俺がカイドウの息子…?   作:もちお(もす)

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モコモ王国とモコモ公国を誤植する大罪を犯しました、もちおです。

前回も誤字、誤植報告ありがとうございます!!
コメントに感想もありがたき幸せ……!!


今回、ジャンプにて出てたカイドウさんの能力のネタバレ?っぽいのありますのでご注意を…
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前を向く者には幸せを

 

 

おれにとって弟の様に大切な存在のベポが帰って来てから1ヶ月半が経った。

 

それまでモコモ公国は最大の危機に陥っていたのだがベポの連れてきた人間によって、この危機から救われた。

 

 

彼らはベポの恩人であり、そして我らの恩人となったのだ。

 

 

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モコモ公国は朝と夜に別れていたが、前代未聞の事態により朝も夜も関係なく皆は活動していた。

 

しかし、一向に解決の兆しは訪れず

皆が災いと呼び、半ば諦めていた。

 

 

だが、たまたまベポの里帰りに付き添いで来た人間達の必死の看病や研究により

なんと、特効薬と原因の究明に成功したという……!

 

 

皆はその報告に沸き上がった。

 

 

して、今まさにレオヴァと言う御仁と

その方に仕えるローという御仁から説明があると聞き、多くのミンク族が集まった。

 

 

 

『えー…ゴホンッ…では皆々様!

レオヴァ様とロー様がこの災いの正体を説明して下さりますので!

……お願いします!』

 

 

『あぁ、では研究の結果を報告させてもらおう。

まず、この災いの正体は

寄生虫が静脈内に寄生することで生じる疾患だ。

 

獣人の皮膚より寄生虫の幼虫が寄生、寄生された宿主は皮膚炎などの初発症状がみられる。

その後、高熱や消化器の異常といった急性症状が発現し成虫へと成長した寄生虫が血管内部に住み着き慢性化、寄生虫は血管内部で生殖産卵を行い、多数寄生して重症化すると肝硬変による黄疸や腹水を発症し、最終的に死に至ると言うのが

おれとローで患者たちと寄生虫を調べて解った。』

 

 

 

 

レオヴァの言葉に多くのミンク族が首をかしげた。

 

それに気づくと横にいるジャックがレオヴァに進言する。

 

 

『……レオヴァさん、もう少し簡単に説明した方が良いんじゃねぇかと。』

 

『確かに……少し複雑だったな。

 

…羊の医者よ、中間宿主などの説明は大幅に省いても構わないか?』

 

 

『えぇ!

我々医師は説明を受けましたので!

みなに分かりやすく伝わるのであれば、そちらの方が宜しいかと』

 

 

『承知した。

では、もう少し簡潔にまとめると。

 

災いの正体は寄生虫だ。

そして、その寄生虫はおそらく外から来ている。

ジャックと共に全て見て回ったが、寄生虫の生体は昼の王の住む泉周辺にのみ生息していた……その為、今後は泉に住む生体の一掃が終わるまでは近づかないように。』

 

 

レオヴァの簡潔にまとめた報告にやっと理解が追い付いたミンク族の者達は驚きに声を上げる。

 

 

『寄生虫……!?』

 

『い、泉ってあの……イヌアラシ様の泉か?』

 

『おれ……その泉の魚食っちまった……どうしよ…』

 

『寄生……って、治るのか?』

 

 

 

ざわざわとし始めたミンク族達にレオヴァの優しい声が響く。

 

 

『安心してくれ、この寄生虫はPGカンテと言う薬の単回投与で治せる。

重症化している場合もこの薬で寄生虫は殺せるから、あとは後遺症が残らぬ様に個別に治療すれば問題はない。

 

そして、この寄生虫を撲滅するためにミンク族全員の検査を行う。

大切な部下であるベポの故郷と友であるネコマムシを失いたくないんだ……どうか協力して欲しい。』

 

 

そう言い頭を下げて頼むレオヴァに

集まった全ての者たちは心打たれ、その優しさに天を仰いだ。

 

 

 

 

それからは怒涛の2週間だった。

レオヴァは宣言通りにモコモ公国の全国民の検査をし、患者たちを特効薬で次々と治していった。

 

 

だがそれだけではない、寄生虫が死んだ後の治療も全て自ら率先して行い

さらに後遺症の様な症状で苦しむ者に優しい言葉を掛け支えた。

 

 

そして最終的には後遺症も残ることなく、皆が普通に生活できるまでになったのだ。

 

