この世界にはある制度がある。
それは世界政府に莫大な額の天上金を支払うことで、加盟国という肩書を手に入れることが出来るというものだ。
その肩書は地位はもちろん、安全も保証してくれる。
……“安全”の中に入っているのは裕福な一部の人間だけだが、それは大した問題ではないだろう。
世の中は貧しい者に厳しくできているのだ、持たざる者が悪いと裕福な彼らは口々に言うだろう。
この世の中では上の地位の者が白だと言えば、黒も白になるのが普通なのだ。
そんな、謂わば“勝ち組”と言える加盟国の国々であったが1週間ほど前に報道された事件は、彼らに大きな混乱をもたらした。
世界政府の庇護を受けている間は安全だと、誰もが疑っていなかった。
だからこそ、どんなに民が餓えに喘ごうが税を上げ、それでも足りなければ戦争で奪ってまで多額の天上金を支払い続けていたのだから。
しかし、世界に発信された事件はそれを覆すものだった。
“百獣海賊団、世界政府加盟国へ次々に戦争をしかける”
加盟国の誰もが耳を疑った。
我々に手を出すと言うことは、即ち世界政府に戦争をしかけるも同義ではないのか。
暗黙の了解としてあるものを壊すつもりなのか、と。
多くの裕福な生活を送っている者達は、百獣海賊団の野蛮さに盛大に眉をしかめた。
だが、極一部の裕福な者は違った。
今回の事件を受け、一斉に“あの人物”へ連絡を取り始めたのだ。
この記事は事実なのか、と。
鳳皇城には、外交の為の通信室がある。
一国の王が使う部屋にしてはあまりに質素だが、上品かつ清潔感のある飾り付けを見れば鳳皇を知る誰もが“彼らしい造りだ”と口を揃えるだろう。
ワノ国らしい落ち着いた雰囲気の部屋に自然な配置で存在している植物と、優美さの中に厳格さも感じさせる装飾品たち、全てが主張しすぎることなく部屋を飾り立てていた。
そんな部屋の中央にあるスクリーンには、映像電伝虫によって10名以上の加盟国の代表である王の顔が並び映されている。
映し出されている国王達の視線は、そろってスクリーンの正面に座る青年に注がれていた。
青年が身を包む卯の花色の着物は、
肩には
きっと彼を知らぬ者が見れば、どこぞの王族や貴族に間違えるだろうが、彼は生まれた瞬間から“海賊”であった。
しかし、そんな海賊らしい雰囲気など一切なくスクリーンに向き合う青年、レオヴァは口を開こうか迷っている様子のネプチューンに声を掛けた。
「ネプチューン王、聞きたいことがあるなら聞いて欲しい。
その為にこの場を設けたんだ、遠慮は止してくれ。」
誰もがほっと安心してしまうような優しい声でレオヴァが促すと、ネプチューンは頷き、口を開いた。
「…なら、遠慮なく聞かせてもらうんじゃもん。
加盟国への攻撃は正当防衛だと説明は受けたが、新聞ではこれからも続くと書かれていた。その真偽を問いたいんじゃもん。
無論、ワシ含め魚人島の皆もレオヴァを……っ…奴隷にしようなどと企んだ奴らの肩を持つ気はない!
ただ、
王としての真っ直ぐな言葉で、レオヴァの顔が真剣な表情へと変わる。
「ネプチューン王の心配は尤もだな…
だが、今回の件はケジメを付ける為に
先に手を出された以上、有耶無耶にして終えては新たな被害を生みかねない……それはここにいる国を任される立場の皆なら理解してくれると、おれは思っている。
以上を踏まえて、ネプチューン王の疑問に答えよう。
おれ達は
世界政府から攻撃を受ければ、防衛の為に戦うことはあるだろうが……今回の事は既に終わったものとしてとらえている。」
完全に言いきったレオヴァにネプチューンが頷き、また口を開く。
「レオヴァが断言してくれたなら、もう憂いはないんじゃもん!
