俺がカイドウの息子…?   作:もちお(もす)

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見逃された幼子

 

 

編笠村はちょっとした混乱に陥っていた。

 

なんと、村人と守護隊の前には巨大な金糸雀色(かなりあいろ)の狛犬がどっすりと構えているのだ。

 

警戒する村人達だったが、とある少女に必死に説得され、攻撃はせず じっと観察するに(とど)めていた。

 

狛犬は暴れるでもなく、その場に座っている。

時おり少女が撫でてやると嬉しそうな鳴き声を上げる姿には、敵意など一切感じない。

 

しかし、敵意がなくともこの大きな猛獣を町には置けないと困った村人達と守護隊は、百獣海賊団の真打ちに相談する事にしたのだった。

 

 

 

だが、百獣の皆さんに頼めば大丈夫だ。と

安心した村人を余所に、ひっそりと焦る夫婦がいた。

 

 

「ど、どうしましょう……お玉のアレが皆にバレてしまうわ…」

 

「うむ……しかし、百獣の皆さんなら無下には…」

 

「そうでしょうけど…

うちの村の人たちや百獣の皆様は大丈夫だとしても、他の村の人には気味悪がられないかしら?

……もし、私たちの可愛いお玉が虐められたりしたらと思うとっ…」

 

「……それは……いや、もしもそうなっても

おれたちが可愛いお玉の味方で居続けてやるしかないだろ。

少しずつ、おれたちで誤解を解いていけば良いさ!」

 

 

項垂れる妻を夫は優しく抱き締めた。

 

これからどんな困難があろうと、愛する娘は必ず守って見せる。

そんな強い決意を夫婦は滾らせ、現れるであろう百獣の幹部を待った。

 

 

 

 

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数十分前まで、大きな猛獣の出現に不安そう顔をしていた村人だったが、すっかりその影をなくしていた。

 

寧ろ、今回の件に現れた御仁の姿に皆が喜びを露にしていた。

 

 

「おぉ……なんと!レオヴァ様じゃ!」

 

「お久しぶりにございます、レオヴァ様!」

 

「まさか、レオヴァ様直々にっ……!

ありがとうございます!」

 

 

黄金の翼を携えたレオヴァが編笠村に降り立つと同時に、村人も守護隊の隊員もわらわらと駆け寄って行く。

 

いつも通りの微笑みを浮かべながら、皆に挨拶をしたレオヴァは本題へと話を持っていった。

 

 

「暫くぶりだな。

このところ皆の顔が見れず寂しかったのだが……元気そうで良かった。

今回、村に猛獣が現れたと聞き心配で駆け付けたんだが……その犬が?」

 

 

大きな狛犬を見て、すっとレオヴァが目を細める。

 

すると、先ほどまで大人しく座って居た狛犬が飛び起き、グルグルと唸りだした。

 

慌てふためく村人と、レオヴァを守ろうと狛犬の前に立ち塞がる守護隊達。

 

一触即発の事態を前に、幼い声が響いた。

 

 

「や、やめるでやんす、狛ちよ~!!」

 

菫色(すみれいろ)の髪を頭の上でお団子の様にして結っている年端もいかぬ少女の声に、大きな狛犬の動きがピタリと止まった。

 

 

「…クゥ~ン……」

 

「狛ちよ、レオヴァさまに ごめんなさいするでやんす!」

 

 

少女が大きな狛犬にそう命令すると、狛犬は大きな体をすっと低い体勢にし、レオヴァを見やった。

 

この景色に村人はざわざわと話し出す。

 

 

「……やっぱりお玉の言うことを聞いてるねぇ…」

 

「ありゃ、一体どうなってんだか……」

 

「お玉ちゃんは妖術が使えんのかね?」

 

「いや~……ちょっと怖い気もするよなぁ…」

 

 

周りの大人達の不安の混じる目線に少女は俯いてしまった。

 

 

「(なんか皆がいつもと違うでやんす…

……れ、レオヴァさまにも狛ちよのこと言わなきゃ…

こ、狛ちよが……みんなに殺されちゃうでやんすっ…!)」

 

幼心に周りの変化を察した少女は手を強く握った。

なんとか言葉を(つむ)ごうとする少女だったが、思いとは裏腹に上手く言葉が出ない。

 

だがそれも当然だろう。周りには沢山の不信感を向けてくる大人たちがおり、更に今声を掛けようとしているのは、この国の王なのだ。

萎縮するなと言う方が無理がある。

 

 

そんな、少女を庇おうと親が人波をかき分けるより早く、少女は優しく頭を撫でられた。

 

少女がはっとして顔を上げると、そこには膝をつき目線を合わせてくるレオヴァが居た。

 

 

「お玉……そんなに緊張しなくていい。」

 

「れ、レオヴァさま……なんで、おらの名前……」

 

「ん?  編笠村に試作品の菓子をおれが持って来てた時の事を忘れたのか?

