ぼちぼちやって行きますのでよろしくお願いいたします。
2026/9/2 加筆修正
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あれから七年の月日が流れ、赤ん坊だったレオヴァは七歳になった。
赤ん坊だった頃とは違い、今では食事も着替えも一人で済ませられる。
トイレへ行くために誰かの手を借りる必要もない。
何より、自分の意思をきちんと言葉にして伝えられるようになったこと、自由時間が増え覇気の練習などに使える時間ができたことがレオヴァには嬉しかった。
オムツを取り替えられ、何をするにも誰かの手を借りなければならなかった頃を思い出すと、今の生活は実に快適だ。
最近では、キングかクイーンのどちらかが同行することを条件に、船の外へ出ることも許されている。
上陸する島が変われば、そこに生えている植物も棲んでいる生き物も、目に映る景色もまるで違う。
そうした見たことのないものを実際に自分の目で見て回ることは、いつしかレオヴァにとって何よりの楽しみになっていた。
それに、父であるカイドウと一緒に食べる飯は旨い。
……もっとも、初めて父の酒癖の悪さを目の当たりにした時には、さすがのレオヴァも度肝を抜かれたのだが。
そんなことを考えながら、レオヴァは船内をのんびりと歩いていた。
船はつい先ほど島へ上陸したばかりだ。本当なら自分も降りて見て回りたかったのだが、キングもクイーンも何やら忙しそうにしている。
外へ出るにはどちらかの同行が必要になる以上、仕事の邪魔をするわけにもいかない。
仕方なく、今日は船内を散歩して時間を潰すことにした。
甲板へ出ると、潮を含んだ風が頬を撫でていく。
そのまま船の後方へ向かっていたレオヴァは、ふと以前から気になっていたことを思い出した。
そういえば、まだこの船にはジャックが居ない。
前世の記憶が正しければ、大看板といえばキング、クイーン、ジャックの三人だったはずだ。
だが、この七年間でジャックらしき人物を見たことは一度もない。
父さんもまだ若いし、ジャックが入るのはまだまだ先なのだろうか。
船尾から海を眺めながら、そんなことをぼんやりと考えていた――その時だった。
ヒュ~~~~ ドガァッン!!
空気を裂くような音が聞こえた直後、腹の底まで響く爆音とともに船体が大きく揺れた。
「!? ぅわッ」
突然のことに踏ん張る暇もない。
足元を掬われたレオヴァは咄嗟に船縁へ手を伸ばしたが、指先は届かず、そのまま身体が外へ投げ出された。
どぷんっ!
視界が一瞬にして青く染まり、冷たい海水が全身を包み込む。
鼻と口へ水が入り、息が詰まった。
沈みかけた身体をどうにか浮かせようと手足を動かし、無我夢中で水を掻く。
やがて頭が海面へ飛び出すと、レオヴァは大きく息を吸い込んだ。
「んぶっ! ハァッ…ハァ……あぶない…しぬかと おもった…」
船へ戻ろうにも、周囲は騒然としている。
幸い島まではそれほど離れていなかったため、レオヴァは浜辺を目指して必死に泳いだ。
背泳ぎで。
泳ぐのはこれが初めてだったが、沈まないよう懸命に手足を動かしているうちに、どうにか前へ進むことはできた。
やはり死ぬ気になれば、七歳でも泳げるものらしい。
ようやく足が海底へ届き、レオヴァは波に押されながら浜辺へ這い上がった。
砂の上に手をつき、肩を大きく上下させる。
身体は海水を吸って重く、腕も足もすっかり疲れていた。
それでも何とか息を整え、周囲を見渡した時、先ほどの爆発の原因がようやく分かった。
少し離れた場所で、百獣海賊団と海軍らしき連中が戦闘を始めていた。
銃声や怒号が飛び交い、武器のぶつかる音が絶え間なく響いている。
あちこちで砂埃が舞い上がり、その向こうでは大勢の男達が入り乱れていた。
レオヴァが眺めていると、戦場の上空を大きな影が横切った。
「…あ、飛んでるのキングか。」
あの姿なら、遠目でもすぐに分かる。
『怯むな!賊を捕らえろー!!』
『ムハハハ!! 新作の実験にちょうどいいぜェ…!』
『ウワァ!? た、たすけてくれ! からだがァ……』
『!? 退避だ!』
『待て!ここで引いては民間人に被害が……!』
『遊んでんじゃねぇよクイーン。
さっさと片付けろ。やること残ってんだぞ。』
海兵達の悲鳴に混じって、クイーンとキングの声まで聞こえてくる。
どうやら二人とも、この程度の戦闘で苦戦している様子はない。
すっかりそちらへ意識を向けていたせいで、レオヴァは四人の男達が近くまで来ていることに気付かなかった。