しかし…ならば何故ニュースクーが運ぶ新聞にはあんな…」
ネプチューンの言葉にレオヴァが困ったような表情を見せた。
彼はめったにこう言う表情にならない。
その為、スクリーンに映る王達の顔が心配そうなものに変わる。
「……新聞に関してだが、ここで皆にその話をするべきか…
いや、世界政府加盟国である皆は……知らない方が良いかも知れないな。」
「そんなっ…!」
「レオヴァ、我々のことは心配無用なんじゃもん。」
「そうですぞ、レオヴァ殿!」
「こうして、連絡を取っているのです。
今さら恐れるような真似、しませんよ!」
口々に構わないと言い出した王達へ驚いた顔を作った後、すぐにレオヴァは微笑んでみせる。
「……皆がそう言ってくれるなら、少し話させてくれ。」
レオヴァが言葉を紡ぎ始めると、一斉に王達は聞く姿勢へと変わる。
「…出回っているあの記事は、一部が世界政府の上層部によって
奴らはおれ達、百獣海賊団が戦争を起こそうとしていると世界に印象付け、孤立させたいんだろう。
今回の件もそうだ、幾つかの加盟国を使って奴らは攻撃を仕掛けて……勝てる見込みがないとみるやトカゲが尻尾を切るかのように躊躇なく見捨てた。」
レオヴァの告白に王達は一斉に息を飲んだ。
確かに多少は情報操作はされているだろうと、彼らも思ってはいた。
けれどそんな、国を使い捨てにするような真似までしているなんて、想像すらしていなかったのだ。
絶句する王達へレオヴァは言葉を続ける。
「守ると約束していながら……現実はこれだ。
自分たちの都合の良いように使い、都合の悪い存在を消そうと企む。
挙句の果てにその泥は全て擦り付け、自分たちは素知らぬ顔で眺めているだけだ。
……奴ら、百獣海賊団が戦争を起こそうとしていると騒いでいる癖に、皆の所に何か連絡はしているのか?
これからどうやって守るのか、もし襲われたらどうすればいいのかの連絡すらなかったんじゃないか?」
「……確かに…なにも……」
「連絡どころか音沙汰もない!」
「そうだ、あの時海賊に襲われていた時も何もなかった!
レオヴァ殿がいなければ……」
「レオヴァの言う通り、何も……ないんじゃもん。」
頭を抱える者や怒りを露にする者、不安を見せる者。
スクリーンでそれぞれの反応を見せる王達に、レオヴァは力強く頷いてみせる。
「そう、それが世界政府だ。
加護なんて名ばかり……仁義もなにもない。
餓えに苦しんだ時、奴らが何かしてくれたか?
民が奴隷にされていた時、奴らは軍を派遣してくれたか?
……答えは、否だろう。
だからこそ、おれが皆と友好を結べたのも事実だ。
そして、おれなら同盟国をそんな目には遭わせない。
食料が足りないのなら、すぐに送りとどけ新しい食物や家畜の知恵を授けよう。
蛮族が国を襲うのなら、部下と共に助けに駆けつけよう。
強い声だった。
彼ならば間違いなく、今の言葉を
そう確信を持てるほどに、強い声だったのだ。
王達は、それぞれがレオヴァとの出会いを思い出していた。
伴侶を救われ、更には国の唯一の闇であるスラム街に笑顔を取り戻してくれた彼を。
餓えに苦しみ国民の半分が死に絶えた時、理由も聞かずに食料を分け与え、畑まで作ってくれた彼を。
絶え間ない蛮族の襲撃で全てを失いかけた日、国を民を救い、病院まで建ててくれた彼を。
ここにいる王達は皆、レオヴァに救われた。
だからこそ、彼の言葉に偽りはないと心から信じられるのだ。
だからこそ、彼の世界政府への怒りを含んだ声に心から感動できるのだ。
だからこそ、王達はレオヴァに縋るのだ。
胸をうたれ言葉が出ないでいる王達に、眉を下げたレオヴァの声が届く。
「……すまない、少し熱くなってしまった。
皆には皆の立場があると言うのに…さっきの言葉は失言だったな…
しかし、もし本当に助けが必要なら連絡してくれ。
おれは皆が“友”である限り、必ず助けると誓おう。
そしてもし望むのなら……先ほど話した、新しく作る予定のワノ国を始めとした百獣国際連盟への加入も歓迎する。」
自信に溢れる声で告げられた内容に、全員が息を飲んだ。
世界政府以外の、国単位の大きな組織を作るという発言に。
普通ならば不可能だ、と。
世界政府とその加盟国に潰されて終わりだろうと、誰もが思うだろう。
だが、その言葉を発したのは他の誰でもないレオヴァだ。
ここにいる全ての者は知っていた。
この男は不可能を可能にする無限の可能性を秘めていると。
事実、その現場に立ち会った者ばかり。
誰一人として無理だと否定する事も、無謀だと笑う事もしない。
それどころか、レオヴァならばやってみせるだろうと確信さえ感じている。
王達が眺めるスクリーンには、威風堂々たるレオヴァの姿が映っていた。
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今日は鬼ヶ島での宴の日である。
といっても、宴をすると決まった日があるわけではなく、カイドウが開催すると宣言しただけなのだが…
鬼ヶ島の準備は万端、あとはカイドウが開始の時刻を迎えるだけだ。
しかし、カイドウにとって一番重要だといえる人物である、レオヴァがまだ仕事から戻ってきていないのだ。
8時から開催予定だとは伝えてある。
あの真面目な息子のことだ。きっと10分前になれば宴会場に顔を出すだろうと、カイドウはのんびりと酒を嗜みながら時が来るのを待っていた。
既に宴会場にはうるティやページワン、ロー達が集まって来ていた。
大看板にササキやフーズ・フーなど任務中で鬼ヶ島にいない者達もいるが、現在島にいる幹部は既に揃っている。
各々自由に待ち時間を過ごしていたが、突然立ち上がったうるティがカイドウの方へ歩いて来たかと思うと、不満たっぷりだと言わんばかりに頬を膨らませてみせた。
カイドウはそんなうるティを上段の間から見下ろし、軽く首を傾げた。
「なんだァ?うるティ。」
「なんだ~?じゃないし!!
