俺がカイドウの息子…?   作:もちお(もす)

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今回、最後に小話あります!(part2で終わる予定です)

感想、誤字報告助かります!コメントなどもありがとうございます~!!

アンケートのご回答もありがとうございます!
男女比や新人類の方々や超越者さまに驚いております(^^)
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捨てる者あれば拾う神あり

 

 

 

 

大海原を船が漂っている。

 

 

大きな船は流れに任せ揺れるだけで、操舵手は見当たらない。

 

晴れ渡る空とは対照的なその船は、まるで幽霊船のようであった。

 

 

 

 

 

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今、船に乗っている私たち146人はいつ餓死してもおかしくない状態だった。

 

大きな鉄の船……私たちにとっては監獄だ。

 

何故こんな思いをしなければならないのか…

……私はただ人を救いたい……その一心で医者になったと言うのに…

 

 

 

この地獄が始まったのは先代の国王が亡くなり

その後継者として王になったワポル国王が原因だった。

 

 

ワポル国王は就任してまもなく、“医者狩り”を始めたのだ。

そして、私たち146人は捕まり……海へと放り出された。

 

 

この船に航海士などいない

居るのはワポル国王を拒んだ医者のみ。

 

ワポル国王は十分な食料も積ませずに私たちを海へと捨てたのだ。

 

名目上は追放と言う形だったが、こんなもの…死刑となんら変わらないじゃないか……!

 

 

少なかった食料はすぐに底をつき

私たちは生きるために、雨水や革靴、皮ベルトなどを食べて過ごした。

だが……もうそれも残りわずかだ………

 

 

 

4人の仲間が死んだ。

……生きるためには、亡骸を食べるしかないと言う者も出始めている。

 

 

── もう、限界だった。

 

 

 

 

しかし、私たちを乗せた船は偶然にも島へ漂着出来たのだ。

 

皆、喜びに震えた……!!

 

島にある葉や木の実を無我夢中で貪った。

ただ問題があった……その島は小さな無人島なのだ。

生きるにはあまりに過酷…

 

けれど、私たちは諦めずに1ヶ月間 何もない島で生き抜いた。

 

そうして、死に物狂いで生活していると

無人島に船が現れ、人がやって来たのだ。

 

 

私たちは直ぐに助けを頼むべく船の下へと向かった

十代の若者や老人だっていた……皆限界を超えて生きてきたんだ…

これ以上はきっと耐えられない…

 

縋る思いで船から降りてきた男達に駆け寄って行った私たちの代表は…………撃ち殺された。

 

 

 

「貴様ら!なぜ、この島にいる!?

この島が誰のものかわかっているのか!

……お前達、この小汚ない者共を捕らえろ!」

 

 

代表を殺した男の掛け声に答え、多くの兵士が私たちに向かってくる。

 

 

ギリギリの生活を続けていた私たちに抵抗など出来る筈もなく……

生き残っていた私たち138人は縛り上げられ、一人ずつ鞭で打たれ、何故この島に居るのかと問いただされた。

 

遭難者であることや国を追われた事も話したが兵士達は信じてなどくれない。

 

 

…人を救うために日々努力し、医者になったと言うのに……

国を追われ…人とは思えぬ生活を強いられ……挙げ句にこの仕打ちだ…………もう、耐えられない…

 

私は辱しめを受けるくらいなら、舌を噛み切って死ぬつもりだった。

 

 

……だが、突如その必要はなくなった。

 

 

私たちを痛め付け、侮辱を与えたもの達は海の藻屑と化したのだから……

 

 

 

 

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私たち元ドラム王国の医者の生き残り138人は

角の生えた青年とその青年に付き従う騎士風の青年

斑模様の帽子を被った少年、そして人語を喋るクマに助けられたのだ。

 

 

この3人と1匹の方々は兵士たちを一瞬で制圧すると、張り付けにされた私たちを次々と解放し

さらに手当てまでしてくれたのだ。

 

 

私たちは泣きながら必死に頭を下げて礼を述べた。

 

彼ら……レオヴァ様、スレイマン様、ロー様、ベポ様のお三方と一匹は私たちに何を求めるでもなく休めるように毛布などを配ってくれる。

 

 

毛布にくるまり、今までの生活と長時間に及ぶ拷問に疲弊しきった私たちの下に大きなワゴンが運ばれてきた。

 

とても良い匂いのするワゴンに私たちは目が釘付けになる。

口を開けたまま動かない私たちにベポ様が声をかけてくれた。

 

 

「みんな~!