お玉はいつも一番に並びに来てただろう。

それに、お前の父は良くおれに娘の話ばかりしてきていたからな。」

 

「わぁ……ま、まさか…おらレオヴァさまに覚えてもらえてるなんて思わなかったもんでやんすから…びっくりして」

 

 

もじもじと嬉しそうにするお玉の下へ父親と母親が現れ、レオヴァに頭を下げた。

 

 

「レオヴァ様!

娘の起こしたことで、御足労おかけいたしまして……

あの、出来ればうちでお話を…」

 

申し訳なさそうに言う母親にレオヴァは笑顔を返した。

 

 

「わかった。

少し場所を変えるとしよう。

……皆も もう大丈夫だ。

その犬は、おれの部下たちが見ているから仕事に戻ってくれ。」

 

その言葉に安心した顔になった村人たちは、わらわらと持ち場へと戻って行く。

レオヴァは連れてきたギフターズ2名に指示を出すと、お玉を抱き上げて、母親と父親の後ろを付いて歩いた。

 

 

 

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座敷にて、事の全てを話し終わった夫婦はレオヴァの言葉を待った。

 

変な実を食べて妖術が使える様になってしまった娘は、どんな目に合う事になるのか…と母親は泣きそうになり。

父親はレオヴァ様ならば慈悲を下さる筈だと、縋るような眼差しで見つめている。

 

今回の事件の渦中である、お玉も項垂れるような姿でレオヴァから下される処罰を待っていた。

 

しかし、レオヴァの言葉は親子の想像とは違うものであった。

 

 

「ふむ。これが、言っていた…きびだんごか。

お玉の力についてはわかった。

……が、そんなに気負う様なものじゃない。

そうだな…SMILEの様な物だと思ってくれればいい。

お玉のそれは、動物と仲良くなれる力だと考えてくれ。

それから、お前達が気にしている周りからの偏見だが、それも心配するな。

おれの方から皆に説明しよう。

どうしても気になるのであれば……SMILEを食べた事にしても良いが…。

 

兎に角……お玉、お前のその力は悪いものじゃない。

寧ろ、動物たちと仲良く出来る素晴らしい力なんだ。

下を向くことはない……胸を張れ。」

 

 

そういって、優しくお玉の頭にぽんと手を置いたレオヴァから夫婦は目が逸らせなくなった。

 

手間をかけさせた事を怒ることもなく、娘の力を気味悪がることもせず。

それどころか、夫婦の不安を解消出来るように取り計らうと約束をし、不安がる娘に優しい言葉をかけてくれたのだ。

夫婦は思わずにはいられなかった。

『レオヴァ様以上に素晴らしき王など存在しない』…と。

 

 

一方、お玉も感激に震えていた。

レオヴァは頬っぺたが落ちそうなほど美味しいお菓子を作れるだけでなく、こんなにも優しくて寛大な心をもっているのかと。

 

お玉が抱えていた先ほどまでの漠然とした不安はすっかり消えている。

 

 

その後、緊張もほぐれた夫婦とお玉はレオヴァと今後の事を話していく事となったのだった。

 

 

 

 

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あの事件から、1週間。

 

お玉はほとんど今までと変わらぬ、平和な毎日を過ごしていた。

 

 

あれからレオヴァは本当に言った通りに、村人達のお玉への不信感を払拭した。

 

しかも、レオヴァから目を掛けられている子どもとして、周りの友だちからも一目置かれるようにすらなったのだ。

 

 

 

お玉はレオヴァとの会話を思い出す。

 

『……おら、みんなと違う変わった子になっちゃったでやんすか?』

 

“普通じゃない”

そんな不安に押し潰されそうだったお玉の問い掛けにレオヴァは優しい声で答えた。

 

『お玉、皆と違うことは決して悪いことじゃない。

皆、一人一人個性があるんだ。

その動物と仲良くなれる個性は、素晴らしい事だとさっきも言っただろう?

