俺がカイドウの息子…?   作:もちお(もす)

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この、子どもが……?

 

俺は12歳になり戦果も少しずつだが上げていた、その為 キングやクイーンの付き添いはついになくなった!

 

……まぁ、なくなったと言うより断った。が正しいのだが…

 

 

正直ゆっくり町を回ろうにもあの二人が居てはゆっくりなど絶対に無理だと俺は今までの人生で学んだのだ。

 

 

 

クイーンと出掛けるのは会話は楽しいし、食べ歩きも楽しめる…良い事も多いのだが、

 

第一に目立つ、それもそうだ。あれだけの巨漢 目立たないはずがない。

しかも美人を見つけると声をかけにフラッと何処かに消えてしまうのだ。

探し回るのもなかなか面倒である。

 

何回か『一応護衛なんだから何も言わずにいなくなるのは止めてくれないか……』と頼んだこともあったのだが

 

 

 “レオヴァはもう十分 闘れるし

  カイドウさんは心配症すぎるぜェ~~♪“

 

といっていた……直す気はないらしい…

 

それだけなら まぁ、ギチギチに付いてまわられるより良いかと思っていたのだが

 

クイーンの放任主義を知ったキングと喧嘩になり町が壊れるのが一番困りものであった。

2人にとっては軽いどつき合いなのだろうが、終わった後は探索や町の観光など出来ないような有り様だ。

 

 

キングに関しては色々と聞けば教えてくれるし、父さんの命令が無ければ むやみやたらと民間人に手は出さないし、暇になると良い感じの時間潰しなどを提案してくれたりと致せり尽くせりであるが、

チンピラ……柄の悪い奴らに対しての対応が酷かった。

 

 

いや、少し語弊がある。キングはあまり悪くない。

ただ子どもである俺に付き従う…とまでは行かないが世話をする黒尽くめの大男、しかも羽まであり炎も纏っているという異様な光景にただでさえ視線が集まるというのに

更にあれもコレもと散財するキングに俺を何処ぞの貴族のお忍びだと勘違いをする輩が現れるのは仕方がないことであった。

 

 

そして俺を誘拐しようとした輩を、父さんから俺の面倒を見ろと命令を受けている責任感の強いキングが必要以上に痛め付け、ついでに町も被害を被ることになるのは…きっと仕方がないことなのである……

 

 

 

まぁだが、それも前までの話だ。  

 

今では “ひとりで“ 外出も自由にできる。

 

<上陸中の島から出る、24時間以上の外出、1時間に最低1回の連絡をしなければならない>など禁止事項や言い付けは多々あるが俺の年齢を考えればきっと仕方がないことなのだろう。

 

……それに、あの父さんが事細かに決まりごとを考えたと思うと少し微笑ましくもある。

 

 

そんなこんなで自由を勝ち取った俺は一人で島探索をしていた。

…しかし、本当になにもない島である。

 

 

退屈だ。

ほぼ廃墟の様な町に虚ろな目の人々、柄の悪い集団……とても治安が悪い。

 

目新しいモノもとくになく、飽きてきた俺は船へ帰ろうと来た道を戻っていた。

 

 

ログが溜まるまで あと2日はあることに溜め息をつきながら

この退屈な島でどうやって時間を潰そうか考えながら帰路を歩いていると、ギャアギャアと騒ぎ立てる男達の声が聞こえて来た。

 

 

「おい! このガキで間違いないんだな?」

 

「はい、こいつです!」

 

「へい!このガキが新入りを殺って おれらの飯を奪ったガキですぜ旦那!」

 

「…………」

 

「よし ……おいガキィ!黙ってねぇで謝罪の言葉ぐらい言えねぇのか~?」

 

「…………」

 

「ビビっちまって声もでねぇらしいぜ旦那ぁ!!」

 

「こんなことになったのもテメェのせいだ

 恨むならテメェの馬鹿さを恨めよ~」

 

「たく、気色悪ぃガキだ…! さっさと殺せ!!」

 

 

若い男数名と中年とおぼしき男達が、体格の良い子どもに刃物を向け喚き襲いかかる

 

 

