俺がカイドウの息子…?   作:もちお(もす)

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前回も誤字報告と感想ありがとうございます!!
読み返して下さっている方までいて嬉しさの極み……!
絶賛スランプ中なので更新遅くなります|゚ー゚)ノ
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掴みかけた希望

 

 

 

ワノ国の医療技術発展に“図らずも”貢献したレオヴァにカイドウからの休暇命令が下った。

 

 

 

 

『最低でも1ヶ月は休め……!!

上手いもん食って、好きに島巡りをする…

それがおれからの命令だ…!絶対に休め!!

 

本当ならおれも行くつもりだったが、外でナメた真似しやがる馬鹿共に灸を据えてやらなきゃならねぇ…

……これは、今回の禁止リストと監し…護衛メンバーだ、目を通しとけ。』

 

 

 

『1ヶ月も休み…?

………しかし…命令なら…そうだな……了解した…

いつも気を配ってくれてありがとう、父さん。

 

…だがそうか、父さんは一緒には来れないのか……』

 

 

『そう、落ち込むんじゃねぇレオヴァ!

次は絶対に時間を作る。

そうしたら2人で海軍基地でも潰しに行くぞ…!』

 

 

『それは楽しみだ……!!

………ところで…父さん、禁止リストの内容が増えているんだが…?

それに、こんなに護衛は必要ない。

おれに付けないで他の任務をやらせた方が父さんの面倒事も減ると思うんだが……』

 

 

 

『いや、監…ン"ン"ッ……護衛役は必須だ。

特にジャックは楽しみにしてんだ…連れてってやれ。

 

で、まぁ……ジャックが行くと言ったらわらわらと集まっちまってなァ…

一人として譲らねぇんだ、五人連れて行ってこい。

 

禁止リストは少しばかり増やしたが、問題ねぇだろ?

休む上ではなんら支障はねぇ筈だからなァ。

 

あと、任務はキングとクイーンもいるんだ、気にすんじゃねぇ

……いいか、しっかり休め。

船の操作も航空士としての役割も、なにもするな!

全部その五人にやらせろ。

お前は命令だけして美味いもんでも食いながらゆっくりするのが任務だ……いいな?』

 

 

『ジャックが楽しみにしてたのか……ふふ、なら連れて行くとしよう。

 

だが、何もしないのも手持ち無沙汰だな……』

 

 

 

『我慢しろ…!

暇なら前に買い込んでた医療書なり歴史書でも見て、島に着くまではゆっくり過ごせ。

……命令だ。

レオヴァ、休むのが任務だってことを忘れるんじゃねぇぞ…!』

 

 

『…父さん、わかってる……そんなに念を押さなくてもゆっくりしてくるよ。』

 

 

『土産もいつもの変な置物とかで構わねぇからな?

成果を出して帰ってくる必要はねぇ……休め。』

 

 

『…父さん、あれは変な置物じゃなくてだな

イアモと言うタスーイ島の歴史的な石像で未だに謎が多く不思議かつ独特な造りを…』

 

 

 

タスーイ島の石像について説明を始めたレオヴァを見て

また始まったか、とカイドウは笑いを溢しながら楽しげに酒を呷った。

 

 

 

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父さんからの禁止リストを片手に船室で、俺は暇を持て余していた。

 

なにせ、本当にやることがない。

 

 

船の操作や指示出しはジャックがやってしまうし、電気タンクの充電は国を出る前にカヅチが完璧に終えていた。

 

料理も父さんが選んだコックが居る。

 

他にも掃除など全てドレークとスレイマンが器用にこなしている様だった。

 

 

…………これは、本当に暇すぎる。

 

 

 

今後の方針や遠征先、取り組み案などをまとめようかとも思ったが…

禁止リストに乗っている為、断念せざるを得なかった。

 

……このリストの増えた部分はキングの進言だろうな…

全く…俺の行動を予測する有能さに喜ぶべきか悲しむべきか……

 

 

 

暇になったときにでも読もうかと思い持ってきた本があったが、想像以上にやることがなく……すべて読み終わってしまった。

 

 

 

目的の島に着くまで俺はローとベポの漫才の様なやり取りを微笑ましく眺めながら過ごした。

 

 

 

…………父さんへの土産は何にしようか…

 

 

 

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深海にある綺麗な島についた六人は船を降りた。

 

 

来る途中は海王類に怯えて静かだったベポが元気を取り戻し、満面の笑みでレオヴァに抱きつく。

 

 

 

「うわぁ~!!