……お玉は特別なんだ、落ち込むことはない。』

 

『とくべつ…でやんすか?』

 

『あぁ……おれはお玉のその個性、似合っていて良いと思うぞ。

友だちを作るのが得意なお玉にピッタりだ……そう思わないか?』

 

『おらに…ピッタリ?…えへへへ…!』

 

お玉は嬉しかった。

以前、レオヴァに友達を作るのが得意だと話した事を覚えてもらえてた事も、それをピッタリだと言ってもらえた事も。

 

レオヴァの言葉は、後ろ向きになりそうだったお玉に大きな自信を与えた。

 

 

前よりも自信が付き勉強も頑張る様になり、父も母も褒めてくれる。

 

そんなお玉はレオヴァとした約束を胸に今日も頑張るのだ。

 

 

「おら、もっといっぱい頑張って……絶対、近衛隊(このえたい)になるでやんす!!」

 

 

『お玉とワノ国の為に務められるのを楽しみに待っているぞ』

と、太陽のように微笑んだレオヴァの姿を思いだし、お玉はやる気に満ち溢れるのだった。

 

 

 

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あの事件から数日たった、ある日の昼。

 

レオヴァは休日にも関わらず、実験に付き合ってくれたダイフゴーに礼を述べる。

 

 

「ダイフゴー、ありがとう。

……ところで、きびだんごの味はどうだった?」

 

「へへっ、レオヴァ様。

これぐれぇ、お安いご用ですよ!

味っつっても……まぁ、でもレオヴァ様が作った団子のが美味いッスね~。

でも、不味くもなかったですぜ!」

 

6本ある脚を忙しなく動かしながら、ダイフゴーは答えた。

 

 

「……そうか、普通にきびだんごだったか…」

 

「?…なんか、マズイっすか?」

 

「いや、寧ろ良い結果だ。

……そうだ。

この後予定がないなら、一緒に昼でも食べに行くか?」

 

「えっ!? 良いんスか!?

もちろん、行きますよレオヴァ様!!」

 

「ふふ……良かった。

そうだな…せっかくの休みに付き合わせたんだ、奢らせてくれ。」

 

「いやいやいや!!

おれァ好きで来てるんで!」

 

「ダイフゴー、ここは おれに見栄を張らせてくれないか?

ちょうど、ダイフゴーが好きそうな飯屋も知ってるんだ。」

 

「~っ……れ、レオヴァ様ッ!!

お言葉に甘えてご馳走になりやすッ!」

 

 

嬉しさを微塵も隠すことなくレオヴァの後ろを歩きながら、ダイフゴーは食事処へと向かった。

 

 

 

 

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う、美味ぇ~!

いや、レオヴァ様めちゃくちゃ美味いっすねコレ!!」

 

「ふふふ…ダイフゴー、喜んでくれるのは嬉しいんだが、周りにも昼休憩の人がいる。もう少し声のトーンを落としてくれるか?」

 

「あ…!す、すいません……

ついテンション上がっちまって。」

 

「いや、おれも喜んでくれて嬉しい。

ここの調理人の爺さんもきっと厨房で笑ってくれてるだろうな。」

 

 

申し訳なさそうに頭を掻くダイフゴーにレオヴァは笑いかける。

 

周りの村人達もその光景に優しい笑顔を浮かべて、小声で話し出した。

 

 

「見ろよ…レオヴァ様だ。

いつ見てもあの方の周りは賑やかだよなぁ」

 

「そりゃレオヴァ様とご一緒出来りゃ、おれもはしゃいじまうさ!」

 

 

「あれ、ダイフゴー様じゃない?

レオヴァ様とお食事なんて羨ましいわねぇ……」

 

「きっと、そんだけ普段からダイフゴー様は頑張ってらっしゃるんだよ。

レオヴァ様はいつでも働きをしっかり見てくれてるからね!」

 

 

レオヴァとダイフゴーの食事を邪魔せぬ様に小声で村人は話している。

 

 

しかし、そんなことは露知らずダイフゴーはレオヴァが次から次へと頼む料理をせっせと平らげつつ、会話を楽しんでいた。

 

 

「…って事があったんですよ!

本当にクイーン様って盛り上げるの上手くて、マジでカッコよすぎっスよね!!