 

 

イヌアラシ様の泉は完全になくなったが撲滅のためには仕方ないだろう、それに泉は他にもあるのだから魚の心配はない。

 

レオヴァは食料の事を心配して、珍しい食べられる植物の種と育て方まで教えてくれた。

 

全くもって至れり尽くせりである。

 

 

 

今や、レオヴァやロー達が歩けばガルチューの嵐で前に進めぬ程だ。

 

………ジャックは人見知りで挨拶が好きではないとレオヴァが言っていたので感謝のガルチューが出来ずにいる事は凄く残念だが…

 

 

 

 

 

オレはすっかり元気になった仲間達とレオヴァのくれた果実酒を味わった。

 

 

 

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ネコマムシは完全に調子が戻った身体をゆらゆらと振りながら日和と猫じゃらしで遊んでいた。

 

 

「うふふふ…ネコマムシ楽しい?」

 

「ゴロニャニャッニャ!

こんなに楽しいのは久々やき~ 日和さまぁ!」

 

 

「はっはっは ネコ!

もうそんなに動いても平気なのか?」

 

 

「おお!傳ジロー……!

もう完全に治っちゅう!

日和さまに傳ジローが居るき……寝てられんぜよ!!」

 

 

満面の笑みで二人を見つめるネコマムシとそれを微笑ましく眺めるベポ。

その後からローが部屋に入ってくる。

 

 

「みんな元気になって本当によかった~!」

 

 

「ベポ、入り口で止まるな。邪魔だぞ。

 

……レオヴァさんから頼まれてたミンク族の医師たちの指導がそろそろ終わりそうだ。

それが終わり次第、ワノ国に…」

 

 

「おんしは…ロー!

ゴロニャニャ…感謝の~…ガルチュ~!!」

 

 

ドスンと物凄い音と共にローはネコマムシの下敷きになる。

 

 

「ろ、ロー殿!?

おい!ネコ……!お前自分の大きさを自覚しろ…!!」

 

 

狂死郎の叫び声と共に部屋にレオヴァが入ってくる。

 

 

「……今、凄い音がしたが……何事だ?」

 

 

 

レオヴァの登場と共にネコマムシの空気が変わる。

 

 

 

「…………レオヴァか…

ちょうど話を…と思いよった所ぜよ。」

 

 

 

先程とは打って変わったネコマムシはドスドスと歩いて行きベッドへと腰掛けた。

 

彼はベポに人払いを頼むと重々しく口を開いた。

 

 

 

「……レオヴァ、全部日和さまと傳ジローから聞いたぜよ

おんしの事情も…憎きオロチん事も……日和さまん事も……全て聞いちゅう…

 

…………じゃが、わしは謝らんき。

 

 

 

「ね、ネコマムシちゃん……!」

 

「ネコ、お前……!」

 

 

ネコマムシの言葉に二人は顔を青くしながら声を上げた。

 

 

 

 

「…そうか、全て聞いたのか。

……おれもネコマムシに謝るつもりはない。」

 

 

「れ、レオヴァ殿……?」

 

 

 

困惑する日和と狂死郎をおいて二人は真っ直ぐと互いの目を見ている。

 

 

 

 

「おれには守りたい人がいた…だからあの戦いに全てをかけた。」

 

 

「あぁ……わしも守りたかった。

じゃき、仲良ぉしてくれちょったレオヴァに牙向けたがや……」

 

 

「お互いに全てを懸けたんだ……謝罪は相応しくない…

……ネコマムシ…元気になってくれて嬉しいよ」

 

 

 

本当に安心した様に微笑むレオヴァを見て、感極まった様にネコマムシは目にも止まらぬ早さでレオヴァに突っ込んで行った。

 

 

 

 

「ニ"ャ…"ニャ"ア"~~!!!

レオヴァ!日和さまを……皆を…!!

本当に感謝してもしきれんき……!!

わし……わしは……!!」

 

 

「ふふ……気にするな…

…おれに友だちだと言ってくれたのは今まででネコマムシだけだった。

本当に……元気になってよかった。」

 

 

 

巨体の突進を優しく受け止めたレオヴァはネコマムシの背を優しくたたいていた。

ネコマムシは感謝の言葉と会えた嬉しさを延々とレオヴァにぶつけている。

 

 

 

狂死郎と日和は邪魔しないようにと、残ろうとするローを引きずりながら部屋から出ていった。

 

 

 

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数時間ほど部屋でレオヴァと心を通わせたネコマムシはミンク族の皆が集まる広場へと向かっていた。

 

 

「ネコマムシ様、おはようございやす!!

