俺がカイドウの息子…?   作:もちお(もす)

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蓋を開ければ

 

埃ひとつない整えられた部屋にペロスペローは数人の部下を、レオヴァはジャックを連れて入室した。

 

この部屋は貿易の話や取引などによく使われている部屋で、きらびやかではないが美しく整えられている。

 

 

「(……部屋にケチつけられそうなモンはねぇな…

百獣の息子……コイツ、本当に交渉は上手そうじゃねぇか。

この部屋の綺麗さといい、さっきのおれの嫌味への対応といい……本当にあの粗暴な男のガキかァ?)」

 

 

表情には微塵も出さずに粗を探すペロスペローだったが、レオヴァの声に意識を戻す。

 

 

「ペロスペロー、そこのソファーに掛けてくれ。

おれは茶でも淹れよう、ちょうどそれに合う菓子もある。」

 

にこやかに告げたレオヴァにペロスペローはここぞとばかりに仕掛ける。

 

 

「おぉ!まさか“百獣の息子”が茶を淹れられるなんて思わなかった!

是非とも味わわせてもらいたいぜ、ペロリン♪」

 

 

とても良い笑顔で落とされた特大の爆弾は見事、ジャックに被弾した。

 

ビキィッ…!

 

あまりの怒りにジャックは床を踏みしめ、割ってしまったのだ。

ペロスペローは笑みを深めたが、後ろに控える部下は顔面蒼白である。

 

 

先ほどからずっとペロスペローはレオヴァが名乗っているにも関わらず、“百獣の息子”と呼ぶのだ。

普通はレオヴァと名で呼ぶか、百獣海賊団総督補佐または総督補佐官と呼ぶのが取引相手としての礼儀である。

 

これ即ち

『百獣のカイドウの“息子”と言う肩書きが重要であって、テメェには興味ねぇよ。』

というペロスペローの遠回しな攻撃であることは明白であった。

 

 

茶を淹れると言ったレオヴァの優しさへの仕打ちと、礼儀を欠いた呼び方に、ついにジャックは大噴火を起こしかけたのだ。

 

 

「…テメェ……レオヴァさんにナメた口を!!」

 

ドスンと音を立てながら一歩前に出たジャックに、余裕の笑みを浮かべているペロスペローが言葉を紡ぐ。

 

 

「くくく……おれは何か悪い事を言ったか?

……ん~、思い当たらねぇなァ…ペロリン♪」

 

嗤うペロスペローに眉間の血管がはち切れそうになったジャックだったが、レオヴァに軽く肩をたたかれ、ハッと我にかえる。

 

言われている当の本人はニコニコと笑顔を崩さず紅茶片手にジャックの前に出て、そのままペロスペローの座るソファーの前に腰掛けた。

 

 

「いや、こう何度も百獣の息子と呼ばれるのは久々だ。」

 

「おっと、そりゃ失礼。

嫌だったかね?」

 

「まさか…!

おれは父さんを心から尊敬してる。

その父さんの息子という呼ばれ方に嬉しさはあれど、嫌な気持ちなどない。

逆に聞くが、ペロスペローはビッグ・マムの息子と呼ばれたら腹が立つのか?」

 

「………いいや、おれもママが誇りだ。

おれだけじゃねぇ、弟や妹達だってそうだからなァ。」

 

「だろう?

近い価値観を持ってるみたいで嬉しいよ、ペロスペロー。」

 

 

微笑むレオヴァにペロスペローは固い表情で返した。

 

そんな二人のやり取りにペロスペローの部下は胸を撫で下ろし、ジャックは感心していた。

 

 

「じゃあ、そろそろ本題に入ろう。

今回から今までの貿易の品に加えて……薬も新しく貿易内容に加えたいと言う話を事前に聞いていたんだが、変更はないか?」

 

「事前通りだ。

ママの決定は揺るがねぇ、取引金額についてだが……」

 

 

やっと貿易の話に辿り着いた二人の表情は真剣なものへ変わった。

貿易する品の数や値段交渉……お互いに探りを入れながらの絶妙なラインの駆け引きが始まる。

 

 

突如始まったお互いの海賊団の利益を掛けた舌戦に、ビッグ・マム海賊団の部下もジャックも思わず息を吞み、黙って事の行く末を見守ることに徹するのであった。

 

 

 

 

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美しく整えられていた部屋は見る影もなく、疲れきった顔のペロスペローの部下達は、目の前の光景にただただ言葉を失っていた。

 

壁にはヒビや穴が空いており、天井からは一部の隙間から眩しい日が差し込んできている。

 

装飾品達は砕け床に転がり、ソファーも傷だらけだ。

きっと、この部屋は今日限りで解体になるだろう。

 

数時間前のあの部屋と、同じ部屋とは到底思えぬ惨状であった。

 

 

そんなボロボロになった部屋に佇む部下達の前で、ペロスペローは饒舌家の本領をこれでもかと発揮していた。

 

 

 

「深味のあるアッサムティーのやさしい甘味に、後からくるビターチョコのような心地よい渋み…!

