コメントにてありましたのでアンケート実施しました~!
答えても良いよと言う方はお答え頂けたら嬉しいですm(__)m
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あれから獣人島の件が一段落つき、外のナワバリの調整もほぼ終わらせた。
使えるモノが有るナワバリは多めに人員を送り、少しの期間滞在し友好関係を築く……その繰り返しだ。
どの島でも似たようなやり取りばかりで少し疲れたが、百獣海賊団の発展の為には必要な事…手間は惜しめない。
他にもナワバリ維持のための船員の教育も手を抜くわけにはいかなかった。
なんでもかんでも暴力で解決しようとする者がどうしても多い……
友好関係を築けるように出来るだけ性格に問題のない者を中心に振り分けたが……やはり人手が足りない。
俺は少しばかり遠くまで遠征へと向かうことに決めた。
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長らく続いていた争いが幕を閉じた。
このディアス海戦終幕までの間
王から与えられた勲章を身に付け、俺は祖国の為に戦争の処刑人として尽くした。
汚れ仕事だという事は理解していた。
だが、愛する祖国の役に立てるなら構わなかった。
数百…数千人の人間の首を祖国の命に従い……捧げた。
全て……すべては祖国の為に。
幾千もの敵の首を刎ねる俺を海戦中は王も国民も英雄と呼んだ。
……しかし、海戦が終わった今は誰もが俺を蔑んだ。
──── ディアス海戦のA級戦犯
“首はね スレイマン”
全ての者がそう呼び、俺を憎んだ。
そして、愛していた祖国に裏切られ……犯罪者という汚名をきせられながら国を追われた。
犯罪者として手配書が出回ってしまっている以上、まともな仕事など出来る筈もなく
傭兵や殺し屋のような仕事をしながら生きていた。
生きることに意味を見出だせず……かと言って自ら命を絶ち死ぬ事も出来なかった。
暫く後、俺は雇い主からある仕事を受けた。
『いくらでも払う、百獣海賊団カイドウの息子を殺せ。
アイツにナワバリを奪われたんだ……首をカイドウに送り付けてやる……!
……テメェには1年間も仕事をやった恩があるんだ…断らねぇよな?』
復讐心に顔が歪んだ男の言葉に俺は頷いた。
“レオヴァ”と言う青年は百獣のカイドウの息子だと言うが
死に場所を探す俺にはカイドウほど良い相手はいないだろうと、リスクを承知で受け入れた。
……だが、俺は間違っていた。
カイドウに辿り着くどころか目の前の青年に手も足も出ない。
傷1つ付けることも出来ずに膝をついた俺に止めを刺すでもなく彼は告げた。
『…悪いが自殺に付き合ってやるつもりはない
何を思い詰めているのかは知らないが……
…再戦を申し込みたいと言うのなら受けて立とう、出直して来い。』
実力、誇り、自信、知恵
彼は俺に無いものを全て持っているように見えた。
俺はその後も幾度となく再戦を申し込み……全敗した。
初めての事だった…
かの海戦でもこれ程までに敵わない相手などいなかった
……そして、俺に優しく微笑みかける人間もいなかった。
処刑人……それは国の命を受けた人殺し
敬遠対象とされ…処刑人は忌まわしい者として扱われてきた
だからこそ俺は身に付けた2つの勲章を誇りに想ってきた。
だが国に裏切られた今、この勲章など何の価値もない飾りである。
……俺は身に付けていた勲章を捨て去り、今一度彼に再戦を申し込んだ。
『……それは捨てて良いモノなのか?』
『構わない…
もうアレは俺には不要なものだ。
今まで縋ってきたが……それは間違いだった。
俺は……ただの男、スレイマンとして貴方に挑みたい…!』
『そうか……ならば、お前の心意気に応えよう。
百獣海賊団総督補佐官レオヴァ……この戦い受けて立とう…!』
『感謝する……! 』
ふっと柔らかく笑った彼は俺の申し出を受け入れてくれた。
今までの戦いで彼には敵わないことは分かりきっていた。
それでも、俺の全力を……俺自身の想いと力の全てを彼に見て欲しかった。
…亡霊のような姿を晒して終わるのだけは嫌だったのだ。
── しかし、俺の全てを懸けた戦いはすぐに幕を閉じた。
彼は何もかも、あらゆる格が違う。
……何もない俺が5分も刃を交えられたのだ…上出来だろう。
『……見事だ、敵わないな……貴方には…』
『…楽しかったぞ、スレイマン。』
『フッ……おれには……勿体ない…言葉だ……』
戦いを楽しかったと言ってくれる彼を最後に視界に収め、俺は崩れ落ちた。
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目が覚めると俺は宿にいた。
どうやら彼は、また止めを刺さずに宿へ届けたらしい。
包帯や縫い痕のある体を見て、彼が治療してくれたのだろうと苦笑いが洩れた。
『……薬代くらい…おれの財布から抜いてくれれば良いというのに』
呟きながら俺は肩の傷を撫でた。
全てを懸けた戦いで敗けたが、清々しい気分だった。
どうやら本当にあの国に囚われすぎて視野が狭くなっていた様だ。
俺の叫びに答えた彼の言葉を思い出す。
『…祖国を想う気持ちは素晴らしいが……
それに縛られ身動きが取れなくなるくらいなら
祖国への想いなど捨ててしまえばいい
……お前のそれは依存だ、忠義じゃない。』
…確かにあれは依存だったのだろう。
処刑人という立場上周りから距離をとられ、必要とされなかった俺は……海戦で必要とされた時に嬉しさを感じた。
“見返りは要らない”
その自分が王に誓った言葉は嘘だったと今になって自覚した。
俺は尽くす代わりに信頼や人との繋がりが欲しかったんだろう……
今さら気付いた事実に俺は情けなさに頭を抱えていたが
部屋に訪れた気配に、思考に沈んでいた意識を浮上させる。
ベッドから立ち上がるのと同時に、荒々しく扉が開かれた。
「動くな……!!
