休暇報告書を見たクイーンは思わず叫んだ。
「いや、海軍基地潰してナワバリ増やしてるし、挙句の果てに新しい燃料の取り引きまで!?!
……あれ? レオヴァってもしかして休暇の意味知らなかったりします?カイドウさん。」
「……あ~…まぁ、そこもレオヴァの可愛げじゃねぇか」
「今回の作戦も失敗だったか……いっそのこと今後はおれが監視につくか…?」
ふいと目をそらしながら酒を呷るカイドウにキングも諦めたように溜め息をつき、クイーンもお汁粉をすすり出した。
レオヴァは今回もあっさり決まり事の穴を潜り抜け、成果を持ち帰ってきたのだ。
正直、新しい燃料だけなら大した事はないのだが、その燃料を用いた大砲の製作に、それを売る取り引き先まで提示してくる周到さだ。
それはもうしっかりと百獣海賊団の利益になってしまった。
加えて、どういう経緯かは知らないがナワバリにした島の人間からの信頼も勝ち得ていた、他にもワノ国の大工達の只でさえ高い信頼を更に高める始末。
…しかも、戻ってきた大工達がそれを色んな場所で話し、また百獣の株が上がっていくというオマケつきだ。
ナワバリの基地作りや復興に使った予算は、海軍基地から押収した物で賄えているため、事実百獣海賊団からの負担は無しである。
たいした土産もなくすまない、とカイドウに言うレオヴァにクイーンが突っ込んだのは言うまでもないだろう。
そして、本当に利益のみ生み出した本人はやっと仕事に戻れると上機嫌に御用部屋へと消えていった。
沈黙する三人だったが、カイドウの
『…まぁ、観光写真も楽しげに見せて来たんだ。
今までと比べりゃ少しは休めただろ……。』
と言う苦々しい顔と共に告げられた言葉に、同じ様な顔で二人も頷く他なかった。
レオヴァ絶対休ませたい同盟の三人は、成功とも失敗とも言える結果になんとも言えない表情のまま持ち場へと戻って行くのだった。
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レオヴァは鳳皇城にある防音室である人物と電伝虫を通して会話していた。
「……と、言うわけなんだが。
人柄も良いし、正義感も人一倍だ。
海賊にするには少し気が引ける……そちらで引き取る気はないか?」
「ふむふむ……好青年のようだが…
本人の意思はどうだ? 」
「沢山の人を助けるのが夢だと語るような子だ。
きっと、弱きを助けると言う其方の行動方針の方が性に合うだろう。
………海賊は知っての通り、綺麗な事ばかりじゃない、寧ろ……
…少年の志を曇らせるような真似はしたくないんだ。」
「素晴らしい夢ではないか!
……優しい君らしい申し出だな、わかった。
だがしかし! まったくの無力な少年を彼に紹介することはできんぞ?」
「それは理解している。
暫くはおれが面倒を見るさ。
最低限度の戦闘を行えるようになったら会って欲しい。」
「それならば問題ない。
我が友ジンベエが絶賛し、尚且つ恩人である君をわたしは心から信用している!
ぜひ、また連絡をくれ。」
「あぁ、彼にも貴方達の話はしておく…ありがとう。」
「はっはっは! 恩人の頼み、断る筈も無し!