(…本当に治安が悪い島だな……)

 

絡まれて相手にするのも面倒だと考えた俺が隣の脇道に進もうとした時だった。

 

 

襲いかかった男達を大柄な子どもが殴り飛ばしたのである。

武器を持った大人に怯むことなく子どもは突っ込んでいく。銃で撃たれても、ナイフが刺さっても構わず進む。

そんな異常な子どもに中年含め、周りの若い男達は驚き……あっさりと その子どもの手によって地に伏せた。

 

 

おれが立ち止まり驚いた顔でその光景を見ていると倒れた男達の上を歩きながら子どもがこっちに向かって歩いてきた…と思ったのも束の間、

地面を蹴るとその大きさに見合わぬ速さで殴りかかって来たのである。

 

 

「!?……おい、なんのつもりだ。」

 

 

「……敵は誰だろうと、たおす……!」

 

 

「おれは通りかかっただけだろう…!」

 

 

 

俺をあの柄の悪い集団の仲間だと思ったのかは わからないが子どもが急に殴りかかってきた。

倒された男達や傷付いた周りの木を見る限りパワーは子どもと侮れないほどのものなのだろう。

 

しかし、攻撃が単調である。

突っ込んで殴る……そんな力任せなやり方は父さんとの組手と言う名の無茶振りをこなしてきた俺には脅威ではなかった。

 

 

その後、息切れを起こし隙ができた子どもを動けなくするべく何発かお見舞いした。

 

──おそらく年下…子ども相手に罪悪感が無いではないが……今の俺は子どもだし、ナメられる訳にもいかないだろうと自分を納得させた。

 

 

「…クソ……こんなとこで…くたばってたまるか…!

 強くなって…ぜんぶ…こわす!!」

 

「おぉ……まだ意識があるのか。

 腕の関節は外したし、急所にも入れたんだけどな……タフだな…いや、おれの力が弱いのか……?」

 

「う……ハァ……ッ…」

 

「まぁ、どっちにしても追ってこられても困るからな、寝てもらおう。」

 

 

父さんの様に力がない自分に少し落ち込みつつも、動けなくなった子どもの頭にまた一発入れ 気を失ったのを確認して船へ戻ったのであった。

 

 

 

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「よぉ~~!レオヴァ~~!!

 島はどうだったよ?」

 

「正直なにもない島だった……」

 

「ムハハハ~! だから言っただろ~?

 おれは今からショータイムだ!!やることねぇならレオヴァも見に来いよ~!!」

 

「おい、テメェのアホな遊びに無理やり巻き込んでんじゃねぇよ

そもそもテメェと違ってレオヴァ坊っちゃんはやることがある」

 

「あ"~? アホな遊びだァ!?

テメェの趣味の方が“アホな遊び“だろうが!!変態野郎!!!」

 

「なんだと…? おれのアレは仕事と実益を兼ねてんだ!! テメェの馬鹿騒ぎとは違ぇんだよ…!!」

 

「テメェにゃ盛り上げることなんて出来ねぇからな~? ま!精々じめじめしたところで独りでニヤニヤしとけ!!」

 

「騒ぐことしか出来ねぇ能無し野郎が…!!」

 

 

「はぁ…キング、クイーン…! 落ち着いてくれ!

 ここで暴れたら父さんにどやされるぞ?」

 

「う………そりゃ困るぜェ~ レオヴァ~~」

 

「…確かに此処でやるべきじゃねぇな……」

 

「それにキングは午後から航海術の勉強付き合ってくれる約束だっただろ」

 

「あぁ、そうだったなレオヴァ坊っちゃん。

そういう訳だ、クイーンのアホに付き合ってる暇はねェんだ。

 わかったら、さっさと行け。」

 

「あ"ぁ"!? レオヴァ!そいつと居ると録でもねぇ知識しか付かねぇぞ! おれの部下にも航海術 出来る奴らがいるからそいつらにしとけ!」

 

「…おれよりもソイツらの方が出来るって言いてぇのかァ……?」

 

「ムハハハハハ~~!

