俺がカイドウの息子…?   作:もちお(もす)

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進め、目的の為に

 

 

 

「侵入者あり!人間が3、動物1、不明物体1!!

直ちに捕縛せよ!!

繰り返す、侵入者を直ちに捕縛せよ!!」

 

電伝虫から流れる放送はナミ達が進んでいる廊下全体に響いていた。

 

 

「おいおい…これって、ルフィ達バレちまってるじゃねぇかよ~~!?」

 

頭を抱えるウソップの隣でナミも困ったように眉を下げた。

 

 

「はぁ…やっぱりアイツに隠密行動なんて無理なのよ。

それよりどうしよう……これじゃあ“素体飼育所”にいるって言う人達を逃がせない。」

 

焦りを露にするナミにサンジが口を開く。

 

 

「いや、ナミさん。

逆にチャンスかもしれないぜ。

このドタバタで少しは手薄になってる可能がある。」

 

「たまには良いこと言うじゃねェか、ぐる眉!

捕獲作戦はルフィ達に任せりゃ問題ねェ。」

 

「たまに、は余計だ!クソマリモ!

……とにかく、ナミさん。

おれ達は捕まってる奴らの解放と、工場破壊。

あとコラサンって奴の言ってた“証拠”ってのを手に入れることに集中しよう。」

 

「…そうね、サンジくん!」

 

また目に強さが戻ったナミを見て、サンジはにこっと笑うとまた目的地へ向けて歩き出した。

 

 

何故、ナミ達が“素体飼育所”へ向かっているのか。

 

それは今より、少し前の話。

コラサンからこの場所について話を聞いていた時に、ナミ達はこの場所に人間が捕らわれていると知ってしまったのだ。

 

コラサンの話によると、“素体飼育所”という場所に100単位で人が管理されていると言うではないか。

 

そこに入れられているのは山賊やマフィア、詐欺師など。

罪人と呼ばれる者達であるとコラサンは説明したが、どんな人であれ残忍な実験に使われると知ってしまっては、無視して進むことはナミ達には出来なかった。

 

結果。

 

『一先ず、この最悪な場所で見殺しには出来ない!』

 

このナミの宣言によって、捕らわれている人々の救出が決定したのである。

 

しかし、コラサンの“証拠”集めを手伝う約束もしていた為。

ナミ、ウソップ、ゾロ、サンジのチームと。

コラサン、ロビンのチームの2組に別れることに。

 

ナミ達は人々の解放と、工場破壊の為のミニ爆弾設置を中心に行動することになり、コラサンとロビンは情報集めと退路の確保を中心に動くことになったのだ。

 

 

「行くわよ、みんな!

ここからはスピード勝負!!

ルフィ達が引き付けてる間に捕まってる人を逃がしたら爆弾を設置して、合流を急ぐの!」

 

「「「おう!」」」

 

研究所に訪れた混乱の中、ナミ達は真っ直ぐに素体飼育場へ進むのであった。

 

 

──────────────────────────────────────────────────────────────────────

 

 

 

所変わり、第一研究所のメイン通路にて。

 

無事、研究所の内部への侵入を果たした

ルフィ、キッド、キラー、ブルック、チョッパーの5人は大勢の職員と思われる全身防護服の敵に追われていた。

 

 

「てめぇのせいで全部めちゃくちゃだ、バカザル!!!」

 

叫びながら目の前の敵を薙ぎ払うキッドからは怒りの感情が溢れている。

 

 

「ごめん!!ギザ男!!!

でも、中に入れたし良かっただろ?」

 

にししと笑いながら敵の攻撃を全て避けるルフィをギロリと睨み付けるキッドの隣にキラーが割り込む。

 

二人の間に壁になるように割って入って来たキラーは軽くキッドの背をたたき、口を開く。

 

 

「今さら何を言ってもバレた事実は変わらない。

何より麦わらを相手にするだけ体力の無駄だぞ、キッド。

それよりも、こうなったら一刻も早く目標を手に入れるべきだ。」

 

冷静な相棒の言葉にルフィへ向けていた怒りに満ちた瞳が僅かだが落ち着きを取り戻す。

 

 

「……分かってる、キラー!

