俺がカイドウの息子…?   作:もちお(もす)

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傑作達の兄と弟による吟味

 

 

新世界の海を揺蕩(たゆた)う海賊船の一室。

そこで、カラフルな服装に長い舌が特徴的な細身の男が優雅に椅子に腰掛けていた。

 

細身の男は丁寧な所作で上品にティーカップを口元へと運び、香りを楽しんでいる。

 

 

「ん~、ベルガモットの爽やかな香り……そして、甘く…ほのかな紅茶の香り……実に有意義なメリエンダだ、ペロリン♪」

 

 

「ペロスお兄ちゃん、すっかりその紅茶がお気に入りね。」

 

 

上機嫌なペロスペローにブリュレが微笑む。

 

 

「これを作った百獣の息子は気に入らないが…

…まぁ、紅茶に罪はねぇ…美味しく頂くさ、ペロリン♪」

 

「レオヴァはムカつく奴だけど、ペロスお兄ちゃんの言う通り紅茶の味は格別ね!

あ、そうそう!

紅茶に合うお菓子作ってみたの、ペロスお兄ちゃんも食べてみて!」

 

「おぉ……ブリュレ、お前は本当に気が利いて可愛い妹だ!

ぜひ、食べさせてくれ!」

 

「うふふ。待っててねペロスお兄ちゃん!

すぐに持ってくるわ!」

 

 

嬉しそうな顔をしながら部屋を出ていったブリュレを横目に、ペロスペローはまた紅茶を口へ運んだ。

 

 

シャーロット家にとって、心休まる大切な時間……それがメリエンダである。

 

だが、そんなメリエンダの時間にも関わらず、ブリュレの去った部屋でペロスペローは眉間に皺を寄せた。

 

この眉間の皺の原因にはペロスペロー自慢の弟……カタクリが関係していた。

 

 

そもそもの発端は1年ほど前の出来事だった。

 

あの完璧であり、超人。

シャーロット家の最高傑作とまで言われるカタクリが怪我を負って帰って来たのだ。

それも、かすり傷などと言う軽いモノではなかった。

 

 

あのカタクリが怪我をしたと聞きペロスペローは驚きに声を上げた。

いったい誰がおれ達の自慢のカタクリを!!

と、弟本人を問い詰め、やっと聞き出せた名こそが “レオヴァ”

── 百獣の息子であった。

 

 

ペロスペローは、また驚きのあまり声を上げた。

 

お茶会やらで兄弟の中でも情報通なペロスペローの知っている百獣の息子の噂はこうだ。

 

 

一、百獣のカイドウの一人息子である。

 

ニ、とあるナワバリに軟禁状態であり、カイドウの許可が無ければ出られない。

 

三、カイドウの贔屓により地位を与えられただけの男である。

 

四、百獣では穏健派であり、病弱である。

 

五、戦闘員ではなく、学者である。

 

六、変わり種が好きなコレクターである。

 

などなど……と。

ペロスペローが知り得る限り海賊として恐れられる様な噂が1つもない、それが百獣の息子であった。

 

そんな男が自慢の弟に傷を付けたのだ。

ペロスペローの腸は煮えくり返る思いだった。

 

カタクリの過去も想いも努力も……全て知っている。

血の滲む様な努力を続け、普段も完璧であろうと気を張り続けている可愛くも自慢の弟だ。

 

その大切な弟が、大した結果も何も残していない無名と言って差し支えない男に傷を負わされた。

 

ペロスペローは握っていたキャンディーの杖を思わず折ってしまうほどに、百獣の息子への怒りを感じていた。

 

 

 

『ッ…!! 百獣の息子が…!』

 

 

ペロスペローはバッと怒りに任せ顔を上げて叫ぶつもりだった。

しかし、頭上にあるカタクリの顔を見たら口から出る筈だった声は宙に消えていってしまった。

 

 

『ダイフク達との噂話と違って、レオヴァはなかなか面白い奴だった。

ペロス兄もきっと気に入る……誘ってもウチには来ねぇと言ってたが取引相手としても十分な男だ。』

 

そう言って目を細めるカタクリがいたからだ。

 

『…っ………そうか。』

 

結局、ペロスペローはその場でニッコリと笑顔を作り一言告げるに止める他なかった。

 

事実、カタクリが百獣の息子と取引して持ち帰った様々な菓子や紅茶は、どれも素晴らしい物ばかりだった。

なにより、それを女王であるビッグ・マムも甚く気に入ってしまっている為、無闇に百獣の息子に手が出せなくなってしまったのだ。

 

 

その後も何度も百獣の息子との取引の為、カタクリは所定の島へと遠征へ出ていた。

 

相手がカタクリを指名していたと言うのもあるが、それだけではないだろう。

 