では……!」
ジンベエからの紹介で知り合った男との会話を終えて、手元にある実を見る。
それは、レオヴァ自身から摘出したデータを元に少しの外部データを混ぜて作った“実”である。
今現在、編笠村でドレークや守護隊から訓練を受けているコビーにどう食べさせるか……とレオヴァは思考を巡らせた。
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ドレークは目の前の光景に吹き出しそうになる自分をなんとか戒めた。
彼は至極真面目であるのだ、努力している彼を絶対に笑ってはいけない。
そう自分に言い聞かせる。
……ドレークは何だかんだ優しい男だった。
だが、そんなドレークの前では、ふわふわした白っぽい小鳥が必死に空を飛ぼうとパタパタ動いている。
「うぅ~んん!!」
唸りながら羽をバタつかせ、1ミリも浮かばない真ん丸な小鳥からドレークは目を反らす。
そして、伺うようにレオヴァを盗み見れば、彼もそっと小鳥から目をそらしていた。
その光景に、数年前にレオヴァがあわや大爆発を起こしかけた事件の時の発言をドレークは思わず思い出していた。
『………………ゴホンッ、実験に失敗はつきものだ。
今回の失敗は次に繋げるとしよう。』
すっと視線を下げながら告げたレオヴァに、炭まみれになったキングはじっとりとした目線を送る。
『レオヴァ坊っちゃん…それで誤魔化せると思ってんのか?』
『………すまない、迷惑をかけた……以後気をつける…。』
『………まったく。
レオヴァ坊っちゃんのコレは昔からだが…
一度、熱が入ると周りの声が聞こえなくなる所はカイドウさん譲りだな。
……おい、レオヴァ坊っちゃん、頬が緩んでる様だが…褒めてんじゃねぇからな?』
『あぁ、すまない……つい。』
『はぁ……レオヴァ坊っちゃん、言わせてもらうが…』
それからキングの小言にひたすら頷き、レオヴァは誠心誠意苦言を聞いているようであった。
それは、初めてドレークが目にした“レオヴァが言い負けた”瞬間だった。
……しゅんとしたレオヴァを見て慰めようと、海鮮料理や大量の酒を用意させながら、あたふたしていたカイドウもドレークには印象的であったが…。
…と言う事もあり、目の前の光景は即ち“そう言う事”なのでは?とドレークは考える。
本人は真面目に体力をつけようと、飛ぶ訓練をしているつもりなのだろうが、まったくもって彼が飛んでいるビジョンが浮かばない。
……“失敗”
この2文字がドレークの頭に浮かぶ。
恐る恐るドレークは小鳥に聞こえない様な音量でレオヴァに声をかけた。
「……レオヴァさん、あの…あれは……どういう経緯で…」
「…………一応、完成品……なんだが…
試作段階を終え、他の者でも問題は…」
「本人の力量が足りなすぎる為に起こった不具合の…可能性は…」
「…ドレーク、それだ!
実力が一定以下の者に使うのは初めてだった…
………確かに能力は鍛え方次第とは言うが、その逆も然りだったか……」
「レオヴァさん……」
「……………すまない、おれが責任持って面倒を見よう。」
苦笑いするドレークにレオヴァは、すまなそうに眉を下げた。
一方、小鳥は疲れたのか地に伏している。
レオヴァはそんな小鳥を手で優しく持ち上げた。
「…レオヴァさん……ぼく、飛べないかもです……」
「いや、まぁ…そうだな…鍛えれば獣化の姿も変わる………筈、だが。
兎に角、元に戻れるまでは暫くおれと行動を共にしよう。」
「はい、すみません…」
申し訳なさそうに、そっとレオヴァの肩に乗り
小鳥こと、コビー少年は必死にバランスを取った。
ドレークは小鳥が、ジャックやうるティに殺されない様にと祈ることしか出来なかった。
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この小鳥騒動からコビーは一気に成長を遂げた。
何故なら、顔を合わせる度に追いかけ回してくる狂暴な者がいたのだ。
……その名は、うるティ。
発端は小鳥騒動である。
コビーを甲斐甲斐しく世話する所をうるティが目撃してしまったのだ。
最初は
『またレオヴァさま新しいペット~?
……その小鳥あんまり可愛くないなり。』
ぐらいだったのだが、それが人間だと分かると態度が豹変。
『わたしだってあんまり遊んで貰えないのにっ…!!
てめぇゴラァ!!どこの隊所属だァ……!?
レオヴァさまにベタベタすンなぁ!!!』
鬼のような形相と共に体を変化させたうるティ。
もちろん、訳がわからずコビーは涙目である。
『え、いや、えぇ!??
