どうやら、俺は本当にポケモンの世界に来てしまったらしい。
テレビを見れば、トレーナー同士のポケモンバトル、コンテストなどが多くやっていた。
俺が住んでいるのはシンオウ地方のフタバタウン、いわば最初の街だった。
「・・・ポケモンか」
昔ゲームでよくやり込んでいた。
ある日を境に俺はポケモンを止め、他のゲームに熱中するようになってからやっていなかった。
だが、一つこの世界で気になる事が俺にはあった。
「ヒト型って何だよ。擬人化したポケモンかよ」
普通だったら有り得ない現実に俺は目を閉じる。
「アイツらが居たら楽しかっただろうな・・・」
かつてやっていた頃の手持ちポケモン。
メタグロスの“レイ“。レントラーの“レオン“。ボスゴドラの“ティーガー”。サーナイトの“サナ”。グレイシアの“ユキ“。ガブリアスの“ロゼ“。後はまあエンペルトの“エンペラー”やムクホークの“ダイヤ”もいるがともかく、アイツらと一緒だったら面白かっただろうな程度に、俺はベッドに潜り込んだ。
と、その時だった。
─────待ってますよシンジこのほとりで─────
「っ!?」
突如頭の中にそう言った言葉が流れ込んできた。
待ってる?俺を?シンジこで?誰が?
俺は疑問を頭に浮かべる。俺を待つ奴。誰だ?誰が待っている?
俺は真夜中、母親と父親が眠っているすきに家を抜け出し、シンジこに向かった。
月明かりに照らされて暗闇の道を俺は歩く。
4歳の子供はこんな事を絶対にしないだろうと思いながらも、真っ直ぐと目的地へと向かった。
そして歩いて10分くらいしただろうか。俺はシンジこの岸にもうすぐ到着すると言うところで足を止めた。
「・・・だれかいる?」
岸に六人の人影があったからだ。
男性二人、女性四人。
その六人はそれぞれ奇抜な格好をしていた。
「何だよ。アイツら・・・」
コスプレ・・・だろうか?一人の男は西洋の鎧とマント、そして角がついたフルフェイスヘルムをつけている。目の部分は青い宝玉のような目をヘッドホンをつけた16か17歳くらいのポニーテールの少女へ向けていた。
もう少し近付いてみると、彼らの話声が聞こえた。
「“レイ“。本当に主は来るのだろうな?もし嘘なら・・・」
「何度も言わせないでくれませんかね?マスターは来ますよ。“ティーガー”私の計算は完璧ですからね。ええ」
彼らの呼び名に俺は聞き覚えがあった。嘘だろ、ありえないと俺は疑いながらも彼らの話を黙って聞いていく。
「でもよー。リーダーがここに来るなんてありえねぇだろ?待ってもずっと来なかったんだぜ?」
黒髪の青年がそう言って彼女を見るが、その横で水色の少女が言う。
「うっさい。黙って“レオン“。私はずっと待ってたの。この機会・・・逃すわけにはいかないっ!」
水色の少女が興奮気味にそう言うと、“彼女の頭に耳がある“のに気付く。
よく見れば、青年の方にも“尻尾が生えていた“。
こいつら人間じゃない。俺は身を翻そうとした時。
パキリと枝を踏んでしまった。
「・・・誰だ!!」
鎧男がそう言って此方に視線を向ける。
「・・・やべぇ!?」
ギラりと睨みつけられたその目に俺は逃げ出した。
木々を草むらをかき分け、俺は逃げる。あいつ等から。
逃げる。
逃げる。
足を擦りむき、傷ついても俺は走った。
と、俺の背中から─────
「この匂い・・・もしかして、ボス?」
「─────っ!?」
振り袖、と言ってもいいのだろうか?スカート状になった足部分の布面積に、腰には大きな帯が巻かれている。
その髪は長く黒かったが、前髪の部分だけが黄色く染まっていた。
「くっ、来るな!?」
「わっと・・・お姉さん流石に傷つくよ?」
俺はがむしゃらに手を振り回すが、彼女は余裕そうにヒョイヒョイと躱していく。
「ロゼさん。怖がらせてはいけませんよ。主様が怖がっているではありませんか」
「あれ?そうなの?なんかわたしが悪者みたいじゃん」
緑髪の女性がドレスを着たままこの森をゆったりと歩いてくる。
そんな彼女をよそに俺はまた走り出す。
何なんだよ、コイツら。一体何なんだよ!?
俺は走る。走り続ける。と、その時だった。
「ガッ!?」
急に見動きが取れなくなる。まるでかなしばりにあったかのように身体が動かない。
と、そんな俺の前からポニーテールのヘッドホンを付けた少女が歩いてくる。
まるで、溜息をするかのような口調で独り言をグチグチと呟いて言った。
「まったくですねぇ。それじゃあ逃げるに決まってやがりますよ?ティーガー?分かってます?」
「・・・すまない」
鎧男の謝罪を彼女は聞かずに、黒髪の青年に視線を向けていった。
「レオンはナイスですね。ユキが暴走しかけてましたから止めて頂いて感謝ですよ」
「だったらコイツをどうにかしろ!?」
黒髪の青年は羽交い締めにした水色髪の少女を見ながら叫ぶ。
「離して!レオン!私はっ、まだ!ユウキに!伝えてないの!」
「うっせぇ馬鹿!」
暴言を吐く青年と暴れる彼女にポニーテールの彼女は自分の後ろにいる二人に言った。
「二人とも誘導お疲れ様でしたね。無事にマスターに会えましたよ」
「そう言うならさー、もっとボスとイチャイチャしてもいいよねー?サナちゃんも思わない?」
「私は別に構いませんよ。ほらレイさんがキレてますから止めて置いたらどうです?」
「此処でブッ殺してやりましょうか?今なら花火にしてやりますよ?」
物騒な言葉を吐く彼女に、振り袖の女は言った。
「花火にされるのはやだなー。するのはいいけど」
自分を放置して置いて勝手に喋る六人に、俺は言う。
「・・・だよ」
「どうしました?マスター?」
「何なんだよ!?お前らは!?俺になんのようかよ!?」
俺の叫びにポニーテールの彼女は言う。
「まあ、そうですね。そう言いますよね。予想通りです。じゃあ貴方の質問に答えましょう」
彼女はそう呟き、口を開く。
「YESですよ。私達は貴方に会うために此処に来たんですよ。何年も待ちましたからね。こうして会うのを楽しみにしていましたよ。マスター」
「ま、マスター?」
彼女の口から出てきた言葉ソレは誰かを主人と見ている言葉だ。
誰が彼らのマスターなのだろうか。
と、隣で緑髪の女が彼女に言う。
「誰が、私達の主様か困惑しているようですよ」
「ああ、そういう事ですか。どおりで話が合わない訳です。仕方ありませんですね」
彼女は溜息を吐いて、ガシガシと頭を掻く。
そして彼に対して口を開いた。
「“貴方が私達のマスター“って事ですよ。ユウキ」
「お、おれ?」
彼女の言葉に俺の困惑するような言葉が周りに響いた。