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─── 俺は今、第2の人生において一番焦っていた。
原作知識にもやがかかってあまり思い出せずにいるのだが、俺の記憶が正しければ……
……もうすぐワノ国と父さんが取引をする時期だ。
まず、ワノ国編の時のジャックは28歳。
そしてワノ国に百獣海賊団が後ろ楯としてついたのがその20年前。
ジャックは今、5歳(推定±1)だ。
あと2~4年でワノ国へ行くことになる。
その時、俺は14~6歳………
決してワノ国との取引が嫌なわけではない。
寧ろ、ワノ国との取引は良いと思う。
うちの海賊団はナワバリを持ってはいるがワノ国ほどの武器は作れないし、海軍やら海賊がよく攻めてくる。それも父さんや俺らがいない時に……
そう考えるとワノ国は侵入はされづらいし、中の情報は外に出ない。外からの情報も中にはほぼ入らないと、やり易い条件が揃っている。
ただ、今の百獣海賊団は層が薄く感じる。
人数はまぁまぁ居るのだが…
実力を見ると、父さん キング クイーンの3人の下にくるのが俺…の時点で不安だ……
まだ飛び六胞もいない。
大看板という言葉もない。
……いつ命名されるのだろうか…?
名前など無くともキングとクイーンが幹部であるのは間違いないのだが。
俺はもっと層を厚くしたいのだが部下を鍛えるのにも限界がある。
悪魔の実での強化も考えたが簡単に手に入るモノでもない…
……原作では人工的な悪魔の実を作っていたと思うのだが……誰が作っていたのかド忘れしてしまった…不甲斐ない……覚えていれば連れてきて作らせるんだが…
兎に角、俺は自分と海賊団の強化に邁進していこうと思う。
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あれから1年間俺は悪魔の実の情報を集めたり、クイーンにウイルスについて色々と教えてもらった。
今まであまり思わなかったのだが、おそらくクイーンは“天才”と呼ばれる部類の人間なのではないだろうか?
絡繰魂とクイーンが呼んでいる便利なモノを作ったり、殺傷能力の高いウイルスを作り出したりと
“平凡“な人間には到底出来ない芸当である。
まぁ、第一に平凡な人間はウチで幹部など務まるわけがないのだが……
そんなことは さておき 天才クイーンの指導によって少しウイルスについて詳しくなった俺は独自のウイルス開発に勤しんでいた。
そして、ようやく望む形に近いウイルスが出来たのである…!!
あとは実験…なのだが………少し気が引ける…
俺の作ったウイルスは
本人の潜在能力を強制的に引き出し、痛みなどを一時的に感じなくさせ、一定時間が経過するとウイルスが死滅。上記の状態が解除される……はずだ、想定では。
そう。強化する為のウイルスだ。
なので実験は味方で行うことになっているんだが
……失敗したらどうするんだ…………
このウイルスの量調整に少し不安が残っている。
多すぎると死滅するまでに時間がかかってしまい後遺症が残る恐れがあり、かと言って少なくても持続時間が減り、単純に体力を消費させるだけで終わってしまう可能がある。
量を少な目に調整するか…と考えていたところに、部屋のドアが勢い良く開く大きな音が響いた。
「ムハハハハハ~~♪ よぉ、レオヴァ~~!!
最近籠りっぱなしじゃねぇか!
カイドウさんとこに顔出してんだろうなァ~~?」
「クイーン…せめてノックくらいしてくれないか?
突然大きな音をたてられると手元が狂うかもしれないだろ…
父さんとは少なくとも夜は一緒に食べてるし、組手の相手も時間がある時はしてもらってるから問題はない。」
「なら良いんだけどよ~~
な~んか最近、ピリピリしてる気ィするんだよな~」
「そうか? 昨日の晩飯の時は上機嫌だったが
……いや、あれは笑い上戸だったからか…?」
「にしても、レオヴァが こう何日も船から出ねぇのも珍しいな
いつも島につくと一番に出てくのによォ。」
「…なに……? もう次の島についてたのか…!」
「えぇーー……気づいてなかったのかよ…」
「そう言えば確かに島についたみたいな事を言われたような……気がしないでもないな…」
「何か集中すると周りの声が聞こえなくなるのはカイドウさん似かよ……」
呆れたような顔をするクイーンに笑顔を返す。
父さん似と言われて嬉しくないはずがない……!