ちょ……ど、どどどドレークさん助けてっ!!』
『ドレークゥ……?
アイツっ……ただでさえ、わたしとぺーたんとレオヴァさまでのお休み旅行の権利奪ってんのに!!
部下の躾も出来てないとかありえねぇ…!』
コビーは良くしてくれるドレークの名を咄嗟に叫んだのだが、それが更にうるティを怒らせたのだ。
……まぁ、もちろんドレークの件は逆恨みである。
そんなこんなで編笠村で暴れかけたうるティは駆け付けたドレークに捕まり、レオヴァにお説教を食らう事となった。
『……うるティ、何故怒られているかわかるか?』
『え……っとぉ…ドレークの部下虐めたから?』
『あぁ、まぁそれもだが。
村に被害を出すような行動を取ったから、おれは怒っているんだ。
……なんの落ち度もない
すっと表情が消えたレオヴァに、うるティははわはわと狼狽え出す。
『…ご、ごめんなさい……けどけど…!
アイツがレオヴァさまを一人占めしてたからぁ!』
『うるティ……おれは謝る時に言い訳は挟むなと、再三注意してきたよなァ?』
『…ンニュ!?…ごめんなさい!もうしない!です!!』
低くなった声にうるティは即座に謝った。
そう、うるティは良く知っているのだ。
一段声が低くなった時に言い訳をすると本気でレオヴァを怒らせる事になると。
…そして、レオヴァは怒るとめちゃめちゃに恐いと言う事実を身を以て体感しているのだ。
その謝罪を聞くとレオヴァはいつも通りの雰囲気に戻り、うるティはほっと息をつく。
『……だが、確かに最近うるティと出掛けられてなかったな…。
それに関してはおれも悪い……うるティ、すまなかった。
そうだな…
『ほんと!? 行く行く!ぺーたんとレオヴァさまとお買い物するぅ~!!!』
『ふふふ…決まりだな。
……うるティ、これで少しは許してくれるか?』
『えへへ…レオヴァさま許すナリ~!』
『……はぁ、現金な奴だ。
レオヴァ様も甘やかしすぎぬ様。』
先ほどの落ち込む姿が嘘の様にはしゃぐ、うるティに沈黙を貫いていたスレイマンが声を上げた。
それにレオヴァは苦笑いを返し、うるティは舌を出してスレイマンを挑発するのだった。
そう、この話だけ聞けばコビー助かったな…と思うだろう。
しかし、うるティは暴力的……いや、お
『…レオヴァさまから鍛えてもらうなんて贅沢、わたしは許さないからなァ……
このわたしが鍛えてやる!感謝するナリ!!』
と言う免罪符を掲げ追い回す日々。
対してコビーも死ぬわけにはいかないと必死に逃げ回り続けた。
その結果、程よく死に目に遭い続けたコビーは逞しく成長していった。
これにはドレークも
『……カイドウさんとレオヴァさんの“死にかければ強くなる理論”がまさか…こんな形で実証されるとは……』
と遠い目をし、レオヴァはそんなドレークの隣で
『当たり前だ、父さんの理論が間違っている筈もない』
と、にっこりと微笑んだ。
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ワノ国の国民と百獣海賊団の船員達はある話題で大盛り上がりであった。
それは “レオヴァ様が医療の世界を次の段階へと進めた” と言うものである。
内容は失った手足や肝臓など、体の至る箇所の部位を移植することが出来ると言うものであった。
もとより移植手術は難しく、成功率は20%にも満たなかったのだが……
ローの助言やレオヴァの構想を基に作られた機械により、成功率は80%以上に跳ね上がった。
だがしかし、この機械が
移植する部位の “製造” である。