……あれ?…ネコマムシ様……目元が赤く…」

 

 

「……気のせいやき!

わしは何があっても泣かんきのぉ……!」

 

 

目元を指摘されても先程のレオヴァに見せた雫の事はシラを切るネコマムシの元に気に入らぬ声が届く。

 

 

 

「……ならば、その植物をあちらへ。

なに?……レオヴァからの物だというのか?

…それは本当に害はないんだな?」

 

 

「えぇもちろん!

レオヴァさんが害のあるものなど渡してくるはずないじゃあないですか、イヌアラシ様!」

 

 

「……解らぬだろう。

しかと調べてからでないと、植えることは出来ん。」

 

 

「そ、そうですか……

わかりました、イヌアラシ様…」

 

 

 

嬉しそうに種を抱えていたミンク族の男が項垂れる。

 

 

 

 

「……国を救ってくれちゅうレオヴァからのモノを害扱いやが?

礼儀も恩も欠片もない態度じゃき……!」

 

 

「…ネコか……いつまでも寝ていてくれて構わなかったが…

忘れているようだから言っておくが奴は海賊だぞ?

海賊などいつ裏切るかも知れぬ輩だ。

国のため細心の注意を払うのは当たり前だろう!」

 

 

「なんじゃあ……?

海賊が皆、そういう奴らばかりじゃなき事は

おんしも良ぉ知っちゅうはずぜよ!!

……日和さまから話を聞いちゅうのに…まだ、そがな態度とるがか!?」

 

 

「っ……!

奴は……あのクイーンを従えているんだぞ!?

信用などできるものか!」

 

 

「部下にどがな奴おってもレオヴァはレオヴァぜよ!!

この国を……日和さまを救っちゅうことは事実じゃ……!

前に進まないかんのに、おんしは後ろばかり見ゆう!!

おでん様はそがなこと望んどらん……!」

 

 

「おでん様の想いを……貴様が知ったように語るな……!!」

 

 

 

広場の近くで、ついに二人のギリギリで保たれていた関係は殺し合いと言う形に変わってしまった。

 

まわりのミンク族の民たちは逃げるようにその場を離れていく。

 

 

 

「大変だ……!!

王たちが…あの時以来の……殺し合いを始めてしまった……

誰も……二人を止められない……!!」

 

 

 

 

 

 

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二人の争いは思わぬ展開を迎えていた。

 

 

息をきらすイヌアラシとネコマムシの間にジャックが立ち塞がっている。

 

 

「…退かぬか! レオヴァの部下……!!」

 

「下がっちょれ、ジャック……!!」

 

 

「お前たちの言葉を聞く義理はねぇ。

……お前らが傷つくことをレオヴァさんは望んでねぇんだ。

そろそろ寝てもらうぞ…!」

 

 

 

ジャックは二人の攻撃をさばいている。

ネコマムシはイヌアラシへ攻撃を向け、イヌアラシはジャックとネコマムシに攻撃を続けた。

 

 

ネコマムシもイヌアラシも攻撃をジャックがさばいている為に大きな怪我はないが、ジャックには複数目立つ傷があった。

 

 

寿命の縮む思いで見守っていることしか出来ぬミンク族の民たちはジャックを尊敬すると同時に心配していた。

 

 

 

「ジャックさん……すげぇな…イヌアラシ公爵とネコマムシの旦那相手に……」

 

「けど二人を傷つけないようにしてるせいで……ジャックさん血がたくさん出ちまってる…」

 

「たしかに……このままじゃ…」

 

「止めにはいるか……?」

 

「馬鹿いうなよ!

おれたちじゃ足引っ張って終わりだ……」

 

「あんなにジャックさんは王たちの為に体を張ってくれていると言うのに……わしらは…」

 

 

「あぁっ…!

じゃ、ジャックさんが……!!!」

 

 

悲鳴に近い叫び声にミンク族の民たちは息を呑む。

 

 

ジャックは膝を突いたネコマムシを庇おうと咄嗟に動いた。

 

そして、そのままイヌアラシのサーベルはジャックの身体を貫いたのだ。

 

 

 

「じゃ、ジャック…!!?