レオヴァさまがご飯作ってくれたよ!

えっとね……スープとおこめ!

レオヴァ様の作るご飯はスゴい美味しいんだよ!」

 

 

笑顔でお皿を準備してくれるベポ様の補足をするようにスレイマン様が告げる。

 

 

「カボチャ豆乳スムージーと、鮭とほたての出汁粥だと言われただろう、ベポ。

お前たち、これはレオヴァ様が作ったものだ。

味も栄養も全てが完璧……心して食べるように。」

 

 

用意されたお皿にスープとお粥を注ぎながら教えてもらった料理名を皆が呟き、目の前のご馳走を目元を押さえながらも味わった。

 

 

スムージーはカボチャや蜂蜜……それから、すりおろした生姜などが入っている様だった

ほんのりとした自然の甘さが舌を優しく包み、腹と心を満たしてくれる。

 

私はあまりの美味しさに直ぐに平らげてしまった。

 

そして、温かな粥もゆっくりと口に運んだ。

ホタテのうま味たっぷりの出汁とほぐされた焼き鮭が全身に染み渡る……

しっかりと煮込まれているのか、ホタテも鮭も口の中でほろほろと崩れた。

 

皆、美味しすぎるスープと粥を味わい尽くしている

 

 

私が空になった皿を握りながら皆の粥を見ているとレオヴァ様が現れ、空の皿におかわりを注いでくれた。

 

 

「皆、ゆっくり食べてくれ。

食材はまだまだある

無くなっても、またおれが作ろう。

……ベポ、欲しがっている者の皿に注いで回ってやってくれ

スレイマンはおれと共に寝床の準備を、ローはベポの面倒を見ておくように。」

 

 

レオヴァ様は私たちが安心出来るように優しく言うと、スレイマン様と共に空へと飛び立って行った。

 

 

 

暫くすると島の上空に大きな船が降りてきた。

 

私たちは余りの出来事に言葉も出せずにいると、船はそのまま海岸へと降り立った。

 

中から出てきたスレイマン様に誘導され

私たちは船の中にある、ふかふかなベッドで一夜を過ごした。

夢のような出来事だったが、私は助かったのだと心から喜んだ。

 

 

 

次の日の朝も、食べ進める手が止まらぬほど美味しい朝食をレオヴァ様が作ってくれた。

そして、食べ終わった私たちはロー様に呼ばれ

船の中の広間に集められた。

 

 

「昨日は良く休めただろうか?

おれ達は、やるべきことを終えたので国に帰るのだが

一度乗りかかった船だ、途中で放り出すつもりはない。

皆を望む場所まで送って行こう……して、何処の国出身なんだ?」

 

 

レオヴァ様の言葉に皆が押し黙った。

そう、レオヴァ様達には遭難したとしか伝えていなかったのだ……

帰る国などない…

いや、帰れるとしても二度とあの土地に踏み入ることなどない!!

 

国王は勿論、国民たちとて見ているだけで私たちを助けようとしてくれなかった……

そんな人間たちの居る国など御免だ…

 

押し黙った私たちにロー様が話しかけてくれた。

 

 

「…黙ってたんじゃ分からねぇよ、何かあるならハッキリ言え。

レオヴァさんは差し伸べた手を引っ込めるような真似はしねぇから…大丈夫だ」

 

 

ロー様の言葉に私は覚悟を決めた。

 

 

「れ、レオヴァ様!

実は……私たちは国を追い出されたのです…」

 

 

レオヴァ様は驚いた顔で問いかけてくる。

 

 

「追い出された…? 何故だ。

何か罪を犯したのか?」

 

私は力なく項垂れ、首をふる。

 

 

「罪など……罪など犯しておりません…

医者だから……追い出されたのです…」

 

「医者だから……?

すまない、辛いだろうが…詳しく聞かせてくれるか?」

 

 

項垂れた私の肩に手を置き、レオヴァ様は優しく話を聞いて下さった。

 

 

嗚咽混じりに全て話し終えると、スレイマン様が怒りに震える声を隠そうともせず呟いた。

 

  

「……身勝手が過ぎる…!

