと思っていた……もう、帰って来れないのではないかと…」

 

「ごめん…パンサルくん……」

 

 

大きなヒョウの獣人……パンサルが強くベポを抱き締める。

 

 

状況が掴めない中、レオヴァが声を上げる。

 

 

 

「……ベポが故郷へ一度戻りたいと言うから訪れたんだ。

なにか特別な用事があるわけではない……滞在は可能だろうか?」

 

 

「うん!レオヴァ様はとっても優しいし……ぜんぜん危ない人じゃないよ!

それにキャプテンと一緒におれを助けてくれたんだ!

美味しいご飯も作ってくれるし、強いし、とにかくスゴいんだよ~!」

 

 

レオヴァとベポの話を聞いたパンサルは軽く頭を下げた。

 

 

「まさか、おれの家族同然のベポの恩人とは知らず…失礼した!

……だが…滞在は勧められぬ……」

 

 

「な、なんで……?

レオヴァ様は本当に優しいのに……キャプテンだって凄いお医者さんで…」

 

 

「……災いとやらが関するのか?」

 

 

「……そうだ。

ここ数年……謎の病にミンク族が次々と倒れている…

原因も治療法もわからず……っ…ひつギスカン公爵様に続き……数日前にネコマムシ様までもついにッ……!」

 

 

「え、ネコマムシちゃんが……?!」

 

「ネコマムシが……よ、容態は……!?」

 

 

突然話に飛び付いた二人にパンサルは驚いた顔をする。

 

 

 

「ネコマムシ様を知っているのか?」

 

「あぁ……!

知っているもなにも共に同じ主に仕えた身だ!

……レオヴァ殿…名乗っても良いだろうか?」

 

「構わない。

ネコマムシが心配だ……やむを得ないだろう。」

 

 

「ありがたい、レオヴァ殿!

おれの名は傳ジロー……そして此方が日和様だ…!

ネコマムシから聞いたことはないか!?」

 

 

「な、なんと……!

日和様といえば……光月家の……?」

 

「そうだ!

どうか、頼む。ネコマムシに会わせて欲しい……!」

 

「…………証拠はあるだろうか?」

 

「おれの背に家紋がある。

……これで証拠は問題ないな?」

 

 

狂死郎が着物を脱ぎ、背の刺青を見せるとパンサルは目を見開き…そして頷いた。

 

レオヴァとその一行はヒョウの獣人の案内でネコマムシに会いに向かうこととなった。

 

 

 

 

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たくさんのミンク族が集まる場所で、レオヴァと皆は紹介を受けた。

 

 

そして、そこでモコモ公国が今、二つに割れている話を聞いた。

 

日が昇っている間はイヌアラシが王として束ね

日が沈んだ後はネコマムシが王として束ねていると言う。

 

 

二人の仲がとても悪いと聞かされた日和と狂死郎は驚き、悲しそうな顔をした。

ベポの慰めもあり、一度会わなければ始まらぬと気を取り直しネコマムシが居る場所へ急いだが

そこで悲惨な状態を目の当たりにする。

 

 

 

病室のような場所は、呻き声をあげながら寝そべるミンク族で埋まっていた。

時折、叫び声まで聞こえてくる。

 

息を呑みながらも、足を進める。

 

 

奥の部屋の扉を開けるとそこには苦し気に寝息をたてるネコマムシが居た。

 

 

「……ね、ネコマムシちゃんっ……」

 

 

 

日和はその姿に思わず悲痛な声を上げた。

 

声にぴくりと耳が動いたかと思うと、ゆっくりとネコマムシの瞳が開かれる。

 

 

「……なんじゃあ……わしは夢見ゆうか…?

…いや、夢でも構わんき……日和さまぁ…

わし……なんも……おでんさまに返せんかった……

……オロチも……討てんと…情けのぉて……」

 

 

 

ぼんやりとした瞳で日和を映しながらネコマムシはゆっくりと手を前に出した。

 

日和はすぐにその手を掴むと涙汲みながら答えた。

 

 

「っ……そんなことない…

ネコマムシは父上の自慢の侍よ!

