俺がカイドウの息子…?   作:もちお(もす)

47 / 116
今作では火祭りは無く、龍王祭となっております~!






龍王祭と金色神楽

 

 

 

 

ワノ国の全国民が開催間近の、年に一度の“ 龍王祭(りゅうおうさい) ”を心待にしている。

この“龍王祭(りゅうおうさい)”は、ワノ国の“明王(みょうおう)”であるカイドウを(あが)める祭りだ。

 

 

祭り当日は、花の都(はなのみやこ)にて盛大に屋台や見せ物などの露店が出ることはもちろん、花火やライトアップなどのイベントが(おこな)われる。

 

他にも、花の都まで来られない者達の為にと、レオヴァの案でワノ国中の村や町に守護隊(しゅごたい)近衛隊(このえたい)が出向き露店(ろてん)を展開するなど、国民の楽しみが詰まった祭りなのである。

 

 

が、しかし。

国民達が楽しみにしている“最大の理由”は露店(ろてん)や花火ではないのだ。

 

では、いったい何を一番楽しみにしているのか…?

その答えは……“パレード” である。

 

祭りの始めに行われるパレードを、全国民が心待ちにしているのだ。

 

そのパレードとは、カイドウとレオヴァが鳳皇城(ほうおうじょう)から飛び立ち、兎丼…編笠村……と順々にワノ国の空をぐるりと一周。

その後、また花の都の城へと降り立ち、城下町を百獣の部下達を連れ、刃武港(はぶみなと)まで練り歩く……というイベントである。

 

 

レオヴァは度々国民の下へ現れる為、その姿を拝む事が出来るが、カイドウが国民の前に現れる事は滅多にない事なのだ。

カイドウ様とレオヴァ様にお会いしたい!と言う気持ちの強い国民達は、祭りで空を優雅に進む姿や、大勢の部下を連れ闊歩する姿を見れる事を何よりも楽しみにしている、と言う訳だ。

 

 

今年の“龍王祭”もきっと大いに盛り上がるだろう。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

ヒョウ五郎は年に一度の、この祭りの準備で大忙しであった。

 

花の都の祭りでの出店を仕切り、当日の配置や花火などのイベントの段取りなどなど。

やることは山積みである。

 

しかし、そんな多忙なヒョウ五郎の顔には笑顔が浮かんでいる。

 

この祭りは全国民を想うレオヴァ、そして国を災いから守るカイドウ、二人の素晴らしい御仁と国民のふれあいの場なのだ。

そんな大切な祭りを仕切る立場の一人に選ばれ、嬉しくないはずがない。

 

しかも、この祭りは花の都だけでなく、全ての村や町の事もしっかりと考えられているのだ。

 

ヒョウ五郎はレオヴァの言葉を思い出す。

 

 

『国全ての村に祭りの様に屋台を!?

レオ坊……そりゃ確かに皆が喜ぶだろうが、予算がなァ…』

 

『ヒョウ爺、予算は問題ない。

おれが貿易で出した利益を使えば良いだけだ。』

 

『貿易の…?

そりゃ百獣海賊団の分だろうよ、使っちまっていいのか?』

 

『あぁ、おれが作ったモノの貿易分は好きに使えるんだ。

…おれは皆の喜ぶ顔がみたい。

だが、(みやこ)に来れぬ者は多いだろう?

せっかくの祭りだ、皆が楽しめるように努めるのも王の役目だと思うのだが……。』

 

『レオ坊ッ……っとに、お前ってやつぁ!』

 

 

本当にレオヴァは全国民を想える素晴らしき王だ!と、ヒョウ五郎はこの会話を思い出しては頬を緩める。

 

 

 

『……よし、今頃レオ坊も頑張ってんだ!

おれも、もう一踏ん張りと行こうか!』

 

 

気合いを入れたヒョウ五郎は、部下が帰った部屋で黙々と段取りの再確認をしていた。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

一方、鬼ヶ島では。

百獣海賊団の船員たちが、龍王祭の夜に行われる“ 金色神楽(こんじきかぐら) ”へ心弾ませていた。

 

その日は鬼ヶ島にある城の大広間にて盛大な宴が(おこな)われるのだ。

レオヴァの粋な計らいで、豪華な食事も逸品の酒も飲み放題である、楽しみでない筈がない。

 

更に、金色神楽ではクイーンの公演(ライブ)もある。

船員達にとって飲んで食って騒げる最高の一大イベントなのだ。

 

 

 

 

 

 

クイーンは張り切っていた。

 

金色神楽の目玉イベントの主役という、自分にピッタリな配役。

 

年に一度の最高にエキサイティングなイベントで、目立ちまくりモテまくる……そんな未来を描いていた。

 

その為に舞台の設置や音響をレオヴァの協力の下、全て新調した。

今年は更に盛り上げる……!!!