あのバカは使えねェ、おれ達でやるぞ!!」

 

「おれも同じ事を言おうと思ってた所だ。キッド!」

 

 

どんどん進んで行くルフィ、キッドとキラーの後ろにいるブルックとチョッパーは必死について行く。

 

しかし、ブルックが何かを思い付いたように声を前へ投げ掛けた。

 

 

「あの~~!

このまま宛もなく走るより、この人達の誰かを捕まえて聞くのはどうです?

お目当てのイネットという方の場所まで分からなくても、地図とか持ってるかもしれませんし!」

 

「ブルック~!すげぇ!!頭いいなぁ!」

 

目をキラキラさせるチョッパーの言葉にブルックは照れたように軽く頭をかく。

 

そんなほのぼのしたやり取りをしているうちに、いつの間にかキラーが敵を1人引きずりながら走っていた。

 

 

「ちょうど今からやろうと思って捕まえていた。

……お前は麦わらより話が早そうだな、骨。」

 

少し感心したようなキラーの声にまたブルックは照れながら、敵を斬る。

 

 

そうしてキッド達はこの研究所のだいたいの位置関係を把握することに成功した。

しかし、一番欲しかった目標の居場所は掴めぬままだ。

 

その後、敵への尋問によってキラーが導きだした答えにより、イネットがいる可能性の高い第二研究室という場所へ向かうことになったのだった。

 

 

 

────────────────────────────────────────────────────────────────────────

 

 

 

同時刻、第二研究室にて。

 

 

電伝虫から映し出される映像を繰り返し眺めていたイネットは警報の煩さに顔をしかめた。

 

「さっきから、うルさいですネ…

やはりワタシが言っテた“知らない気配”は侵入者デしたカ。

モネは少しヌケテますネ。他は優秀なのに勿体ナイ!

ワタシが頭弄れバ、もっとイイ助手に……ンー、いやドフラミンゴが騒ぐかラ駄目。うん、本当に悩マしイ。」

 

ブツブツ言うと立ち上がったイネットはゆらゆらと横に揺れるような不気味な歩き方で、連絡用のスマシに手を伸ばす。

 

 

「ア~…ワタシだけど、聞こえテる?」

 

「はい!イネット様!!

こちら管理室!」

 

「今、侵入者メイン通路にいるヨね?」

 

「え、はい。そうですが…何故それを管理室に居ないイネット様が…?」

 

驚く部下にイネットは小さく溜め息をはくと、その言葉を無視して指令を出す。

 

 

「第一研究所のメイン通路封鎖しテ、そしタら酸素濃度下げテ。

電伝虫は死ぬカもしれないかラ、機械カメラで確認すルんだヨ。

全員が倒れてから数秒したら、酸素戻しテ捕獲。いいネ?」

 

「で、でしたら今メイン通路にいる者達に撤退の連絡を!」

 

「……キミ、馬鹿なのかネ?

そんナ事したラ、侵入者に今から何カが起きルって知らセるようなものダヨ。

指令通りに動けナイ馬鹿はいラないケド……キミ、ワタシのドールズになりたイのかネ?」

 

「も、申し訳ありません!!!

……今、酸素濃度の操作ボタンを押させていただきました。」

 

「それでいいヨ。

捕獲出来たラ連絡するヨうに……あ、捕獲出来なくテもダよ。」

 

伝えたいことだけ告げてスマシを切ると机の上に放り出し、イネットはまた電伝虫の映す映像を眺める。

 

今まで集めたドフラミンゴとレオヴァの会話シーンの“隠し撮り”。

イネットはそれを目が溢れそうなほど見開き、ジッと眺めている。

 

 

『……って、研究をイネットはしてるらしいぜ。レオヴァ。』

 

『はぁ、ドフラミンゴ。

おれの前でアイツの名前を出さないでくれるか?

