26.5話?
「知らなかったよ」
「ハア……ハア……!」
荒地は寝心地が悪い。息切れをし、深い呼吸を繰り返している八雲藍に見下ろされながら、私は荒地に寝転んでいる。先程、藍に頬を強く殴られたので、そこがとても痛かった。
しかし私にとっての痛みとは、これではない。痛みとは、心を常に抉る鎌である。鎌は一度、目の前で両親を殺された若き私の心に深い傷を付けた。二度目の鎌は今なお続く。『不変の呪い』による、決して誰かを好きになれない、持続性の痛みである。数百年も前から、私は独り胸を焼かれている。
茫然としながらも汗の流るるのを肌で感じた。死闘は奴の一言で終わった。
「あの子が……私の子だったなんてな。」
「話を聞けよ……阿保め。」
藍。知っておきながらずっと言わずにいた、てめぇの方が阿呆だ。そう思いながら、静かに目を瞑った。
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今より遥か昔、室町時代と呼ばれた頃のこと、謎の声と共に謎の呪いをかけられた私は、その後も平気で俗世を歩き続けた。『不変の呪い』とはつまり、何も変わることなく普段通りの生活をすれば良いだけだ。そう思い、シカやコノキに出会う前の暮らしを一生懸命に思い出した。
復讐を果たすべく、人間共を切り裂きまくっていた私。復讐は果たしたので、もうする必要が無い。それから、強くなるべく、よく萃香と喧嘩をしていた私だった。しかしもう強くなる必要もないじゃないかと、あれこれ考えては、全て羽虫の如く潰される。
次第に確信じみた疑問が頭の中を埋め尽くした。
”どう生きれば良いのだ?”
これまでの生きる理由とは、復讐以外に何も無く、それはもう成し遂げた。次に私は何をすればいいのか、シカ、コノキ、教えて欲しい。私が知らないことは、二匹がよく教えてくれた。彼女らは私よりも確かに価値があった。私よりも、何よりも、彼女たちが生きるべきだったのだと、ふと私は気が付いた。
その後も平気で俗世を歩き続けたが、数百年で限界が来た。仲間を犠牲にして得た命であったが、どうにも乱雑に捨てたくなってしまった。それでも生き続ける。何の為に。私は自問する。
幻想郷と呼ばれていた地にて、あえて私は人間を襲った。襲ったというよりかは、攫ったという表現の方が正しい。呪いのせいでもあり、元々毛嫌いしていたのもあり、私は人間という存在にあまり関わっていなかった。だから、急に襲われ、理不尽にそれまでの生活を終わらせられた時、醜悪な人間はどう反応するのか?それを観察することにした。暇を持て余した一種の娯楽のつもりであった。
しかし人の男を自宅に置いて一年が経ち、私はどうやら彼に恋をしたらしい。私の想像していた醜悪な者とはまるで違う、人だった。私に笑顔を向ける彼を見ていると、頭が真っ白に霞んでくるのだ。
真っ白というのは思考ではなく、文字通り視界が霞むのである。『不変の呪い』が人への恋を許さないのだ。呪いが初めて形になって現れた時──彼によって私が死にかけた時──私は死の恐怖から思わず彼を風で吹き飛ばしてしまった。彼は怪我を負い、私は自己嫌悪に陥る。
その後、気にしないでと言う彼にまたもや死にかけるも、私は一つの方針を決めた。今後一切、感情を無にして生きようという試みである。一緒に食事をする時も、共に布団で眠り延々と話し合う時も、まぐわいをする時も、私は無感情を装った。死にはしないが、虚しさが残った。
また何年か経ち、夜中に産気づいた私は人の住む里を訪れた。人間は私を心配し、無理な癖に私を運ぼうとする。それらを振りほどき、もたもた歩く私も滑稽であった。養成所に入り、しばらく経って、元気な人間の赤ん坊が生まれた。今にして思えば、この幼児は人間ではなく半妖であったのだ。だからクワは百年も子供のままで生きていたのだ。
限界が来た。赤ん坊が泣き、彼も涙を流した時、私は感情を抑えずにはいられなかった。産み、ヘソの緒を切ってもらい、頭が真っ白に霞み、人間の女に赤ん坊を渡してからすぐ、私は風になってその場を去った。
朝日が昇り、私はまた人の里を訪れた。彼に会って、どうしたのかと心配された後、私は言った。
「私は妖怪の山に帰る。赤子はお前が育てろ。」
「一緒に来てはくれないのですか」
「無理だ。長いこと暮らしてきたが、別れの時だ。たまに会いにくるよ。」
「そうですか……。分かりました。」
彼は少し悩む素振りを見せて、私の言うことに頷き、そして言った。
「理由を聞いてもいいですか?」
「………」
彼には『不変の呪い』のことを話していなかったので、話してやった。一回では理解出来なかったようなので、繰り返し聞かせてやった。大事なことはぼかしつつ、繰り返し恥を告げた。
「そうなのですか?」
「ああ」
「そうですか」
「どうした?」
「私は、ずっと貴女に好かれていたのか不安だったので」
彼はにこりと笑った。
「悲しいのに嬉しいです。鎌鼬さん……僕はどうすれば良いのでしょうか。」
「悲しんどけよ……馬鹿。」
風になって、私はその場を去った。
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彼や赤子と別れて数日が経ち、朝日が昇った頃、二人に会うべく私は山を降りた。無表情の面を付けて、冷えた空気を泳ぐような感覚に陥る。
山道を下っている途中、私は大きな妖怪を見つける。
盲目などではない両目は、それと、その大きな口の中から首だけ出した人間をはっきりと捉え、そして硬直した。
”鎌鼬さん!”