そんなもの王でも国でもない…愚か者の巣窟だ……!」

 

 

ベポ様も私たちに同情し泣きながら怒ってくれる。

 

 

「そ、そんなの……酷すぎる…ぅう……

…皆すごい頑張ってお医者さんになったのに!

勉強たいへんなの、おれも知ってる……なのに!」

 

 

ロー様は帽子を深くかぶり表情が見えないが、ベポ様の背を優しく撫でながら呟いていた。

 

 

「……どこにでもクズは居るもんだ…」

 

 

私たちを想い怒って下さる優しさに、嬉しさと安堵が沸き上がった。

力が抜け床に座り込みそうになった私をレオヴァ様は優しく支えてくれた。

 

 

「……よく分かった。

なら、暫くおれが皆の住む場所の面倒を見よう。

ワノ国には医療施設がある

そこで働きながら、今後どうするかを考えるといい。

何処か移り住みたい場所が出来たら、そこまで送って行こう。

……だからもう、安心してくれ」

 

 

私は無礼だと分かっていたがレオヴァ様に抱きつき、安堵から泣き続けた。

周りの皆もお互いに抱き合い泣いていた。

 

レオヴァ様は泣く私に 

『今までよく耐えた……頑張ったな』

と優しい言葉をかけ続けてくれた。

 

 

 

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あれから私たちはワノ国の医療施設の仕事をもらった。

 

ワノ国は素晴らしい……!

住む人々は優しく、礼儀正しい。

それに国全体の治安もよく、食べ物も他とは比べ物にならない程の旨さだった。

 

 

医療施設での給金はとても多く、生活には困らない

それに清潔さと設備が段違いだ。

 

レオヴァ様自身が船医だったらしく、私たちの知らぬ病気の治し方や対処方なども教えてくださる。

 

ロー様に至っては天才と呼ぶのが相応しいほどの医術の腕…!

 

私はロー様に教えを乞い、更なる医術の進化に貢献しようと奮起した。

 

 

ワノ国での医者としての生活は順調だ。

私たちをお医者様と言って尊敬し、感謝の気持ちを常に伝えてくれるワノ国の皆さん

 

忙しい中、わざわざ時間を作ってまで土産を手に様子を見にきて下さるレオヴァ様。

海賊や外の穢れから私たちを守ってくださるカイドウ様。

他にも手伝いに来て下さるスレイマン様やドレーク様

そして可愛らしい笑顔で元気を下さるベポ様。

 

 

レオヴァ様は何処か移り住みたい場所が出来たら送ると行って下さったが

私たちはワノ国から出るなんて考えられなくなっていた。

 

外は穢らわしい人間で溢れている…

そんな人間を治すのも関わるのも御免だ。

 

私たちはワノ国の皆さんと百獣海賊団の御仁様方だけを

怪我や病気から救えればいい。

 

 

 

 

レオヴァ様が土産といって渡して下さったクッキーを食べながら私は幸せを噛み締めた。

 

 

 

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クイーンは報告書を見て驚きを通り越して笑ってしまっていた。

キングはそれにマスクの下の顔をしかめる。

 

 

「うるせぇぞ、クイーン……!」

 

「ムハハハハハ……!!

いや、もうこんなの笑うしかねぇだろ…!

あの医療で有名なドラム王国の医者を100人以上連れ帰ってきたんだぜ!?

しかも当初の目的の貴族の持ってた悪魔の実も回収出来てるしよォ…!」

 

「レオヴァ坊っちゃんが遠出したら必要以上に成果を上げんのはいつもの事だろうが」

 

「どう考えても“必要以上”のレベルが高ェんだよ!?

そうだよなァ!カイドウさん……!!」

 

「ウォロロロロロ……!!

国に居ても外に出てもレオヴァの成果にゃ驚かされる…!

流石はおれの息子だぜ、レオヴァ!!」

 

 

そう言ってカイドウは声高らかに笑った。

 

 

レオヴァにとって、手に入ったら上々程度に考えていた医者はカイドウやキング、クイーンを驚かせるには十分な利益だった。

 

 

そもそも何故、レオヴァはあの島にいたのか……?