イヌ…おんし…ジャックになにしちゅうか!!」

 

「……間に割って入った時点で、奴も貴様も敵だ!」

 

 

「ぐっ……舐めるんじゃねぇ…おれは百獣のジャック…!!

この程度で…レオヴァさんの“二人を頼む”っつー言葉を完遂出来なくなるとでも思ってんのかァ……!」

 

 

 

ジャックの雄叫びと共にイヌアラシは殴り飛ばされた。

そこへ追撃しようとするネコマムシをジャックが見逃すことなく押さえ付ける。

 

 

しかし、殴り飛ばされたイヌアラシが再びサーベルを握り立ち上がる。

 

だが、素早く放たれたサーベルの突きがジャックにもう一度刺さる事はなかった。

 

 

 

「……貴様、戻って来ていたのか」

 

「レオヴァ帰ってきちゅうか!?」

 

「レオヴァさん……」

 

 

驚く三人に構わずレオヴァはイヌアラシの手からサーベルを奪うと、バチバチッと言う音と共に跡形もなく溶かしてしまった。

 

 

 

「……おれが皆の食べ物を集めに他の島へ行っている間に何があればこうなる?

 

家は壊れ、皆は怯え………おれのジャックに傷まで負わせて…

それが一国の王がやることなのか?」

 

 

 

ネコマムシは強張っていた肩を落とした。

 

 

「……言う通りぜよ……すまんき……レオヴァ…

わしは…皆んこと考えちょらんかった……」

 

 

「……海賊に王としての立場を諭されるつもりはない。」

 

「な!?

イヌ! レオヴァになんちゅう言い種じゃ!」

 

 

 

イヌアラシはその言葉に何かを返すでもなく、背を向け歩いて行ってしまった。

 

 

数時間に及ぶ二人の戦いは決裂という形で幕を閉じた。

 

 

 

 

 

 

そして、その2週間後にネコマムシは正式に夜の王の座を高齢のひつギスカン公爵へと譲った。

 

 

 

 

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あれから3ヶ月が過ぎ、現在。

ネコマムシはワノ国に新しく“出来た”島に多くのミンク族を連れて移り住んでいた。

 

 

初めは不安を抱いて居るものも少なくなかったが、新しい島は自然が多くモコモ公国の環境に似ていたことや、百獣海賊団のコックが振る舞うあまりに美味い料理に心掴まれ、すっかり馴染んでいた。

 

 

好きな時に起きて、好きな時に寝ることができ

更にはネコマムシとワノ国の王であるレオヴァの仲は素晴らしく良かった。

 

今まで国のトップ同士の憎しみ合いともいえる対立に心痛めていた者たちは、移住した事は正解だったと喜んだ。

 

 

他にもゾウでは外の物など滅多に手に入らなかった為、レオヴァが運んでくるモノやワノ国でのお祭りなど物珍しいものや娯楽も、皆の移住生活を前向きにさせた理由の1つだろう。

 

 

 

 

 

 

ネコマムシは満足していた。

おでんとの想い出の地…ワノ国での生活に。

 

なにより此処には大好きな日和さま、傳ジロー、アシュラ、レオヴァがいる。

 

おでん様の死は言い様のない程に悲しかったが、

彼ならば前を向き進めと言うのだろうとネコマムシは思い

 少しずつだが確かに前を向き…進み始めた。

 

 

 

そして今暮らすこの島での役割は“ポーネグリフ”を守ること。

 

日和さまからの命にネコマムシは奮い立った。

土地は変われど、成すべきことは変わらず。

 

 

ネコマムシとミンク族は新たな土地で平和に暮らしながらも重要な役割を忘れることなく、日々励んでいる。

 

 

 

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「まさか鬼ヶ島の隣に動物ランドができるとは予想外だったぜェ……」

 

 

そう言うクイーンに俺は訂正をする。

 

 

「あれは、獣人島(じゅうじんとう)だ。

変な名で呼ぶのは止してくれ、ミンク族は穏和だが怒ると大変なんだ。」

 

 

「……まぁスゲェ化け猫もいるしなァ~…

カイドウさんが能力で島運んできた時は思わず叫んだが……移民連れてくる為だったのか」

 

 

「いや、あの島は研究の為に欲しかったんだ。

……まぁ結果、ミンク族の皆の住む場所になった訳だが。」

 

 

にこりと笑って見せるとクイーンは悪い笑みで俺を見る。

 

 

「そりゃミンク族の奴らツイてて良かったな!

