マッシブーン 、幻想入りw
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博麗霊夢、絶句
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(コイツ私を狙って来たんじゃね?)
果たして和解はできるのか?
「あのー……俺の言葉伝わってる?」
助けを求めたのに対して、ずっとこっちをガン見してるだけだったその少女に、俺は不安を抱いていた。
確かに俺ははっきりと「助けて」と言ったはずだ。決して俺の声が小さいとか、どもっていたとか、そういうのでは無い。むしろ調子が良いぐらいだったが、では何故この目の前にいる少女は、それをスルーしてじっとこちらを見てるのか。
なるほど。マッシブーンわかっちゃった。
恐らくこの筋肉に見惚れてしまったのだろう。普段から筋トレをしてる甲斐があったというものだ。努力を認められるってのは素直に嬉しい。ほう、いいだろう。ならばもっとこの肉体をアピールしよう。
よし。とりあえずマッスルポーズだ。
そう思って俺は、両方の腕を高く上げて、がっしりとポーズを決めた。ムキッ!(じまんなのか いかくなのか 不明。)
それを見た少女が何を思ったかなんて分からない。ただ、そのマッスルポーズを見た瞬間、彼女の目の色が赤く染まった。俺の体の色とおんなじだね!友好の証かな?
「オラァ!」
直後。マッスルポーズによってガラ空きになっていた大胸筋に特大の陰陽玉がぶち込まれた。
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「ぐ"お"お"お"お"お"お"お"!?」
陰陽玉を喰らった俺は神社の外へと吹っ飛び、大きな大木に衝突した。と思いきやその威力は殺されず、大木ごと遠くの方に吹き飛ばされた。なんだこの風穴が空くほどの威力はたまげたなぁ……大胸筋を普段から鍛えていなければ即死だった。
(え?なんで?)
違ったというのか。少女は全く興味を示さなかった。悲しきかな、俺の渾身のマッスルポーズは残念ながら打ち砕かれてしまった。
というか攻撃された。……なんで?
困惑する俺だったが、今度こそ分かった。どうやらこの世界ではマッスルポーズは侮辱に当たる行為らしい。
なんということだ。俺は英語圏でいう中指を立てる行為を、ギリシャでいうピースサインを(ギリシャではピースサイン✌は侮辱の行為だ。知ってた?)やってしまったのだ。
そう思うと自分の非常識さに恥と怒りが湧いてくる。本当に申し訳ないと思ってる。でも普通そこまでするか?とも思う。
そんなことを考えているうちに、彼女が「飛んで」こちらの方へ近づいて来た。人間って飛べたっけな。あっちの人間が飛べてこっちの人間は飛べないってことはないだろうから多分飛べるんだろうな。
「……随分と頑丈なのね。今ので木っ端微塵にならないことだけは評価してしてあげるわ。」
随分と怒っているようだ。さっさと謝ろう。
「すまなかった。侮辱したつもりは無いんだ。」
「何の話よ。そんなのどうでもいいわ。」
「ゑ?」
ん?俺が侮辱したからこうなってるんじゃないのか?
それが何だ。侮辱のことはどうでもいい……だと……?待ってくれ、何も理解できない。意味不明だ。それなら俺は今なんで攻撃されなきゃいけなかったのか。
俺をぶち飛ばした陰陽玉は、いつのまにか目の前の紅白少女の手元にあった。彼女は依然と赤く目を光らせて、こちらに警戒の視線を向けている。
「アンタ、私のことを狙ってるんでしょ?」
「違うぞ」
「それもこんな夜遅くに。計画していたのかしら?」
「話聞けよ」
うっすらと、 何となく、筋が見えてきた。筋肉だけに。よく分からんが、どうやらこの騒動は彼女の勘違いによって起こってるらしい。それなら話は早い。
「あのな。俺はこの筋肉に誓って、あんたのことを狙っていないと言える。証明させてくれ。だからこれ以上そのおっかない宗教的ボールを投げつけないでくれ。」
「…」
「俺は別にあんたのことなんて知らないしな。初対面だろう?言い忘れていたがはじめまして。」
「そうね……妖怪筋肉お化け。良いことを教えてあげるわ。」
筋肉お化けは褒め言葉として受け取っておこう。
「あんたがね。例えば一度も人を喰ったことが無い善良な妖怪だとしても、迷惑極まりないクソみたいな妖怪だとしても、そんなことぜーんぜん関係ないのよ。」
「……」
ヤバい。
まずい。
紅白少女は再び陰陽玉を構え、
そして、俺の方に
「私に見つかったのが運の尽き。私に見つかったことでアンタという妖怪は…」
「この博麗の巫女に退治されるってわけ。」
ぶち飛ばしてきやがった。
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辺りを煙が巻く。
辺りに轟音が響く。
音は空気を伝わって、森の中にいた小さな命に届く。
身の危険を感じた者共は一目散に散り、そこにはただ一人、博麗霊夢のみが残っていた。
全てを抉る陰陽玉。博麗神社に伝わる秘宝だ。陰陽玉に霊力を込めて、打ち出す。それだけであらゆる妖怪は木っ端微塵になり、原型を留めない。単純で、残酷な結末だ。
博麗霊夢は確信していた。慢心とでも言え。この陰陽玉を二度も喰らった妖怪で生き残った者は誰もいない。
始め、陰陽玉があの妖怪に耐えられたことには驚きを隠せなかった。手加減こそしていたものの、それで死なない妖怪は久しぶりに見た。奴はただの雑魚ではなかったのだ。タフさでいえば、大妖怪と誇れるぐらいには強かったかもしれない。
だから、二度目は全力で撃った。
ありったけの霊力を込めて撃ちこんだ。
もしも。あの妖怪が単純に善良な妖怪だったとすれば。
それはタイミングが悪かったとしか言えないだろう。こんな深夜に、寝付けず機嫌の悪い時に、あの妖怪は来たのだ。だからこそ、スペルカードは使わなかった。私の提案したスペルカード式の決闘方法は、殺傷能力は低く、相手を殺すことはできない。
殺すと決めた以上、スペルカードによる「手加減」は一切行わない。
陰陽玉で、お祓い棒で、お札で、針で、完膚なきまで叩き潰す。古来の妖怪退治の方法と言えるだろう。
……少しだけ嫌なことが頭の中に浮かんだ。
<想定外>
この煙の晴れた先に、果たして「想定外」はあり得るのだろうか。
私は、未知の領域に足を踏み入れようとしているのではないかのか。
もしも。あの妖怪が生き残っているとすれば。何かしらの方法で死を免れていれば。あらゆる事象を想定した上で動かなければ、「想定外」は脅威となり、とって喰われてしまうだろう。
そして、これは「直感」だ。
警戒しろ、奴はまだ生きている。煙の渦巻く先に、奴は……
「やれやれ、どうやら俺は……」
「会話の出来ない相手に出会ったみたいだ。」
奴は、生きている。
次回 マッシブーン 、動きます。