オロチは傳ジローとレオヴァ様が討ったわ……仇はとったの!

母上と父上のお墓も……レオヴァ様が綺麗な桜の側に立てて下さったわ……だから元気になったら、一緒にお墓参りに行きましょう?」

 

 

「暖かいにゃあ……日和さま…

……傳ジローと、レオヴァにゃ……礼言うきに…

…今…治しちゅうからのぉ……日和さまぁ…泣くことないき…」

 

「ネコマムシちゃんっ……」

 

「ネコ……!」

 

 

またゆっくりと閉じられていく瞼に焦ったように二人が声を出す。

しかしネコマムシの瞼は閉じたままだ。

 

それから、1時間ほど側で見守っていても、声をかけても起きることはなかった。

 

 

ネコマムシの手を握りながら、何も出来ぬ歯痒さに唇を噛み締めている二人の元にレオヴァたちの話し声が届く。

 

 

 

 

「……ジャック。

今、ローと共にミンク族の医者の話を聞き、患者の内部を見た所……寄生虫のようなモノが見つかった。

ここに入院している者を30人ほど見たが、全員からその虫が発見されている。

おそらく、この災いとやらは寄生虫が原因だろう。

おれが昔訪れた村の歴史書に、過去これと同じ様な症状で壊滅した町もあった。

…ジャックはおれと共に感染源の調査に向かおう。

ローは残り、ここの皆の症状と寄生虫の解析を頼む。

……一応、感染症の可能性も視野に入れながら進めてくれ。」

 

 

「了解だ、レオヴァさん。」

 

「わかった。

寄生虫と患者の症状でなにか分かれば、すぐに電伝虫で連絡する。」

 

 

 

 

「……レオヴァ様…!

ネコマムシやミンク族の方を……治せるのですか?」

 

 

「まだ確実な事は言えない。

だが、治せる可能性はある……!

ネコマムシとは良く色々な話をする仲だった…あの頃おれは勝手に友人の様に思っていたんだ。

……彼を死なせたくはない。

 

…二人は此処で食事などしないでくれ、寄生虫の感染源が分かるまではローの指示に従うように。

それから感染症の可能性も0じゃない。

気を付けてくれ………行くぞ、ジャック。時間が惜しい!」

 

 

 

一通り話し終えるとレオヴァはジャックを連れて、感染源を探しに向かって行った。

 

ローもミンク族の医者に囲まれながら研究を始めた。

 

 

病院にいた全てのミンク族がすがるように彼らを見つめている。

 

 

日和はミンク族の医者たちの手伝いを申し出て、シーツの交換や、食事を運んだ。

狂死郎もあらゆる事を手伝った。

 

 

 

そして、レオヴァたちがモコモ公国に着き、1ヶ月がたった。

 

仮説がほぼ確定となり

レオヴァ、ジャック、ローによる感染源の撲滅兼ワクチンの接種が始まろうとしている。

 

 

床に伏せる王2人と全てのミンク族の無事を祈り、日和は手を合わせた。

 

 

 




捕捉と質問返し

『人物』
パンサル(チーターのミンク族) 
ベポの兄の友人で、兄が海に出てからも面倒を見ていた。
数年前に居なくなったベポを心配する日々を過ごしていた為に毛並みが悪い。


『状況』
イヌアラシとネコマムシの帰還から1年後にこの病の様な症状が流行り始め、謎の病をミンク族はイヌアラシとネコマムシの不仲によって起こった災いではないかと噂していた。

現状、イヌアラシはまだレオヴァ一行には会っていない。
ネコマムシもあれは夢だと思い込んでいる。
ミンク族の人々は二人にレオヴァ達の事を話していない。
(病院内は患者と医者しか入れない為、医者は忙しく話す暇がない。
何より本人達があまり余裕がない)


Q.現状のローやドレーク、ジャックの身長は?
ドレーク:約192cm
ロー:約171cm
ジャック:約401cm
レオヴァ:約324cm

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