ぐしゃりと音がした。
ギャアアアア!!同時に聞こえたのは妖怪の悲鳴である。私が鎌で顎の辺りを切り裂いたのだ。妖怪は口を開けて泣き叫び、彼の身体をでろりと吐き出した。こいつの泣き真似は随分下手なものだ、それで私が油断するとでも思ったのか、くだらん。私はその有頂天を思いきり殴って爆ぜさせた。
妖怪の下半身を私は鎌で斬り続けた。ぐしゃぐしゃと血が飛び散り、それが彼の頭へかかっていることに気が付き私は止まる。彼の頭から血を拭い、ゆっくりと目を閉ざしてやった。
堪えようのない苦しみが胸の内に広がったが、呪いのせいで頭が真っ白に霞んだので、私は叫んだりなどはせず、無感情を装っていた。あれほど山に一人で近付くなと言ったはずなのに、馬鹿め。私は何度も妖怪を切り裂いたが、水を斬るようにまるで意味がなかった。咄嗟に動けなかった無力な自分に怒れど、まるで無意味であった。目の前の惨状は変わらない。私はどうすれば良いのだろうか。やっと私はその場で大きく叫んだ。
死んでしまおうとしたが、死の一歩手前で私は叫ぶのをやめた。汗をだらだら流し、浅い呼吸を繰り返す。弱い女だった。それから騒ぎを聞いた鬼が大量にやって来ては私に襲い掛かり、その雑魚共を瀕死にさせていると、伊吹萃香と八雲紫が現れた。それから先のことは覚えておらず、気付けば私は奇妙な空間に閉じ込められていた。
八雲紫曰く、戯れに作った、幻想郷を模した世界に私を閉じ込めたらしい。ここには紫と九尾と、おまけで『血鬼』しか訪れられないわとも紫が言った。ここの風景は全く同じであったが、幻想郷の外へ行こうとすると結界のようなものが阻む。
怒りがぶり返してきた私は紫に殴りかかったが、瞬時に奴の能力で逃げられた。落ち着くまで閉じ込めるわと紫が言い、ここを滅茶苦茶にして良いのかと私が聞くと、その時は殺すわと紫が告げて帰った。
嫌がらせや憂さ晴らしのつもりで、私はだいたい十日ぐらいで偽物の幻想郷を殺風景なものにした。草木の一つも生えていない荒地に寝転ぶと、ほんの少し心が落ち着いた。その後八雲紫が現れ、満足した?と聞いてきたので殴りかかって返事をした。紫はまたもや能力で受け止め、また来るわと言い、殺し合いはしなかったが、嫌がらせのお返しのつもりか、
その後百年も私を閉じ込め続けた。堂々のクソ女である。
やぁね、貴女のことはちゃんと覚えていたのよ?と言葉を吐き捨てたクソ女が再びここを訪れた時、私は平気で寝転んでいた。あいにく孤独には慣れていたし、クソ女の代わりに九尾がニ回ほど来ていたので、物恋しさのあまり抱きつくなどはせずに済んだ。私が無視した後ちらりと見ると、クソ女は面白く無さそうに変な顔をしていた。
気まぐれか、私はこのだだっ広い牢獄から解放されることになった。貴女を外に出した後、ぐっすり眠ることにするわ。八雲紫がそう言い、冬の夜の下に私を出した。
肌寒い、というのが初めの感想であった。次に、見慣れたとはいえ、百年ぶりに見た自然溢れる幻想郷に、柄にもなく感動してしまった。無感情、無感情、と心の中で言い聞かせた瞬間、あの人が妖怪に殺され、二度と会うことのなかった赤子が寿命で死んだであろうことを思い出し、少し膝から崩れ落ちたままでいた。
膝から崩れ落ちたままでいた。
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その後も平気で俗世を歩き続けたが、刑期を終えての幻想郷は何もかもが新鮮に映った。が、二日も経てば飽きてしまったことを覚えている。
まず、変わったことがある。この幻想郷は博麗大結界という名前の代物による外との隔離が完全に済まされていた。狭くもないが広くもないこの地に縛られることを思うと、もう少し外に出ても良かったなと小さく後悔をした。
次に、幻想郷内ではスペルカードルールという、要するに殺し合いはやめてお遊びで代用しましょう、という約束事が広まっていた。当然私は乗らない。が、久しぶりに会った萃香までもがスペルカードとやらを見せびらかしてきたのには驚いた。血湧き肉躍る殴り合いはどうした。
そのほか、見たことのない建造物が複数建っていた。森の奥には全身真っ赤の悪趣味な紅魔館、竹林の奥には風情のある屋敷の永遠亭、妖怪の山の奥には名の知れた二柱の住む守矢神社。永遠亭に関しては昔からあったらしいが、私は知らなかった。
