俺がカイドウの息子…?   作:もちお(もす)

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↓番外編・俺がカイドウの息子?
https://syosetu.org/novel/279322/
アンケートで頂いていた、番外編用の話を作りました。
ご回答ありがとうございました~!


知れば地獄、知らねば天国

 

ここは愛と情熱と繁栄の国、ドレスローザ。

 

 

そんな美しい街並みの中にそびえ建つ大きなお城に、前触れなく珍しい訪問者が現れた。

 

 

 

こちらの予定などお構い無しに目の前に現れた男を視界に捉え、ドフラミンゴの額を汗が伝う。

しかし、すぐにその動揺を隠すように普段の笑みを張り付け彼は口を開いた。

 

 

「フッフッフッ……まさかこんなに早く来るとはなァ、カイドウ。」

 

「おう、ジョーカー!!ひっく…

ウオロロロロ!なかなかこの国の酒も悪くねぇ!

ウィッ…ゥまぁ、レオヴァの造った酒にゃあ負けるがなァ!」

 

「……気に入ったなら何よりだ。

それで来たのは例の件の…」

 

「おれァ今飲んで気分がいい!!

座れェジョーカー!ヒック…お前にもレオヴァの手製を少し飲ませてやるぜ!!」

 

「いや、おれは…」

 

「ウィ……なんだァ…?飲まねぇってのかァ!!?

おれのレオヴァが造った酒に文句あるってのかよォ!!!

 

ドカンッという音と共に砕け散った大理石の机を見て、ドフラミンゴのこめかみがピクリと動く。

 

目の前で尋常ならざる怒気を(まと)い始めたカイドウにドフラミンゴは後ろの部下が息を呑むのを感じ、軽く息を吐く。

 

そしてすぐにニヤリとした何時(いつ)もの笑みを浮かべ、砕けた大理石を横目にソファーへドカりと腰かけた。

 

 

「おいおい…レオヴァの造った酒といやぁ天下一品(・・・・)

ぜひ、一杯貰いてぇもんだ!」

 

わざとらしい程に手を広げ声高らかに告げられた言葉に酔っているカイドウの機嫌はコロッと変わった。

 

 

「ウオロロロロロロ!そうだろう!!

飲みたくねぇわけがねぇ!ヒック…!

なんてったってレオヴァの手製だからなァ!!!

キング、持ってきてたヤツよこせ。」

 

「……カイドウさん、あんまり飲みすぎると帰りの分が無くなるぞ…」

 

「おれァ全然飲んじゃいねぇよ!!!」

 

「………」

 

キングはなんとも言えない瞳でカイドウを見つめたが、諦めたような素振りを見せると大きな酒瓶を3つカイドウの傍らに置いた。

 

カイドウはそれに上機嫌に手を伸ばすと酒を注ごうとして眉をしかめた。

 

 

「ジョーカー…!机がねぇじゃねぇか!!ヒック

ウィ~…これじゃあ、酒も注げやしねぇ!!!

 

「………フッフッフッフッフッフッ!!

おい、すぐに新しい机を持ってこい…!」

 

「レオヴァの酒はいつ飲んでも美味ぇ。

キング、お前も飲むかァ?ウィックぅ……」

 

「せっかくのレオヴァ坊っちゃんの酒だ。

飲むなら帰りにカイドウさんと2人で飲みてぇ。」

 

「そうか、レオヴァからお前の好きそうな酒も渡されてるからなァ!!

さっさと帰ってレオヴァと飲みてぇぜぇ…ヒック」

 

腹心であるキングと会話を始めたカイドウを見て気付かれぬようにドフラミンゴは本日何度目かわらかぬ溜め息をついた。

 

このカイドウという男は他の“大きな取引相手”と比べるとそこそこ話の通じる相手だが、酔っているとなると話は別である。

 

現に今も、自分で駄目にした事を忘れて机がないと不満げな顔をしてくる。

全くもって迷惑極まりない。

 

900万ベリーはくだらないオーダーメイドの大理石の机だった物を見てドフラミンゴは血管をピクつかせる。

こんなことなら新調する話を持ち越すべきだった、と考えつつもサングラスに隠れた瞳でカイドウを伺った。

 