そしてこの豊潤なカカオの香り……画期的な紅茶だ!!

チョコと言う強い個性を、まさかここまで上手く紅茶にブレンド出来るなんて誰が思う!?」

 

 

素晴らしい!と大きな身振りでこちらへ身を乗り出すペロスペローに、レオヴァは笑いながら答える。

 

 

「ふふふ…そこまで喜んで貰えるとは思わなかった。

これは、夏島でとれる深い渋みのあるアッサムティーに特別なカカオピールをふんだんにブレンドした、自信作である紅茶の1つでな。

テオブロミンというリラックス効果のある成分も含まれているんだ。

一杯目はストレートで本来の味を楽しんでもらい……二杯目はミルクや砂糖を入れてマイルドに味わうのがお勧めだな。」

 

 

「なるほど…なるほど……。

特別なカカオってのも気になるな。

…と、その前に是非レオヴァおすすめの2杯目を貰っても?」

 

 

「勿論だ。

ミルクも砂糖も準備は万端、好きなだけ味わってくれ。」

 

 

新しく紅茶を注ぐと、ペロスペローの前にミルクと砂糖を置きレオヴァは微笑んだ。

 

流れるような手つきでペロスペローは紅茶にミルクを注ぎ入れて一口。

想像を超える美味さに感嘆の溜め息を吐く。

 

 

「実に、実に素晴らしい……!!

よし、次は砂糖を入れてみるとしようか、ペロリン♪」

 

砂糖を入れるために美しい小箱を開き、ペロスペローは目を見開く。

 

 

「…なっ!? これは……」

 

 

小箱の中には色とりどりに光るシュガースティックが入っている。

 

キラキラと輝いていながらも派手すぎず、透明感溢れる白や黄色に桃色などの砂糖はまるで宝石の様だ。

さらに簡素だが高級感のある持ち手の棒が、その輝かしさを存分に引き立たせている。

 

ペロスペローは丁寧にそこから1つを取り出すと、まじまじと眺めた。

 

 

「……この白色のシュガースティック、真珠に勝る美しさだ…

これは例の光る砂糖を使って作られてるのか…

…ふむ、菓子のトッピングやコーティングとしてはウチでも利用しているが、シュガースティックにする発想はなかった!

確かにこれなら見た目も楽しめ、メリエンダをさらに彩ってくれるなァ…!」

 

 

紅茶を彩る素晴らしいアイディアにペロスペローは笑みを浮かべ、レオヴァを見やった。

 

 

「わかってくれるか、ペロスペロー。

ウチには紅茶を飲む者が少なくて振る舞う機会がなかったんだが……この成果の理解者が居てくれて嬉しいよ。

……しかし、そのシュガースティックの魅力はまだある。」

 

「……なに?

これにはまだ仕掛けがある、と?

くくくく、面白い!

教えてもらえるかね、ペロリン♪」

 

「ふふふ……では、それを紅茶に使ってみてくれ。」

 

「使う…?

味になにか劇的な変化を起こすものなのか?」

 

 

疑問を持ちながらも、強い好奇心に駆られペロスペローはシュガースティックを紅茶に浸け、ゆっくりと丁寧な手つきで回した。

 

温かな紅茶に砂糖は消えるように馴染んでいく。

 

 

「……っ!? くくくく…!

レオヴァ、お前はまた予想を超えてくるか!

