俺がカイドウの息子…?   作:もちお(もす)

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2026/9/2 加筆修正





国獲り編
編笠村と救いの手


 

 

─────ワノ国 編笠村付近 武器工場。

 

編笠村から“将軍命令”によって連行された者達は、この武器工場で半ば強制的に働かされていた。

 

労働環境は極めて過酷だ。

朝から晩まで働かされても、支払われる賃金は僅かなもの。まともな休憩すら与えられず、家族と会うことも自由な時間を持つことも許されない。

いつ終わるとも知れない労働を繰り返すだけの日々は、“奴隷”という言葉が最も近かった。

 

当然、初めから皆が黙って従っていたわけではない。

あまりにも理不尽な扱いに異議を唱える者もおり、ある時には監視役との間で乱闘にまで発展した。

 

だが、騒ぎが大きくなった直後。

全身を黒で覆い、背には翼を持ち、炎まで纏った奇っ怪な男が突然工場へ現れた。

何者なのか知る間もなかった。

反抗していた者達は、瞬く間に叩き伏せられた。

 

圧倒的だった。

大人数で向かってもまるで相手にならず、抵抗らしい抵抗すら許されないまま全員が制圧されたのだ。

あれを目の当たりにしてなお、立ち向かおうと思える者はいなかった。

 

それ以降、工場で働く者達は辛く厳しい状況に歯を食い縛り、ただ耐え忍ぶようになった。

反抗すれば何が待っているのか、皆が知ってしまったからだ。

そんな毎日が、これからも延々と続く。

少なくとも、その頃の彼らはそう思っていた。

 

────五か月前の、あの日までは。

─────────────────────────────────

 

 

その日の朝。

まだ作業が始まる前だというのに、工場で働く者達へ突然の召集がかかった。

理由は知らされていない。

ただ見張り達に集まるよう命じられ、逆らうことなどできないまま、一人、また一人と指定された場所へ集められていく。

 

どうせ碌な話ではない。

またオロチから何か命令でも来たのだろうか。

今度はどれほど無茶な要求を押し付けられるのか。

工員達の間には、そんな諦めにも似た重苦しい空気が漂っていた。

 

やがて全員が揃うと、見張り達の中でも普段から特に偉そうに振る舞っている男が前へ出てきた。

しかし、いつものふてぶてしい態度とは少し様子が違う。

どこか落ち着きがなく、表情には明らかな緊張が浮かんでいた。

 

「おめぇら これで全員だな!」

「はいッ! 全員連れて来やした!!」

「よし…おめぇら!

くれぐれも!!失礼のねぇようにするんだぞ!!」

 

工員達は互いの顔を見合わせた。

一体、誰が来るというのだろう。

返事をしない彼らに、男の顔が険しくなる。

 

「返事をしろォ…!! ナメた態度を取るなら家族も此処で働かせるぞ!!」

 

その一言に、空気が凍りついた。

自分達だけならまだしも、家族までここへ連れてこられる。

それだけは避けなければならない。

 

「ッ……はい…」

絞り出すような返事を聞き、見張りの男はようやく満足したらしい。

 

「ったく…

じゃあ、俺は“レオヴァ様“をお連れする!

 おめぇらしっかり見張っとけよ!!」

「はい! 了解ですぜ!!」

 

男は慌ただしく身を翻し、ドタドタと大きな足音を響かせながら出ていった。

残された工員達の間に、すぐさま小さなどよめきが広がる。

 

レオヴァ様。

聞いたことのない名だった。

 

それに、あの普段は威張り散らしている見張りが、あそこまで緊張している。

一体どんな人物なのだろう。

カイドウや、以前反抗者を一瞬で叩き伏せた黒尽くめの男のような、とんでもない化け物が来るのではないか。

 

工員達の想像は悪い方向へ膨らんでいく。

待っているだけだというのに、嫌な汗が背中を伝った。

やがて、遠くから複数の足音が聞こえてきて、見張り達が姿勢を正す。

 