だが、わざわざ報告に来てくれた部下の話を聞いていなかったのは良くない事だ……反省しよう。
「今回の島は変わったデカイ町があるぜ?
島独自の文化とか好きだろ。
見に行かなくて良いのか?」
「大きな町か…! 地形や気温はどうなんだ? 発展していると言うことは過ごしやすい気候なのだろう?
歴史はどれくらいだろうか……大きいということはそれなりに長い時間をかけて出来た町なはず…なら何か伝統芸能や特産品がある可能性が高いな……!!
よし!早速向かわせてもらおう!
…………いや、駄目だ…危ない…誘惑に負けるところだった……
クイーン…教えてくれてありがとう。
すまないが今日はまだ やることがある……後日にするとしよう」
「お、おぉ……お前急にテンション上がる時あるよなァ
びっくりするぜ…」
「す、すまない…恥ずかしい所を……以後気をつける。」
「いいんじゃねぇか? なにより我慢なんてつまらねぇ…!
やらなきゃならない事ってのは急ぎなのか?
手伝ってもいいぜ?」
「急ぎ……といえば急ぎだなぁ……
今度ウイルスの実験をするだろ?
それの微調整をやってるんだが……」
「おいおい…! まだやってんのかよ!?
そりゃ調整は大事だが、実験してねぇのに調整したって意味ねぇぞ?
実際使ってみないと効果がどう出るか正確にわかるワケじゃねぇし」
「それは解ってる。だから少しウイルスの量を減らしてみようとしてたんだ。
多いと危険だしな…」
「え!? 減らしちまうのかよ?
多い方が絶ッ対おもしろいぜ!?」
「面白さは求めてねぇ…!!」
「真面目かよ…!?
いや、けど良く考えてみろよ!
少ない量で実験するより多少、多めな量で少しずつ減らすってやり方のが効率良くねぇか?」
「まぁ…確かに。」
「だろ~? そんなに気負うなよ~~」
「ウチの部下に後遺症が残るかもしれないんだぞ…?
そりゃ慎重にもなるだろ…」
「レオヴァ……おまえ…」
『優し過ぎじゃねぇか!?頭でも打ったのか!?』とクイーンが叫ぶのと
『足手まといになられちゃ困るだろ…』とレオヴァが呟くのは同時だった。
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結局あの後クイーンの理詰めに言い含められ、さらに見張りにジャックがつき……自分の部屋から追い出されたのである。
見張りといっても俺がまた根を詰めないようにというクイーンの優しさ………と、実験をハデにやりたいという欲だろう。
そんなわけで久しぶりに外に出たのだが……
俺の目に飛び込んできたのは
日が沈み終わったばかりの街を 幻想的な光が包んでいる素晴らしい光景であった。
俺は船の上で感嘆の吐息を洩らした。
「…おぉ……これは外に追い出してくれたクイーンに礼を言うべきだな…」
「…クイーンの兄御は葉巻が欲しいそう…です。」
「そうか! なら観光ついでに探すとしよう。
……それにしても悪いな ジャック。
クイーンとの組手が終わったばかりで疲れてるだろ?」
「おれが弱ェから兄御たちとは組手にもなってねぇです…
それにレオヴァさんの護衛を任されたんだ がんばれる…!」
「ふふ…わかった。ジャック、護衛頼んだぞ?」
「あぁ…! まかせてくれ! 」
フンッと拳を握り、気合いを入れているジャックを微笑ましく感じながら俺たちは船を降りた。
港の近くにある商店街もとても賑わっていた。
様々な販売店や屋台があり、見たことも無いような物や 変わった本に 食べたことのない美味しそうな料理たちがズラリと並んでいて、つい頬が緩んでしまう。
「ふふ……ここまで良い街だとは嬉しい誤算だ…!