……あれだけ人体実験は辞めろと言ったのに。』

 

そこで一時停止された画面に向かって、イネットは声を上げる。

 

 

「違ウのです、レオヴァサマ!!

ワタシが使ってルのは罪人だケ、アナタの役にワタシは立テる!!!

クイーンよりも有益なんデス、ワタシは!!

アァ、何故です。ワタシはコんなにも優秀なのに。

戦力を増やしたイと言うならウェイターズをワタシの作り出シたドールズにすれバいいんだ!!

素体が強けレば、ドールズも強クなるのに。」

 

苛立ったように頭をかきむしるイネットの頬を血が伝うが、痛みを感じないのか止める素振りはない。

爪で剥がれた頭皮からだらだらと血が流れていく。

 

 

「ウゥ……アナタがいなけれバどうやってアノおぞましい黒色から逃げれバいいんデスか…

必要ナんだ、ワタシを守る強い光ガ!!!」

 

唸り始めたイネットの前に映っている映像がまた動き始め、違うシーンを映し出す。

 

 

『……は優秀だった。

だから、おれはイネットに期待していた。

クイーンの助手としても、1人の研究者としても。

だが、その期待は…』

 

ジジジジ…という音がなった後。

また同じシーンが流れる。

 

『……は優秀だった。

だから、おれはイネットに期待していた。

クイーンの助手としても、1人の研究者としても。

だが、その…』

 

またジジジジという音の後に同じシーン、同じ台詞が流れる。

 

何度も繰り返される映像に、イネットはゆっくりと顔を上げる。

 

 

「そう、そうそうそう……レオヴァサマはワタシに期待シてくれテる。

まだ捨てラれてナい、レオヴァサマはワタシを試しテる。

そウだ、試してるダケ。ワタシの忠義ヲ。

また認めラれれば、レオヴァサマがワタシを守る。アノ黒色から。そうそうそう……ワタシはステラレテナンカイナイ!!!」

 

ニタニタと笑うイネットの口がぐちゃりと裂ける。

ポタポタと血液かも分からぬ液体がソファーに垂れた。

 

 

「侵入者、アの実験に使いマしょう!

成功したラ、今度こそ認めらレるハズ!!

恐怖の克服コそが幸福ですカラね、そうレオヴァサマも仰るヨ。ワタシはアナタを理解出来る唯一の存在!!」

 

楽しそうに左右にゆらゆら揺れていたイネットがピタリと止まる。

 

先ほどまで口が裂けるほど笑ってたが、元通りの青白い無表情な顔になると、口の傷もゆっくりと治っていく。

 

電伝虫の映像を止めたイネットは最近出来たある生物について自分が纏めた資料を眺め始めた。

 

 

────────────────────────────────────────────────────────────────────────

 

 

 

場所は変わり、素体飼育場にて。

 

目的地であった場所に辿り着いたナミ達は言葉を失っていた。

 

 

「アアァァァ…」

 

「ヴヴゥ…オォォ……」

 

「あ、あ、あ~~ギギギキ…」

 

人とは思えぬ声を出す大量の“なり損ない”にナミとウソップは思わず上がってきた胃液を必死に押し留めながら、口を覆う。

 

 

「な、なんだよ……なんなんだよ、コレ!!!」

 

ガタガタと震えるウソップの声に反応するように大きな音を立てながら檻の柵が揺れる。

 

 

「っひぃ…!」

 

思わずしりもちをついたウソップの横で、ゾロとサンジも顔を青くしていた。

 

 

「こりゃ……どういうことだ…」

 

「……なるほどな、これがコラサンから見せられた手記にあった“レオヴァが許さなかった実験”ってやつかよ。」

 

サンジが忌々しげに呟くと、嗚咽や奇声に混じって人の声がかすかに届いた。

 

即座にそれに気付いたナミ達は化け物の巣窟と化している素体飼育場の奥へ足を進めた。

 

 

すると、そこにはまだ人の形を保っている人間が数人檻に入れられていた。

 

殆どが虚ろな瞳で座ったまま動かないが、ただ1人。

必死に声を出している変わった見た目の男がいた。

 

その男は真っ赤なふさふさのカツラのような長髪に、化粧をしているのか白い顔と口に塗られた紅が特徴的であった。

 

 

「ぬ、主ら!