 

そんな意気込みをひしひしと感じる気合いの入り方だ。

 

 

『テメェら、今年も最高に盛り上げていくぜぇ~!!!』

 

 

『『『『うおおぉ~!もちろんですQUEEN様ぁ!!』』』』

 

 

 

 

 

 

キングは宴会の為の段取りを組んでいた。

 

大方の案はレオヴァから指示があった為、問題なく進んでいる。

 

大勢でのバカ騒ぎがあまり好きではないキングだが、他の誰でもないカイドウの楽しみの1つとあっては、手を抜くことはできない。

それに普段休まず働き詰めのレオヴァが、ゆっくりカイドウと食事を楽しめる、と嬉しそうに言うのだから更に手が抜けない。

 

クイーンがはしゃぐ姿に舌打ちをしつつ、金色神楽の準備を恙無(つつがな)く進めるのだ。

 

 

『カイドウさんと、レオヴァ坊っちゃんの為だ…仕方がねぇ。』

 

 

 

 

 

 

ジャックは大量の調味料を乗せた船に乗っていた。

 

もうすぐ行われる金色神楽の料理には大量の調味料が必須である。

 

どんちゃん騒ぎは好きではないが、カイドウとレオヴァが喜ぶ姿を見るため、各地を回り調達作業に全力を尽くしていた。

 

それに、宴の後半には幹部達だけの部屋で、共に旨い食事や酒を楽しめる。

 

数名煩いのがいるが、カイドウとレオヴァと食事が出来る機会をジャックが楽しみにしていないワケがない。

 

久しぶりにゆっくり話が出来るだろうか、と浮き足立つ心を隠しながらジャックは帰路へとつく。

 

 

『……カイドウさんと、レオヴァさんと飯だ…!』

 

 

 

 

 

 

ドレークは沢山の動物を生け捕りにしていた。

 

鎖で縛ったり、檻に入れたり、水槽で泳がせたり……と大忙しである。

 

しかし、これも金色神楽を楽しみにしているカイドウとレオヴァの為ならと、嬉々として食材になり得る動物を確保している。

 

それに部下たちも宴を楽しみにしているし、何を隠そうドレークも楽しみにしているのだ。

 

今年こそ、レオヴァの隣の席を陣取る……!

そう、心に決めたドレークは帰りに珍しい魚介も手に入れようと考えを巡らせる。

 

 

『一昨年はキングが陣取り……昨年はジャック…今年こそは、おれがレオヴァさんの横を取る…!』

 

 

 

 

 

 

ローとベポは電気タンクの設置のためワノ国中を回っていた。

 

レオヴァとカヅチによって大量に補充された電気タンクをライトアップや出店に使えるように、指定の位置へと運んで行く。

 

ベポは色んな屋台で美味しいものが食べられると、ルンルン気分で宴と祭りを待ちわびており、ローも何だかんだ宴が楽しみだが、表には出さずに準備をテキパキと進めていた。

 

去年のようにベポとレオヴァと屋台を回りたいと考えながら、ローは作業を続けるのだ。

 

 

『ん、あとは編笠村と縛羅町(ばくらちょう)で終わりだな。』

 

『アイアイ、キャプテ~ン!