本来、移植手術とはドナーと呼ばれる提供者が現れなければならない。
しかし、他人に自分の体を譲ると言い出す者など殆ど居らず、いたとしても患者と適合しなければ意味がないのだ。
そこでレオヴァはある男が発見した “ 血統因子 ” を元に、患者の皮膚のほんの一部から移植したい部位を作り出す事に成功したのだ。
しかし、移植手術の成功率の安定化と、拒否反応を消すと言う偉業を同時に成し遂げたと聞いても、最初は皆が一様に信じられずに、または意味を理解出来ずに目をパチクリさせていたのだが。
もう、助からないだろうと言われていた者達が次々と手術を受け回復して行く姿や、脚を取り戻した者達などを見て、やっと事の凄さを理解したのだ。
国民達や船員達は驚きや感動の声を上げた。
そして、レオヴァのテレビでの演説放送で更に国民や船員達のボルテージは上がっていく。
『多くの大切な民達や部下の不安を少しでも取り除ければと思い、研究を進めて来た。
戦いで体の一部を失った者や、重い病に苦しむ者……今回の研究成果が、そんな者達を少しでも幸せに出来れば嬉しい。
この移植手術は身分や人種は関係なく、ワノ国の国民か百獣海賊団の船員であれば皆が平等かつ、良心的な金額で受けられる様に決まりを作った。
手術への不安や疑問などがあれば構わず声を上げてほしい。
おれやロー……そして国の医師たちが全力でその不安や疑問を払拭すると誓おう!
そして、これだけに留まらず、ワノ国の鳳皇として…そして百獣海賊団総督補佐官として、これからも皆の支えを頼りに精進して行く所存だ。
こんな若輩の身である おれを信じ、支えてくれる部下たちや
至らぬ所ばかりだが……これからも共に歩み、支えてほしい。
最後まで、おれの話に耳を傾けてくれたことを感謝する。
……それでは皆、良い一日を。』
最後の一言を終え優しく微笑むとレオヴァの演説は終了し、画面が切り替わる。
広間で集まりレオヴァの演説を見ていた者達は少しの間、静まり返っていた。
誰もがレオヴァの慈悲深さに感動し、その余韻に浸っていたのだ。
「レオヴァ様っ……わ、わたし達の幸せをここまで!」
「すげぇ、すげぇよ!
体の一部を作れるなんて、レオヴァ様は神様だ!」
「病気を恐れずに生きていけるとはのぅ……ほっほっ!
老いぼれにも優しい国じゃあ……レオヴァ様……」
「あ"あ"~! おれも鳳皇城で働きてぇよぉ!!
レオヴァ様のお側でお役に立ちてぇ!」
「流石はレオヴァ様……なんと…なんとお優しく気高き考え……」
「ワシには難しい事はわからんが……レオヴァ様が慈悲深くワシらを想ってくださってる事はわかる。」
「…凄いと言う言葉で済ませられることではないぞ!?
レオヴァ様はやはり神であらせられたのだ!!
我々を救い導いてくださる慈悲深きお方……!
レオヴァ様とカイドウ様こそがワノ国の光よ!!!」
国民達は各々、レオヴァへの思いを語り合っていた。
一方、百獣海賊団の船員達も鬼ヶ島のモニターにてレオヴァの話を聞き、感動にうち震えている。
「うおおおぉ~!スゲ~!レオヴァさま!!」
「おいおい、じゃあ戦いも無茶できるなぁ!
ドンドン戦ってカイドウ様とレオヴァ様に貢献してみせるぜ!」
「……マジで?
え、レオヴァ様天才じゃねぇか……流石だぜ…」
「しゃー!!好きなだけ遠征で暴れまわってやるぜ!!」
「レオヴァ様……レオヴァ様がわたしに良い一日をって!
きゃ~!!嬉しすぎ~!!!」
「はぇ~……もう、レオヴァ様は神の領域にいるんだなぁ」
「はははは!! カイドウ様は戦の神でレオヴァ様は知恵の神…!