“たまたま”レオヴァが気に入った島のお陰で移住場所には困らなかったワケだもんなァ…!」

 

 

 

ケタケタと笑うクイーンを無視してキングが呟く。

 

 

 

「ミンク族の件よりも……ポーネグリフだ。

まさか赤いモノを持って帰ってくるとは……」

 

 

「ウォロロロロ……!

まさか2つも手土産を持って帰ってくるとはなァ

それも……その内の1つがロードポーネグリフ…!!」

 

 

「これで2つは父さんのモンになったわけだが。

……問題は残り2つだ。

1つは…ビッグ・マム海賊団、もう1つの行方はわからねェ」

 

 

「……あのババァが持ってんのは厄介だなァ…」

 

 

「ビッグ・マムは追々として…

まずは最近手を付け始めた外の縄張りの強化を終わらせたい。

その後に……」

 

 

 

父さんやキング、クイーンと今後の予定や作戦のすりあわせを行い

俺は夜の宴までミンク族について思考していた。

 

 

 

 

 

今回のモコモ公国への訪問は急遽決めた事だった。

……それはクイーンのある発言が理由だ。

 

 

『……赤鞘で一番気を付けたいのがイヌとネコマムシだったんだが…』

 

『まァた悩んでんのかよ?

そんな気にしなくても、どうせ犬の方は死ぬだろ』

 

『……何故、イヌが死ぬと言いきれる?』

 

『おでんとの戦いの時に一発打ち込んだんだよ……レオヴァの失敗作をな!

ムハハハハ~! 経過を観れねぇのが残念だぜェ~!』

 

『クイーン……お前……!

あれは捨てろと言ったハズだが…?』

 

『…………いやぁ? おれは聞いてねぇなァ~…

…あんな面白ェの捨てるとか……』

 

『ハァ……人に使えないから失敗作だと言っただろう』

 

『だから動物に使っただろ?』

 

『まったく…クイーンも大概だ。

キングの趣味をとやかく言えないぞ…

……1つ聞くが…その話は他に話したか?』

 

『まさか……!

レオヴァのそう言うのは詳しくは、おれしか知らねぇよ!

カイドウさんは研究してんのは知ってるが内容までは聞いてこねぇし』

 

『なら、良いか…

いや待て……あれから数年か………使えるかもしれねぇな…』

 

『レオヴァお前また自分の仕事増やす気かよ!』

 

 

クイーンの

休んでまた遊郭行こうぜ!?と言う言葉を背に俺はあの寄生虫の特性を思い出していた。

 

そして、今ならまだイヌアラシは死んでいないと計算してモコモ公国へ行くことを決めた。

 

 

更に、このタイミングでのベポの願いは嬉しい誤算だった。

これで“ベポの里帰り”と言う隠れ蓑も手に入った。

 

 

 

その後、すぐにモコモ公国へ行き

ミンク族に恩を売り、ネコマムシとの仲を光月の女を使い戻した。

 

 

 

あとは勝手に二人の王は争い…決別した。

 

 

ジャックがあそこまで深傷を負ってもネコマムシを庇ったのに驚き、些か早く二人の前にでてしまったが……まぁ上手く行ったから良しとしよう。

……少し俺はジャックの真面目さを甘くみていた。

 

 

 

 

 

その後、怪我を治療するとネコマムシはおでんの娘と俺について行くと言い出し

夜の王国の民は皆がネコマムシに付いていくと決めた。

 

他にも数十人の昼の王国のミンク族も加わり、国の半数より少し多いくらいの民がワノ国へ来ることになった。

 

 

結果、多すぎず少なすぎず “良い割合” で戦士が手に入った。

 

 

 

 

 

その決定の後ネコマムシは、ポーネグリフはワノ国でおでんの娘と共に自分たちが守ると騒ぎだした。

 

 

 

『国の戦士は皆がワノ国に行く言うちょるき!