……アッ、またおればっかり話しちまった!」

 

 

「ふははは…!クイーンが即興でそんなに歌ったのか!

それはおれも聞きたかったなァ…

ダイフゴーの話は面白い、もっと聞かせてくれ。

そうだ、ところで前から聞きたかったんだが…何故ダイフゴーはいつも能力を出現させたままにしているんだ?」

 

 

「へへへっ…レオヴァ様のご要望でしたらいくらでも喋りますよォ!

…って、おれの能力っすか?

いや~!このレオヴァ様から貰った能力便利なんですよ。

壁も歩けるし移動も普通に歩くより速いんで基本、寝る時と風呂以外は能力使ったまんまッスね!」

 

 

「そうだったのか。

確かにそれは便利だな……そう言えばダイフゴーは器用に尻尾を使えているな。」

 

 

「慣れるまではドアにぶつけたり大変だったんスよ~

けど、今じゃもう完っ全に体の一部ですよ!

一応毒針が危ないんで、帽子被せてますけど。」

 

 

「すっかり使いこなせてるようで感心するな…。

周りを考えて毒針に帽子を被せてるのか……ダイフゴー、お前は仲間思いだなァ。

……そうだ、不便なら おれが毒針用の防具を作るが。」

 

 

「いやいや!

そりゃ、身内に毒針当たっちまったらおれも嫌ですんで!

…れ、レオヴァ様お手製…ゴクリ………や、けどレオヴァ様めちゃくちゃ忙しいのに悪いッスよ。

九里に飲み仲間の職人のオヤジがいるんで、そこで相談します!」

 

 

「そうか? おれは構わないんだが……。

まぁ、何かあれば気軽に言ってくれ。

防具の件は必要経費だ、申請してくれればウチで出すから忘れずにな。」

 

 

「はいッ!ありがとうごぜぇます!」

 

 

元気に返事を返したダイフゴーに、レオヴァは頷くと机の上いっぱいに並べられた食事を丁寧な所作で、どんどんと口へと運んで行くのだった。

 

 

 

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俺は鳳皇城の実験室に戻って今回の結果を纏めていた。

 

それは、お玉と言う子どもが食べた超人系(パラミシアけい)の悪魔の実である“キビキビの実”についてだ。

 

 

俺はこの()の能力を、おでんの討ち入り()と同じくらい警戒していた。

 

なぜならば、ウチにはSMILEによって沢山のギフターズ達がいる。

もし、能力を行使されたら面倒な事になるのは火を見るより明らかだ。

 

この最悪の事態を防ごうと、幾つか事前に仮説を立てSMILEの製造に挑んだ。

 

その努力が報われたのかは定かではないが、今回の実験で懸念は払拭出来た。

 

 

お玉と言う子どもの協力の下、数名のギフターズに “きびだんご” を食べさせた後に、お玉に『その場に座れ』など幾つか命令させてみたが、誰一人として命令を聞くことはなかった。

一応、真打ちであるダイフゴーにも協力してもらったが、何の実験か解らないと首を傾げるのみであった。

 

他にも数個食べて貰うなど、何パターンもの状態でも実験を(おこな)ったが、結果は同じだった。

 

 

 

俺が立てていた仮説はこうだ。

 

“きびだんご” は動物にしか効かず、人間には使えない。

 

よって、原作のSMILEは能力が出現し続けており、動物の血統因子が色濃く出てしまった結果、“動物”と言う判定になってしまい効いた。

 

しかし、俺とクイーンの構想の下に、シーザーと作ったSMILEは能力の切り替えが可能だ。

その為、動物の血統因子もあるが人間の血統因子が多少強く、“人間”と言う判定で効かない。

 

同じく、純粋な悪魔の実の動物系(ゾオンけい)能力者に効かないのも似たような原理であり、“人間”だから効かない…または、そもそも悪魔の実は動物の血統因子を体内に作成する作用ではないのではないかと考えた。

 

例外的存在である、ヒトヒトの実を食べた“例のトナカイ”に使ってみれば、また何か発見があるかも知れないのだが…。

 

……まぁ、全て憶測に過ぎないが可愛い部下達を裏切り者として切り捨てる未来を回避出来たのは嬉しい結果だ。

 

 

もし、“きびだんご”が効いてしまっていたら、あの子どもを生かさず殺さずの状態で外のナワバリに閉じ込めておく予定だったが、それもせずに済みそうだ。

 