ふと人里に行くと、人と妖怪が当たり前のように暮らしていた。驚いてその場で腰を抜かしそうになった私である。以前から八雲紫は人と妖怪の共存という戯言をぼやいていたが、まさか本当に実現するとは。
血の一滴すら流れぬ平和な世が訪れたのだと悟った。元来戦いは好まない性格であったので、嬉しい誤算ではあった。しかし私はどう生きれば良いのか、その答えをまだ出せていない。答えはずっと前にあったのかも知れないが、とうの昔に潰えた。
そして決して幸せになることの出来ない私は、盲目の子供とやかましい男に出会ったのだ。
今時は寺小屋なんてものがあるというのに、髪で目が隠れたそのガキは一生懸命に畑を耕していた。私もこいつも、一人だけ昔に取り残されたようだ。何となく帰り道を塞いでみると、神様だなんて言われた。曰く、どんな人よりも魂が大きいのだと。
私はこの目利きの子供の盲目を治してやることにした。盲目とは縁があった。シカたちの記憶はもう大分薄れていたが、忘れはしない。桃色の服を着た兎人間を捕まえ、『闇の病院』と噂されていた永遠亭へ再び案内され、私はせっせと働いた。
といっても、血を抜かれたり、自身の過去や呪いについて話したりしただけだ。その程度で私の自己満足が済むのなら、大したことはない。やっと薬が完成する目前にまで来た時、私は永林に浅く頭を下げた。
やかましい男については、奴はとにかく奇妙であった。八雲藍に注視され、萃香と親しみ、やたらと私に突っかかる男であった。彼とは正反対であったが、どこか私は奴を気に入っていた節がある。だからこそ私は奴を半殺しにし、再び山の奥へと逃げたのだ。
そして現在に至る。
「私を殺さないのか?九尾。」
「殺さない。お前にもやるべきことがあるよ」
「何だそれは」
「会ってやれ。クワとやらにな。」
私は寝転んだまま、静かに目を瞑った。しばらくしてもう一度目を開けると、横に八雲藍が黄金色の尻尾を九つ向けて寝転んでいる。
「狐のくせに狸寝入りか?」
「疲れたんだよ……。スペルカード抜きで戦ったのは久しぶりなんだ。ちょっと放っておいてくれ。」
「………」
私も九尾に背中を向けて、また目を瞑る。これから先に起こることから今は目を背けていたかった。何処か晴れやかな気持ちで私は眠りに着く。溢れる感情をないがしろにせず、初めて抱きしめて私は死のう。
永い一生を終わらせよう。私が決めた最後の生き方である。
「それから、九尾。」
「八雲藍と呼べ」
「この薬をマッシブーンに渡せ。盲目が治る優れものだ。」
「……本当に治るのか?」
「さあ」
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博麗神社にいたクワを連れ去らい、私はびゅんびゅんと速度を上げて飛び続けた。するとクワが怖がっていそうな間抜け声を上げたので、手で目を塞いでやる。
「怖いか?」
「い、いえ!」
「そうか」
淡白な会話が途切れた後、私から話すことは無かったので、クワが再び口を開くまで私は黙っていた。
「あの、た、助けてくれて、ありがとうございました……。」
「感謝するなら、あいつに感謝した方がいい。」
「?」
「見逃してくれてありがとう、ってな。あいつは良い奴なんだ。」
「……そうなんですか?」
ああ、と私は短く返事をし、スピードを緩やかなものにする。八雲藍の待つ森の奥が見えてきた。このような樹木と草と花以外に何もない場所で何をするのかというと、親子としてのちっぽけなやりとりであった。誰にも見られないというのが重要なのである。私は恥ずかしがりなもので。
藍の目の前でふわりと着地すると、奴は私とクワを一目見てからすぐに言った。
「後は好きにしてくれよ」
素っ気ない一言だった。奴はその九つの尾が収まりきるぐらいの裂け目を作り出し、瞬く間に去った。奴のことなので、まだどこかから私を見ているのかも知れなかったが、もう気にしないことにする。
「………」
私とクワは互いに沈黙したが、そう長くは続かなかった。次に口を開けたのは私である。
「クワ。私は……。今までずっと素っ気なかったよな?」
「……そっけなかった?」
「イジワルってことだ」
「いえ!優しかったですよ。かまいたちさんはずっと優しかったです。」
冗談なのか本当なのか分からなかったが、ひとまず言葉のままに受け取る。続いてクワが話しだした。