終わったら一緒にレオヴァさまの所行こうよ!』

 

『フッ……そうだな。』

 

 

 

 

 

 

スレイマンは多忙なレオヴァの国務(こくむ)の補佐をしていた。

 

少しでも早く今期の国務を終わらせ、金色神楽へ向けてレオヴァの負担を減らしたいと尽力しているのだ。

 

宴の席で楽しげにカイドウと話すレオヴァを見るのがスレイマンの癒しでもあり、今年も全力で宴を成功させるべく動いている。

 

そして、今年は自分がレオヴァの酌をするべく、陣取り合戦の作戦もしっかりと練っていた。

 

 

『レオヴァ様とカイドウ様の酌をするのは、おれだ。

……ジャックの奴、今年は抜け駆けはさせんぞ。』

 

 

 

 

 

 

 

うるティはページワンと外のナワバリの様子見に出ていた。

 

金色神楽が楽しみでしょうがない!と、早く帰ろうと急かす姉を(なだ)めながら、弟は予定どおり数ヵ所のナワバリを回った。

 

うるティはレオヴァとページワンと鬼ヶ島の屋台を遊び尽くすのだと、ワクワクが抑えられていない。

ページワンはそんな姉に溜め息をつくが、宴が楽しみなのは事実だった。

 

今年こそレオヴァとくじ引きや、食べ歩きを楽しめたら良いな……とページワンも(はや)る心を抑えながら、帰路へとつく。

 

 

『ぺーたん、ぺーたん!急ぐなり~!

レオヴァ様とおっまつり~♪ふふんふふん♪』

 

『わかってるって!

姉貴は、はしゃぎすぎなんだよ…』

 

『またまた~

ぺーたんだって楽しみなくせに~!』

 

『た、楽しみじゃないとは言ってねぇし…』

 

 

 

 

 

ブラックマリアは遊女達と龍王祭の事で盛り上がっていた。

 

カイドウを讃える祭……なんて良い祭りなのだろう。

それがブラックマリアが初めて龍王祭を知った時の感想である。

 

そして、今ではすっかり龍王祭のライトアップや、金色神楽の賑やかさに心奪われている。

それに、愛するカイドウとレオヴァと無礼講の下、共に酒を飲み談笑出来るのはブラックマリアにとって何よりの褒美だった。

 

遊女達が楽しみだと顔を綻ばせる。

ブラックマリアは自分もだと綺麗に笑ってみせた。

 

 

『うふふふ…♡

私も本当に楽しみだわ。』

 

 

 

 

 

 

ササキは酒の飲み比べと言う、褒美のような仕事をこなしていた。

 

最近、レオヴァが始めた酒造の試作品の味見をしながら、金色神楽に思いを馳せる。

 

毎年、極上の酒が用意されるが、レオヴァの手作りとなれば、きっとカイドウは比にならぬほど喜ぶだろう。

そう考えながらササキはソレの味見を任された事に嬉しさを滲ませる。

 

“カイドウの為の酒”の味見と言う大役。

普段からカイドウと酒を飲む機会が多いからこその大抜擢だ。

ササキはレオヴァから渡された、“試作品意見シート”と言う紙にすらすらと筆を走らせた。

 

 

『お、これも美味ぇな!

だが、まさかレオヴァさん、酒造まで手ぇだすとは…。

本当にカイドウさん大好きだよなァ…』

 

 

 

 

 

 

カイドウは四隻もの軍艦を海に沈めながら、ワノ国へと急いでいた。

 

最近では晩酌も、たまにしか出来なくなってしまった愛息子(まなむすこ)が、仕事に追われることなく一日共に過ごせる大切な日が近づいているのだ。

 

最初、龍王祭と言う祭りを作ったのだと、カイドウを讃える素晴らしい行事なのだと喜ぶ愛息子の姿に、喜んでいるならば良いかと、たいして意識していなかったカイドウだったが

朝から共に町を回ったり、花の都を闊歩したり、鬼ヶ島にて時間を気にせず酒を片手に語り合える……と言う体験をしたカイドウは、龍王祭ならびに金色神楽を大いに気に入ったのだった。

 

勿論カイドウは、流石はおれの息子!素晴らしい祭りだ、とそれはもう手放しにレオヴァを褒めた。

レオヴァも端正な顔を綻ばせ、心からカイドウの言葉を喜んだ。

 

以降、レオヴァの祭りへの力の入れ具合は、カイドウの思う数倍跳ね上がったのだが、それを知る者はキングくらいである。

 

 

そういう背景もあり、カイドウはワノ国への帰路を急いでいるのだ。

 

群がる海軍をなぎ払い、現れる海王類を引きちぎり、目の前を塞ぐ海賊を踏み潰す。

道を塞ぐ全ての者を海の藻屑(もくず)に変えながら、カイドウは愛息子の待つワノ国へ急ぐ。

 

 

『ウォロロロロロ……!