「おい……あれ、百獣の船に乗ってるガキだろ?」
「似てるな……」
背後から聞こえた声に振り返ると、四人の海兵らしき男がこちらを見ていた。
そのうちの一人が、迷いなく銃を構える。
「よし、撃つぞ。」
「!? 子どもだぞ?」
「バカ野郎! ガキでもあの船に乗ってんだ!ヤベェやつに決まってんだろ!」
銃口がレオヴァへ向く。
二発の銃声が続けざまに響いた。
危ないところだった――と言いたいところだが、一発は当たってしまった。
咄嗟に身体をずらしたおかげで、一発目は避けられた。
だが、続けて放たれた二発目までは躱しきれず、左腕に鋭い衝撃が走った。
遅れて焼けるような痛みが広がり、傷口から流れ出した血が腕を伝っていく。
それでも指は動く。腕そのものも問題なく動かせそうだ。
致命傷になるような場所でなかったことに安堵していると、撃った側の男達が驚いた顔で近付いてきた。
「おい!ちゃんと狙えよ!!」
「いや、狙ったんだが……」
「避けたのか?」
レオヴァは左腕を押さえたまま、男達の会話へ耳を傾ける。
「偶然動いたから急所外れただけだろ」
どうやら、一発目を意図的に避けたとは考えていないらしい。
七歳の子供が銃弾を躱したという思考はないのだろう。
「まぁいいさ、当たってはいるんだ。捕縛しよう。」
「殺さないのか?」
「そうだ!ガキでも海賊なら殺しちまった方がいいだろ!」
「捕まえればあのカイドウを捕縛するのに使えるかもしれん!」
「あの化け物がガキで止まるとは思えねぇけどな……」
「とにかく捕まえてダメなら殺せばいいさ」
本人を前に随分と物騒な相談をしている男達だが、レオヴァは怯えるどころか、次第に別のことへ意識を向け始めていた。
最近は覇気も少しずつコントロール出来るようになってきた。
もっとも、先ほどは完全に気を抜いていたため、こうして左腕を撃たれてしまったのだが。
普段の船内では、人間を相手に試す機会はなかなかない。
そう考えれば、目の前にいる四人は絶好の練習相手、そう考えていた時だった。
「よし、新兵いけ!
この押収した宝も納品しなきゃならねぇんだ、急げよ!」
レオヴァの意識が、その一言へ引っ掛かった。
押収した宝。
「あ、はい……そうですね。じゃあ捕まえてきます」
新兵と呼ばれた男がこちらへ歩いてくる中、レオヴァは素早く考えを巡らせた。
こいつらについて行けば、海軍基地へ入れる。
押収した宝があるなら、他にも金品が保管されている可能性は高い。
それらを回収して持ち帰り、こっそり倉庫へ入れておけばウチの海賊団の資金にもなる。
覇気の練習もできる。
宝も手に入る。
一石二鳥だ。
それなら、ここで抵抗する必要はない。
レオヴァは油断させるため身体の力を抜くと、傷付いた左腕を庇いながら大人しく男を見上げた。
「キミ、動かないで。」
「……うん。」
素直な返事に、新兵の表情が少しだけ緩む。
「…ごめんね。大人しくしてくれれば痛い事はしないから」
「ん、わかった」
「じゃあ、ついて来てくれるかい?」
「うん、ついてく!」
子供らしく頷いてみせると、新兵は明らかにほっとした様子で笑った。
後ろにいる三人も、怪我をして従順になった子供を相手に、すっかり警戒を解いている。
それでいい。
今は油断していてもらった方が都合が良い。
隙を見て殺る。
それから金品を奪って逃げればいい。
レオヴァはそんな考えを胸の内に隠しながら、何も知らない子供を装って男達の後について行った。
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「あぁ……やべぇ…! 船長に言わねぇと!!」
海軍基地へ向かう一団を偶然見つけた百獣海賊団の男は、その中に混じる小さな姿を見て顔色を変えた。
四人の海兵に囲まれながら歩いているあの子どもは、間違いなくレオヴァだ。
そのまま海軍基地の中へ連れて行かれる姿を見届けると、男は慌てて踵を返し、カイドウのもとへ全速力で走った。
報告を受けた瞬間、周囲の空気が一変する。
「なんだとォ…!? レオヴァが連れてかれただァ!?」
腹の底まで震わせるような怒声が響き渡り、その場にいた部下達の身体が一斉に強張った。
カイドウの形相は凄まじかった。
眉間には深い皺が刻まれ、棍棒を握る手に力が籠もる。
「ヒィっ…!す、すみませ…ッ…」
怒りを向けられているわけでもないというのに、報告した男は思わず身を竦ませた。
「すぐにキングとクイーンを連れて来い…!!