何故なら、カタクリはビッグマム海賊団の誇る将星なのだ。

いくら相手の指名だとしても、そんなもの幾らでも断れる。

たかだか貿易なんぞに我らが自慢のカタクリが絶対に出向かなければならぬ事などないのだ。

 

確かに、百獣との取引では他で手に入らぬ様々な物がある為に、護衛の意味も含まれているが、そもそもビッグ・マムの船に手を出そうなんて馬鹿はいないし、護衛ならばカタクリでなくとも務まる。

 

けれど、カタクリは毎回その取引へ赴いていた。

 

…………それも自ら進んでだ。

 

 

ペロスペローは心底複雑であった。

 

昔から“ある理由”で友人が出来なかった兄妹想いの弟に、友人のような存在が出来た事は“兄として”喜ばしいことだ。

 

しかし、だ。

 

それがカイドウの一人息子という事以外に、箔もなにもない男となれば話は別である。

 

カタクリの友人になるのならば、せめて足下くらいには及ぶ人物でなければペロスペローは認められなかった。

 

 

例え、その遠征での話をカタクリが楽しげにオーブンやダイフクに話していたとしても。

例え、その百獣の息子から貰ったと思われる黒く鋭い装飾を気に入って身に付けていたとしてもだ。

 

この目で見て、納得いくと思える存在でなければ

お兄ちゃん(ペロスペロー)”は認める訳にはいかないのだ。

 

 

ペロスペローは香りも味も完璧すぎる紅茶を飲み干し、呟いた。

 

 

「……百獣の息子…おれが見定めてやろう。」

 

 

 

 

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レオヴァは取引地として使っている島へ、ビッグ・マムとの恒例の貿易の為に空を進んでいた。

 

品物も航路も全て恙無(つつがな)く整え、準備は万全であった。

 

しかし、船の中にある自室にてレオヴァは電伝虫(でんでんむし)の前で眉を下げていた。

 

 

「…そう、か……来れなくなったのか。」

 

あからさまに声のトーンが下がったレオヴァに、電伝虫の先の相手は申し訳なさそうな声で謝った。

 

 

「すまない……二日前に馬鹿な王がママの機嫌を損ねてな…

おれがその国を消しに行くことになったんだ。」

 

「いや、カタクリ。謝らないでくれ。

ビッグ・マムの名をナメた国を消す仕事は重要だ、カタクリが駆り出されるのにも納得がいく。

……また、次の機会を楽しみにしてる。」

 

「…分かってくれて助かる。

次に会う時には、おれが最近気に入っている絶品のドーナツを馳走すると約束する。」

 

「ふふふ……カタクリが絶品と言うなら、本当に美味いんだろうなァ…益々楽しみだ。」

 

「味は おれが保証する。

マリトッツォドーナツと言うんだが、ふわふわで軽い食感のドーナツにたっぷりのとろける様な濃厚な味わいの生クリームが筆舌に尽くしがたい一品だ!

更に、これにレオヴァがくれた例の豆を深煎り珈琲にして合わせた日には……」

 

「…くっ…ふふふふ。」

 

 

どれだけ素晴らしいかを語り始めたカタクリに思わずレオヴァが笑うと、電伝虫がはっとした様な顔をする。

 

 

「……ンンッ、話が逸れたな。

今回、おれの代わりにペロス兄が取引を受け持つ事になってる。」

 

「ペロスにぃ?……あぁ、ペロスペローか。

カタクリが良く自慢している長男だろう?」

 

「そうだ、ペロス兄はおれよりも取引馴れしているから問題はない。

……ただ、小豆はペロス兄ではなくブリュレにそれとなく渡しておいてくれ。」

 

「わかった、カタクリの自慢の兄に失礼のないように努めよう。

ブリュレに?

おれが言うのもアレだが…ブリュレは少し抜けているだろう?……失くしそうで不安なんだが…」

 

 

レオヴァの不安にカタクリは暫し沈黙し悩む素振りを見せると、困った様に口を開いた。

 

 

「……完璧に完成させるまでは秘密にしたかったが…」

 

「おれからすればカタクリの作るあんこ餅は十分すぎる出来栄えだが…」

 

「いや、まだ駄目だ。

ペロス兄や可愛い弟妹達には完璧でうまい物を食べさせてやりたいんだ。

……レオヴァもカイドウに何か作るとなれば完璧を求めるだろう?」

 

「成る程、確かに。

父さんに完璧な物を用意するのは至極当然。

…なれば、カタクリにとって兄妹の為ならばそれが当然か。」

 

「そういう事だ。

兄妹達へ振る舞う菓子において、手を抜くなど万に一つもあってはならない事だ。

……だからこそ、レオヴァに試作を手伝ってもらうと言う話だったってのに…馬鹿な王がママを怒らせさえしなけりゃ……。」

 

