俺がカイドウの息子…?   作:もちお(もす)

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若き王子、ワノ国へ

 

 

 

 

 

 

 

フカボシのワノ国到着から数日後の事…

 

 

町へ出たレオヴァとフカボシ、ジンベエの三人は多くの町人たちに囲まれている。

 

そして、フカボシとジンベエは王であるレオヴァのあまりの好かれ様に圧倒されかけていたのだった。

 

 

 

 

何十、何百と声をかけられる中

レオヴァは嫌な顔をするどころか、笑顔で一人一人丁寧に対応し、問題があればその場で解決するか部下を呼び即座に対応しているのだ。

 

 

そして、なにより二人を驚かせたのはレオヴァの記憶力だった。

 

 

 

 

 

『レオヴァ様、この前はありがとうございました…!!』

 

『与助か。

ばぁさんは元気になったか?

あまり無理して重いものは持たないように言うんだぞ?』

 

『はい! すっかり元気になって!

へへへ…ほんと、強く言い聞かせときます!』

 

 

 

 

『あれ!レオヴァ様!?

お久しぶりでさぁ! いやぁ、外海へお出かけなさってると聞いて寂しかったんですよ~!』

 

『久しぶりだな。

おれもお前の作る茶漬けが恋しくてな……昼に寄っても構わないか?』

 

『えぇ!もちろんでさぁ!!

そりゃもう大盛りにしちまいやすぜ!』

 

『ふふふ……またお鶴にどやされるんじゃないか?』

 

『はははは!

レオヴァ様になら逆にお鶴さんが大盛りにしろって言いやすよ…!』

 

 

 

 

 

『あ~!レオヴァさまだ!

わたしね、あれから頑張ったよ!』

 

『そうか、ちゃんと頑張れて偉いぞ…!

…それじゃあ、あの絵本は完成したのか?』

 

『えへへ…!

うん、できたよ! いっぱい頑張ってかいたんだ~

レオヴァさま今度みにきてよ!』

 

『それは楽しみだ。

今度おやつを配りに行ったときに見せてくれ』

 

『やったぁ!わたし楽しみにしてるね!』

 

 

 

 

 

驚く事に町人たちとの前回のやり取りを、しっかりレオヴァは覚えていたのだ。

 

それも一人二人ではなく、何十何百のやりとり全てを…

これにはフカボシもジンベエも開いた口が塞がらなかった。

 

 

 

 

『…レオヴァは国民とのやり取りを全て覚えているのか?』

 

 

『基本的に国に居る時は毎日の様に民と会話しているからな……全てと言われると自信はないが…

 覚えられる様に努めてはいる。』

 

 

『凄いな……母上様も国民と沢山対話をしているが…

レオヴァのこれは…………

わたしも国民の言葉や想いを大切にできる王族でありたいんだ…ぜひ秘訣を教えて欲しい!』

 

 

『フカボシのその心意気は流石だな。

と言っても…秘訣などないんだが……

…あえて言うなら一人一人との会話に集中する……だろうか?』

 

 

『ふむ……一人一人の話をしっかり聞いて、真摯に対応すると言うことか…

言葉にするのは簡単だが…実践するのは難しそうだ

……わたしにそれが実践出来るかどうか……』

 

 

『確かに簡単な事ではないかもしれないが

民と国を想う気持ちのあるフカボシなら大丈夫だ。

最初から完璧である必要はない、ゆっくり少しずつでも理想へ近付ければいいんじゃないか?』

 

 

『レオヴァ……ありがとう!

そうだ…少しずつでも努力を続けることが大切だな…

本当に目から鱗が落ちるばかりだ…!

ワノ国へ……レオヴァと共に来て良かった!』

 

 

 

満面の笑みで感謝を伝えるフカボシにレオヴァもまた微笑みながら返す。

 

ジンベエはそんな二人を本当に嬉しそうに後ろから見守り続けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、また別の日の事。

 

 

レオヴァに過去の政策予算案などを見せて貰いながらフカボシは勉強をしていた。

 

 

 

 

『こ、こんなに予算を使ったのか!?