ディアス海戦A級戦犯…“首はねスレイマン”!!」
「本物だ……手早く捕縛するぞ!」
「抵抗する場合は武力行使に出る…止まれ……!!」
部屋や外には囲むように海兵たちが集まっている。
俺は未だ痛む傷を庇いながらも、海兵たちを掻い潜り雇い主の下へと走り抜けた。
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流石に彼との戦いの後に、あの数の海兵は荷が重かった様だ。
雇い主の下へと着いた時には歩くのがやっとの状態になっており、
……俺はまた、裏切られたのだ。
まさか、海兵を仕向けて来たのが雇い主だったとは…
『役立たずが……テメェら!早くコイツの首を持って海兵から金をもらってこい!!
カイドウの息子を殺せなかったんだ、せめておれの資金源になってもらうぞ…ディアスの戦犯…!!』
全くもって酷い笑い話だ。
数えるのも億劫になるほど首を切りつづけ “首はね” と呼ばれた男の最期が裏切られ首をはねられて終わるのだから…
因果応報……瞼を閉じると同時に、その言葉が過った。
「もう、テメェは必要ねぇ……!」
その言葉と同時に、雇い主は雷に打たれ炭と化した。
衝撃に固まった俺や雇い主の部下たちの後ろにいつの間にか青年が立っている。
「そうか、要らないなら貰っても構わないよな……?」
彼はそう言うと手から光る槍を“作り出し”、周りで呆ける男の部下たちを一掃した。
俺はただ、彼の行為をずっと見ているだけだった。
そして、周りに立っている者が彼だけになる。
縛られ膝立ちになっている俺の前に来ると彼は光るトマホークを作り出し、投げた。
縛るものは切れ、俺は自由になった。
「おれはお前に勝った。
……敗者は勝者のものだと思うのだが…
…スレイマン、お前はどう思う…?」
「貴方の言う通りだ。
勝者には敗者の全てを握る権利がある。」
「なら、スレイマン……おれと共に来てくれるか?」
「……従えと言えば良いのに、疑問形なのか…?」
「おれは無理やりに意思を曲げさせて部下にしたい訳じゃない
それに、お前のことが気に入ったんだ。
……あぁ、断っても手は出さないから本心から答えて欲しい。」
「…貴方は天使の様でもあるし悪魔の様でもある……」
「それは…褒めているのか……?」
きょとんとした顔で首を傾げた彼に俺は笑った
本当に悪魔か天使か分からない青年だ。
……だが1つだけ確かな事がある
彼は俺を一人の人として尊重し、必要としてくれている。
彼と共に行きたいと叫ぶ俺の心に嘘はつけない。
「勿論、褒めている。
……貴方と共に行かせてくれ…おれの生涯を捧げると誓おう。」
「生涯か……少しばかり誓いが重いなァ…スレイマン」
「こういう性分なんだ……レオヴァ様」
「呼び捨てで構わないのだが…?」
「仕える主を呼び捨てにするなど、有り得ない事だ。」
「……分からない奴だな」
「貴方も大概だろう?」
そう言って笑ってみせるとレオヴァ様も笑う。
傷だらけの俺は主に支えられるという不甲斐ない姿のまま、レオヴァ様の船へと向かった。
国を追われてから今まで笑うことも出来なかった俺は
レオヴァ様に会い、笑えるようになった。
彼に全てを捧げ、尽くすことこそが残りの人生の生きる意味だ。
レオヴァ様は見返りを与えてくれる。
俺が望んだ人との繋がり、生きるための金、尽くせる主君たち
そして……揺るがぬ大きな“信頼”
彼は見返りを求める卑しい俺を肯定してくれる。
祖国ではただひたすら尽くすことが美徳とされていたが
レオヴァ様は寧ろ、見返りは当たり前だと俺に説いてくれる。
『お前はおれの為に動いてくれているんだ
その働きに見合う対価を貰うことの何が悪い…?