だから そう言ってんだろうがよぉ~!!」

 

「クイーン…! キング! 頼むから暴れるな…!!」

 

 

ほぼスイッチが入りかけたキングとクイーンをなんとか収め、おれは航海術の勉強をするべく部屋へ戻った。

 

 

その日は航海術と父さんとの組手で1日が終わっていった。

─── あぁ…身体中が痛い……

 

 

 

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朝、まだ少し痛む体に気合いを入れ起き上がり部下たちが持ってきてくれた朝食を1人で食べていた。

 

父さんが起きていれば一緒に食べるのだが基本父さんは朝早くから起きていることは少ない。

その為、朝は1人で食べることが殆どである。

 

 

朝食を食べ終え軽く運動でもしに外へ……なんて考えている時だった。

おそらく奪って来たであろう物資を積み込む作業をしている部下たちが少し騒がしかった。

 

 

 

「どうした? なにかあったのなら手伝うが…」

 

「うぇ!? れ、レオヴァ様!?

あー いや、これは、そのッ……!」

 

「ん?」

 

部下の謎の焦りように首をかしげたが、よく見ると何人か倒れている。

誰かと争ったのか物資箱も少し壊れたモノもあるようだ。

 

 

「なにがあったんだ?」

 

 

「その……突然 船の中に入ろうとする奴が現れやして…

 なんの用かと聞いてもロクな返事はねぇし"会わせろ" としか言わねぇもんで…

それで…追い返そうとしやしたが……暴れられちまって……すいやせん……」

 

 

「そうだったのか、災難だったな……被害は少ないんだ。

そんなに気落ちすることもないと思うぞ?

で、その暴れた奴はどうしたんだ?」

 

 

「ありがとうごぜぇます……!

 暴れた奴はなんとか取り押さえたンですが…

ッ…!? おい!お前らなにやってる……!しっかり抑えねぇか…!!!」

 

 

船員が怒鳴り声を上げるも虚しく、取り押さえられていたと思われる者が此方へと突っ込んできた。

 

 

「レオヴァ様……!!」

 

 

「…おまえ……!」

 

 

 

船員は青ざめた顔をし、レオヴァは驚きに目を見開く。

庇おうと前に出ようとした船員だったが『へ?』と間抜けな声を出し動きが止まった。

 

驚くのも無理もない。

先ほどまで暴れていた奴が突っ込んできた…! と思ったら レオヴァの前で止まった。そして片膝をついたのだ。

 

 

 

「さがしてた……! アンタと一緒にいきたい…!

─── この船に乗せてくれ!!」

 

「……怒って仕返しに来たワケじゃないのか?」

 

「? おこる……?」

 

「昨日の事を怒ってないのかって事なんだが」

 

「昨日…! すごかった!今まで おれァ 負けたことなかった!けど、負けた……はじめてだ、アンタはすげぇ!

おれも強くなりてぇ! 力仕事、できる!つれてってくれ…!」

 

「…怒ってはないみたいだな。

  父さん…この船の船長には話してみるが絶対連れて行けるとは限らないぞ?」

 

「あぁ……!それでもいい!だめでも、泳いでついてく…!」

 

「泳いでっておまえ…

 そういえば、名前は? おれはレオヴァ。」

 

「レオヴァ…さん……!

おれは、ジャック!」

 

……ジャック…??

ん? いま、この子どもはジャックと言ったのか?

ジャック、あのジャックか?

大看板の……?

 

いや、確かに原作でも28歳と若かったが…!

だがそう思って見ると、

少年の口元からのぞく歯は尖っており…魚人……にみえる気もする。

俺の知ってる原作の魚人にある水掻きはないようだが、純粋な魚人ではないのかもしれない…

 

 

「ジャックは、魚人なのか?」

 

「……たぶんそう…だ。…海で息、できる。

 …やっぱり…ぎょじんは……だめなのか…?」

 

 

「いや!全ッ然 駄目じゃねぇ!!

…っと、悪い。少し声が大きかったな。」

 

 

子どもの、ジャックの反応をみるに今まで色々とあったのだろう。

軽率に魚人なのかとか聞いてしまった自分を殴りたい…

原作で魚人差別があったのは知っていたが…

 

駄目じゃないと言った途端にほっとした顔をしたジャックを見てさらに罪悪感が押し寄せてきた……すまない…すまないジャック……絶対に父さんは俺が説得するからな…

 

 

「じゃあ、おれは この件について父さんと話してくる。」

 

「え、 レオヴァ様…!?