ここの者ではないな!?どうやって檻を出た!!

それがしを出してくれ!!親友の息子(・・・・・)を助けに行かねばならぬのだ!!!頼む!!!」

 

ガバッと勢いよく頭を下げた男にウソップ達は驚きつつも、普通に話せる人間がいたことに小さく安堵した。

 

そして、同時に聞こえた親友の息子という単語にナミが反応する。

 

 

「…待って、まさかこの研究所に子どもがいるの!?」

 

「そう、それがしの親友の息子!!

名はモモの助(・・・・)……もし、もし何かあっては親友に合わせる顔がないっ!!

どうか!!!後生の頼み聞いてはくれぬだろうか!!」

 

涙を流しながら子どもの心配をする姿にウソップとナミが心を痛めていると、ガシャンという音と共に檻に穴が空いた。

 

男が驚きに顔を上げると、そこには刀をしまっているゾロがいる。

 

 

「お、おぬし…」

 

驚きと感動を顔にする男にさっさと出ろよ、とゾロは顎で促す。

男はその穴から外へ出ると、もう一度深く頭を下げた。

 

 

「それがしはカン十郎!この恩、必ずや!!」

 

地面に頭がめり込みそうな勢いで礼を述べる男をウソップが止める。

 

 

「いいって!

おれ達もともと捕まってる奴らを解放しに来たんだ。

……それよりお前、なんで捕まったんだよ?」

 

尋ねられるとカン十郎と名乗った男は少し沈黙したあと、おずおずと口を開いた。

 

 

「じ、実は……それがし。

ドフラミンゴという男の貨物船で食料を盗んでいたのが見つかってしまって。

海賊なる男達に追い回され、追い詰められた所で珍妙な煙に包まれたと思えば……気付けばこの悪夢のような場所に…」

 

項垂れるカン十郎の言葉に、サンジが驚いたように目を見開く。

 

 

「ま、待てよ。

それじゃあ、食いモン盗んだだけで実験体として連れてこられたってのかよ!?子どもと!?」

 

「……いかにも。

確かに仲間達が腹が減っていたとはいえ、盗んだのは許されぬ行動だったかもしれぬが……まさか幼いモモの助までこんな場所にっ…!

いかん!!こうはしてられぬ!

早く探し出さなくては!!」

 

勢いよく立ち上がると走り出して行こうとしたカン十郎をウソップが止める。

 

 

「ちょっと、スト~~ップ!!

実はこの場所はもう少ししたら爆発させる予定なんだよ。

急がねぇと危ないし……居場所、分かってるのか?」

 

ピタリと止まり振り返ったカン十郎の顔には大きな焦りがあった。

 

 

「…場所は分かっている。

この近くにある実験場だ。」

 

「えっ……子どもが実験場に!?」 

 

ナミは思わず声を漏らした。

今までこの施設で見てきた全てが、警告音を鳴らす。

 

この場所で行われる実験が良いものである筈がない。

そんな恐ろしい状況に子どもが置かれている。

ナミが怒りに拳を震わせるのは必然であった。

 

 

「サンジくん、ゾロ、ウソップ……私…」

 

ナミが言葉を全て言い終えるより早く、ウソップとサンジが声をあげた。

 

 

「「助けに行こう!!」」

 

声を揃えた二人に、ゾロも頷く。

 

 

「お、おぬしら……」

 

感激で声を震わせるカン十郎にナミは強い瞳で言いきった。

 

 

「そのモモの助くんって子、絶対助けるわよ!!」

 

「っ……面目ない!!共にモモの助を救ってくれ!!!」

 