めんどうな酔っ払いとはいえ、あの百獣のカイドウだ。

下手な真似は出来ない。

ここで暴れられるのが厄介なことはもちろん、彼を怒らせるということはレオヴァとの取り引きも全てがパァになる事を意味している。

 

ドフラミンゴの闇取引と表稼業、どちらにもレオヴァと取引した物や人脈が大いに使われている。

むざむざ手放す訳にはいかないのだ。

 

 

「(まったく、面倒なことになった。

レオヴァもレオヴァで“(くせ)”があるが…こっちの相手をした後じゃあ可愛く見えるぜ……)」

 

砕けた大理石が片付けられ、新しくセットされた机を横目に見ながらドフラミンゴは手早く済ませる為の案を思考していた。

 

 

 

 

あれから数時間、上機嫌なカイドウの息子自慢に付き合わされたドフラミンゴは疲れきっていた。

 

口を開けば

『おれの息子は…』『リンリンのガキ共なんて比にならねぇ…』『レオヴァが…』『部下共もレオヴァを…』

等々、息子の自慢話のレパートリーは無限大であるようだった。

 

そして、下手にドフラミンゴが

『分かるぜ、レオヴァは他とは違う。

この前の取引では…』

なんてレオヴァとの話を語ろうものなら

『レオヴァの事ァおれが一番分かってる!!』

と意味が分からないキレ方をされるのだ。

かと言って、カイドウの息子自慢に同意を示さなければ不機嫌になる。

 

口元を引き攣らせはしたが、血管がブチギレなかった事は流石はドフラミンゴと言わざるを得ないだろう。

カイドウは誰もが認める、面倒くさい酔っぱらいであった。

 

しかし、ドフラミンゴはなんとか地獄の接待を乗り越えて用件を済まさせ、ドレスローザから帰らせることに成功したのだ。

 

しかし、今回の取引内容はドフラミンゴにとって大きな痛手である。

いや、寧ろ初めての不利益な内容だったとも言えるだろう。

 

 

『面白ぇのがいるじゃねぇか!よこせ!』

その一言でカイドウはドフラミンゴの物になる筈だった“駒”を取って行ったのだ。

 

 

ドレスローザを手に入れる為に“火災”と呼ばれる男の手を借りた事が間違いだった。

そうドフラミンゴは考えた。

 

この国を手に入れるにあたり、小人族がいるという事を事前にドフラミンゴは知っていた。

そして、その情報は勿論キングの耳にも入っており、そのキングから話を聞いたカイドウの一言により取引が決定した。

 

取引内容は

極秘にキングが手を貸す代わりに、小人族をよこせ。

というものだった。

 

インペルダウンの一件などで、七武海に入る為の計画や国取りの算段に大きな狂いが出ていたドフラミンゴは背に腹はかえられぬと渋々取引を飲んだ。

 

小人族という優秀な労働力は惜しいが、レオヴァとの貿易の品があれば資金には困らない。

それに労働力なら奴隷(・・)オモチャ(・・・・)もある。

たいした損害ではないだろう、とドフラミンゴは考えていた。

 

 

だが、蓋を開ければどうだ?

小人族の姫は有能と言う言葉では片付けられぬ程の“能力(・・)”を持っているではないか。

それを知ったドフラミンゴはなんとかその姫だけは手の内に仕舞おうと画策した。

 

しかし、そんな事をキングが見逃す筈もない。

こちらの思惑などお見通しと言わんばかりに、その姫の存在を認知していることを匂わせて来たのだ。

 

 

『レオヴァ坊っちゃんが好きそうな“面白い能力(・・・・・)”の小人族がいるらしいな。

そういえば、小人族の中身は見たことがねぇなァ…その能力があれば殺さずに調べられそうだ。

…カイドウさんを騙そうってんなら、お前の部下で解剖しても死なねぇか試させてもらうが……覚悟出来てるんだろうな?』

そう不気味さが混じった低い声で言うキングに、ドフラミンゴは隠すのは無理だったかと悟った。

 

そして、すぐにドレスローザに来ては極秘でキングが手を貸した事がバレかねないと数年の間を開けて、今回取引にあった小人族を引き取りに来たという訳だった。

 

 

惜しい駒をなくした、そう思いながらもドフラミンゴは気持ちを切り替えた。

 