こりゃカタクリの肩入れ具合も頷ける…」

 

 

ペロスペローの持つカップの中ではキラキラと淡い光が見え隠れし、ミルクティーの優しい白茶色の中に星屑が煌めくような美しさであった。

 

レオヴァは狙い通りだ、という様な顔で笑いかける。

 

 

「無論、見た目だけでなく味も存分にこだわっている。

さぁ、飲んでみてくれペロスペロー。」

 

促されるまま優雅な所作でカップに口をつけ、ペロスペローは満足げに笑った。

 

 

「……まったくもって、文句の付けようがねぇ。

レオヴァの様な紅茶だな、ペロリン♪」

 

「ふふふ、1時間ほど前までさんざ文句は付けられていたと記憶しているがな、ペロスペロー。」

 

「くくくく、まぁ水に流せ。

あれはおれの誤解……いや、レオヴァの戦略が優れすぎていたせいとでも言おうか。」

 

 

そんな、和やかに紅茶を楽しむ二人の姿に、部下達もジャックもなんとも言えぬ顔をした。

 

 

ほんの2時間前まで

『ママはこの世で一番強く美しい女性(ひと)だ!!』

『父さんはこの世で誰よりも強く優しい人だ、異論は認めん!』

と、睨み合い部屋を壊した張本人とは思えぬ変わり様だ。

 

ペロスペローの部下たちは気疲れから憔悴しきっていたが、穏便に落ち着いて良かったと胸を撫で下ろし。

ジャックはこの会談が終わったら勉強をしようと、共用書斎に紅茶関連の本があったか記憶を辿っていた。

 

 

 

 

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どうやら、ペロスペローはこの1日でレオヴァを気に入ってしまっていた。

 

あらゆる事を上手く持っていく雰囲気作りの巧さも、人を退屈させぬ話題を提供し続ける博識さも、全てが(この)ましかった。

 

そして、あのゾクッと背筋を伝うような殺気……レオヴァが噂とはかけ離れた人物であると確信するには十分すぎる1日だったのだ。

 

 

 

『これだけの実力を何年いや、何十年と隠し続けてきたと?

全てを完全に隠蔽するということは、かなり残虐な手段を使う場合もある筈だろ……くくくく。

綺麗な(ツラ)、そして人畜無害な表情とは裏腹に随分と海賊らしい野郎だ!

間違いなくカイドウの息子だな、ペロリン♪』

 

 

そう言うペロスペローは、レオヴァの持つであろう狡猾さに笑みを深めた。

 

狡猾さや残忍さは海賊として生きる上で必要なモノだとはペロスペローの持論である。

 

敵を煽る様な言動も、絡めとりじわりじわりと殺す手法も、この持論あってこそだ。

 

そんなペロスペローにとって、レオヴァのやり方はなかなかに愉快かつ感心するものがあった。

 

ペロスペローのやり方とは違うようで…どこか根本は同じなのだ。

 

身内の為ならば何処までも敵に非情に成れる性格であり、仮面を被ることも巧い。

 

 

同時に自慢の弟との共通点も少し感じていた。

……まぁ、それをペロスペローが口に出すことはないだろうが。

 

 

兎に角、この貿易でペロスペローはレオヴァを認めた。

いや、認めざるをえなかった。

 

四皇ビッグ・マムの取引相手として、可愛い弟の友人として…。

 

 

 

ペロスペローは華のある紅茶の香りに包まれ、帰路を進む。

 

会談が終わる前に

『……で、この紅茶とシュガースティックを心休まるメリエンダのひとときの供に是非どうだろうか?』

と笑顔で売り込み、ちゃっかり貿易内容に追加してきたやり手のレオヴァを思い浮かべ愉しげに笑いながら、ゆったりと船に揺られるのだった。

 

 

 

 

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目の前で必死に“紅茶の楽しみ方”と書かれた本を読むジャックを横目に見て、俺は気付かれぬ様に笑みを溢す。

 

 

珍しく歯切れ悪く

『……レオヴァさん。

おれが淹れられるようになったら、一緒に…午後休憩とか……』

とジャックは言っていたが……本当に可愛い奴だ。

紅茶くらい、いくらでも淹れてやると言うのに……

 

そんな昔から変わらぬ性格に頬が緩むのも仕方ないだろう。

 

これだけの愛嬌だ。

弟気質なジャックをキングとクイーンが可愛がるのも納得がいく。

流石は俺の自慢のジャックだ。

父さんからも目を掛けられているし、本当に鼻が高い。

 

 

ジャックの可愛さと先日のペロスペローとの貿易の事で上機嫌な俺は、カタクリとの約束の島へ向かうべく準備を整えていた。

 

と、言っても。

ジャックがいるから特に大きな準備はない。

大まかな進路と、ワノ国についてからの荷積みされている物の移動場所などの細かなものだ。

 