レオヴァ様が前回の殲滅作戦出てないって聞いたけど、本当なんでありんすかァ!?」
「っ…!!
お、おいおい!姉貴!!
カイドウ様に噛みつくんじゃねェよ!」
「うるさい!ぺーたんは少し黙るでありんすぅ~!
そもそもレオヴァ様がナメられたのに!
分からせる為の遠征に本人居ないんじゃ意味ないじゃん!!カイドウ様馬鹿なの!?」
うるティが噛みつくように叫んでいると、次の瞬間大きなパンが口に詰め込まれた。
「んむッ!?」
パンが口いっぱいに入っているせいで上手く言葉が出ないうるティが上段の間のすぐ側に座っていたローを睨み付ける。
どうやら、側に置いてあった食べ物を飛ばしてうるティの口を塞いだ犯人は彼だったようだ。
ローは少し鋭い視線をうるティに向け、低い声を出した。
「…さっきから聞いてりゃ、好き勝手言いやがって。
うるティ、お前誰に口利いてる?
カイドウさんに対する言葉遣いがなってねぇ。」
「そうだぜ、姉貴!!
ローの言う通りだ……悪い、カイドウ様……」
「ん、むぐむぐぅ……ゴクン。
うるせェ~~!!ロー!
キング居ないからってお前がその場所座ってるのも狡いんだよ!!私だってカイドウ様とレオヴァ様の側がいいのに!!!
……って、そうじゃなかった!
カイドウ様、何考えてんの!?レオヴァ様の強さをあのウルトラ馬鹿共に教えてやるいい機会だったのにぃ!!」
地団駄を踏むうるティを青筋を浮かべたローが“Room”で宴会場から追い出そうとした時だった。
酒を飲んでいたカイドウが、特に怒った様子もなく口を開く。
「止せ、ロー…構わねェよ。
今日は宴だからなァ、喧嘩はまたにしとけ。
ページワンもだ、小せェことを気にするんじゃねェ。」
「……分かった、カイドウさんがそう言うなら。」
「ありがとう、カイドウ様!」
「で!カイドウ様!!なんで!?
今からでも、私がレオヴァ様と潰してくるでありんす!!」
また同じ質問を繰り返す姉をギョッとした顔で振り返ったページワンだったが、やはりカイドウに怒る様子はない。
「それについては、スレイマンも煩く騒いでたがなァ…
レオヴァは百獣海賊団のNo.2としての仕事だけじゃなく、
今まで作り上げた“イメージ”を全部壊してまで、レオヴァの“力”を全面に出す必要はねェんだよ。
いいかァ?ワノ国ってのが重要だ、この“場所”だからおれは本拠点にしてる。
それは、レオヴァも理解してる…十分すぎるくらいになァ。
だから今日も王ども相手にめんどくせェ話し合いをしてんだ、レオヴァは。」
意味がわからないと目を丸くして見上げている、うるティの表情は先ほどとは打って変わり幼さが目立つ。
そんな姿にカイドウは小さく笑うと言葉を続けた。
「あー…要するに、だ。
硬軟おり交ぜるようなやり方……まぁ、飴と鞭ってやつだなァ。
それにはレオヴァに“飴”でいてもらう必要がある。
おれァ……いや、おれ達は“鞭”しか振るえねェからなァ。
今後の為にはバランスが必要だ。
そんで
だがなァ、うるティ!
おれもレオヴァをナメられて黙ってるってのはもう我慢の限界だ!!