少なくとも百獣との取引がなければ、七武海の地位も国取りも年単位で長引いていただろう。

それを差し引けば、痛手ではあるが完全なマイナスではない。

 

寧ろ、小人族をレオヴァが気に入ったとなれば取引相手としての立場を確固たるものに出来る材料にもなる。

 

カイドウが喜べばレオヴァが喜び、レオヴァが喜べばカイドウが喜ぶ。

この図式に間違いはないだろうとドフラミンゴは確信に近い思いを持っていた。

 

それを(かんが)みればカイドウに小人族を渡すことは、やり方によってはプラスになり得るのだ。

 

先を見据える力のあるドフラミンゴは今回の取引は、踏んだり蹴ったりでは終わらないだろうと予感していた。

 

 

「…そう考えりゃあ、大理石の机がパァになったのも悪くはねぇか。」

 

すっと口角を上げたドフラミンゴのサングラスはカーテン越しに夕日に照らされていた。

 

 

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ドレスローザからワノ国へ戻る船はキラキラと光る海を行く。

 

あの取引から1日が経ち、何事もなく海を進めている事に胸を撫で下ろしていた部下達はカイドウに食事を運んでいた。

 

機嫌がいいカイドウのお陰で平和な毎日に心を撫で下ろす部下達だったのだが、カイドウの部屋に入ると同時にピシリと固まった。

 

 

「わあっ!すごいれす!

こんなに献ポポしたのに動けるのれすか!?」

 

「龍になれる大人間(だいにんげん)はすごいれすね~!」

 

「みょうおう様の献ポポのお陰で怪我治ったれすよ!

ありがとうれす~!」

 

「私の知ってる大人間(だいにんげん)よりもおっきいれすね!

みょうおう様は大大大人間(だいだいだいにんげん)なんれすか?」

 

「おい、うろちょろするんじゃねぇ。

レオヴァに会わせる前に踏んじまうだろうが!」

 

部下達は目を疑った。

あの百獣のカイドウの周りにファンシーな可愛い小人達が群がっているではないか。

 

しかも、何人かはカイドウの体に乗って楽しそうにはしゃいでいる。

 

部下達はお互いに目配せすると小声で話し出した。

 

 

「ちょっ……これどうなってんだ!?」

 

「なんでカイドウ様の部屋に小人がよぉ…」

 

「大丈夫かよこれ…カイドウ様が怒ったらみんな潰されちまうんじゃ…?」

 

「いや、さすがにカイドウ様もそこまで……」

 

「酔っ払っちまったら小人全滅もあり得るかもなぁ…墓作っといてやるか?」

 

「「ばか野郎!縁起でもねぇこと言うな!!」」

 

思わず叫んだ部下の声にカイドウの顔が扉の方を向いた。

 

 

「何をぶつぶつやってんだ、さっさと運んで来ねぇか!」

 

「「「へ、へい!カイドウ様!!」」」

 

慌てたように部屋に食事を次々と運び込む部下達を小人族は不思議そうに見ていた。

 

 

「こんなにおっきなお皿初めて見るれすよ~!」

 

「みょうおう様が大きいからお皿も大きいんれすね!」

 

「僕、お腹空いちゃったれす…」

 

「みょうおう様!

我々も食べたいのれすが……」

 

わちゃわちゃとまた周りに集まりだした小人族にカイドウは肉をかじりながら答えた。

 

 

「構わねぇ、好きなだけ食え。

だが、皿には乗るなよ。間違えて食われたくなきゃなァ。」

 

カイドウは機嫌が良いのかお世辞にも優しそうには見えない笑みを浮かべながら、冗談交じりに食べることを許可した。

 

 

「「「ありがとうれす~!」」」

 

「もうお腹ペコペコだったんれすよ~」

 

「ドレスローザじゃご飯は全然食べられなくて…」

 

 

「あっ…カイドウ様の食う発言は気にしねぇんだ……」

 

ポツリと呟いた部下の言葉を気にせずに食事に飛んで行った小人族を見て、周りの部下は小さく笑う。

 

 

「……小人族ってなんか可愛いなぁ」

 

「カイドウ様もお心が広いぜ!」

 

「早くレオヴァ様の反応がみてぇよな。」

 

「カイドウ様が連れてきたと聞けば、レオヴァ様すげぇ喜ぶだろうな!!」

 

部屋の入り口付近で談笑している部下達の前では、小人達とカイドウが凄い勢いで大量にあった料理を平らげていく。

 

小人のどこにそんなに入るのかと目を丸くする部下達を他所に、キングの指示で新しい料理がまた運ばれてくる。

 

部下達は綺麗に空になった皿をキッチンに戻すべく部屋を後にするのだった。

 

 

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小人族のワノ国到着から5日後の鳳皇城の客間にて。

 

 

「わしはガンチョ。

トンタッタ王国で一番偉いトンタ長れす!