指示が一目で分かるよう、紙に簡単な流れを書き記しながら、思いを馳せる。

 

 

 

今回のペロスペローとの貿易は思いの外、有意義なものだった。

……つい、父さん関連の話になり過熱してしまったのは反省点だ…

…短気な性格は簡単には治らないらしい。

ジャックの前でみっともない姿を晒してしまった。

 

……が、それを差し引いても良い取引だった。

ペロスペローはカタクリの言う通り取り引き慣れしており、とてもやりやすく無駄な説明をする必要もなく話がまとまった。

それに、新しく俺がブレンドした紅茶と開発したシュガースティックも追加で貿易に加えられた事は大きい。

 

ビッグ・マムはよくお茶会を開くと聞く。

そこで俺の商品が出れば、まだ取り引きの無い他の国も貿易を求めるだろう。

なにせビッグ・マムのお墨付きなのだから。

 

そうなれば、武器や薬以外にも貿易の幅が増え、資金や人脈が広がり……掌握も進みやすくなる。

 

1つの島のみで全てを自給自足するのは難しい。

だからこそ、同盟国や貿易などで互いに支えあっているのだ。

そして、それらの1つである薬や食品、娯楽関係や趣向品などにウチが介入することが重要なのである。

 

恐怖によって支配することも悪くはない。

だが友好的に近づき、ゆっくりとその国にとって無くてはならぬ存在に成れれば、恐怖よりも強い楔を打ち込めるのだ。

 

恩があるから裏切りづらい。

いなくなられては生活がままならない。

他の同盟国も彼らと関わりがあるからヘタに出られない。

国民からの人気があるから無下に出来ない。

 

など、様々な思惑や想いが混ざり合い……簡単には百獣に逆らえなくなるだろう。

 

その状況を少しでも多く作るため、何年も掛けて外のナワバリにも人員と金を割き、様々な物を生産しているんだ。

 

……まぁ、ビッグ・マムのお茶会にウチの物が出れば、四皇の同盟の可能性に政府が慌てるかも知れないが、それでは時既に遅し。

 

同盟は組んではいないが、貿易……謂わばちょっとした協力関係に有ることはバレても問題ない段階になったからこそ、ビッグ・マムとの取り引きを拡大しているんだ。

せいぜい、政府の上の人間は会議室で責任を互いに擦り付けあっていればいい。

 

何年も何年も“1”を積み上げ掌握を続けて来たウチと、保身に走るばかりで荒れゆく島々を見なかった者が集まった組織の差など、語るまでもない。

 

……最後に笑うのは “カイドウ(父さん)” と “百獣海賊団(俺たち) ” だ

 

 

全てを紙に書き終わった俺はゆっくりと席を立ち、出掛けるために甲板へ歩みを進めた。

 

 

 

 

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──カカオが特産のある島にて。

 

 

通常の何倍も大きなキッチンに、二人の大男が立っていた。

 

一人は真剣な面持ちで餅を練りその餅であんこを優しく包んだり、あんこと餅を一緒に練っていたりと忙しなく手を動かしている。

そして、もう一人はその男を遠い目をしながら眺めており、顔色は優れていないようだった。

 

 

 

「……カタクリ、おれはそろそろ…あんこを食べるのが辛くなって来たんだが…。」

 

緑茶を片手に顔を青くするレオヴァに、カタクリは首をかしげる。

 

 

「まだ100個しか食べてねぇだろう。

……具合でも悪いのか?」

 

 

「いや……具合は、悪くはねぇんだが…

……その、カタクリ。

お前の家では普通なのかも知れないが、あんこ餅は1度に100個も食べるもんじゃないと思うぞ?

…………まぁ、クイーンなら食べるだろうが…。

 

 

なんとも言えない顔で告げたレオヴァに、カタクリは腕を組んで考える素振りを見せた。

 

そんな何かを考えるカタクリを横目に追加の茶を注ぐ。

レオヴァはとにかく口の中に延々と残るあんこを流してしまいたかった。

どんなに美味くとも、甘いものを食べ続けるのは至難の技だ。

顔色ひとつ変えずに食べ続けるカタクリにレオヴァが頬を引き攣らせるのも仕方ない事だろう。

 

 

「……そうだな、確かにずっとあんこを食べるのは辛いか。」

 

カタクリの呟きにレオヴァの表情が和らぐ。

分かってくれたか…と、安堵するレオヴァにカタクリは冷蔵庫から何かを取り出し、手渡した。

 