これでは予定の金額より高くなってしまうぞ…大丈夫だったのか?』

 

 

『あぁ、確かに多くの予算を使いはしたが……それによって助かる民は多くなった。

民の為なら、おれの身を削ってでも予算を増やし、安全や住みやすさを優先するべきだと考えてる。』

 

 

『そこまでして国民を……

…何故、そんなに優先しようと思うんだ?

もちろん、国民が大切なのは分かってはいるんだが…わたしは国の維持を優先するべきかと思ってしまって……』

 

 

『国の維持も大切だ。

しかし、土地や建物だけ維持しても意味がないだろう?

そこに住む人々が居なければただの建造物の密集地に過ぎない

一番大切なのは民たちだ。

 

……それに民を大切にすることを忘れなければ自ずと国も安定していくものだ。』

 

 

『……確かに…

住むものが居なければただの大地か…

流石はレオヴァだ…!

もっと教えて欲しい!……おれはまだまだ勉強不足で…』

 

 

『おれで良ければ何でも聞いてくれ。

…ただ、おれの考えを鵜呑みにするな。

これは一つの考えであって、正解ではないんだ。』

 

 

『正解じゃない…?

けれど、レオヴァのこの政策で上手く行っているようにみえるが…』

 

 

『上手くは行っているが、それを真似するだけでは意味がないと言うことだ。

そこに住む人の生活や求めるものが同じとは限らない。

民の声を聞き、その場所にあった政策や保証をすることが大切なんだ。』

 

 

『なるほど…!

だからレオヴァは頻繁に町へ足を運んでいるのか!』

 

 

『そう言うことだ。

生の声を聞くことは大切だからな』

 

 

『そうか、だからなのか…

今ならあの国民たちからレオヴァへの厚い信頼も頷ける!』

 

 

 

 

その後も丁寧に一つ一つレオヴァは過去の政策内容や実施までの動き、その後の成果などを分かりやすくフカボシに教えていった。

 

その度にフカボシは驚きや感嘆の声を上げ、その後ろでジンベエも目を丸くするのだった。

 

 

 

 

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ワノ国の鳳皇城に用意された水の張られた一室にて

フカボシはふわふわと漂い、ジンベエは岩の様に動かず椅子に腰かけている。

 

彼の周りにはレオヴァお手製の彫り物や変わった機械も一緒に浮いていた。

 

 

 

「防水加工……凄い技術だ…

ジンベエ親分は何処かの外の世界で見たことがあるか?」

 

 

「いやぁ…フカボシ様……わしも初めて見る機械じゃ…」

 

 

「そうか、ジンベエ親分も初めてなんて本当に凄いオモチャだ!

…これなら島の子どもたちも喜ぶと思わないか?

レオヴァに貿易内容に入れて貰えないか頼んでみようと思うんだ!」

 

 

「わっはっは!そりゃ良い考えじゃフカボシ様…!

……そうじゃ、しらほし姫様にお土産なんちゅうのはどうですか?」

 

 

「しらほしにお土産か……!

レオヴァに頼めば何か良さげな物を探すのを手伝ってくれるだろうか…?」

 

 

「レオヴァ殿ならきっと進んで手伝ってくれるでしょうな!

また新しい物を見せてもらうのが楽しみじゃ……!」

 

 

 

フカボシが彫り物を手で転がすのを眺めながらジンベエは穏やかな時間をゆったりと過ごしていた。

 

 

 

 

 

 

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色々と変わり始めた魚人街を歩きながら、オレはジャックさんとレオヴァさんに出会った時の事を思い出していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

あの二人は突然、魚人街に現れてオレ達と話をしに来たと言い出したんだ。

 

 

もちろん、オレ達が“例の事件のヒーロー”として

はやし立てられてる奴らと大人しく話などするハズもねぇ。

 

 

この魚人街では力こそ全てだ…! 

 

ポッと出の外から来た魚人と人間なんかに簡単にやられねぇし、話を聞くつもりなんざ無かった。

 

そして、オレ達と二人の男は話し合いどころか殺し合いへともつれ込んだんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

……が、結果はオレ達の惨敗。

 

 

しかも、人間は俺たちの手当てをした挙げ句に炊き出しまで始めやがった。

 

 

『動いたあとは腹が減るな…お前達も食べるだろう?』

 

 

そう言ってにこりと笑う人間に周りは驚いたが

結局…誰一人として食べず、二人に負け惜しみを言うだけだった。

 

 

 

『……たまたま勝ったからって調子にのるなよ人間!!』

 

 

『そうか、なら明日も来よう

……まぁ、おれとジャックが負けるなどあり得ないがな』

 

 

『っ! 言ってろ!!