 

それはあの島の所有者である貴族の持つ悪魔の実を手に入れる為だった。

そして、その島は偶然ドラム王国の側にあった為に追放された医者たちも手に入ったと言う話だった。

 

偶然とは言ってもレオヴァの行っている情報収集で

追放された医者が周辺に居ることは予め分かってはいたが……

 

レオヴァはなに食わぬ顔で“偶然”助けた医者たちの面倒を見続けるのだった。

 

 

 

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【おまけ小話 part1】

 

  ~ 俺こそが ~

 

 ジャック&ドレーク編

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[ジャック編]

 

 

持っていた木枠のジョッキを砕いてしまうほどに、ジャックはイラついていた。

 

少し前に入ってきた男が敬愛するレオヴァから悪魔の実を授かったことは百歩……いや千歩譲って良いとしよう。

しかし、我が物顔でレオヴァの横を陣取っている事はいただけなかった。

 

 

『レオヴァさんがあそこまで手をかけてやる程の実力者ってわけでもねぇ…』

 

そう思ってしまうのも仕方ないだろう。

現に今、ジャックの実力は百獣海賊団の中では上から数えて5番目なのだ。

スレイマンではジャックを倒すことは出来ない。

 

だがしかし、その男の忠誠心や働きをジャックは悔しいが認めざるをえなかった。

ゴルゴルの実を与えられたと言うことはレオヴァに気に入られている。

その事実が見えないような馬鹿ではない。  

 

何より奴はジャックには出来ない“内政”という面でレオヴァの負担を減らしているのだ。

妬ましくはあるが、仕事ばかりで休む間もないレオヴァの仕事量が減るならば……と容認する他なかった。

 

 

けれどもジャックは自分が負けたとは思っていない。

確かに自分は内政や細かいことは苦手だが

カイドウやレオヴァの敵を叩きのめす為の実力があるのだ。

 

それにカイドウ直々に “大看板” という地位まで貰っている。

 

ジャックは広い心でスレイマンを見逃してやる事にした。

なんせ自分は“一番最初”に拾われ、レオヴァから直接戦闘を教わり

尚且つ、“弟のようだ”とまで言われたのだ。

 

 

『……おれが他の奴に負ける筈がねぇんだ!

おれは百獣海賊団 “大看板”のジャック……!!

 なんの問題もねぇ…!!』

 

ジャックは自分がレオヴァから

この中で一番頼られる男だと信じて疑わない。

 

 

 

────────────────

 

[ドレーク編]

 

 

ドレークは新しい仲間であるスレイマンとは息が合った。

 

何せ二人は共通点が多い。

スレイマンは国に裏切られて捨てられ

ドレークは親に裏切られて捨てられた。

 

そして、最初はレオヴァの敵であり

一切敵わなかったという所まで一緒だったのだ。

 

二人は夜通しレオヴァの素晴らしさを語り合いすっかり意気投合した。

 

 

他にも仕事がない時や早く片付いた時は二人で村や町に赴き、人々の手伝いを進んでやった。

 

どうやら二人は尽くす性分という所までも同じ様だった。

 

同志と呼べる間柄になった二人だったが、ドレークは少しの焦りがあった。

それはスレイマンがレオヴァの側近を自称し、我が物顔で隣を占領している事だ。

 

ただでさえ、ローやジャックは悪魔の実を直接レオヴァから貰っているというのに

スレイマンまでもが貰ってしまい、益々ドレークは焦った。

 

だが、ドレークはレオヴァの言葉を思いだし自分を落ち着かせる。

 

 

『ドリィ、お前のその諜報能力は百獣海賊団随一だ。

それに周りを見てサポートする能力にも長けてる…

ウチは()が強い奴らばかりだからな……頼りにしてるぞドリィ』

 

そう、自分にはジャックにもローにもない能力がある。

スレイマンにもあるにはあるが、彼はレオヴァやカイドウの事になると冷静さに欠ける所がある……

 

自分の周りを見て合わせる能力は過去の出来事が原因だったが、今はもう吹っ切れている。

 

この個性を伸ばして行けば自分こそがレオヴァに頼られる存在なのだと、ドレークは確信していた。

 

 

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後書き

Q、ローやベポ、ドレークの現在の立ち位置は?

A、ローはレオヴァの近衛隊、ベポはローの部下、ドレークも近衛隊です。

今後もう少しメンバーが増えたら、近衛隊から真打ちや飛び六胞になります~!

小話次回はロー、ベポ、スレイマンの3人を書く予定です。
気が向けばネコマムシ、ヒョウ五郎、狂死郎編もかくかもです(^-^)/

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