 

はぁ、と溜め息をつくカタクリの心中を察し、レオヴァは思考をフル回転させる。

 

大切な者の為に全力を尽くす事も、それを発表まで秘密にしたい心境もレオヴァは痛い程に理解できた。

なにせレオヴァも父の喜ぶ顔の為に努力し、それをギリギリまで隠す事はよくあるのだ。

 

兄妹想いなカタクリのサプライズの為、レオヴァはある提案をする事にした。

 

 

「……カタクリが消しに行く国の近くにウチのナワバリがあるのを知っているか?」

 

「あぁ、確か変わったカカオ豆が特産品だという島だろう?

ママも狙っていた島だから記憶しているが……」

 

 

急にどうした?と首を傾げる電伝虫にレオヴァが笑いかける。

 

 

「この貿易が終わり次第、その島まで出向こう。

カタクリなら国ひとつ程度すぐに片付くだろう?」

 

「…! いいのか…?」

 

目を見開く電伝虫にレオヴァは優しく声をかける。

 

 

「構わねぇさ、おれには羽がある。

それでその時に小豆を渡せばペロスペローに勘繰られる事もないだろ。」

 

「…ありがとう、レオヴァ。」

 

「ふふふ……まぁ、いつもの見返りは求めるがな。」

 

「問題ない。

…手は抜かねぇぞ、今回もおれが勝たせてもらう。」

 

「2勝3敗だが……連勝させるつもりはねぇよ、カタクリ。」

 

レオヴァは愉しげに笑い、電伝虫の先のカタクリは自信を滲ませている。

二人はまた少し会話を交わすと電伝虫を切り、お互いの仕事に向かっていった。

 

 

 

机に向き直り、静かになった部屋でレオヴァは書類に手を伸ばす。

 

 

「ペロスペローか……確か、特に紅茶が好きだとカタクリが言っていたな…」

 

手に持った書類に目を通しながら、レオヴァは船にある茶葉を思い浮かべていた。

 

 

 

 

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ジャックは、最近とある男を気にしていた。

 

それはビッグ・マム海賊団幹部、シャーロット・カタクリである。

 

将星カタクリと言えば、余程馬鹿な海賊でない限り知らぬ者などいない猛者である。

 

しかし、ジャックが気にしているのは強いからではない。

……確かに四皇の幹部である彼をまったく気にしていなかったと言えば嘘になるが、ジャックが強い関心を持ち始めたのはそれが理由ではないのだ。

 

 

基本的に()に興味のないジャックが気にする理由など多くはなく、概ねカイドウかレオヴァ、またはジャックが兄御と慕う2人が関係する事くらいである。

 

 

そして、今回の理由はレオヴァだった。

 

あの身内以外には素など全く見せぬレオヴァが、楽しげに電伝虫で話しているのをジャックが目撃したのが切っ掛けだった。

 

 

『ふははははっ!

カタクリ、お前の妹は面白いなァ…!』

 

『……あまり笑ってやるな、ブリュレは真面目にやってるんだ。』

 

『ふふふふ。

いや、そうだな…すまない…ふふ。』

 

『……断る!』

 

『ウチに欲しいな。

……先を読んで答えるな、せっかちな奴め。』

 

『お前も、おれがレオヴァの部下を…』

 

『あぁ、断る。

絶対におれの可愛い部下はやらん。』

 

『…だろうな。

その言葉そのまま返そう。』

 

『ふふ、悪かった。

ベポもブリュレを気に入っているから、つい…な。』

 

 

この親しげな会話を聞いたジャックは心底驚いた。

『あのレオヴァさんが…身内以外に…!?』

そう拳を握りしめたジャックのカタクリへの印象は最悪である。

 

いくら四皇の息子であり貿易相手とはいえ、馴れ馴れしくレオヴァに電伝虫をかけるなど、ジャックは許せなかった。

……本心は嫉妬なのだろうがジャックに自覚はない。

 

 

日々忙しく、幹部であるジャックはレオヴァとの時間が取りづらいと言うのに、久方ぶりにレオヴァの部屋に向かったらカタクリとか言う他人が親しげにしていたのだ。

ムカつくなというのは無理がある……と、ドレークとスレイマンはジャックを肯定した。

 

他にも、あのフーズ・フーやトラファルガーさえムカつく事には強い同意を示したのだ。

 

彼らレオヴァ過激派にとって、カタクリへの心象があまり良くないのは言うまでもないだろう。

 

 

そして、そのレオヴァ過激派がいつまでも何もせずに手をこまねいているだけなのか……答えは、否だ。

 