次はてめぇらの息の根止めてやるからなァ!!

そうだろ!?おめぇら!』

 

『そうじゃ! 明日はわしらが勝っちゃる!』

 

『魚人の底力を見せつけてやるっき……!』

 

 

 

『それは楽しみだ……なぁ、ジャック?』

 

『フン……レオヴァさんとおれの敵じゃねぇ!』

 

 

 

 

今思えばわざとオレ達を煽るような事をレオヴァさんは言ったんだろうが、あの時のオレ達はすっかり乗せられちまってた。

 

 

そのあと、二人が置いていった炊き出しはオレが毒味をして、街のチビ達に食わせてやった。

 

……あんな美味いワカメスープは初めてだったなァ…

 

 

 

 

 

次の日も二人は同じくらいの時間に魚人街に現れた。

 

……そして、オレ達は前日と同じように惨敗した。

 

 

 

更にまた次の日……また次の日…と日を重ねるごとに挑むものは減っていき

逆に炊き出しをレオヴァさんやジャックさんと共に食べたり話したりする奴らが増えて行った。

 

 

 

とうとうオレは七日目まで意地を張ってレオヴァさんに挑み続けちまった…

 

止め時なんて分からなかったし

 

『お前はずいぶんと意地っ張りだな……

ふふ…だがその強い意思は凄いことだ。

……ますますお前と話がしたくなった』

 

 

こう言ってオレを認めてくれる奴なんざ今まで居なかったから、どうして良いのか分からなかったんだ……

 

 

 

けど、七日目の最後にオレは恥を捨てて声をかけた。

 

 

 

『…………なぁ、炊き出しに貝ねぇのかよ…』

 

『…貝が好きなのか?』

 

『…………お、おう、悪いかよ……』

 

『いや、オレも貝は好きなんだ……明日の炊き出しで持って来よう!

そうだ、海老のグラタンならあるぞ

おれの自信作なんだが………食べてみないか?』

 

 

 

レオヴァさんはそう言って微笑みながらグラタンをオレに手渡してくれた。

 

オレは少しの気恥ずかしさと大きな喜びで

自分がどんな顔をしてたかなんて覚えちゃいないが、温かい海老グラタンの優しい味は今もよく覚えてる。

 

……それ以来、オレは海老も好物になったんだ。

 

 

 

 

 

 

あの突然の訪問から8日目。

オレ達はレオヴァさんと一緒に瓦礫の掃除や、飯も食べれねぇ様な奴らに炊き出しを配って回った。

 

 

最初はオレも仲間たちも渋々やってたが

生まれて初めて貰った感謝の言葉は思いの外悪くなかった。

 

 

それから一週間。

新しく三人の人間と一匹のクマも魚人街の手伝いに来た。

 

最初はオレと仲間たちは良く思って居なかったが、流石はレオヴァさんの仲間…

面白れぇし、話の分かる良い奴らだった…!

 

 

 

ローは生意気なガキだけど、仲間たちや魚人街の奴らの怪我や病気を魔法みてぇに治してくれる。

 

 

ベポは素直でなんでも信じちまうお馬鹿な奴で、からかうと反応が面白れぇ!

 

 

ドレークって奴は馬鹿真面目なお人好し野郎だが、なんだかんだ色々と話しやすいし、困ってると手伝ってくれる良い奴だ。

 

 

スレイマンは辛い過去がある奴だった……

魚人街の仲間やオレも国に捨てられたって思ってたが、コイツの話を聞いて考えが変わった。

 

オレならとっくに暴れて馬鹿な事をするような目にあってんのにスレイマンは前を向いてる。

それはスゲェことだとオレは思った!