工員達にも緊張が走り、自然と視線が入口へ集まった。

そして現れた人物を見た瞬間。

皆の表情に困惑が浮かんだ。

想像していたような大男ではない。

そこにいたのは、長い黒髪の間から一対の白い角を生やした、年端もいかぬ少年だった。

確かに角のある見目は珍しい。

しかし、それ以上に驚かされたのは、その幼さだった。

 

この少年が、先ほどの男があれほど慌てて迎えに行った“レオヴァ様”なのか。

工員達の間から、ざわざわと声が漏れ始める。

誰もが同じような疑問を抱いたのだろう。

その反応を見た見張り達の顔が、一気に険しくなった。

 

「おいおめぇらァ!!失礼のねぇようにと言ったよなァ!!!」

怒声が響く。

一人の工員の目の前で、見張りが棍棒を大きく振り上げた。

男の身体が反射的に強張る。

また殴られる。

避けることも、抵抗することもできない。

歯を食い縛り、来るはずの痛みに耐えようと目を閉じた。

 

だが。

いつまで待っても、棍棒が身体へ叩きつけられることはなかった。

代わりに聞こえてきたのは、周囲のどよめきだった。

 

「レ、レオヴァ様…!?」

男は恐る恐る目を開ける。

そして、息を呑んだ。

 

先ほどまで少し離れた場所にいたはずの角の少年が、自分と見張りの間に立っていた。

振り上げられていた棍棒は、既に見張りの手にはなく、地面へ転がっている。

何が起きたのか、男には分からなかった。

 

 

ただ一つ理解出来たのは――この少年が、自分より遥かに大きな見張りを止めたということだった。

少年は落ちている棍棒へ一度目を向けると、小さく息を吐いた。

 

「はぁ……まったく。

…此処ではすぐに体罰を行うのか…?」

まだ声変わりも終えていないような、幼さの残る声だった。

それでも見張りは何も言い返せない。

 

信じられないが、この少年は自分を庇ったのか。

その事実を理解すると同時に、男の口から咄嗟に言葉が漏れた。

 

「あ、ありがとうごぜぇやす…!」

 

少年――レオヴァが振り返る。

 

「 いや、礼は必要ない。 

……むしろ、おれの部下が失礼した。すまない。」

 

そう言って、レオヴァは男へ頭を下げた。

 

「えぇ!? い、いや、そんな!!」

驚いたのは男だけではなかった。

 

「「レ、レオヴァ様ァ~~!?!!」」

見張り達から素っ頓狂な声が上がる。

周囲の工員達も、開いた口が塞がらない。

自分達へ暴力を振るった部下の代わりに、上に立つ者が謝る。

それも、頭まで下げて。

 

この工場へ連れてこられてからというもの、自分達を人間としてまともに扱う者すらほとんどいなかった。

ましてや、相手から謝罪を受けるなど考えたこともない。

慌てふためく見張り達と、呆然とする工員達。

そのどちらも特に気にしていない様子で、レオヴァは元いた位置へ戻った。

皆の視線が少年へ集まる。

レオヴァはその場にいる者達を見渡すと、堂々とした態度で口を開いた。

 

「 おれの名はレオヴァ。

今日から編笠村と武器工場を正式に仕切らせてもらう事となった。

 以後、よろしく頼む。

さっそくだが、今後この工場の方針はおれの考えた案を基に大きく変更させてもらう。」

 

工場を仕切る。

その言葉に、再び小さなどよめきが起こった。

先ほどの行動には驚いた。

だが、目の前にいるのがまだ少年であることに変わりはない。

工場を任されるような年齢には、とても見えなかった。

誰かが、その疑問を思わず口にした。

 

「……子どもがここを仕切るのか?」

 

その瞬間、近くにいた見張りが血相を変える。

 

「…テメェ! レオヴァ様に言ってやがるのか!?!」

「! いや、その…」

「こいつは磔だ……!!!」

「おら!立てェ!!!」

複数の見張りが男へ掴みかかった。

 

「そんな…! ま、まってくれ…」

ほんの一言だった。

それだけで磔にされる。

この工場では珍しくもない理不尽さに、工員達は再び息を潜める。

しかし、またレオヴァの声が飛んだ。

 

「落ち着かねぇか…!

何でもかんでも直ぐに暴力で片付けようとするな!」

見張り達の動きが止まる。

 

「ですが、レオヴァ様……!