おれらにゃ怖いもんなしだ!!」
「やはりあのお方はカイドウ様のご子息だ……」
大盛り上がりの船員達はガヤガヤとカイドウとレオヴァの素晴らしさを語り合っていた。
そんなレオヴァの演説の少し前。
レオヴァから、この移植技術や培養の話をカイドウ達は聞いていた。
長々と理論や構想、実用化後に考えられるメリットやリスク……エトセトラを語るレオヴァにカイドウの傍らに空き瓶の数は増えていく。
「…と、そんな感じだ。
リスクやデメリットもあるが、この医療技術の発展は間違いなく父さんの役に立つはずだ。」
「まぁ……もう、レオヴァ坊っちゃんのソレには突っ込まねぇが…
治療費を安くする理由は聞きてぇ。」
「高くしたら気軽に受けられないだろう?
誰でも気軽に治療を受けられると言う事実はワノ国の民と部下達のモチベーション向上や、信頼に繋がる。
資金ならばもとより困っていないし、必要ならば外から調達すれば良いだけの話だろう?
身内やワノ国の民達からは金よりも信頼や忠義を貰うべきだ。」
「…なるほど…レオヴァ坊っちゃんらしい考えだ。
それなら、おれからは言う事はねぇ。
で、カイドウさんは……」
「良いじゃねぇか。
レオヴァの言うケットウインシは分からねぇが、クイーンの
「いや……カイドウさん…スゲェとかのレベル超えてるっつーか……
ベガパンクの野郎の残りモンだけでコレやられちゃ堪んないッスよ~…」
「クイーン、何を言ってるんだ。
ベガパンクの残した物だけでなく、クイーンの助言があったからこそ上手く行ったんだぞ?」
「いや、おれ助言しかしてねぇしィ…?
もっと色々聞けよォ~! おれも研究誘えよォ~!!」
研究に呼ばれなかった事を不満だと騒ぎだしたクイーンを苦笑いのみで
ドスンドスンと音を立てて抗議するクイーンを笑いながらカイドウは、自慢の息子の研究発表会をBGMに酒を呷った。
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俺は今回の成果に安堵していた。
多くの捕虜たちを費やし、やっとの思いで完璧な状態に研究をもって行けた時の達成感は例えがたいものだ。
この研究を数々の試行錯誤を重ね、睡眠時間を削ってまで重要視し、急いだ理由は1つ。
父さんの健康問題……である。
いや、今現在父さんはなんの病気もなく至って健康そのものなんだが、如何せん、あの酒豪ぶりだ。
この世の誰よりも強く優しい自慢の父が戦闘で倒される事など万が一にもないが、病気で倒れる可能はゼロではない。
その考えに至った俺の冷静さは一瞬で消え失せた。
通常であれば海軍基地内の物資を奪ってから潰すと言うのに
思わず、目先にあった海軍基地を跡形もなく消し飛ばすほど混乱してしまっていたのだ。
普段ではあり得ない俺の行動に、遠征に同行していたジャックは狼狽えていた。
船へ戻ると心配するように駆け寄ってきたジャックを見て少し正気を取り戻した俺は、船内の自室へと戻り思考を巡らせる事にしたのだ。
そして考え付いたのが移植手術である。
万が一、父さんが酒などにより臓器や他の部位の機能が死んでしまったとしても、健康な臓器があれば良いのだ。
俺はこの瞬間、心に決めた。
父さんの死因となり得る物は寿命以外全て排除すると。
その思いから研究を続け、まずは機械の製作や改良を続けた。
……一度製作部屋にて爆発しかける事件を起こし、キングが炭まみれになった事もあったが……まぁ、研究や開発に失敗はつきものだ。
恐れていては先になど進めない!