レオヴァとの宴だ、さっさと帰るぞォ!!』

 

『『『『はい!カイドウ様!!』』』』

 

 

 

 

 

 

レオヴァは龍王祭と金色神楽の為に万全を期すべく、部下達に細かく指示を出していた。

 

世界一強く優しい大切な父の喜ぶ顔の為。

普段から頑張ってくれる可愛い部下達の為。

完璧で皆が楽しめる祭りと宴を……!

 

部下達のシフトの組み合わせ、多くの部下が抜けた場合の警備の穴を埋める方法、国中に開く露店の人員と資金の調達と調整。

ほかにも、幹部メンバーの好物などの仕入れに、一流品質の酒の確保から、他ナワバリへの龍王祭特別支給品の選定などなど……。

 

ありとあらゆる業務を、国務と同時進行している。

 

スレイマンやヒョウ五郎の手伝いもあり、国務は少し減ったが、恐ろしいほどの仕事内容だ。

 

しかし、レオヴァの機嫌は良かった。

 

何故なら、この重すぎる仕事さえ全て片付けば、敬愛する父と共に過ごせる“素晴らしい日”が待っているのだ。

カイドウと一日、何にも追われることなく過ごせる。

これ以上の褒美はレオヴァにとってない。

 

常人ならば卒倒する量の書類と雑務を前に、レオヴァは鼻歌でも歌い出しそうなほど上機嫌に筆を握っていた。

 

 

『ふふふ……これが終われば父さんと宴だ。

…本当に楽しみだなァ……。』

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

熱狂に包まれた花の(みやこ)の大通り。

そこに居る全ての国民が大歓声をあげている。

 

 

 

「きゃ~~!!カイドウ様ぁレオヴァ様ぁ!!!」

 

「待って!! 今、レオヴァ様がこっちを振り返ったわ!」

 

「カイドウ様!!うちの息子にお言葉を!!!」

 

「クイーン様ぁ~!こっち見てぇ!

あぁっ!なんてかっこいいの!?」

 

「嘘っ! いま、カイドウ様が手をお振りにっ!?」

 

「レオヴァ様ァ~! どうか、おれの息子に名前を!!」

 

「ジャック様だ! 今日も最高に漢らしいぜ!!」

 

「すげぇ……!! カイドウ様とレオヴァ様を二人一緒に拝めるなんてよぉ!」

 

「見て、ドレーク様よ!!あぁ……なんて凛々しい…」

 

「きゃ~!ベポ様かわいい~~!!手を振ってるわ!!」

 

「カイドウ様じゃ!この国の守り神……明王様を拝めるなんて良い日か…ありがたや……ありがたや……」

 

「ロー様だ! また一段と頼もしくなっていらっしゃる!」

 

「あ!ササキ様だぞ!  また、うちに飲みに来てくだせぇ!

今日もキマってますぜ~!!」

 

「やったぁ!!レオヴァ様が投げたお花とれたよ~!」

 

「おいおい!見たかよ!?

おれ、カイドウ様と目があったぜ!!!」

 

「おおおぉ……あのキング様もいらっしゃるぞ!?」

 

「あ~~……ブラックマリア様…なんて美しいんだ!!」

 

「うるティ様が一番可愛らしいぜ!!うおぉ~!」

 

「かっこいい……!おかあさん! ぼくも百獣海賊団に入りたいよ!」

 

「ページワン様だ! おれ、あの人好きなんだよ!

暴れるうるティ様を止める姿はまさに英雄だった……!」

 

「ありゃ、真打ちの人たちじゃねぇか!

いつも世話になってるが、今日は一段と格好いいねぇい!」

 

「スレイマン様ぁー!! レオヴァ様と共にいつでもウチの村へ!