行動に移した結果ジャックはレオヴァの弱点を突き、今回の取引に同行する事に成功したのだ。

 

最初こそ、渋るレオヴァだったがジャックの

『……褒美としてでも駄目か、レオヴァさん…』

という言葉と、大きな体をショボくらせる哀愁漂う姿に負けたのだ。

 

レオヴァは優しくジャックの背を叩き

『わかった。

そんなに来たいなら今回はジャックにおれの護衛を任せる、一緒に行こう。』

と微笑んだ。

 

『レオヴァさんッ…!』

そう純粋に喜ぶジャックにレオヴァは何故そんなに喜ぶのかと首を傾げながらも、正式にジャックを連れていく手筈を整えた。

 

 

そう、レオヴァは普段から真面目で努力家な弟同然のジャックの“頼み事(おねがい)”にめっぽう弱かったのだ。

 

 

かくして、ジャックは図らずもカタクリに会えるであろう機会を手に入れたのだった。

 

 

「ふん……将星だかなんだか知らねぇが、レオヴァさんに馴れ馴れしくしやがる野郎は許さねぇ!

……ここは おれがしっかり牽制してやる…!」

 

 

ドレーク、スレイマン、トラファルガー、フーズ・フー。

4人の“想い”を託されているジャックは船の上で一人気合いを入れるのだった。

 

 

 

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新世界にある百獣海賊団のナワバリの…ある島にて。

 

 

ビッグ・マム海賊団の船の前で、キャンディーの杖を持つカラフルで細身な男と、着物を着た白い角に黒い髪が特徴的な男が笑顔で談笑していた。

 

 

「ふふふ…それは大変だったな。

…おっと、ペロスペローとの話が楽しくてつい長く立ち話を……。

座ってゆっくりと会談できる場所を島に用意してあるんだが、移動しても良いだろうか?」

 

「ペロリン♪

もちろんさ、では案内を頼めるかね?」

 

 

お互いに顔に笑顔を浮かべ和やかな二人は歩き出した。

……が、それは(はた)から見ればの話だ。

 

 

ペロスペローは笑顔の下で、内心舌打ちしていた。

 

「(この百獣の息子……あれだけの嫌みを笑顔で全てスルーだと!?

しかも、大看板まで連れてやがる……軽く怒らせてどんな奴か見るつもりだったが、やりづれぇ。

この貿易はママの気に入り具合を見る限り破棄できるモンでもねぇ…

まだ時間はある、あからさますぎるのは止めて……じっくり遠回しにやるとしよう…ペロリン♪)」

 

 

一方、ろくでもない事を思案しているペロスペローを案内しているレオヴァの内心も、顔に張り付けている笑顔ほど優しい物ではなかった。

 

 

「(…カタクリから聞いていた話のイメージ通りだなァ、ペロスペロー。

身内に甘く、他者はじわじわと痛め付け排除する…という感じか。

あのカタクリが絶賛する理由は分からないが……まぁ、身内でもねぇ相手にそうそう優しさなんざ出ないのはお互い様か。

おそらく、カタクリの件でおれが気に入らねぇんだろうが…今回は適当にあしらって早めに帰らせよう……部下達が噴火しかねねぇ。

……後でジャックには美味いゾウ肉ステーキも用意してやらないとな。)」

 

 

お互いに内心で相手を食えない奴だ、と思いながらも笑顔で目的地へと向かっていく。

 

 

そんな二人の心境など知らぬ、ビッグ・マム海賊団の船員は冷や汗を流していた。

今回、ペロスペローに同行している大半が何度もレオヴァに貿易で会った事があるメンバーだ。

 

レオヴァが他には類を見ぬ程の穏和な性格なのは理解しているが、先ほどのペロスペローの嫌み攻撃に胃を痛めるなというのは無理な話であった。

 

このまま行けば、いつかはレオヴァの堪忍袋の緒が切れ、四皇幹部同士の戦闘になってしまうのではないか!?と震えるのも致し方ないだろう。

それに、不安にトドメを刺すように大看板であるジャック及び百獣海賊団の船員達のイラつきも、ひしひしと感じとれてしまっている。

 

ビッグ・マム海賊団の船員達はペロスペローに心の中で祈るように必死に頼み込んだ。

 

「「「「「(ペロスペロー様っ!どうか、どうか穏便に!!)」」」」」

 

 

一方、ジャック及び百獣の船員達のイラつきはピークに達していた。

なにせ目の前のクソ野郎は我らがレオヴァ様にぐちぐちと嫌みを言い続け、挙げ句にあの尊大な態度だ。

そんな事が許される筈がない……いや、例え誰が許そうとも我々が許さない。

と、全員が同じ思いであった。

 