こいつはレオヴァ様をガキ扱いしやがったんですぜ!?」

「それの何が問題なんだ?

そいつはおれを馬鹿にしたワケじゃねぇ、ただ年端もいかぬ者が仕切ることを疑問に思っただけだろう。

 違うか?」

見張り達が顔を見合わせる。

怒鳴られるとでも思っていた男も、呆気に取られたようにレオヴァを見た。

 

「まぁ、確かに……そうかもしれやせんが」

「は、はい! その、アンタがまだ子どもに見えたもんで……つい…」

男が恐る恐る認める。

レオヴァは気分を害した様子もなく頷いた。

 

「あぁ…まだ大人とは言えない歳だ。

ここにいる皆の中に、おれの歳に不安を感じた者も少なくはないだろう。

だが、一度おれの方針で働いてもらう。

それでもし不満があるのならば聞こう!

…あと、人を見た目で判断するのは良くないぞ?」

「……す、すいやせん…」

「わかってくれれば良いんだ。

では、方針を発表させてもらおう!」

 

処罰はない。

疑問を口にしたことを咎められることもない。

それどころか、自分が若いことへの不安まで当然のものとして受け入れた。

 

工員達の中にあった警戒が、ほんの僅かに揺らぎ始める。

そして、その後レオヴァの口から告げられた新しい方針を聞いた時。

彼らは再び言葉を失った。

 

今までのやり方とは、あまりにも違っていたからだ。

聞き間違いではないか。

本当にそんな働き方が許されるのか。

一度説明を聞いただけでは信じられず、何度も確認する者までいた。

だが、レオヴァの答えは変わらない。

 

この方針で行く。

少年は最初から最後まで、揺るがなかった。

やがて全てを説明し終えると、レオヴァは集まっている工員達を見渡した。

 

「で、この方針で行くが……文句はあるか?」

誰も、すぐには声を出せなかった。

夢のような話だった。

これまでの生活から抜け出せるかもしれない。

まともに働き、まともに生きられるかもしれない。

その僅かな希望に縋るように、一人が声を上げる。

すると、それをきっかけに周囲からも次々と声が重なった。

 

「「「ぜひ!!その方針でやらせて頂きてぇ!!!」」」

 

 

 

――あれから、五か月。

過去の自分に今の状況を話しても、きっと信じなかっただろう。

今では、この武器工場は編笠村でも憧れの職場になっていた。

 

以前は無理やり連れてこられ、逃げることも許されず、ただ身体をすり減らしながら働くだけの場所だったが、今は違う。

 

レオヴァは工場で働く者達を、“武器作りの匠”と呼んでいる。

働いた分の賃金はきちんと支払われ、休憩の時間も設けられた。それどころか、受け取る金額が以前とは比べものにならないほど多く、最初の頃は工員達の方が不安になるほどだった。

 

本当に、これほど貰っていいのだろうか。

そう思った者は一人や二人ではない。

とうとう何人かで相談し、レオヴァのもとへ直接掛け合いに行ったことさえあった。

 

『こんなに多くもらって良いんですかい…

…もっと少なくしてもらっても……』

恐る恐る申し出る工員達に、レオヴァは不思議そうな顔をした。

そして、賃金を減らすどころか、返ってきた言葉はまるで逆だった。

 

『皆が造る武器はどれも素晴らしい出来だ。

おれはそれに対して見合う対価を払ってるにすぎない。

なにより、おれの考え方は信賞必罰だ。

…これは誰にでも出来る事じゃない、もっと自信を持ってくれ。』

工員達は何も言えなくなった。

 

これまで、自分達の仕事をそこまで評価されたことなどない。

武器を作れと言われれば作る。

遅ければ怒鳴られ、失敗すれば殴られる。

それだけだった。

 

だが、レオヴァは違う。

作ったものを見て、それに見合う対価を払っているのだと言う。

自分達にしか出来ない仕事なのだから、もっと誇りを持てとまで言ってくれた。

その日から、工員達の意識も少しずつ変わっていった。

 

どうせ作るなら、もっと良いものを。

昨日よりも良い武器を。

編笠村のために。

そして――レオヴァのために。

 