海の中はハラハラしたけど、スゴいキレイな島だね!

レオヴァさま、おれレストラン行きたいよ!!」

 

 

「おい、レオヴァ様のやりたい事が何よりも優先に決まっているだろう。

はしゃぐ気持ちはわかるが、優先順位を違えるな…ベポ。」

 

 

「うん、わかったよ~…

あ! かき氷食べたいね、レオヴァ様!」

 

 

「返事だけか貴様……!」

 

 

「まぁ、落ち着けスレイマン

ベポには言うだけ無駄だ。」

 

 

「……まったく…ロー、しっかり躾けておけ。」

 

 

「なんで おれなんだ……ネコマムシに言えよ」

 

 

 

「てめェら騒がしいぞ……!

…レオヴァさん、どうする……島巡りからするのか?」

 

 

 

ベポを叱るスレイマンをドレークが宥める。

 

ローはベポの保護者の様な扱いを受け、不満気味に眉をしかめた。

 

 

その賑やかな四人にジャックは渇を入れると

すぐにレオヴァの要望を聞くべく、くっついたままのベポを剥がして横に並んだ。

 

 

そんな五人のやり取りに笑いながらもレオヴァはジャックに掴まれたままのベポを助けてやると、少し考える素振りを見せたあと微笑みながら答えた。

 

 

 

「…実は魚人島に来るのは2度目でな。

観光はあとにして、レストランに行こう

…その後に珊瑚の仕入れにも行きたい」

 

 

「カイドウさんから仕事はさせるなと言われてる。

…珊瑚の仕入れは仕事かレオヴァさん…?」

 

 

「内政にも少し使う予定はあるが、装飾加工用や民たちへの土産だ。

あとは少し実験にも使いたくてな…まぁ趣味の範囲だ。」

 

 

「……わかった、土産や趣味なら問題ねぇ。

レオヴァさんのやりたい事を優先させろとも言われてるからな」

 

 

「ジャックがこの遠征の指揮役だったな。

……わかってるとは思うが観光に来ただけだから争い事は避けるんだぞ?」

 

 

「勿論、わかってる。

今回はおれが指揮するんだ、絶対にレオヴァさんの休暇は邪魔させねぇ……!!」

 

 

「…気合い入れすぎじゃないか? ジャック……」

 

 

 

 

目をギラギラさせながら気合いに拳を握りしめるジャックにレオヴァは苦笑いを溢した。

 

 

二人の相変わらずの会話にドレークとローはやれやれと言った様にお互いに目を見合った。

 

 

そして、レオヴァの掛け声で見た目も個性もバラバラな六人はレストランへ向かったのだった。

 

 

 

 

 

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広間では魚人島の王妃である“オトヒメ”の演説が延々と続けられている。

 

 

それを聞きに集まっている魚人や人魚たちの表情は明るく希望に浮き立っているように見えた。

 

 

 

次々と署名を箱に入れていく魚人島の国民たちを嬉しそうに眺めるオトヒメを守るように立っている三人の息子たちも広場で国民たちに挨拶をしながら笑っている。

 

 

 

 

レオヴァはそれを眺めながら隣にいるドレークに小声で命を出した。

 

 

「……ドレーク、あの魚人を見張ってくれ

嫌な話が聞こえた……何かあれば報告して欲しい」

 

 

「了解だレオヴァさん。

……“動く”と言う認識で良いのだろうか?」

 

 

「いや、確定じゃない……がそれも想定に入れてくれ」

 

 

 

レオヴァの言葉に頷くと、ドレークは人混みに紛れて見えなくなっていった。

 

 

少し離れた売店を見ていたローが目を細める。

 

 

「…また何かするのか………おれに言ってくれりゃいいのに」

 

 

「キャプテ~ン!