 

「ずっと同じ様な味だと飽きてしまうのは当然だ。

一度、これを食べて口をリセットしてくれ。」

 

そう言って手渡されたものにレオヴァは固まった。

しかし、カタクリはそれに気付く様子もなく作業に戻る。

『気が利かずに悪かったな。』

と見当違いな事を言いながら餅をこねるカタクリにレオヴァは絞り出すように声を出した。

 

 

「……これは?」

 

「?……スフレチーズケーキだが?」

 

何を分かりきった事を、と言うような顔で告げたカタクリにレオヴァは思わず大きな声を出す。

 

……勘弁してくれ…!

 

レオヴァの心からの叫びにカタクリは目を点にした。

 

 

「レオヴァはスフレパンケーキが好きじゃなかったのか…」

 

「……そうじゃねぇだろう、カタクリ……」

 

 

見聞色じゃ気持ちはわからないからな……と溜め息を吐くレオヴァに、カタクリは心底意味が分からないという様に顔をしかめるのだった。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

あれから2時間。

 

大きなキッチンの前にあるテーブルで二人は満足げに休んでいた。

 

そんな、カタクリの目の前には三種類のあんこ餅が並べられている。

 

 

「レオヴァの言う通り、レアチーズとあんこの相性は完璧だった。

それにあんこ餅を焼くというアイディアも……おれ一人ではなかなか思い付かねぇ発想だ。

三種類あればそれぞれ好みに合わせて楽しめる、弟妹達も喜ぶだろう。

……ありがとうレオヴァ、感謝する。」

 

兄妹を思い浮かべ表情が緩むカタクリにレオヴァも笑い掛ける。

 

 

「確かに、レアチーズの案を出したのはおれだが

その案だけで完璧な配分を割り出したカタクリの努力あってこそだろう。

焼くという発想もカタクリがおれに何十個と食べさせてくれたから、味変えとして思い付いただけだ。

それに結局は、焼く用の餅生地の作成も全てカタクリの経験からくるものだっただろう。

たいした事じゃねぇ、気にするな。」

 

 

レオヴァの言葉に、フッと笑うとカタクリは立ち上がった。

 

 

「…レオヴァ、約束通り“組み手”に付き合おう。

今回のルールはどうする。」

 

「そうだな……前回は左手のみの2点先取だったからな…

……今回は足技なしの3点先取でどうだ?」

 

 

レオヴァの提案に頷き、カタクリは思い出したように問いかけた。

 

 

「……確か、連勝したら何か1つ貰える約束だったな。」

 

「1年ほど前の話をよく覚えてたな、カタクリ。

そうだ、そう言う約束だった。

が………連勝させると思ってるのか?」

 

 

愉しげに細められたレオヴァの瞳を真っ直ぐに見つめ返し、カタクリは自信のこもった声で答えた。

 

 

「フッ……なら言葉を返そう。

……初めから敗北を考えて挑む様な真似を……おれがすると思うのかレオヴァ。」

 

「…ふっ、ふはははは!

それはそうだな、カタクリらしい返しだ。

まぁ、負けるつもりはおれも無いが、約束の事は了承している。

早速、島の裏手に行こう。」

 

 

足取りの軽いレオヴァに案内されながらカタクリは前回の組み手を思い出し、対策を立てているのだった。

 

 

…この二人の組み手を知るものはいないだろう。

 

 

 




ー後書きー
今回も読んで下さりありがとうございます~!
感想やコメントも頂け嬉しいです(*´-`)
そして前回ビッグマムを誤植する大事件が……誤字報告くださった方ありがとうございます、助かります!!

↓前回コメントでありましたので!
・レオヴァの誕生日事情
一週間前からレオヴァはカイドウと遊びに(海軍を潰して回りに)行き、その間にキング&クイーンの指揮の下準備が行われ、当日は1日中どんちゃん騒ぎになる。
(金色神楽と違って船員全員は集まらず、毎年順番がある。しかし、幹部は全員意地でも鬼ヶ島に帰ってくるので皆勤賞)
ちなみに、ワノ国は鳳皇誕生祭とし休日。
後日、鳳皇城で大名など主要人物が謁見しに来て、軽く一緒に食事をする行事がある。
(狂死郎とヒョウ五郎は鬼ヶ島の宴も呼ばれているが、こちらも参加する。)
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