ぐずぐずするなァ!!!」
「は、はいッ…!」
命令を受けた部下が弾かれたように駆け出していく。
カイドウはその背中を見送ることもなく、海軍基地のある方角へ鋭い視線を向けた。
やがて堪えきれない怒りをぶつけるように棍棒を振り上げる。
「海軍……ふざけやがってェ!!!」
棍棒が勢いよく地面へ叩きつけられる。
轟音と共に大地が砕け、足元から走った亀裂が周囲へ一気に広がり、近くにいた部下達までもが悲鳴を上げながら宙を舞った。
それから程なくして、キングとクイーンが駆けつける。
「カイドウさんッ…!遅くなりました…!」
「悪ぃ カイドウさん!!遅れた……!」
二人の姿を視界に入れるなりカイドウは間髪を入れず怒声を浴びせた。
「キング、クイーン!! 遅ェぞ!!!
今から海軍基地を潰しに行く!
レオヴァがそこに居る…!」
レオヴァの名が出た途端、二人の表情からもそれまでの余裕が消えた。
「急ぎましょう…!」
「わかったぜェ、カイドウさん!!」
三人から膨れ上がった覇気が周囲を呑み込み、その圧に耐えられなかった部下達が次々と意識を失って倒れていく。
だが、それを気に留める者はいなかった。
カイドウを先頭に、キングとクイーンもすぐさまその後へ続き、三人は海軍基地へと向かった。
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三人が海軍基地へ踏み込んでから、制圧までにさほど時間は掛からなかった。
壁は砕かれ、扉は吹き飛び、荒れ果てた廊下には海兵達が折り重なるように倒れている。
たった三人に一つの海軍基地が蹂躙されるという、常人には到底考えられない破壊が繰り広げられていた。
それでも、カイドウ達の苛立ちが収まることはなかった。
肝心のレオヴァが、どこにも見当たらないのだ。
基地の奥へ進みながら一つ一つ場所を確認していくものの、探している小さな姿は一向に現れなかった。
普段なら多少のことでは動じないキングとクイーンの表情にも、時間が経つにつれて焦りが滲み始める。
連れ去られた後、既に何かあったのではないか。
そんな考えを振り払うように、三人はさらに基地の奥へと進んでいった。
皮肉なことに、行く手を阻む海兵をほぼ全て倒したことで、建物の中に残る人の気配は大きく減っている。
その中から、カイドウが一つの気配を捉えた。
間違えるはずもない。探し続けていた、覚えのある気配だった。
レオヴァらしき気配にアタリをつけると、三人はすぐに進路を変えた。
瓦礫の散らばる廊下を踏み越え、基地のさらに奥へと足早に向かっていく。
そして、ようやく辿り着いた部屋で三人を待っていたのは、想像していたものとはまるで違う光景だった。
中へ踏み込んだ途端、むっとするほど濃い血の臭いが鼻についた。
そこには四人の男が倒れている。
二人は既にぴくりとも動かず、残る二人にはまだ息があった。そのうち一人は床へ倒れ込み、左腕を完全に失っている。流れ出た大量の血が床一面へ広がり、顔からはすっかり血の気が失われていた。
もう一人は椅子へ拘束されていた。
手の指はほとんど失われ、身体を小刻みに震わせながら、喉の奥からくぐもった呻き声を漏らしている。
そして、その凄惨な光景の中心に。
三人が探し続けていた少年――レオヴァがいた。
七歳の少年と、その周囲に倒れた海兵達。
あまりにも予想外の光景を前に、カイドウだけでなく、キングとクイーンまでもが珍しく目を丸くした。