もっと欲しがれ…お前は海賊である、おれの大切な部下だ。
無欲は時に仕える相手を不快にするぞ…スレイマン?』
そう言って俺に笑いかけてくれるレオヴァ様がどれ程眩しかったか……
俺は沈まぬ太陽と共に歩む資格を得られた。
そして、彼は更に俺への信頼を表すかのように
“悪魔の実”を授けてくれたのだ。
それは超人系の悪魔の実……ゴルゴルの実だった。
資金源としても戦闘能力としても使える この力をレオヴァ様は手ずから俺へ与えてくれた。
“最大級の信頼”
ずっと俺が欲しかったものだ。
いつもレオヴァ様は俺自身を見てくれる
───彼こそが全てであり世界……!
俺は百獣海賊団に敵対する愚かな者共を黄金で縛り付け処刑を行いながら、胸に輝く彼を象ったエンブレムに触れた。
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報告書を読みながらレオヴァは満足げに笑う。
思わぬ拾い物であった “首はねスレイマン” は予想以上の働きをみせているのだ。
実力も申し分なく、更には政略にも強い。
元々、国に仕えていた為か民衆への態度や部下の使い方も悪くなかった。
過去に余程おざなりな扱いを受けたのか、レオヴァが普通に接するだけで初めは狼狽えていた。
しかし、今では要望も口に出すようになり、笑うことも増え
仕事以外ではレオヴァの側近のような態度をとるまでになった。
そして、スレイマンのその態度や仕事振りを見たレオヴァは保管していたゴルゴルの実を与えたのだが
それ以降、更にスレイマンの盲信のような忠誠は加速した。
『アレ、部下ってより信者じゃねぇの……?
ずっとレオヴァレオヴァうるせぇし…あんなのが側にいて疲れねぇのかァ?』
と、クイーンに精神的なストレスを心配されるくらい
スレイマンのレオヴァへの忠誠は病的なほど高かった。
だが、レオヴァは重すぎるスレイマンの忠誠を受け止め続けている。
彼にとって大切なのは人格ではない。
どれだけ百獣海賊団……カイドウに尽くせるのかだ。
レオヴァは今日も仕事をおえたスレイマンに微笑みながら労りの言葉をかける。
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酒瓶を手に頬杖をつくカイドウと、おしるこ鍋を片手に抱えたクイーンの前で部下が報告を続ける。
「……と言う訳で、スレイマン入団から半年が立ちましたが奴はなかなか優秀です…!
レオヴァ様の横を我が物顔で陣取ってるのは羨ま……ゴホゴホッ
…頂けねぇですが、戦闘だけでなくナワバリの調整の腕もいいようです。
なによりゴルゴルの実の力で資金に困らねぇのが大きいかと…!」
カイドウは報告を聞き終わると、部下に下がるように言い
部屋にはクイーンとカイドウが残る。
「レオヴァがあんな物理的に金になる実を持ってたとは思わなかったぜ……!」
「オペオペの実と一緒に悪魔の実を手に入れたとは言ってたからなァ…
金策に使えるものだと上機嫌だったのは、こういう事だったか」
「……欲のない奴に食わせるってのは良いけどよォ…
カイドウさん的にはアイツ……良いんスか?」
「ウチによく尽くしてるじゃねぇか
役に立つ奴だとレオヴァも言ってる。
……何か報告にねぇ問題でもあったのかァ…?」
「……いや、カイドウさん的に問題ないなら良いっす。」
首を傾げたカイドウにクイーンは苦笑いで返す。
あの金魚のフンの如くレオヴァに付きまとう狂信者を
役に立つからと言う理由で盲信をスルーした器が大きいのか
ただ気にしないだけなのか分からぬ性格に
クイーンは血は争えねぇなァ……と独り言ちた。
後書き
↓スレイマン捕捉
・スレイマン
現在は資金作りとナワバリを襲う賊を消す仕事をしている。
仕事人間だが、最近は休むことも覚えた。
ドレーク、狂死郎とは相性がいいが、クイーンとは微妙。
一度、獣人島にてレオヴァに飛び付いてきたネコマムシに驚き剣を抜く事件はあったが、すぐに和解した。
休みの日はワノ国の民の手伝いをドレークと共にしているので民衆から人気がある。
本人は民との交流を嬉しく思っており、根は善人寄りである。
レオヴァとカイドウの事となると少し直情的になりやすい。