ジャックに至っては既に殺せそうな眼差しをペロスペローに向けている。

なんとか爆発しないでいられるのは、他でもないレオヴァが平和に話を進めようとしている気配を察しているからだ。

 

おそらく、ここに居るのがスレイマンであったのならば、怒りに任せペロスペローに斬りかかっていただろう。

 

それほどまでに、ペロスペローの嫌みは鋭く的確に怒らせるツボを突いていたのだ。

 

 

ペロスペローは、殺意と祈りを一身に背負いながら、レオヴァの準備した会談場所へと入って行くのだった。

 

 

 

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【番外 ~ジャックの為の~】

 

 

 

ジャックは殲滅任務を終え、遠征先からワノ国への帰路を進んでいた。

 

何故か今回は空船で行くようにとカイドウから命を受けていた為、早めにワノ国に着きそうだとジャックは報告書を書きながら思っていた。

 

 

「(帰ったら、まずカイドウさんに報告書を出して…

そのあとレオヴァさんの所に挨拶しに行って……訓練所で部下を鍛えるか。)」

 

 

 

百獣海賊団では遠征後は数日の休みが設けられているが、真面目なジャックは休日も部下を鍛えたり草刈りをしたりと百獣海賊団に貢献しているのだ。

 

部下達はそんなジャックを尊敬し、慕っていた。

 

 

ジャックは強い。

この強さだけでも周りからは尊敬されるには十分すぎる程だ。

 

しかし、それだけが理由ではなかった。

 

カイドウやレオヴァ、百獣海賊団への忠誠心の高さ。

そして、なによりジャックの優しさだ。

 

そう……ジャックは優しいと部下達に思われているのだ。

 

まず、理由なくジャックは部下を罰する事をしない。

百獣では当たり前に思われることだが、これは世の中では当たり前ではない。

世界の至るところで地位のあるものは下の者を虐げているのが現実なのだ。

 

だが、ジャックが慕われている理由はそれだけではない。

 

部下がやられれば戦車の如き勢いで現れ、敵を薙ぎ倒し

新人が殴り合いの喧嘩を起こせばひと睨みで収束させ

日頃から訓練所での鍛練も欠かさない真面目さに、どんな敵にも怯まぬ漢らしさ。

 

しかも、大看板という地位を持ちながらも数多の雑用を自主的にやっており。

あのキングやクイーンでさえ顔を引きつらせる酔ったカイドウの相手も、嫌がるどころか喜んで対応している。

 

 

若くして努力と忠誠心と真面目さで大幹部の座を手に入れた、そんなジャックを部下達は慕っているのだ。

 

 

だからこそ部下達皆が、2日後を心待にしている。

……が、ジャック本人は気付いてすらいなかった。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

ワノ国、鬼ヶ島の城にて。

 

 

レオヴァは電伝虫に向かって地を這うような声で告げた。

 

 

「クイーン……どんな手を使ってでも絶対に3日以内には帰って来い。

もし当日にお前がいなかったらジャックが寂しがるだろう!」

 

滅多に聞くことがないレオヴァの鬼気迫る声にクイーンも力強く告げる。

 

 

「分かってるぜ、レオヴァ。

このクイーン様がいないなんてなれば、ずっこけジャックは泣いちまうかもしれねぇからなァ?

…なんとかこの不測の事態を片付けて前日には戻れるよう調整する……そっちは任せるぜ。」

 

「……クイーン…必ず間に合わせてくれ。

公演(ライブ)の準備は出来る限りおれがやって、最終確認で済むようにはしておく。」

 

「おう!まぁ、任せとけ。

テキトーに全員ぶっ殺してさっさと帰るからよぉ」

 

「頼むぞ、クイーン。

……最悪アレを使っても構わねぇ。」

 

「……えっ、マジ?

うおぉ~~っし!使うぜェ~~!!」

 

「クイーン、最悪の場合の話だ!」

 

 

電伝虫の向こう側ではしゃぎ出したクイーンをレオヴァが咎める。

 

その少し後ろでレオヴァの姿を見つめながら、うるティが首をかしげた。

 

 

「レオヴァ様はなんであんなに張り切ってるの?

なんかカイドウ様関係であったっけぺーたん!」

 

隣に座る弟にぎゅむっと抱き付きながら、うるティは問いかけた。

 

 

「うぐっ……あれだろ、ジャックの誕生日。

カイドウ様もレオヴァ様もそれで張り切ってんだよ。

……つーか、重いし退けよ姉貴…」

 

「なるほど!さ~すがぺーたん♡

………って、“重い”? しかも…今“退けよ”って言ったのかァ!?

訂正しろ~~!!

お姉ちゃんは羽のように軽くて可愛い”って言え~~!!!」

 

「うぉお!?