「キレイです……!」
「ん?」
「かまいたちさんって、こんなにキレイだったんですか?大きな丸じゃなくって!」
「ふっ。冗談ばかりだな」
「い、いえ……本当に!あっ、こういう時、キレイっていうので合っていますよね!」
「あぁ、合ってるよ、ありがとう。」
私はクワを抱きしめた。クワは身体を小さく動かしていたが、やがて抱きしめ返してくれた。
「私の娘って、言いましたよね。」
「あぁ」
「そうなんですか?」
「そうだ。母親ごっこのつもりが、まさか本当に母親だったとはな。笑えるだろう?」
「………」
クワが小さな両手で私の着物をぎゅっと握った。
「僕、すごく泣きそうです。」
「笑えなかったか?」
そう言い私が笑っていると、頭の中で霧がかかり始めた。私の中ではやはり彼女は人であった。『不変の呪い』は相も変わらず私を苦しめる。人間を好きになってはいけないと、お前は変わってはいけないと、鬱陶しく囁きかけてくるかのようだ。が、気にも留めずに私は抱きしめた。それまでの私を捨て、私は変わって、そして朽ち果てるのだ。
"ずっと独りぼっちにしていたな。"
"今は一人じゃないです。僕、すごく嬉しいです!"
"そうか。"
霧は段々と白く濃くなった。直感のようなものが逃げろと囁く。囁くたび、逃げる代わりに私はクワを抱きしめた。やがて未知の領域へと足を踏み入れる。もう引き返せない場所まで。更に足を運ぼうが運ばなかろうが、確実に死ぬ領域へと。
まもなく私は死ぬ。止めようのない事実。
"すまない……。私は、行かなくては……。"
"……え?"
"身勝手だけど……。抱きしめさせて……"
クワは黙ってしまい、私は抱きしめ続けた。もう霧で何も見えない。
"……母親として、何も出来なかった。"
"……そんな、十分です。お母さんに会えたことが、僕は一番嬉しいんです。もう何もいらないくらい……"
クワが言って、クワが言った。
"あ……待って……でも、わがままを言うなら……!僕と一緒にいてくれませんか!嫌なら、いいんですが……。"
出来ないよ、と口に出そうとして、声は出なかった。一瞬、出来もしない幻想に、頭の中で魅入られてしまった。
"何も出来なかったというのでしたら!……僕、かまいたちさんやマッシブーンさんといた時、今までにないぐらい、すごく楽しかったんです!"
あぁ。
"い、いろんなものが見えるようになったので!いろんなものを一緒に見たいんです!マッシブーンさんのお姿もまだ見れてません!うどんがどんな姿をしているかも分からないんです!み、見てくれませんか!無理なのですか!"
私だってそうしたいんだよ。クワ。
でも、もう何も見えない。真っ白の奥深くから、黒い手が這う。
"わ……わかった……。"
"本当ですか!"
"………………"
駄目だ。
それは嘘になる。
それでも私は幻想した。呪いを気にせず、家族としてクワやあいつと過ごし、感情のままに笑えた日々を。
"いっしょに、かえろう。クワ……。"
"はい!"
言葉があやふやになっているのが自分でも分かる。そんなことも気にする余裕が無いほど、死が足元まで来ている。
"帰りましょう!お、お母さん!"
帰りましょう!
帰りましょう!
帰りましょう!
(帰って……)
帰って何をしよう。家に着いたら、もう一度クワを抱きしめてもいい。マッシブーンをあのおんぼろ神社から攫ってやるのもいいだろう。今まで寂しくさせた分、ずっと甘やかしてやろう。本をちゃんと読んだことが無いだろう。本は財産だ、本屋に通うのもいい。食事は質素だ。たまには美味しいと評判の和菓子を買うのもいい。
景色を見たことが無いだろう。森の奥の真っ赤な洋館を見せてやろう。永遠亭に行ってもいい。お前の口からも、永琳に感謝を告げさせなければ。迷いの竹林の途中で捕まえるウサギに、どう反応するだろう。飼いたいと言うかも知れないが、それは断ろう。
あぁ。
突然、私は目から大粒の涙を流していた。
自分でも信じられないくらいに涙が溢れ続けている。
刹那、死が一層濃くなった。
最後の時である。
「ごめんね……!」
愛おしい私の娘────
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「……ふふっ。ごめんより、ありがとうって、マッシブーンさんが言ってましたよ……。」