やー、みょうおう様と同じでレオヴァ王も立派なツノれすな!」

 

「ふふふ、父さんと同じか…これ以上ない褒め言葉だ、ありがとう。

おれはレオヴァ。

まだまだ王として未熟な身だが、皆に支えられワノ国の民の代表として日々精進している。

トンタ長であるガンチョ、貴方に会えて光栄だ。」

 

威圧感を感じさせない丁寧な所作でレオヴァは礼を取り、優しげな表情で微笑んだ。

ガンチョもそれに答えるように礼を取り二人の王の会談はとても穏やかに進み、ワノ国とトンタッタ王国の“同盟”が結ばれた。

 

 

同盟内容は簡易化すると以下の通りである。

ワノ国は全面的にトンタッタ王国の手助けをし、外の“あらゆる危険(・・・・・・)”から保護する。

その対価として、トンタッタ王国の国民には植物園の管理を任せる。

ワノ国とトンタッタ王国は互いに助け合い、外界からの攻撃があった場合には自国が攻撃されたものとして共に立ち向かうと誓う。

百獣海賊団は両国の仲介人として相応の発言力があるものとし、どちらかが同盟を一方的に破棄した場合は処罰を百獣海賊団に一任するものとする。

 

と、いう内容である。

 

トンタッタ王国の人々はその同盟内容を快く受け入れワノ国、そして百獣海賊団と手を結ぶ事となった。

 

 

同盟も無事に結ばれ、レオヴァの提案により植物園へトンタッタ王国の人々を下見に連れていくことに。

さっそく、案内しようと立ち上がったレオヴァの肩や髪には小人族の者達がわらわらと集まって来ている。

 

その光景に同席していたドレークは慌てたように声を出した。

 

 

「おい、レオヴァさんは乗り物じゃないぞ!」

 

 

「わ~!レオヴァ様の肩から見る景色高いれすね~!」

 

「ほうおう様、植物園とはどのような植物を育てているのれすか?」

 

「えへへ!髪の毛でブランコ!

みょうおう様のお髪よりふわふわれす~!」

 

「はえ~!ツノってこんなに固いんれすか!?」

 

ドレークの焦った声など聞こえていないのか、小人達はわいわいとレオヴァに登って好き放題に動き回っている。

 

その光景に困った様に眉を下げるドレークにレオヴァは機嫌良さげな声色で告げた。

 

 

「ドリィ、気にしなくていい。

父さんの時もこうだったんだろう?

楽しそうな姿を見せられれば悪い気もしない。」

 

「レオヴァさんがそう言うなら構わないんだが…」

 

ニコニコと上機嫌なレオヴァを見て気を緩めたドレークに小人の影が近づき、気付いた時には10人以上の小人がくっついていた。  

 

 

「ドレーク様も変身できるんれすか?」

 

「眼帯カッコいいれす!!」

 

「レオヴァ様は黒くてふわふわで、ドレーク様はオレンジでカチカチれすね?」

 

「植物園、どんな所なんれすか~?」

 

「へ、変身…?獣化のことか?

それなら出来るが…

いや、ちょっと待ってくれ一気にそんなに質問されても答えられん!」

 

肩や頭にいる小人達が落ちても大丈夫な様に手を添えるドレークの真面目な姿にレオヴァは思わず笑い、肩を揺らした。

 

 

「はわわっ…!」

 

「姫!危ないれすよ!

ちゃんとレオヴァ様の髪に掴まるれす!」

 

急に揺れた肩から落ちそうになったマンシェリーを抱き止め、レオは呆れたような表情をする。

 

 

「レオ!