誰かに強制されるのではなく、自分達から進んで工夫を重ねるようになった。

互いに意見を出し合い、試し、失敗すればまた作り直す。

そうして五か月。

今では、ワノ国にある他の工場にも負けないほど質の良い武器を作れるようになっていた。

少なくとも工員達は、そう胸を張って言える。

 

そして変わったのは、武器工場だけではなかった。

編笠村そのものも、大きく姿を変え始めている。

 

以前は工場から流れ出た汚れによって、近くの川が徐々に濁り始めていた。

水を飲んだ者が体調を崩すこともあり、このまま汚染が進めば魚も獲れなくなるのではないかと村人達は不安を抱えていた。

 

そんな状況を知ったレオヴァは、工場から排出される汚染物質を“ろか”する仕組みを作った。

だが、それだけでは終わらなかった。

 

 

どこから連れてきたのか、水を綺麗にしてくれるという変わった生き物まで川へ放したのだ。

最初は半信半疑だった。

生き物を入れたところで、そんなに変わるものなのか。

だが、しばらく経つ頃には濁っていた水が少しずつ澄み始めた。

 

やがて川は以前の姿を取り戻し、魚や貝も再び獲れるようになった。

村人達にとって、その変化はとても大きなものだった。

 

さらに農業にも手が入った。

レオヴァが持ち込んだ“ひりょう”というものを畑へ撒くと、不思議なほど作物の育ちが良くなったという。

 

工場で働く男自身は農作業に詳しいわけではない。

だが、畑仕事をしている妻によれば、以前と比べて収穫量は倍以上に増えているらしい。

食卓に並ぶ物も増えた。

 

こうしてレオヴァの手によって、村に少しずつ余裕が生まれ始めた。

こんなに仕事が楽しく、豊かな生活を送れる日が来るとは思ってもいなかった。

 

スキヤキが将軍だった頃は、飢えるほど困窮していたわけではない。

それでも、仕事をここまで楽しいと思ったことはなかったし、これほど旨いものを日々食べられた記憶もない。

工場へ連れてこられたばかりの頃には、終わりの見えない日々に耐えきれず、自ら命を絶つことまで考えた。

 

それが今では、翌日の仕事を楽しみに眠ることさえある。

生きていれば良いことがある。

そんな言葉を、初めて本当だと思えた。

 

ただ一つ。

最初の頃、村人達がなかなか受け入れられなかったことがある。

レオヴァは、あの“カイドウ”の息子だということだった。

 

百獣海賊団の船長。

ワノ国にとって決して好意的に見られる存在ではない。

その息子が自分達を仕切ると知った当初、露骨に嫌悪感を抱く者もいた。

今までのオロチからの仕打ちを考えれば、それも無理はなかった。

 

だが、五か月間レオヴァのもとで生活し、その感情をそのまま持ち続けることは難しかった。

 

身分で人を見ず、働いた者には相応の報酬を与える。

必要のない暴力を嫌い、村の生活まで少しずつ改善していく。

 

今では、レオヴァへ嫌悪感を露わにする不届き者はいない。

そして、そんなレオヴァが語る父親の姿も、村人達が想像していたカイドウとはまったく違っていた。

 

カイドウは強く、素晴らしい人物なのだという。

 

息子であるレオヴァのためなら、たった一人でも敵へ立ち向かう。

普段は年齢以上に落ち着き、大人のように振る舞っているレオヴァが、父親の話になると本当に誇らしそうに語る。

その時だけは表情も柔らかくなり、年相応の少年らしい笑顔を見せることがあった。

そんな姿を見ていると、少なくともレオヴァにとってカイドウが良い父親であることだけは疑いようがなかった。

 

夜。

仕事を終えた男は、家の外で妻と一杯を交わしながら村を眺めていた。

以前よりも明かりの増えた家々。

遠くから聞こえる人の声。

綺麗になった川。

明日もまた、仕事へ向かうことができる。

五か月前には考えられなかった日常だった。

 

願わくば。

自分達へ分け隔てなく接してくれるあの少年が、これからもずっとこの村を仕切ってくれますように。

男は静かに、そう願った。

 

─────────────────────────────────

 