声を震わせまた深く頭を下げたカン十郎は、頭を上げるとモモの助が連れていかれた実験場へと案内を始めるのだった。

 

 

 

────────────────────────────────────────────────────────────────────────

 

 

 

第一研究所、資料室にて。

 

 

山のようにある書類の中から目当てのものを手に入れようとコラサンとロビンは色々と物色していた。

 

 

「…駄目だ、これでもない!」

 

かすかに焦りが見え始めたコラサンに、部屋の奥から声がかかる。

 

 

「これ、実験の全容がかかれてるわ。」

 

「どれだ!?見せてくれ!」

 

走り出すと、そのまま書類の山へダイブしたコラサンに驚く様子もなく、ロビンは見つけた書類の束を差し出した。

 

 

「…どうぞ?」

 

「わ、悪いな……ドジっ子なもんで。」

 

「うふふ、気にしないで。」

 

コラサンににこりと笑いかけると、またロビンは目を通していない書類に手を伸ばす。

 

テキパキと慣れた動きで作業するロビンの後ろで、コラサンは書類に目を通して息を飲む。

 

ここで行われている残虐な実験の全容、そしてそれをドフラミンゴがバックアップしているとも言える、物資提供の証拠になりえる内容にコラサンの目に光が宿る。

 

この地獄を……悪魔になってしまった兄の暴走を止められる。

そう、強く確信したコラサンはその書類をまたロビンへ渡す。

 

 

「ありがとう。

あとは工場のあの書類さえ見つけられれば……」

 

コラサンがそうロビンに話しかけていると、鈍い音と共に背後の扉が開く。

 

コラサンは咄嗟にロビンを隠すように大きな書類棚の方へ突き飛ばした。

 

カツカツ…と規則的な足音が部屋に入ってくる。

 

そして、コラサンが振り向くよりも早く、入ってきた人物の重い一撃が腹部へ打ち込まれた。

 

 

「ぐわぁ!!」

 

痛みに悶絶する声を出すと同時に、コラサンはロビンのいた右側の書類棚とは逆のスペースに吹き飛ばされた。

 

 

「……コラソン(・・)…いや、ロシナンテ(・・・・・)!!

またしても貴様っ…!!二度とドフィは海軍には渡さない!!!」

 

激昂するヴェルゴに、ロシナンテと呼ばれたコラサンが冷や汗を流す。

 

一方、ナギナギの能力によりまだバレていないロビンは混乱していた。

 

目の前の男はコラソンやらロシナンテと呼ばれている。

だが、自分たちが名乗られた名は“コラサン”だ。

それに海軍とは一体……と思考を巡らす。

 

少しの間だが、話した感じ悪意はない。

それにこの場所への嫌悪感は本物だった。

なにより、嘘をつけるような人には見えなかった。

 

状況が飲み込めない中、まずは助けなければと身構えたロビンをロシナンテが目線で止める。

 

 

「(駄目だ…それを持って逃げてくれ…!!)」

 

必死に目で訴えていると、ヴェルゴが倒れているロシナンテに蹴りを入れる。

 

 

「弁明は無しか、ロシナンテ!?

ドフィはお前を信じていたのに……お前は家族を裏切ったんだぞ!!ドフィの心に傷を残したんだ!!!」

 

「ウグッ…ゲホッゲホッ……はぁ……ヴェ、ルゴ…

アイツは傷付いたり…するような奴じゃない!

……お前はおれ1人で十分相手できる(・・・・・・・・・・・・・・・)!」

 

「……貴様ァ…ドフィを何だと思ってるんだッ!!