 本当にこんなガキ連れてくんですかい!?」

 

「まだ父さんの許可がないから、なんとも言えないが……おれは連れて行きたい。」

 

「ま、まぁ…レオヴァ様がいうなら……」

 

「そういう訳だ。他のみんなもジャックを捕えようとしなくて良いぞ。

 そうだジャック! お前は力があるんだし荷運びを ここに居る者たちとやっててくれないか?」

 

「…もちろんだ! 」

 

「了解だぜ坊っちゃん~!」

 

 

意気揚々と荷運びを始めるジャックと周りの船員たちを尻目に 真っ直ぐと父さんのもとへと向かうのだった。

 

 

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絶対に父さんを説得してみせる!、と意気込んで向かったのだが、驚くことにジャックを連れて行きたいと言ったら二つ返事で了承された。

 

 

 

「……え、父さん…本当に良いのか?」

 

「レオヴァがそうしたいなら構わねぇ

 お前はおれの息子なんだ、好きにすりゃいい…!」

 

「ありがとう 父さん!

 ジャックの面倒はおれが担当させてもらう」

 

「そうだなァ、お前は歳に見合わねぇくらいしっかりしてる……したいようにやれ。」

 

 

魚人だということも話したが

"強くなりゃ関係ねえ" と差別意識も無い様だった

 さすが父さんだ。

…単に種族に興味がないだけかもしれないが…

 

 

とにかくこれで“ジャック“はウチの海賊団の一員となった。

海賊見習いという形での入団だが、これからどうやって原作の“旱害のジャック“になるのだろうか。

 

 

 

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ジャックの入団から1ヶ月がたった。

一緒に過ごすうちにわかったことがある。

まず、ほぼ野生児であること。何でも手で食べようとしてしまうし、わからない言葉も多いみたいで少し意志疎通がしづらい。

 

力加減も上手く出来ていない。

魚人は人の10倍ほどの筋力があると言うのは本当らしく、子どもだが周りの大人をふっ飛ばす姿を度々見かける、あと食器を壊してしまってしょんぼりと佇んでいたこともあった。

 

年齢は5歳ほど……だと思う。

本人に聞いてみたのだがわからないと言われてしまった。

 

 

性格は素直で真面目だ。

最近 俺と始めた基礎の勉強もしっかりと聞いているし、わからない事があれば聞ける。

正直こんなに良い子だとは思っていなかった……

 

原作でのイメージはミンク族?の国で暴れている凶暴な大男だったからギャップが凄いが、ジャックが来てからは弟が出来たようで楽しい。

 

 

そんなことを考えながら今日の分のジャック学習ノートを作っていると扉をノックする音が聞こえた。

 

 

「レオヴァさん……入っていいか…?」

 

 

「あぁ、入って良いぞ。」

 

 

俺が返事をすると『失礼する……ます』と使いこなせていない丁寧語で挨拶し、ペコリと会釈をしてジャックが入ってきた。

 

 

「時間ぴったりだ、ジャック。

…………ずいぶんボロボロだな…今日はキングの日だったか?」

  

 

「はい、キングの兄御にたたかい方教えてもらった……です!」

 

 

「ふふふ…そうか。 手当てしないとな。」

 

 

「これくらいなら、大丈夫だ…です。」

 

 

 

大丈夫だと手当てを受けないジャックを言いくるめ二人で医務室へ向かった。

 

その後 今日の分の勉強を終え、俺はほぼ日課となっている組手をするべく父さんの部屋へと歩き出した。

 

 

 

 

しかし、この時の俺はまだ今後起こる重大なことをすっかり忘れているのだった。

 

 

 

 

 

 

 




アンケートよろしくお願いいたします。
次の話しが投稿出来たらそこでアンケート終了する予定です。

すでにアンケートに答えてくださった皆々様。本当にありがとうございます。とても助かります。

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