ちょ、姉貴!おれの上で暴れんじゃ…ぐぉ!?」

 

お姉ちゃん大好きって言え~~~!!!

 

 

ページワンをがくがくと揺さぶりながら叫ぶうるティを見てフーズ・フーが口をへの字に曲げる。

 

 

「……チッ、本当にうるせぇクソガキ共だ。」

 

「「誰がガキだ!!ぶっ飛ばすぞ!?」」

 

声を揃えた姉弟にケタケタとササキが笑う。

 

 

「ははは!

あっちにレオヴァさんも居るんだ、喧嘩は止めとけ!

んなことより……ジャックへのプレゼントってお前ら用意してんのかよ?」

 

 

ササキの言葉に三人はきょとんとしてしまった。

 

 

「……はァ?

なんで、おれがジャックの野郎にモノをやらなきゃなんねぇんだよ。」

 

「そうそう!

どうせジャックなんて何渡しても意味ないナリよ!

あいつ、レオヴァ様とカイドウ様以外から何貰っても反応ないし……あ、キングとクイーンなら話は別かもだけど?」

 

「……おれは毛皮用のブラシにしたけど。」

 

 

「「え、ぺーたん用意してんのかよ(してるの)!?」」

 

 

「ぺーたんって言うな!!」

 

 

ササキもフーズ・フーもジャックへの誕生日プレゼントを用意していたページワンに驚きを露にした。

うるティに至っては驚きすぎて固まってしまっている。

 

 

「……お前、なんだかんだジャックと仲良いんだな。」

 

「いや、全然仲良しじゃねぇし……

ただ…ローがジャックにあげるモン買いに行くっつーから、そのついで的なあれであって別に友だちとかそう言うんじゃねぇし……っておい!ササキ笑うなよ!!」

 

「くっ…はははは!

まぁまぁ、怒るなよ“ぺーたん”。

ジャック喜ぶといいなァ…?」

 

「くそ……ササキお前、ちょっとあの青リーゼントに似てきたんじゃねぇの。

てか、別にジャックが喜ぶかどうかとかどうでもいいわ!

前のおれの誕生日に物貰ったから、借りつくるの嫌だってだけだし……」

 

「おれが狂死郎に似て来ただァ…?

……いや、けど体重は変わってねぇと思うが…」

 

「見た目の話じゃねぇわ、ササキこの野郎!!

ぺーたん、なんで……なんでジャックなんかにプレゼントあげるナリかぁ~~!

やだやだやだぁ~!私もぺーたんからプレゼント欲~し~い~!!!」

 

 

ドタバタやいやいと騒がしいササキ、ページワン、うるティの三人に溜め息を吐くとフーズ・フーは立ち上がった。

 

 

「無駄な時間だ、おれはレオヴァさんに任された仕事を終わらせる。

テメェらもさっさと動き出せ。」

 

それだけ言い捨てるとスタスタと早足でフーズ・フーは部屋を出て行った。

残された三人もそろそろ向かうかと腰を上げ、電伝虫を終え書類に目を通すレオヴァの背を横目に歩き出したのだった。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

遠征から戻ったジャックは肩を落としていた。

 

カイドウとレオヴァに挨拶と報告書を出しに行こうとしたが、二人は忙しいらしく会うことが出来なかったのだ。

 

そんな、数週間ぶりに二人と話せる!と楽しみにしていたジャックの落ち込みぶりに構うことなく、隣に座るローは無情な言葉をかける。

 

 

「おい、いつまでヘコんでるんだ。

レオヴァさんが忙しいのはいつもの事だろ。

……カイドウさんが忙しいのは珍しいが。」

 

「そんなことはわかってる!

……お前は近衛隊だから、おれの考えがわからねぇんだ。」

 

「はぁ…大看板が情けねぇ面してんじゃねぇよ。」

 

「……情けねぇ面なんざしてねぇ。

おれに構ってねぇで、さっさとレオヴァさんの手伝いでもしに行けばいい。」

 

 

フンッと顔を背けたジャックに気付かれぬようにローは溜め息をついた。

 

 

「(ジャックの奴、また完全に自分の誕生日を忘れてやがるな…

レオヴァさんに鬼ヶ島の宴会場にジャックを近付けさせねぇように言われてるから、離れる訳にもいかねぇし……)」

 

 

黙ったまま隣に座り続けるローにジャックの眉間の皺が深くなる。

 

 

「……なにか用でもあるのか、トラファルガー。

ねぇなら、離れろ。」

 

「用はあるにはある……が。

もう少し経ってからじゃねぇと駄目なんだよ。」

 

「…ア"?