……あぁ!手を上げて答えて下さったぞ!!」

 

 

「「「「「「「カイドウ様にレオヴァ様、百獣海賊団 万歳!!!」」」」」」」

 

 

大通りを闊歩する百獣海賊団の行列は、見るものを圧倒させる凄みに溢れていた。

 

先頭はキングとクイーンが受け持ち、その後ろを真打ち達が続き

中央は大本命であるカイドウとレオヴァが輿(こし)に乗り、民衆の声へ答え、その後ろにジャックと他の真打ちが並んでおり

後方はギフターズがズラリと並び、ピッタリと足並みを揃え一糸乱れぬ動きをみせていた。

 

 

年に一度、龍王祭でしか見られぬパレードだ。

 

民衆は国を守る明王と、その屈強な部下達、そして国を導く鳳皇の姿に感動と熱狂の渦に巻き込まれた。

 

 

大歓声に溢れる花の都を進む百獣海賊団。

 

刃武港へとつき、大船へ乗り込んだ明王と鳳皇、その部下達は鬼ヶ島へと揺られゆく。

 

 

民衆は船が見えなくなるまで歓声を送り続けた。

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

無事パレードを終わらせた一同は、鬼ヶ島にて金色神楽の開催をカイドウから告げられ、大いに盛り上がっていた。

 

 

 

「レオヴァ様、ぺーたん!

次、あの屋台に行くなりよ!!」

 

「あっ、ちょ……姉貴ひっぱるなよ!」

 

「ふふ……うるティ、屋台は逃げないから、そう急ぐな。

人にぶつかったら危ないだろう?」

 

 

ぐいぐいと笑顔で、ページワンとレオヴァの腕を引っ張る うるティにレオヴァは優しく微笑んでいる。

 

その後ろではベポが大量の屋台の食べ物を抱え、ローは呆れたように溜め息をつく。

 

 

「まったく……ベポ、お前ちゃんと全部食べられるんだろうな…?」

 

「キャプテン!大丈夫~!

おれ腹ペコだし、全部食べられるよ~!」

 

 

 

ガヤガヤと活気溢れる鬼ヶ島城内。

 

レオヴァの(そば)の屋台ではササキが部下を連れ、沢山の串焼きを買っている。

 

 

「ササキ様、そんなに買って食いきれます~?」

 

「おうよ!! 今日は金色神楽……!

死ぬほど食って死ぬほど飲むぜ!!」

 

「ハハハハ~!ササキ様らしいっすねぇ!

よっしゃ!おれらも、その串焼き買うっすよ!」

 

「待て待て…! 串焼きぐれぇ、おれが奢ってやる!

おやじ、コイツらの分もくれ!」

 

「あいよ、ササキ様!」

 

「「「ササキ様、ご馳走になりやす~!!」」」

 

 

 

部下と楽しげに串焼きを頬張るササキの数メートル先では、ドレークが屋台の男と話していた。

 

 

「それは本当か……!」

 

「えぇ、レオヴァ様がドレークさんの好物だからとチキンライスの露店をやりてぇってんで、おれぁ呼ばれたんですよ!」

 

「レオヴァさんが……そうか!

なら、味は期待させてもらうぞ?」

 

「はははっ!もちろん、期待してくださいよ!

レオヴァ様に認めて貰った、おれの腕をみせますよ!」

 

 

 

なんとなしに好物に引かれてやって来た屋台で、予想外のレオヴァの優しさに触れたドレークは嬉しそうに、大盛りのチキンライスを手に側のベンチへ腰かけた。

 

 

そして、そのすぐ近くの屋台では、スレイマンがくじ引きに興じていた。

 

二等のブロマイドがどうしても欲しい…!

その一心でスレイマンは60枚目のくじを開いた。

 

 

「……っ! 二等だッ!!」

 

「おぉ~!おめでとうございます、スレイマン様!」

 

「やりましたね!スレイマン様、流石でございます!」

 

「あぁ、その言葉ありがたく受け取ろう。」

 

 

 

見守っていた直属の部下達は喜びを露にしており、スレイマンも笑みが隠せていない。

屋台主から渡されたブロマイドを仰々しく受け取り、スレイマンは天を仰ぐ。

 

その、ブロマイドには豪気に笑うカイドウと、楽しげに微笑むレオヴァが写っている。

 

 

「ッ……カイドウ様とレオヴァ様のこのお姿ッ!