 

なんでもレオヴァさんが救ってくれたとか……

 

 

オレ達もレオヴァさんと会ってから色々変わった。

……救われたっつったら大袈裟に聞こえるかもしれねぇけど…

 

今まで魚人街ってだけで周りからの偏見があった……

町へ出て盗みがありゃ疑われたし、ちょっと喧嘩すりゃいつも悪くされんのは決まってオレ達だった。

 

……周りが悪く言うからオレもどんどんひねくれちまって…

 

 

けど、今は違ぇ!

レオヴァさんに会ってからは良いことも沢山したし、自信がついたんだ!

 

だから……スレイマンとオレ達は一緒なんだ。

 

レオヴァさんに救われて、前を向けるようになった。

 

 

 

 

『おれはレオヴァ様と共に歩んでから自分が好きになった。

 

前までは自分に価値はないのだと……おれは誰からも望まれない人間だと思っていた…

だが、レオヴァさんにおれ自身を見て貰えて変わったんだ。

 

…“価値は他人が決めるんじゃない、自分で決めるんだ”

 

この言葉はレオヴァ様に怒られた時の言葉なんだが……これはお前たちにも言える事だ。

 

生まれた場所や環境で卑屈になることはない。

この世の全ての者から認められる必要なんてなかったんだ…

自分自身と認めて貰いたい人にだけ、分かって貰えればいい……そう、おれは思う。』

 

 

 

この一緒に飯を食った時のスレイマンの言葉にオレ達は涙ぐみながら頷いた。

 

 

そう、認められたかったんだ……オレも仲間たちも。

 

 

オレは魚人街で生まれ育った。

ガキの頃から奪って奪われて……恨み恨まれて…………

そんな生き方しか知らなかった。

 

 

だから……だからかなァ…レオヴァさんが真っ直ぐオレらを見てくれんのが堪らなく嬉しいんだ。

 

あの人はオレの種族だとか、魚人街の生まれだとかちっとも気にしねぇ。

 

ただ、オレ自身を見て……真摯に向き合ってくれた…

 

 

スレイマンの言葉は本当に良くわかる。

 

 

 

 

で、それもあってオレ達とスレイマンはすっかり意気投合したんだ……!

 

 

 

どんどん人数も増えて魚人街に散らばる瓦礫は無くなり、レオヴァさんの協力のお陰で建物も新しいのが沢山建ち始めた。

 

 

ニ、三週間が経った頃には

魚人街でも有名なジンベエ親分まで手伝いに来てくれた…!

 

レオヴァさんとジンベエ親分は本当に仲が良さそうだった。

 

あのジンベエ親分が大口あけて笑ってた時は周りも驚いたもんだ!

 

 

 

レオヴァさんとジャックさん達、加勢しにきてくれたジンベエ親分の手伝いで本当に魚人街は変わって行ってる。

 

荒れてた街並みは整えられたし、仕事のない無法者ばかりだったが

レオヴァさんが新しい仕事をくれたり、ジンベエ親分がネプチューン軍への推薦をくれたりして働ける奴らも増えた。

 

 

レオヴァさんの船に乗りてぇって奴らも沢山いたが

 

『…好き好んで海賊になる奴がいるか…!

皆が仕事につけるよう手は尽くす……だから海賊は止めておけ

……平和な暮らしを捨てる様な真似はするな…』

 

 

オレ達を心配するレオヴァさんに無理を言うことも出来ねぇと仲間たちは口をつぐんだ。

 

 

 

……けど、オレは諦めちゃいねぇ!

 

腕には自信がある……それに何よりオレはレオヴァさんと広い世界を見てぇ!

 

オレは魚人街っていう小さな世界が全てだと思い込んでたが、世界はもっともっと広いと教えて貰った。

 

レオヴァさんが話してくれた外の世界や文化に興味があるんだ!

 

あの人があんなに楽しそうに語る世界をオレも感じてみてたい…!

 

 

 

……もう、絶対にやりてぇ事は諦めねぇと決めたんだ。

 

 

 

ま、だけど先に魚人街をもっと良くしねぇとな!

 

 

レオヴァさんは一度、ワノ国に戻っちまってるから

今のうちにスレイマンと成果をだして、思い残すことなくレオヴァさんと広大な海へ出るんだ。

 

 

 

オレは変わり始めた街と笑顔で走り回るガキ達を眺めながら、午後の仕事の為に気合いを入れた。

 

 

 

 

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