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部屋の入口に立つ三人と目が合った瞬間、レオヴァの身体が僅かに強張った。
父だけではない。キングとクイーンまで揃っている。
よりにもよって、この状況を三人全員に見られてしまった。
…やってしまった。
誰も何も言わないままこちらを見ているのが、余計に不安を煽る。
だがそれも当然だろう。
七歳の子供がこんなことをしているところを見れば、自分だって言葉を失う。
改めて周囲を見渡せば、確かになかなか酷い有り様だった。
床には死体が転がり、片腕を失った男が血溜まりの中に倒れ、目の前には指をほとんど失った新兵が椅子へ縛りつけられている。
もっとも、レオヴァとしては理由もなくこんなことをしていたわけではない。
左腕を失って床へ転がっている男は、先ほどレオヴァの左腕を撃った海兵だった。
撃たれたのだから、その落とし前として相手の左腕を貰った。ただそれだけのことだ。
ナメられれば終わりだった。
やられても何も返さなければ、次はさらに付け込まれる。
そういう環境で長く生きてきたせいか、やられた分を相手へ返すことは、今では半ば習慣のようになっている。
椅子へ拘束している新兵を拷問していたのにも、もちろん理由があった。
知りたかったのは、海軍が押収した宝の保管場所だ。
基地までついて来た目的の一つでもあるため、どうにか聞き出そうとしていたのだが、思った以上に男の口が堅かった。
そのせいで随分と時間を取られ、結果として最も見られたくないところを父達に見られてしまった。
どうしたものかと考えていると、目の前で椅子が小さく軋んだ。
「ァ…た、…た"、す"…けて"…」
拘束された新兵が、椅子をガタガタと揺らしながらカイドウ達へ助けを求めている。
レオヴァはその声に気を取られ、僅かに手元への意識を逸らした。
そのせいだった。
本来なら指を切るつもりだった刃が、狙っていた位置よりも深く入ってしまう。
腕は完全には落ちなかったものの、半ばまで大きく裂けた。
傷口から血が溢れ出し、割れた肉の隙間から白い骨が覗いている。
「あ"があ"あ"ぁ"ーー!!!
はぁッ…ハッ…たのむ…たのむおねがいしますほんとにしらないんですほんとですころさないでくださいたすけてたすけてくれぇ!!」
突然響き渡った絶叫に、レオヴァは眉を寄せた。
煩い。
ただでさえ父にこんなところを見られ、怒られるかもしれないのだ。これ以上騒がれて、さらに機嫌まで悪くされては困る。
そう考えると、レオヴァはすぐに刃を走らせた。
切っ先が男の喉を裂き、それまで部屋中へ響いていた絶叫が途切れる。
再び静けさが戻った。
それでも、父達は何も言わない。
レオヴァはしばらく三人の顔を窺っていたが、いつまでも黙っているわけにもいかず、やがて意を決した。
まず騒がしくしてしまったことから謝らなければ。
「あ~……とうさん、 うるさくて ごめんなさい
しずかに してもらったから ゆるしてほしい……」
言い終えると、妙な沈黙が流れた。
父の反応を窺いながら待っていると、やがてカイドウの口元が大きく持ち上がる。
次の瞬間、静まり返っていた部屋に豪快な笑い声が響き渡った。
「ウォロロロロロロロ…!!
レオヴァ!これはお前が殺ったのか」
怒っている様子はない。
予想していなかった反応にレオヴァは少し戸惑ったものの、隠す必要もないため素直に頷いた。
「はい……やられたから やりかえした…あと、たから あるっていうから」
その答えを聞いた途端、カイドウの笑みはさらに深くなった。
「そうか、そうか…! やるじゃねぇか!!