……だが………どこから回るべきか悩むな…」
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~ジャックside~
おれがキングの兄御かクイーンの兄御に鍛えてもらってる所に会いに来ては
『お、熱心だなジャック。お前は努力家で偉いな。』
『その年でそれだけ強い奴もなかなかいねぇさ。焦りは禁物だぞ、ジャック。』と
弱ェおれを気遣い声をかけてくれていたレオヴァさんが
………最近は来なくなっちまっていた。
いつまでも弱ぇおれに呆れて来てくれねぇのか……?と思い、クイーンの兄御に聞いたところ。
どうやら “ういるす研究“ とやらにハマっているらしかった。
その時はレオヴァさんに愛想をつかされたワケじゃねぇとわかって安心したが、その後も何週間…下手をすると1ヶ月も、ほぼ部屋からでて来ねぇレオヴァさんを心配していた おれ だったんだが
ついさっき、クイーンの兄御からレオヴァさんの護衛をしろと命じられた……!!
急いでレオヴァさんの部屋に向かうとクイーンの兄御と難しい話をしていたので、おれは扉の側で待っていた。
しばらくすると話がついたのかレオヴァさんが諦めた様な顔をし、クイーンの兄御は機嫌良さげに笑っていた。
『ムハハハ~!そう言うことだ!
わかったらさっさと街にでも行けよレオヴァ~』
『はぁ…そうだな。クイーンの意見は尤もだ。
……じゃあ、街に行かせてもらう。』
『見張り…ゲフン…ゲフンッ……間違えた、気にすんな…!
あ~、護衛を呼んでおいたから連れてけ!』
『聞こえているからなクイーン……!
まったく、本当にもう実験まで弄ったりしねぇってのに…
……あともう護衛はなくて良いって話になっただろ?』
『まぁ、護衛を見てから決めろよ。
おい!入ってこ~い!』
『失礼します…』
『お、ジャックか……!
ジャックなら連れていくことにする。』
そうして おれは正式に護衛をさせてもらえることになり、レオヴァさんの一歩後ろを歩きながら外へと向かった。
街に出てからのレオヴァさんはずっと嬉しそうだ、色んな店に入ってはあれやこれやと買い漁っている。
「レオヴァさん、おれが持ちます。」
「助かる、 他にも見たいモノがあるんだ。
……今度はあの店に行こう!」
「はい」
二人で数十軒以上の店を見て回った。
途中おれの服を買おうと言うレオヴァさんを止めたのだが、ほぼ引きずられる形で、今まで人生で一度も入った事のなかった服屋へと入店したりもした。
そろそろ帰ろうと声をかけてきたレオヴァさんと屋台の多い通りを食べ歩きしながら帰ったんだが
“ぞうにくの串焼き“は最高にうまかった。
それをレオヴァさんに言うと少し驚いた顔をしたあと
『なら今度は一緒にゾウ肉のステーキでも食べてみるか。』
と笑顔で言ってくれた。
今日は人生で一番たのしい日だ。
買い物なんてしたことが無かったし、屋台で買って食べ歩くのも初めてだ。
……全部レオヴァさんに払ってもらっちまったのは心苦しいが…
もっと強くなったら宝をたくさん奪ってレオヴァさんにいっぱいご馳走しようと、おれは決意した。
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観光は思っていたよりも楽しかった。
気がきくジャックは荷物を持ってくれたり、俺が好きそうな物があると教えてくれる。
まぁ、服を買いに行こうと言った時は凄く拒否されたが無理やり引っ張って行った。
帰りに食べたゾウ肉を美味しいと言うジャックに、
マンモスなのにゾウ肉好きなのか……
と少し失礼なことを思いはしたが、俺もゾウ肉を美味しいと思ったので、今度は一緒にステーキを食べようと提案しておいた。
──こうして俺はまた何気ない日々を過ごした