…………いや、だがキングには本当に申し訳ない事をした……あの時、文字通り笑い転げていたクイーンは少しばかり憎らしかったが、まぁそれもクイーンの愛嬌だろう。
とにかく、機械は早めに完成形へとたどり着いていたのだが……
体の一部を培養……または作り出すことは難しかった。
しかし、ベガパンクの残した “血統因子” が手に入ってからは、今までの苦戦が嘘のように進んだ。
もとより、前世の記憶にあった“ゲノム” を構想に取り入れていた事もありスムーズに進んだのだろう。
“ヒト” を作る研究も進めていたが、これは俺には無理だと理解した。
何より、あまりイメージも良くない。
人員ならばワノ国の民からも、外からも募集は可能だ。
人造人間を使役していると言う悪い印象で積み上げてきた物を壊すこともないだろう。
機械を用いた手術ならば成功率は80%ほどだが、ローがいる限り成功率は100%だ。
これで気兼ねなく父さんとの晩酌を楽しみ、土産で父さんの好きな酒も躊躇うことなく献上できる!
今度は、様々な国や島の酒を作れる工場をナワバリに建設するのも良いかもしれないな……
俺は酒の飲み比べをするのも楽しいとササキと語っていた父さんを思い出して、小さく微笑んだ。
ーー後書きーー
前回もコメントやご感想、ご意見ありがとうございます!!
読むのが楽しい!
そして、ここすき一覧も感謝です!
誤字報告下さる方々も助かります~!
以前、コメントでローのタトゥーについての他の人の印象が知りたいとあったので答えます~!
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・カイドウ
レオヴァが嬉々としてローを連れていき見せた。
愛息子が喜んでいるのでカイドウもニッコリ。
ーーーーーーーー
・キング
カイドウから話を聞いた。
まぁ、レオヴァが喜んでるなら良いかくらいの印象
ーーーーーーーー
・クイーン
いや、レオヴァおれ様のタトゥーも褒めろよ!?と詰め寄る。
タトゥーやダンスを褒められてホクホクなのでローのタトゥーにも肯定的。
ーーーーーーーー
・ジャック
先を超された…!と怒る。
実は自分も百獣のタトゥーを入れる予定であったが、今入れるとローに続いてだと思われそうで嫌。
ローの入れたデザインは実は凄く良いと思ってるが口には出さないが、顔に出ている為(解る者は少ないが)、クイーンには散々からかわれ、キングにも比喩られた。
ーーーーーーーー
・ドレーク
純粋にローのタトゥーを褒める。
自分ももう少し強くなったら入れたいと考えているが、タトゥーを入れた場所を怪我する=百獣やカイドウ、レオヴァをキズ付けられると同義では?と言う謎理論を展開しており、一人で悶々としている。
ーーーーーーーー
・ベポ
キャプテンかっこい!!!
おれも!と思ったが毛深くて見えない&痛そうと言うことで断念。
ーーーーーーーー
・スレイマン
象徴を背負うと言う考えに強く同意を示している。
本人は紋章を胸に掲げているので、タトゥーを入れる気はない。
しかし、新しくカイドウやレオヴァを象った刺繍を増やそうかと模索中。
内心ではエンブレムをレオヴァに褒めてもらいたいと言う野望を掲げている。
ーーーーーーーー
・うるティ
ローはうざいけど、タトゥーは良いかも!
お洒落な感じに百獣のタトゥーを入れようかと考え中
彫る場所はぺーたんと一緒にする~!とはしゃいでいる。
ーーーーーーーー
・ページワン
ロー、それスゲェいいな!!と本人と会話済み。
俺が入れる時はローがデザイン考えてくれよ!と仲良しである。
姉も入れたそうにしてるので、場所合わせてやるか……とも思っている。
ーーーーーーーー
・ブラックマリア
レオヴァから話を聞き、微笑ましく感じている。
自分も彫りたいからとレオヴァと彫り物の話をした。
ローには合った時にカッコいいわね♡と言葉を投げた。
ーーーーーーーー
・ササキ
飲んでいる時にカイドウから話を聞いた。
その後、見せてもらい
お、良いじゃねぇか!とニカッと笑いながら褒めた。
なんだかんだ、ローとは仲が良い方である。
ーーーーーーーー
・船員
え、それめちゃくちゃカッケェ~!!
この後、皆が百獣のタトゥーを次々にいれた。
しかし、何故か背中に彫る者は一人もおらず……何故だろうか?