だからこそ、今回は
レオヴァを馬鹿にすりゃあ、“おれ達”が黙ってねェと知らしめる為になァ。
暫くはまだ馬鹿は湧くだろうが、1年…2年と時が経てば誰もナメた真似はしねェだろうよ。」
珍しく饒舌なカイドウの言葉にローとページワンが頷く中、うるティの顔には不満が浮かぶ。
「まどろっこしいでありんす!!
そんなのカイドウ様らしくないし…」
「ウォロロロロ…だろうなァ!本当におれらしくねェやり方だ。
…めんどくせェとは思うがレオヴァとキングの案だ。
今後の方針としちゃあ、間違いねェだろう。
確かにうるティ、お前の言うようにレオヴァ自身が恐怖ってのを教えてやりゃあ馬鹿は減るだろうが取れる手段ってのがよォ、減っちまうんだ。
……まぁ、ゴチャゴチャと言葉を並べたが簡単な話だ。
レオヴァを侮るような馬鹿共はおれ達が潰す…それだけだ。
誰だろうが、おれ達がレオヴァを侮らせねェ!!
分かったか?うるティ。」
「んん~…難しいけど!
レオヴァ様ナメた馬鹿共は皆殺しってことでいいでありんすか?」
「だいたいそんな感じだなァ。」
「分かったでありんす!!
レオヴァ様は私達が守るナリ~!!」
少し前にハマっていた語尾を付けて、フンッと胸を張るうるティの言葉にカイドウは微かに目を丸くしたが、すぐに楽しげな笑い声を上げた。
「
うるティ、ずいぶん生意気な口を利くじゃねェか!!
レオヴァは守られる様なタマじゃあねェが…その意気込みは悪くねェ!!ウォロロロロロ~!!!」
カイドウは愉快そうに笑うと、雑にうるティの頭をガシガシと撫でる。
そしてまた新しい酒に手を伸ばす姿は、ご機嫌そのものだ。
「もう!!カイドウ様が急に撫でるからヘアセット崩れたァ!!」
「へあせっとォ…?」
「カイドウ様とレオヴァ様に会うから新しいヘアセットにしたのにぃ~!!」
「ウォロロロロ…別にどんな見た目だろうが、構いやしねェよ!」
「わ・た・し・が!!気になるんでありんすぅ~~!!」
またプリプリと動きで怒りを表すうるティだったが、その表情から怒りは感じられない。
寧ろ、嬉しさを隠せずに口元はゆるゆるだ。
うるティが照れ隠しにカイドウに噛みついていると、宴会場の襖が開く。
「レオヴァ様がいらっしゃいました!!」
襖を開いた部下の方向に、一斉に宴会場にいた者達が入り口へ顔を向けた。
すると、開かれた襖の奥からレオヴァがゆったりとした仕草で中へ入って来る。
「早いな、おれが最後か?
……待たせてすまない。」
申し訳なさそうな顔をしながら入ってきたレオヴァにカイドウは笑みを深める。
「ウォロロロロロ~!!
まだ予定の十分も前だ、気にするこたァねェ!
それより早くこっちに来い!!!」
「ありがとう、父さん。
…ロー、うるティ、ページワンお帰り、久しぶりだなァ。」
「ただいま、レオヴァさん。」
「あ~ん!レオヴァ様~!
会いたかったでありんす~♡」
「レオヴァ様!た、ただいま…
って、姉貴……なに可愛い子ぶってんだよ…」
「ア"ァ"!?誰が可愛い子ぶってるだとォ!?
ぶってねぇし!!お姉ちゃんは可愛いだ・ろ・う・が~~!!」
「うぐっ……や、やめろ…姉貴……首、くび……」
じゃれつき始めた姉弟を見てクスリと笑うと、そのままレオヴァは上段の間へと足を進めた。
そのまま定位置であるカイドウの隣に腰掛けると、レオヴァは自然な動作で目線を動かし既に飲み始めているカイドウの
「(…ふむ、今回はあまり飲んでない方だなァ……)」
酒が口に合わなかったのかツマミがなかったからなのかと幾つかの可能性を頭に浮かべつつ、レオヴァはカイドウを見上げた。
カイドウは見上げて来たレオヴァと目を合わすと、ニッと口角を上げる。
「レオヴァ、少しばかり早ェが…始めちまうかァ?」
「ふふ、予定時間なんて関係ねェさ。
父さんが開始と言や、その瞬間が開催時間だ!」
「ウォロロロ…違いねェ!!