意味がわからねぇ、まどろっこしい真似するな!」

 

 

ギロリと鋭い目線が突き刺さるがローはどこ吹く風である。

他の者ならば卒倒するほどの剣幕だが、ローとジャックは子どもの頃からの付き合いである。

この程度の睨みなど、すっかり慣れてしまっているのだ。

 

刀の手入れを始めたローに不満を露にするジャックだったが、この態度を見て諦めた様に椅子に座り直した。

 

長い付き合いから、こうなったローは何を言っても無駄だとジャックはよく知っている。

 

 

「(……トラファルガーの奴、本当になんのつもりだ…)」

 

まったく意味がわからねぇ奴だ、と独り言ちながらジャックは目の前にある新人の情報に目を通すことに専念するのだった。

 

 

 

 

一方その頃。

 

鬼ヶ島の大宴会場では、ガヤガヤと忙しなく動く百獣の船員やコック達の中心でレオヴァとカイドウが最終確認をしていた。

 

 

「今、ローにジャックを足止めさせている。

10分後にここに来る手筈になっているから……父さん、話した通りに頼む!」

 

 

レオヴァの言葉に大きく頷くと、カイドウはどすりと音を立てながらその場に座った。

 

 

「大事な部下……ジャックの祝いの日だ、盛大に行こうぜ!!」

 

 

カイドウの言葉に部下もコックも元気よく答えた。

 

 

「「「「 はいっ!カイドウ様!! 」」」」

 

 

部下とコックの返事にカイドウは満足げに笑い、レオヴァは頷き指揮を取る。

 

 

「よし、万事抜かりないな。

では……ローに連絡を入れる。

皆で祝いの道具を持ってジャックを迎えるとしよう。」

 

 

「「「準備万端です、お任せを!レオヴァ様!!」」」

 

 

部屋を飾り付けた部下も料理を大量に運び込んだコックも、この後にくるジャックへ向けて気合いを入れ直した。

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

「「「「ジャック様ァ~!!おめでとうごぜぇますッ!!!」」」」

 

「…………ア"ァ"?」

 

ひらひらと大量の紙吹雪を浴びながら、予想外の出来事にジャックは思わず目を見開いた。

 

目線の下には見慣れた顔の部下達が、次々に笑顔で祝いの言葉をかけてくる。

 

そして、眼前にある上段の間ではカイドウとレオヴァがジャックの驚きの表情を見て、成功だと楽しげに笑い合っている。

 

 

「さっさと、カイドウさんとレオヴァさんの所に行け。」

 

ローに背中を押されて歩きだし、ジャックはカイドウとレオヴァの側の中段の間へ通される。

 

 

「ウォロロロロロ…!!

ジャック、お前今年も自分の誕生日を忘れてやがったな?」

 

 

愉快そうに大口を開けて笑うカイドウにジャックは申し訳なさそうに口を開いた。

 

 

「すまねぇ…カイドウさん、レオヴァさん。

すっかり忘れちまってました…」

 

 

「謝ることはねぇさ、ジャック。

その真面目過ぎる所もお前の美点だ。

そうだろう、父さん?」

 

 

「あぁ、レオヴァの言う通りだ!

それにお前が自分に頓着しねぇおかげで、毎年サプライズをするとレオヴァがはしゃげるワケだからなァ…!」

 

 

「ふふふ…父さんだって毎年気合いを入れてるじゃないか。

…と、積もる話もあるがまずは父さん…」

 

 

「そうだなァ…!先に始めちまおう。

野郎共!今日はめでてぇ日だ、好きなだけ飲んで騒げェ!!

 

 

「「「「うおぉお~!!ジャック様の日だぜ~!!!」」」」

 

 

カイドウの号令に大盛り上がりな部下達にジャックが嬉しさと呆れを滲ませていると、レオヴァに名前を呼ばれる。

 

すぐに振り向くと上段の間から降りてきたレオヴァがすぐ側に居た。

 

 

「…ジャック、誕生日おめでとう。

今年も1年…おれはお前の幸せを願ってる。

来年もまた父さんと皆で、この日を迎えよう。」

 

「ありがとう、レオヴァさんッ…!」

 

昔と変わらぬ微笑みを向けてくれるレオヴァに、ジャックは自分の頬が緩む感覚に襲われた。

 

そして、嬉しさが溢れだしそうなジャックの横から、酒を呷るカイドウがニッと笑いながら声をかける。

 

 

「ジャック、期待してるぞ。」

 

「ッ…あぁ!

任せてくれカイドウさん!!!

 

周りの喧騒に負けぬほど大きな声で、掛けられた言葉に答えたジャックに、カイドウもレオヴァも笑った。

 

 

「ふはははは…!

気合い十分だなァ、ジャック!」

 

「ウォロロロロロロ…!!