 

────── 場所は変わり、ある豪華な部屋。

 

一人の部下が、手元の報告を読み上げていた。

室内にはカイドウをはじめ、キングとクイーンの姿もある。

報告されているのは、レオヴァへ任せた編笠村と武器工場についてだった。

 

「……と言うワケで、編笠の武器工場から送られてくる武器は他の工場よりも質が良く、さらには反抗的な者どころか、進んで武器の開発及び改良に勤しむような者ばかりいるようで…」

報告を聞き終えるより先に、クイーンが愉快そうに笑った。

 

「ムハハハハ~~!おいおい!やるじゃねぇかレオヴァのやつ!!」

キングも驚きを隠しこそしないものの、どこか納得した様子だった。

 

「レオヴァ坊っちゃんならやってのけるとは思っていたが……ここまで成果をだしてくるか」

そしてカイドウは、誰よりも嬉しそうに笑っている。

 

「ウォロロロロロロ~~!!

さすがは おれの息子…!!」

豪快な笑い声が部屋へ響く。

報告役の部下はそんな三人を見回し、少し申し訳なさそうに口を挟んだ。

 

「あの~…カイドウ様、まだあるのですが…」

カイドウの笑いが止まる。

 

「なに…? 聞かせろ!」

「まだあんのかよ!?」

「……他にもあるだと…?」

キングとクイーンまで改めて報告役へ視線を向けた。

部下は手元の内容を確認し、その続きを読み上げる。

 

「編笠村の農業の発展、村の家々の修復。

そして汚染され始めた川の水質改善及び新しい漁業の導入…

……今の所、全て成功している様子でして」

一瞬、室内が静かになった。

任せたのは武器工場だったはずだ。

それが、気付けば村全体にまで手を入れている。

やがてカイドウが、再び満足そうな笑みを浮かべた。

 

「ウォロロロロロ……!

他の工場もレオヴァに任せるか!?」

その一言に、クイーンが僅かに顔を引き攣らせた。

 

「おいおい…レオヴァあんまり結果だしすぎんなよ…

……おれたちへのハードル上がるぜェ」

冗談めかしているが、目の前に並べられた成果を考えれば全く理解できない話でもない。

一方、キングは別の点が気になったらしい。

 

「村まで発展させてるのか…

侍が力を振るえる状況を作るべきじゃねぇ…が、レオヴァ坊っちゃんなら なにか考えがあるはずだ。」

武器工場の生産性を高めるだけなら問題ない。

だが、村そのものを豊かにすれば、そこで暮らす者達の力も戻る。

ワノ国を支配する側として考えれば、単純に喜べることばかりでもなかった。

クイーンもその意味を理解し、頷いた。

 

「侍に元気になられちゃあ反乱が起きたとき面倒だ…!

カイドウさん レオヴァの方針聞くってのはどうすか?」

カイドウは少し考えるように顎を引いた。

 

「…最近ほとんど顔を見せに来やしねぇしなァ。

よし、レオヴァの考えを聞くか。

キング、呼んでこい…!

クイーンは飯を用意させて来い!海鮮系を必ず入れろ!」

「了解した。」

キングはすぐに返事をする。

一方、クイーンは呆れたように肩を竦めた。

 

「カイドウさん毎回言わねぇでも 海鮮はわかってるって…!」

カイドウはそんな言葉など気にも留めず、酒瓶を手に取った。

 

「ウォロロロ!

久々にレオヴァも呼んで宴だ!!!」

その言葉に、周囲の部下達が一斉に反応する。

話はいつの間に宴になったのか。

キングがすぐに訂正した。

 

「いや、情報交換だからなカイドウさん!?」

だが、既にカイドウは上機嫌だった。

 

宴となれば準備がいる。

料理はどうする。

酒は足りるのか。

人数は。

突然の一言に部屋の外まで慌ただしくなり、部下達が一斉に動き始める。

そんな騒ぎなど意に介さず、カイドウは酒瓶を豪快に煽った。

 

久しぶりに息子が来る。

それだけで十分に機嫌が良いらしい。

レオヴァの到着を待ちながら、カイドウは楽しそうに笑っていた。

 

 

 

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