おい、テメェら映像電伝虫を繋げェ!!!」
カイドウの声に瞬時に反応し、既に配信準備を終えていたメアリーズが1つ下のフロアにある大宴会場に繋がる電伝虫をカイドウへ向けた。
この間、たった4秒である。
あまりに洗練された動きに部屋にいた部下の誰かが感心の声を上げた。
カイドウはすぐに準備された電伝虫に目線を向け、言葉を発する。
「野郎共ォ!!
宴開始だ、好きなだけ食って飲みやがれェ!!!」
開始を宣言すると同時に、下のフロアから上がった歓声や雄叫びが微かに床を揺らした。
「ふははは!!
毎度の事だが、下のフロアの盛り上がり様は凄いなァ!」
思わず笑みを溢したレオヴァを見て、カイドウは嬉しそうに目を細める。
今晩も、鬼ヶ島は笑い声とどんちゃん騒ぎに包まれるのだった。
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時は少し遡り、百獣海賊団による殲滅が行われようとしていた頃。
ドレークとササキは“
その島には幾つも大きな工場が建てられており、下町の賑やかさからは、この街の裕福さが伺える。
船をいつもの港へ寄せ、目的の城へ向かうドレークとササキの表情は真逆であった。
「ドレーク、んな顔したってしょうがねェだろ。
ほら、これでも食うか?」
先ほど屋台にいた陽気なオヤジからオマケで貰った串焼きをササキが差し出すが、ドレークは軽く首を横に振る。
「いや、いい…任務中だからな。
……ってササキ!?今は任務中だぞ!?
なにを呑気に串焼きを両手いっぱい握りしめてるんだ!」
「あ"?今さらかよ。
ま、シケタ
「うっ…」
図星を突かれたとばかりに口を
「はははは!!
任務中の、あのいつものポーカーフェイスはどうしたよ!?
…あの件なら心配する必要ねェって。
レオヴァさんは今まで通り貿易して、今回みたいに手をだそうとする馬鹿共はおれ達が片付ける!…簡単な話だろ?」
「……それは、理解している。」
「はぁ~…本当に今日、お前顔に出過ぎだぞ。
まぁ、分かるけどよ。
おれだって色々と思う所がないわけじゃねェ、本当だったらぶっ潰してやる方の作戦に行かせて欲しかったってのが本音だ。“レオヴァさんを連れて”な。
……理解できるかってのと、
…けど、おれは“納得”出来たぜ。
カイドウさんとレオヴァさんが“最善”だってんなら、おれはそれが正しいと思うぜ。あの人達に付いていくだけだ。」
串焼きを一気に頬張ると、元気付けるようにササキはドレークの背をドンッと叩いた。
「ま、帰ったらレオヴァさん誘って三人で飲もうぜ!
言いたい事も、その時一緒に吐き出しちまえよ。な?」
「…ササキ……」
仲間にだけ向ける暖かな声でササキは言い、牙を見せて笑う。
「……服に串焼きの油がついた…これから“社長”に会う任務なんだが?」
「…お前っ!本当に可愛げねェよなァ!?
たく、心配してやって損したぜ!!」
ムッとした顔でドスドスと前へ進み始めた姿にドレークは先ほどまでの暗い表情から一変し、柔らかい表情を浮かべた。
「……ありがとう…もう、大丈夫だ。」
「なら、いい!行こうぜ、ドレーク。
さっさと終わらせてワノ国で1杯やるぞ!」
小さな声に振り返ったササキの顔は先ほどのムッとしたものではなく、いつもの笑顔だ。
そんなムードメーカーらしい彼の態度と言葉にドレークもつられて笑った。
「そうだな、久々にレオヴァさんと飲みたいな…」
「いや、おれは!?」
「…ここにつくまで散々、酒盛りに付き合わされたからな……」
「え、嫌々だったのか!?
それは悪ぃな、気付かなかった……」
「おい、落ち込むな…冗談だぞ?
ワノ国に帰ったら、三人で飲もう。」
軽くショックだと目を見開くササキにドレークは冗談だと笑い、歩みを進める。
談笑を続ける二人が目指す城は、もう目の前だ。
ー補足ー
世界政府:情報操作など、色々企んでいる模様。
これがどう転ぶのかは未知数。
海軍:世界政府のやっている事を知らされていない。
結構とばっちりを受けている。
・後書き
ご感想でレオヴァがあまり表で“過激”な事をしないのは何故?方針が分かり難いよ~!との御意見頂きましたので!
急遽、新世界編前の箸休め期間に加筆させて頂きました!
また何かありましたらご感想や質問箱の方へ頂ければ、答えられる限り答えさせていただきます~!
いつも読んで下さりありがとうございます!!