いい返事じゃねぇか、ジャック!」

 

 

暖かな二人の笑い声に包まれながらジャックは幸せを噛み締める。

 

 

2人は身寄りのないガキだった自分を拾い育ててくれた。

しかも、それだけでなくこんなにも自分に期待して、大切にしてくれているのだ。

 

 

「カイドウさん、レオヴァさん……おれァ、幸せだ。」

 

小さく溢れた言葉に2人は、大袈裟な奴だなァとまたジャックに笑い掛ける。

 

 

 

その後、レオヴァに言われジャックは一度広間側にいる者達の下へと向かい、直属の部下達やページワン、ローから大量のプレゼントを押し付けられながら、ジャックは周りにバレぬ様に小さく笑った。

 

 

「……こんなに沢山いらねぇよ。」

 

そんな不器用な彼の照れ隠しに皆が気付かないフリをしながら、ジャックの為の大宴会が始まったのだった。

 

 

 

 

 




ー後書きー
前回もいろんな感想やコメントありがとうございました!嬉しいです!
ここ好き一覧や誤字報告くれる方にも感謝しております~!m(__)m

9月28日はジャックの誕生日なので、おまけとして番外編でお祝いを!
ーーーーーーーーー
『百獣の誕生日事情』 

・カイドウ
毎年レオヴァ主催で盛大なお祭り状態の祝いの席が用意される。
本人も宴が好きなので乗り気。
部下達も楽しみにしていて、イベントになりつつある。

・キング
誕生日とかどうでも良いタイプだが、当日はカイドウとレオヴァと三人で晩酌し、何かしらを貰うのが恒例になった。

・クイーン
花魁も呼ぶし、部下もめちゃくちゃ集めて賑やかな誕生会を開く。
小紫に会えるので、なんだかんだ楽しみにしている。

・ジャック
仕事の事ばかりなので、毎年忘れるがレオヴァとカイドウによって、直属の部下と志願者のみ集めて宴会を開いて貰える。

・ドレーク
毎年カイドウから祝いの言葉を貰い、その後レオヴァと二人で晩酌する。
次の日などにササキやスレイマン達が飲み会で祝ってくれるのが恒例。
直属の部下達も後日に祝いやプレゼントを渡している(ドレークの邪魔しない様に)

・ロー
ジャックと同じくカイドウとレオヴァ、直属の部下と志願者のみ集めて宴会を開いて貰える。
乗り気じゃない顔をしているが、内心毎年楽しみにはしている。
ちなみに、ジャックとページワンは毎年参加する。

・ベポ
ローとレオヴァがパーティーを開き、数人の仲良しなロー直属の部下とドレーク&ページワンが来る。
毎年楽しみすぎて、1週間前からはしゃいでいる。

・スレイマン
カイドウから言葉を貰い、レオヴァとドレークと晩酌する。
次の日に部下達と食事に行き祝われる流れが恒例。
前日あたりから、少しそわそわしだす姿を部下は微笑ましく見守っている。

・うるティ
レオヴァに毎年誕生会を開いてもらっており、カイドウからも祝いの言葉を貰う。
ページワンやトネグマなど志願者のみ集めて開かれる。
毎年本人が一番張り切っている。

・ページワン
うるティとレオヴァ主催で誕生会をやるのが恒例。
直属の部下以外にも結構な数の別隊の部下も参加する姿から、ページワンの好かれ具合がわかる。
毎年こっそりカイドウの下へと行き祝いの言葉をもらってニヤニヤしているが、姉には内緒。

・ブラックマリア
カイドウとレオヴァ、可愛がっている遊女を呼んで誕生会を開く。
自分の誕生日なのに毎年カイドウとレオヴァをもてなして嬉しそうにしている。
当日の昼に、うるティやササキ達から祝いの言葉を貰うのも恒例。

・ササキ
狂死郎とレオヴァ三人で晩酌をし、ちゃっかりカイドウに祝いの言葉と酒も貰いにいく。
前日に直属の部下や慕ってくる別隊の部下を連れて飲みにも行っており、当日の昼はドレークやページワンから祝いの品を貰う。
毎年数日前からレオヴァや狂死郎には楽しみオーラを出している。

・フーズ・フー
誕生日会なんざやらねぇ。と主張し続けているが、毎年レオヴァに丸め込まれる形で祝われている。
カイドウもさらっと祝いの酒を手渡すなどしている模様。
なんだかんだレオヴァから貰った物は誰にも触れられぬ様に保管してあるらしい。

・その他真打ちなど
真打ちは総じてレオヴァから祝いの言葉や物を貰える。
幹部でない部下は誕生日月の給金に祝い金がプラスされる。
配属される部隊によっては上司から祝いの言葉を貰える場合もある(ドレークやササキ、スレイマンなどは直属の部下の誕生日は祝う傾向にある。)

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