かき氷食べようよ~…!」

 

 

 

ローの呟きはベポの呑気な呼び声にかき消された。

 

 

 

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その日も私は子どもたちや島の未来の為に多くの署名を募っていた。

 

 

一週間の地上での説得を終えて、この魚人島に戻って来て以来、たくさんの……本当にたくさんの署名が集まっている。

 

 

みんなが笑顔で箱へと希望をどんどん入れていってくれる。

 

私はみんなの希望や想いを“感じとって”いた。

 

 

 

もう少し……もう少しなの…!

 

 

 

きっと全て上手く行くわ。

 

可愛い私の天使たち…貴方たちの未来はこの母がきっと明るく素敵なものにしてみせる……!!

 

 

私はいっそう活動に励んだ。

 

 

 

 

 

 

……そう、ありとあらゆる事が順調に進んでいたの…

だからきっと私…油断しちゃったのね……ごめんなさい…

私の天使たち……貴方たちを泣かしちゃうなんて、お母さんダメダメね……けどもう大丈夫だから…泣かないで……

 

 

 

……あぁ、私の愛おしい彼にも…また怒られちゃうわ…

 

 

 

 

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【おまけ小話 part2】

 

 

  ~ 俺こそが ~

 

 

 ロー編

 

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ローはスレイマンが入団して以降の、ジャックやドレークの焦りが手に取るように分かっていた。

 

 

特にドレークは自分はまだ悪魔の実を貰っていないと項垂れている時があり分かりやすい。

 

 

そんな二人にローは溜め息をつく。

 

 

なにも焦らなくともレオヴァが自分達を捨てるなどあり得ない。

レオヴァは他とは圧倒的に違うのだ。

 

なによりあの優しさを受けているのに不安になるのは

レオヴァを信じていないと言っている様なものではないのか?とローは思っていた。

 

 

しかし、口には出さない。

 

 

張り切ってナワバリを増やそうとするジャックも

諜報活動でレオヴァの利を増やそうとするドレークも

 

自分の価値には追い付かないだろうとローはほくそ笑む。

 

 

ジャックは一番レオヴァとの時間が長いとマウントを取るが

ローの方が最近では側にいるし、今後時間などいくらでも作っていけるのだ。

マウントにすらならないとローは鼻で笑った。

 

 

ドレークは周りに合わせ、上手く事を運ばせる力や諜報活動に長けていると言うが

おれも諜報活動くらいできる……周りに合わせるのは癪だが、仕事なら我慢しよう。

そう、ドレークにやれるなら自分だって上手くこなせるのだとローはニヤリと笑う。

 

 

スレイマンはゴルゴルの実さえなけりゃ敵じゃない。

…だが、レオヴァの行う事に資金は必須。

それを理解しているからこそ、スレイマンの我が物顔の行いを許してはいるローだが…面白くはなかった。

 

 

ベポは…………論外だ。

あれはもふもふしたマスコットだとローは認識している。

寝るときに一緒に寝ているが、あれはベポが勝手についてくるだけなのだ。

決してローがもふもふに弱いわけではない……そう、別にベポを可愛がってなどいない。

 

 

 

 

 

 

だが、ローはなんだかんだ皆の事が嫌いではない。

 

 

ジャックは何も考えずに突っ込んで行くし、粗暴かつ偉そうな態度を取る奴だが

人一倍責任感が強く、必要であれば周りの話を聞ける。

 

ドレークは真面目すぎてたまに暴走するが

お人好しで、面倒見が良く補佐業務も上手い。

 

 

ベポはいると騒がしいし、ワガママも多いがレオヴァに休憩をとって貰うには必須要員だ。

……それにまぁ、可愛いところもある。

 

 

スレイマンは融通が聞かないし、いつもレオヴァの横を陣取って周りに睨まれているが

幅広くなんでも器用にこなすし、仕事も早い。

 

 

なにより全員がカイドウとレオヴァを尊敬し、慕っている同志の様なものだ。

 

 

なにかと競いあってはいるがローにとっては兄弟のような存在だった。

 

 

 

 

 

 

だがしかし、ローは内心では一番自分がレオヴァに必要な存在だと思っているのだった。

 

 

 




めちゃくちゃスランプで筆が石像レベルで重い……だがしかし!!感想のお陰で元気はいっぱいです!!
本当にありがとうございます~!!
[ いつもの数倍語彙力消失しております お許しを!]

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