こがな手薄な場所で護れるとは思わんぜよ……!』

 

 

ネコマムシと多くの戦士達の言葉に

ひつギスカン公爵はついに折れ、ポーネグリフはネコマムシに任せると正式に決めた。

 

 

 

それからはトントン拍子に進み、父さんに予め頼んでおいた島に移り住ませ、友好関係が築けるように努めた。

 

今のネコマムシはワノ国の鳳皇兼、総督補佐官である俺の友人と言う立ち位置であり

獣人島の守り神という地位にいる。

 

 

そして、おでんの娘である日和も獣人島にアシュラ童子と共に移り住んだ。

 

狂死郎は

『……ワノ国の国民を恨んでいないと言えば嘘になる。

だが、レオヴァ殿への想いに嘘はない。

えびす町の大名としてこれからも使ってくれ……!』

 

と強い意志があったため、引き続き大名として働いている。

 

 

 

今回も予定と大きくズレることなく上手く話が進んだ。

 

 

良い結果に上機嫌な父さんの隣で俺は心から微笑んだ。

 

 

 

 

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その日、宴で百獣海賊団の船員達に大きな発表をした。

 

これはモコモ公国へ行く前に父さんと決めた事だ。

 

 

 

 

 

『皆、この度……百獣海賊団に新しく幹部制度を作った。

実力のある者や、手柄を多く上げたものは平等に幹部になる権利がある。

上を志す意志のある者はぜひ目指してほしい。

 

それでは、百獣海賊団初の幹部の発表をしようと思う。

……任命は百獣海賊団総督が行う…!

父さん、よろしく頼む。』

 

 

 

『あぁ、後は任せとけ

レオヴァの話は聞いたなァ、お前ら!

ウチの人数もだいぶ増えてきた…

今後は実力さえありゃ幹部にすることに決めた…!

 

…でだ、その幹部の中で一番上の地位は“大看板(おおかんばん)”とする……!

 

そして、その大看板の席は3つ。

 

 1人目に、キング……!

 2人目に、クイーン……!

 3人目に、ジャック……!

 

この3人を今から百獣海賊団幹部、大看板に任命する…!!!

 

今から1ヶ月間はこの3人に昼夜問わず挑む事を許可する。

 勝てば即幹部だ……!

 

だが、1ヶ月後からは指名挑戦制になる。

手柄を立てた奴が3人から1人を指名して、挑戦する制度だ。

まぁ、要は弱肉強食……欲しけりゃ1ヶ月の間に奪ってみろォ…!!

ウォロロロロロロ……!!!』

 

 

 

『『『『うおぉお~~!!』』』』

 

 

『幹部……おれもカイドウ様の役に立ちてぇ!』

 

『キング様は無理だな……ジャックの奴にしよう!』

 

『流石はクイーン様ァ…!!』

 

『……チッ…ジャックの餓鬼には勿体ねぇ肩書きだろ…』

 

『キング様が大看板……当然の抜擢だ…!』

 

『こりゃ、レオヴァ様の案だな~!

俄然やる気でるぜぇ!』

 

 

 

その後、1ヶ月間大看板への挑戦は続いたが誰一人として敵わず

改めて正式にキング、クイーン、ジャックの3人が大看板に決定した。

 

 

おそらく一番首を狙われたであろうジャックはピンピンしている。

この1ヶ月でジャックの強さは皆に証明されただろう。

 

……これでジャックをナメる馬鹿が居なくなって一安心だ。

 

 

 

 

 

しかし、俺は新たな幹部候補の一覧を見ながら溜め息をついた。

 

 

「今の百獣海賊団の中に…飛び六胞候補の目ぼしい人材はなしか……」

 

 

 

目の前で悩み事など1つもないと言う様な顔でクッキーを頬張りながら首を傾げるベポを俺は軽くつついた。

 

 

 

 

 

 

 




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後書き

カイドウにもガルチューするベポに凄いと言うコメント多かったので解説を!

・ベポ
おっきくて強いカイドウに憧れる。
最初は怖かったがお酒が入ってない時は優しい事を知ってからは匂いで判別してからガルチューしに行く。
乱暴ではあるが撫でてくれるので好き。


・カイドウ
第一印象はレオヴァが愛玩してるクマ。
ベポがオヤツを食べる時にレオヴァの所で食べさせると休むとキングから聞いたので、まぁまぁ気に入っている。
レオヴァの真似をして時おり撫でてやっている。
基本的にある程度実力のある相手には寛容なのでガルチューも気にしていない。
レオヴァがミンク族に揉みくちゃにされていた時は暫く笑いが止まらなかった。


・カイドウパパの島運びについて
原作にて“島”を能力で丸ごと移動させていたので、こちらでもやって頂きました(^^)

・持って来た島の立地について
島の位置気になる方は画像にてご確認ください。
↓これが大雑把な島の位置です!

【挿絵表示】



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