こ、このまま支えてくれてよくってよ♡」

 

「自分で掴まるれすっ!」

 

「いや!!レオが支えてくれないなら落ちます!」

 

「ムッ…本当にわがままな姫れすよ!」 

 

レオがそのまま支えるとマンシェリーは愛らしい笑顔を咲かせて見せた。 

 

 

しかし、レオヴァは肩の上でロマンスを繰り広げられている事など気にせずに歩きだす。

 

 

「さっそく植物園に行こう。

おれの趣味で世界中の色んな花や植物を集めた場所なんだ。

喜んで貰えたら嬉しいんだが…」

 

「ほっほっほ…!

自然豊かな場所と聞いてるれす!

楽しみれすなぁ!」

 

トンタ長はレオヴァの手の平の上でおおらかな笑顔を浮かべた。

 

少し早足で歩き始めたレオヴァに小人達相手に質問攻めに合っていたドレークは慌てて後ろに続いたのだった。

 

 

 

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レオヴァがドレークと共にトンタッタ王国の国民達とワノ国を回っていた頃。

 

鬼ヶ島の一室でカイドウはササキと大量の酒を飲んでいた。

 

もともとはクイーンが呼ばれていたのだが、あまりのカイドウのテンションの高さに生け贄(話し相手)としてササキを呼び出したのである。

 

そんな事は露知らずササキはカイドウと飲める!と満面の笑みで駆け付けたわけなのだが、何事も適材適所だ。

 

ササキは美味い酒とカイドウから聞けるレオヴァの話に満足しており、クイーンにとって耳にタコが出来るほどに聞かされた息子自慢でも楽しげに聞き入っていた。

 

 

「(いや~、カイドウさんがレオヴァの自慢したくなるのも分からなくはねぇけど…

正直、何時間もぶっ続けはキッツいぜぇ…)」 

 

疲れた様子でおしるこを啜るクイーンは、今頃トンタッタ一族を上手く丸め込んでいるであろうレオヴァの事を思う。

 

 

実は休暇遠征から帰って来たレオヴァはクイーンの目から見ると、少し疲れているように見えた。

 

それに久々にあったジャックを捕まえてレオヴァは怒涛の勢いで褒めちぎると言う謎の行動に出ていたのも、クイーンを心配させる一因であった。

 

努力を惜しまぬ姿勢が凄いだの、大看板として素晴らしい仕事振りだのと10分以上もレオヴァはジャックを褒め続けていたのだ。

 

仕舞いには

『本当にジャックは逞しく成長したなァ……おれの自慢だ。』

とまで言ってのけたのだ。

 

とんでもない褒め言葉にジャックは思わず持っていた回覧板を握りつぶしてしまったのだが、これは誰も責められやしないだろう。

 

まさか酔っているのでは?と疑いたくなるほど饒舌なレオヴァ相手に、たじたじになっていたジャックだったのだがカイドウからの呼び出しがあり、褒め殺しはそこで終了したのだった。 

 

 

どうみても明らかに情緒が可笑しい。

そうクイーンが思っても仕方がないほどレオヴァのテンションは普段と違っていた。

 

その為、クイーンは密かにレオヴァの心配をしていたのだが、カイドウから土産を渡されたレオヴァの嬉しそうな声を聞き、心配する必要はなかったかと考えを改めた。

 

 

「(まぁ、どんな事があってもカイドウさんがいりゃあレオヴァのメンタルは一発で全快だろうしなァ……)」

 

クイーンは、カイドウからトンタッタ王国の話を聞き目を輝かせていたレオヴァを思いだして苦笑いをした。

 

目の前では相変わらずカイドウがササキにレオヴァの話を続けている。

 

 

「で…レオヴァも小人族は見たことがねぇってんで連れて来てやったんだが…

ウオロロロロロ!!

あのレオヴァの喜びよう、なんど思い出しても良い気分だぜ!!」

 

「はははは!!

そりゃ見たことねぇ人種ってなりゃレオヴァさんはしゃぐだろうなァ!

しかも、カイドウさん直々だろ?

前もカイドウさんの土産でレオヴァさん喜びすぎて放電しちまって部屋駄目になったしな」

 

「そういや、そんな事もあったなァ!!

今回はレオヴァの周りの床が焦げただけですんだが…」

 

「床焦げたのかよ!!?

