ヒト型ポケモンと画面のトレーナー   作:鉄血

1 / 4
第一話

彼は、ポケモンが大好きだった。

子供の頃、始めて買ってもらったゲームがポケットモンスターでその頃からずっと、そのゲームをやっていた。

その中で彼が最も使っていたポケモンがメタグロスだった。

彼の手持ちにはレントラーやガブリアス、サーナイト、ボスゴドラ、グレイシア、といったポケモンがいたけれど、それでも彼の最後はメタグロスだった。

メタグロスは、そんな彼に応えようとした。

画面の向こうにしかいない少年に一生懸命応えた。

ダンバルの頃から。ずっと一緒に旅をしてきた。トレーナーに勝ったり、負けたり、ジム戦をやったり、下らない事もした。そして一緒にチャンピオンにもなった。

一緒に笑って喜んで、ずっと一緒にと他の仲間と思ったりもした。

─────けど。

 

ある日を境に彼は来なくなった。

 

一年待った。二年待った。何年も待った。皆で何年も。

もしかしたらまた帰ってくるかもしれない。だから強くなった。

・・・強くなって。

 

・・・強くなって。

 

・・・強くなって。

 

だけど彼は帰って来なかった。

 

帰ってこない。

 

帰ってこない。

 

帰ってこない。

 

帰ってこない。

 

帰ってこない。

 

帰ってこない。

 

帰ってこない。

 

帰ってこない。

 

帰ってこない。

 

帰って来ない。

 

ワタシはボクは、ヒト型になっても彼の帰りを待った。

そして、ふと気づく。ボク達が待っている彼は画面の向こう側のニンゲンだ。こっちに来ることは出来ない。

なら、“彼をこっちに連れてくればいい”。

ワタシはスーパーコンピューター並みの頭脳を持つポケモンだ。

彼をこっちに連れてくるなんて方法なんて、無いに等しいくらい分かっている。

でも、どうしても彼に会いたかった。

ワタシは私は、首にかけた大量のコードが付いたヘッドホンを耳に装着する。無理?不可能?そんな事誰か決めた?私はやる、ボクは成功させる。不可能を可能にさせる。それが私だ。だからこそ諦めない。諦める筈がない。

少女がニヤリと口を歪める。装置自体の完成はしている。後は試運転だけだ。コイツを使えば、また彼と仲間で旅が出来る。

 

「マスター。もうすぐ会えるですよ」

 

彼女はそう言ってレバーを引いた。

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

赤ん坊の泣き声が聞こえる。

俺はそちらへ向かうために身体を動かそうとするが、身体は一ミリも動かなかった。

暗闇で、匂いも感じない。腕や足、首も動かせない。

ふと、赤ん坊の泣き声が大きくなった。

いや、正確には俺から聞こえてくる。すると、何もない暗闇の先に光が発せられる。

俺は無我夢中でそちらへ走り出した。

光のある方へ、走って、走って、走って手を伸ばした時。

光が暗闇を包みこんだ。

 

◇◇◇

 

目が覚めた時、俺は子供になっていた。

 

(何だ?俺・・・子供になってる?もう大人の筈なのに?)

 

俺は疑問を浮かべながら、恐らく三歳か4歳くらいの幼い手を見つめる。

 

「・・・どうなってる?」

 

たどたどしい口調でそう呟いた俺は、周りを見渡した。住宅地がいくつか立ち並んでいて、小さな草むらが遠くにある。そして空を見上げると、“ムックル“が飛んでいた。

 

「・・・・・ん?ムックル?」

 

俺は小さな手で目を擦った。何かの間違えだろうか?先程、ムックルが空を飛んでいたのだから。

現実では有り得ない光景を見た俺だが、そう騙される俺ではない。俺はそう思いながら前へ歩こうとすると・・・。

 

「ユウキ!そろそろ帰りましょ」

 

「・・・・えっ?う、うん」

 

自分の名を呼ぶ声に俺はつい、反応してしまった。

そして声が聞こえた方へ振り向くと、俺は驚愕した。

俺の母親らしき人の隣に、“コリンク“がいた。

 

どうやら、俺は憑依転生・・・というものをしてしまったらしい。このポケモンの世界で。




感想、評価、誤字報告よろしくです!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。