見ろ!クイーン、キング、この歳でレオヴァがこれをやったんだぞ! ウォロロロロロ……!!! それでこそ おれの子だァ!!」
怒られるどころか、褒められている。
カイドウは心底嬉しそうに笑いながら、誇らしげに息子を見ていた。
キングも室内へ視線を巡らせ、倒れている男達の人数や状態、拘束の仕方を一通り確認したあと、いつもの落ち着いた声音で口を開く。
「さすがカイドウさんの子だな。その拷問の仕方はなかなか効率が良い。
人数を絞るのもリスクが減る…良い判断だレオヴァ坊っちゃん」
キングまで普通に褒めてくる。
その隣では、クイーンも楽しそうに腹を揺らしながら笑っていた。
「ムハハハ! 7歳でコレかよ…!先が楽しみになるぜ!
あと、宝の場所なら もう把握済みだぜぇレオヴァ~!」
思っていたのとは、まるで真逆の反応だった。
だが、父に褒められたのは素直に嬉しい。
それにキングとクイーンも、自分を気味悪がったり距離を取ったりする様子はまるでなかった。
どうやら心配する必要はなかったらしい。
そのことにひと安心したレオヴァは、その後クイーンと共に保管庫へ向かい、目当てだった宝を奪って船へと戻った。
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この一件を境に、レオヴァは少しずつ意識して子供らしく振る舞うことを止めていった。
これまでは七歳という外見に合わせ、周囲から不自然に思われないよう多少は年相応の振る舞いを意識していた。
しかし、あの光景を目にしてなお父達の態度が変わらなかったことで、必要以上に自分を取り繕う意味もないのだと分かったのだ。
それと同時に、海戦へ参加することも許されるようになった。
もっとも、カイドウのもとで戦いを学ぶ以上、安全な場所から少しずつ経験を積ませてもらえるわけではない。
父さん曰く “死にかければ強くなる“ 。
その言葉通り、レオヴァが放り込まれる戦場には命の危険を感じる場面も多く、本当に死にかけたことも一度や二度ではなかった。
それでも、その度に生き残った。
傷を負っても治り、また次の戦場へ出ていく。
前世の自分に、ここまでの生命力があった記憶はない。そう考えると、この異様なほどの頑丈さは父から受け継いだものなのだろう。
あのカイドウの息子なのだから、妙に納得できる話ではあった。
とはいえ、父の無茶苦茶な鍛え方を思い返せば、さすがに少し頭が痛くなる。
それでも、息子である自分を強くするためにやっているのだと思えば、レオヴァにとって嫌なことではなかった。
むしろ、そこに父なりの愛情を感じられることが嬉しかった。
そうして海戦へ出て、戦い方を学び、幾度となく傷を負いながら経験を重ねていくうちに、さらに五年の月日が流れた。
──── そして遂に、レオヴァは12歳になった。
誕生日が近付いた頃、カイドウから何か欲しいものはないかと尋ねられ、レオヴァが頼んだのは武器だった。
やがてその話を聞いたクイーンがやって来て、どんな武器が欲しいのかと尋ねてくる。
レオヴァの答えは決まっていた。
戦斧だ。
前世でも長く愛用していた武器であり、何より自分の手に最も馴染んでいる。
それを聞いたクイーンは途端に嬉しそうな顔をすると、
“ムハハハハハ~~!
おれが とっておきの最高の戦斧を作ってやるぜェ!“
そう言い残し、そのまま勢いよく飛び出して行った。
あまりの勢いに、レオヴァは呆気にとられてその背中を見送るしかなかった。
それから数日後。
迎えた誕生日にクイーンから手渡された戦斧を目にして、レオヴァは思わず見入った。
手に取れば、ずしりと確かな重量が腕へ伝わってくる。
大きさも、形も、握った時の感覚も申し分ない。
クイーンは宣言通りのプレゼントを運んできたのだ。
それは間違いなく――“最高の戦斧”だった。
こうして新たな武器を手に入れたレオヴァは、さらに父と百獣海賊団へ貢献するべく、これまで以上に戦場へと身を投じていくのである。
読んでも読まなくても良い補足情報
男主 戦闘スタイル
武器
┗ 戦斧
戦闘スタイル
・斬りつけたり、突き崩すなど。
主に相手の攻撃を受け流して斧の鎌状になっている部分で相手の首や腕、足などを引っ掻けて少しずつ動きを鈍らせる、または受け流した拍子に隙があればそのまま一撃で落とすなどカウンターに寄ったスタイルである。
・先端に重さがある武器であるため、その重心を利用して素早く振り回したり、時には斧頭を蹴り軌道を変えたりなどトリッキーな動きをする。