それに、俺の飼っている珍しい動物や遺伝子組み換えで作った動物を手懐けさせて、ワノ国で働かせるのも悪くはない。

 

なにより下手に悪魔の実の状態で保管し、悪意のある者に奪われ利用される可能を鑑みれば

百獣海賊団に好意的かつ、何か有れば対処のしやすい場所に居る弱者の方が管理しやすいだろう。

 

 

手始めに軍隊ウルフでも手懐けさせてみるか……そう、思考を巡らせつつ、俺は新しい実験に手を付けることにした。

 

 

 

 

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── 百獣海賊団船員、専用宿舎前にて。

 

 

 

なんだと…!!?

レオヴァ様と一緒に食事をしただと!!」

 

「あ……ちょ、声デケェよ!」

 

 

驚きに声を荒げたババヌキを、ダイフゴーが止めに入る。

 

そんな、ギャイギャイと騒がしい2人の前を通りかかったスピードが訝しげに声をかけた。

 

 

「何を騒いでいるんだ二人とも…まさか喧嘩か?

ここは宿舎前だぞ、周りに迷惑をかける行為は他所でやるんだな。」

 

キリッとした顔で告げたスピードに、ババヌキは食いぎみに答えた。

 

 

「喧嘩じゃない!

ダイフゴーの奴が、レオヴァ様と二人で食事に行ったとか言うからよォ!」

 

「な、なに…!?

レオヴァ様と“二人きり”で食事だと!?

ダイフゴー……貴様…なんて羨ましいッ…」

 

 

じっとりと睨んでくるスピードとババヌキに、ダイフゴーは言い返す。

 

 

「いや、オメェらだって!

おれを置いてレオヴァ様との食事会行ってたじゃねぇか!」

 

「私とババヌキの時は他にも数十人の真打ちとギフターズがいた。

……二人きりじゃなかった…!!」

 

「順番を待たずにレオヴァ様とゆっくり話せるなんて…

……ぐぅ…ダイフゴーお前羨ましすぎるぞ!!」

 

「へへへっ……羨め羨め!

あ~……おれはもう今日の思い出でめちゃくちゃ頑張れるぜ~」 

 

 

したり顔でマウントを取るダイフゴーに、スピードもババヌキも悔しげに唇を噛む。

 

 

「くそぉ……見ていろ。

おれも今にお前より手柄立てて、レオヴァ様と二人でのお食事の権利を頂いてみせるからなァ!!」

 

「負けぬぞ、ダイフゴー…ババヌキ……!

次にレオヴァ様と二人きりで食事の場を共にするのは私だ!!

カイドウ様とレオヴァ様がお喜びになって下さる程の手柄を立ててみせる!」

 

「言ってろ…!

おれァ、絶対にお前らより手柄立ててカイドウ様とレオヴァ様のお役に立ってみせるぜ!」

 

 

バチバチと火花を散らす3人は、競うように訓練所へと走り出した。

 

 

「よしっ!

まずは、鍛えねぇとだよなァ!!」

 

「ババヌキ、訓練所でまずは“組み手”だ!

私の鍛練の成果をみせてやるぞ!」

 

「ふん!…パワーならおれは負けんぞ、スピード!」

 

「お前ら組み手すんなら、おれも入れろよ!」

 

「「いや、ダイフゴーは駄目だ」」

 

「仲間はずれはご法度だろォ!?」

 

 

ダイフゴーの叫びにババヌキとスピードは笑いながら訓練所へと入って行く。

 

 

「あ~くそっ!!マウント取って悪かったって!

スピード、ババヌキ…おれも入れろよ~!!

レオヴァ様の話すっからさァ!」

 

 

結局、スピードもババヌキもダイフゴーの語るレオヴァの話に食い付き、組み手は3人でやる事となったのだった。

 

 

後日、この話を聞いた他の真打ち達が、次は我こそがと訓練所で普段の数倍励み始めたのだが、当の本人は知らずに国務に追われていたのだった。

 

 

 

 

 

 





ー後書きー
前回も感想頂け感謝ですッ!!
いや、本当に筆が進む……ありがたや…m(__)m
カタクリさん人気で私もニッコリ……本当に格好いいぜ……
アンケートも沢山の投票ありがとうございます!
今回も読んで下さりありがとうございました~!
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