本当に腸が煮えくり返りそうだ…

おれに勝てるというなら、反撃したらどうだ!?」

 

またヴェルゴの鋭い蹴りがロシナンテを襲い、その大きな体を壁へ吹き飛ばした。

 

 

しかし、言葉を受け取ったロビンは吹き飛んだロシナンテを追って部屋の奥へ行ったヴェルゴの後ろをすり抜ける。

 

あの時、扉が開いた瞬間。

部屋全体にサークルを張っていたのを解除し、変わりに“個人”を対象にナギナギの能力を発動していたロシナンテの機転により、

ロビンはあっさりと部屋から抜け出すことに成功した。

 

部屋から脱出したロビンは思考を回転させる。

退路の確保は絶対だ。

大切な仲間達を爆発から守ることは最優先。

しかし、危険を冒してまで自分を逃がしてくれた彼を見捨てるという選択肢は“今のロビン”にはなかった。

 

 

「待っていて、すぐにやるべき事を終えて助けに行くから。」

 

その強い声はナギナギの能力で届くことはない。

けれど、ロビンは自分の覚悟を固いものにする為にも、そう言葉を溢した。

 

 

 

────────────────────────────────────────────────────────────────────────

 

 

 

 

実験場管理室にて。

 

モネはイネットから預かっていた“β版バジリスク”のデータに目を通していた。

 

 

百獣海賊団で孵化したバジリスクはどんな教育を受けているのか、認めた相手の指示に従う知能があった。

それを面白がったドフラミンゴによって買われ、暫くした後にこの研究所へと連れてこられた。

……と、いう所まではモネも知っていた。

 

だが、今読んでいるデータの内容はモネを驚かせた。

 

本来バジリスクとは、突然変異の珍獣であり

人を襲うことはあれど、言ってしまえばただの猛獣だ。

 

しかし、この“β版バジリスク”は猛獣の範疇を越えていた。

 

 

「……石化させる猛毒を吐くなんて…

下手をすればこちらに害が出る可能性も高い……若様に報告しなくちゃ。」

 

 

冷や汗を流すモネは手に持っていたデータを机の上に置いた。

 

 

───ワタシの細胞を移植した。

 

この一文に異様な気味悪さを感じ、モネは通信室へと急ぐ。

 

 

「(早くこの化け物の事と侵入者の件を若様に伝えないと…!!)」

 

メイン通路に戻ろうとした時。

強い揺れにモネは地面へ倒れ込んだ。

 

ガラガラと岩が崩れる音に恐る恐る後ろを振り返る。

 

 

「クルルルゥ……?」

 

合金で出来ていた筈の壁が石になり、その大きな怪物の足蹴にされていた。

 

ゴクリ、とモネが息を飲むと怪物の首がこちらを向く。

 

 

「……若…さま……」

 

グルルルルルゥァァァ~!!!!

 

叫び声を上げた怪物の口から溢れた煙がモネを包み込んだ。

 

 

 




ー補足ー

〔救出&爆弾設置組〕
ナミ、ウソップ、ゾロ、サンジ 
┣飼育場の牢屋にてカン十郎という男と合流
┗共に子どもを助けに実験場へ。

〔証拠集め&退路確保組〕
コラサン(ロシナンテ)、ロビン
┣資料は手に入れるが交戦開始
┗ロビンは退路確保へ

〔イネット捕獲組〕
(未合流なのでナミ達の事情は知らない)
ルフィ、キッド、キラー、ブルック、チョッパー
┣隠密に失敗し、追われる
┗土地勘を手に入れたので、第二研究室へ


イネット:映像鑑賞会中。
少し様子が可笑しいが、大丈夫なのだろうか?

ヴェルゴ:侵入者との知らせを聞いて嫌な予感を感じて資料室の極秘書類を隠しに来たら、ロシナンテと遭遇。
以前の裏切りを知っているので激昂。少し冷静さを欠いている。

モネ:重要書類はヴェルゴに任せた。
最近完成したβ版バジリスクをこの混乱で死なせたり逃がしては不味いと、厳重に保管する為に実験場管理室へ。
思いの外凶悪な出来の化け物に驚き、少し注意が散漫になってしまったが…?

β版バジリスク:レオヴァが昔インペルダウンから連れ帰ったバジリスクの卵を“とある方法”で孵らせた。
本来のバジリスクより、体が大きいのが特徴
……だったのだが、今ではそれどころではない特徴が増えたようだ。

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