なんと素晴らしい一品か……!!」

 

 

そう感極まるスレイマンの後ろでは、自分も欲しいと船員達の長蛇が出来上がっており、屋台主は嬉しい悲鳴を上げていた。

 

 

一方、くじ引き屋台の数メートルほど後ろでは、ジャックが大苦戦を()いられていた。

 

それはボール(すく)いである。

小さなカラーボールを“ポイ”と言う道具で掬い、その数に応じて景品が貰える……という仕組みだ。

 

一見、簡単な屋台ゲームなのだが、ジャックにとっては恐ろしく難しいゲームなのだ。

 

まず、力加減が絶妙に難しい。

そしてなによりジャックにとって、ポイとボールがとても小さいのだ。

あまりにもジャックに対して小さすぎるポイに、陰ながら見守る部下達は心を痛めていた。

 

人差し指と親指をプルプルと震わせながら、小さなポイを壊さぬよう全神経を指先に集中させるジャックの気迫は、屋台主をたじろかせるには十分である。

 

四苦八苦しながら、何とか30個のボールを集めたジャックに、部下達は涙ながらにガッツポーズを決めた。

 

 

「「「っしゃー!!やったぜ!ジャック様~!!」」」

 

「…!? て、てめえら……いつから見てやがった!!」

 

「う、ぐすっ……諦めねぇジャック様かっこいいぜ!」

 

「流石ジャック様だ!圧倒的不利でもボールを集めきっちまうなんてよぉ!!!」

 

「最初からずっと、おれら応援してたンすよ!」

 

「~~ッ…! こそこそ見てんじゃねぇ!!!」

 

 

 

ドスンと強く地面を踏み締めた振動で倒れる部下達だが、皆一様に微笑ましげな顔を崩さなかった。

恥ずかしさを誤魔化すように怒るジャックだったが、屋台主から渡された景品を見て、静かになる。

 

 

「………………」

 

「「「良かったっすね、ジャック様!!」」」

 

「……うるせぇぞ…!!」

 

 

ジャックはカイドウとレオヴァがイメージされた模様の彫られた景品をそっと懐に仕舞うと、未だニコニコと嬉しげな部下達を置いてドスドスとレオヴァの下へと歩きだした。

 

 

 

そんな賑やかな大広間を見下ろしながら、ブラックマリアはカイドウへ酌をしていた。

 

普段ならばレオヴァも此処に居るのだが、今年はうるティが屋台を回りたいと言った為、少し席を空けている状態である。

 

 

「まぁ……広間の露店は毎年本当に凄い盛り上がり…♡」

 

「そりゃあ…レオヴァが主催だ、盛り上がらねぇ筈がねぇ!!

行きてぇなら、好きにしろ。」

 

「露店も素敵ですけれど、私はカイドウ様とお話ししたいですわ♡

レオヴァ様の昔のお話、また聞かせて頂けます……?」

 

「ウォロロロロ……レオヴァの話ならいくらでもしてやる!

レオヴァは昔から頭が良かった!初めてねだってきたのも……」

 

 

カイドウの息子自慢をブラックマリアは本当に楽しそうに聞いていた。

 

 

 

一方、その頃。

クイーンは舞台裏で公演(ライブ)の最終確認を済ませていた。

 

「よぉ~し!

じゃあ、行くぞ……そうそう、おれが乗ったらその機械のボタン押せよ。」

 

 

 

舞台前には屋台を満喫した船員達が酒や料理片手に、我らがクイーンの登場を待ちかねていた。

 

そして突如、光が消え、広間には一瞬の静寂が訪れる。

 

 

しかし、次の瞬間には目が眩むほどカラフルな光と大音量と共に、皆から待ちわびられていたクイーンが舞台に颯爽と現れた。

 

 

「FUNK!! エキサ~~~イト!!

待たせたなゴミクズ共ォーーーーーー!!!」

 

 

 

「「「「「「うおおおおおぉーー!!!QUEEN様ァ!!」」」」」」

 

 

 

ズムズムズムズムズム……とさっそく始まった公演(ライブ)に船員達が大いに盛り上がる。

皆が立ち上がり、リズムに合わせ体を揺らす。

 

そんな、軽快なクイーンのパフォーマンスに酔いしれる船員達をしり目にキングは吐き捨てる。

 

「……チッ…騒がしいボール野郎だ……。」

 

 

 

金色神楽の夜はまだまだ明けない。

 

 

 

 






ーー後書きーー
誤字報告ありがとうございます!!
感想やコメントも励みになります!
毎回、楽しく読ませていただいております~!ありがたや…(*´-`)
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。