あれ以来、すげぇ気をつけてるみたいだったけど

やっぱカイドウさんからだとレオヴァさんの喜びようも桁違いだな…」

 

「ウオロロロロロ…!!」

 

満更でもなさげな笑顔でカイドウは新しい酒瓶に手を伸ばし、ササキも口を大きく開けて楽しげに笑っている。

 

そんなカイドウとササキの姿を見てクイーンは息子自慢からようやく免れたことに、ほっと息を吐きながら新しいおしるこの鍋が到着するのを待つのだった。

 

 

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1ヶ月振りにワノ国のほうおう様であるレオヴァ様とトンタッタ王国のトンタ長であるガンチョ様はキレイな庭園で和やかにお話をしていた。

 

私はそんな2人を見ていると嬉しい気持ちでいっぱいなのだ!

 

怖いドレスローザの王達(・・)と違い、レオヴァ様はとても優しいれすし!

なにより新しくトンタッタ王国になる土地も凄く素敵な所れす!

 

新しいお仕事も暗くて怖い人達がいる工場じゃなくて、綺麗な植物がたくさんのお庭れす。

あの時、みょうおう様に助けて頂けて本当に良かったれす…

 

お仕置き部屋もなくて、おやつも美味しい!

とっても良い場所なのれす!

 

 

実は最初はお庭に毒草がいっぱいあってビックリしたのれすが、レオヴァ様はお薬にすると言っててまたビックリ。

 

 

『レオヴァ様、これとっても危ない毒草れすよ!』

 

『ん…?あぁ、それか。

確かにそれは毒草と呼ばれている種類だが、隣の花壇の花と一緒に煎じると痛み止めになるんだ。』

 

『えっ…!そうなのれすか!?

知らなかったれす…』

 

『おれも最近やっとそれに気付いたんだ。

まだ外界でもあまり知られていない薬だから、驚くのも無理はない。』

 

そう言ってレオヴァ様は色々なことを教えてくれるのれす!

 

物知りなレオヴァ様はガンチョ様やマンシェリー姫からも頼りにされている凄い人で、私も大好きなのれすが…とても忙しい人でたまにしか会えないのが悲しいれすね……

 

 

少し落ち込みながら育てたお花を眺めている私の上に大きな影が落ちてきて、優しい声がふってくる。

 

 

「どうしたんだ、キウイ。

なにか悩み事があるのか?」

 

心配そうに私を見ているレオヴァ様に驚いて私はシュバッと立ち上がる。

 

 

「はわわわ…!

レオヴァ様、だ、大丈夫れすよ!

私元気いっぱいで!」

 

「そうか?

少し落ち込んでいるように見えたから…

元気ならいいんだ、何かあればいつでも声をかけてくれ。」

 

慌てて立ち上がったせいでズレてしまった帽子を人差し指でそっと直してくれたレオヴァ様の優しい動作とお言葉に、私は本当に元気いっぱいになった。

 

 

「えへへ…ありがとうなのれす!」

 

私のお礼にフワッと優しい笑みを返して、レオヴァ様はお庭を後にする。

 

お話し出来た嬉しさで暖かくなった心で、私はまたお花に水やりを始めた。

 

次はもっと上手くお話出来るように頑張るれすよ!!

 

 

 

 




ー補足ー

トンタッタ一族:獣人島にある植物園付近の土地を国土として貰う
ミンク族と交流しつつ、植物を育てる平和な日々を送っている。
 
植物園:もともとは自動水やり機などを取り入れながらレオヴァが手入れしていた。
珍しい薬草やら様々な種類の植物がある。
電伝虫の飼育所もここにある。

ドレスローザ:ドフラミンゴが治める国。
数年前にリク王の“大量虐殺”から民を救った“正統なる王”ドフラミンゴのおかげで豊かな国となった。

ドフラミンゴ:投獄されたことで計画が狂った為、百獣の手を借りたりと苦労した。
事の原因であるロシナンテを早く捕まえて罰を与えたい。

キング:ドレスローザの件で暗躍
“レオヴァからの助言”もあり数人を百獣のナワバリへ持ち帰った。
レオヴァからの案で、暗躍中はバレぬように普段とは違うマスクと服装で行動し変声機を使用。

ロー:キングとドレスローザの件で暗躍。
元々はキングだけの予定だったのだが、キングの指示で“ある任務”をこなした。
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