The Gate Wars (旧:銀河共和国軍、彼の地にて斯く戦えり) 作:ウエストモール
第1話 接触
1
クローン大戦が勃発してから3年後、クローン大戦は共和国のパルパティーン最高議長によって独立星系連合との間で講和条約が結ばれたことで終結を迎えたが、冷戦に突入することとなったのだ。
冷戦の状況下、アウターリムでは緊張状態が続き、共和国軍も住民も気が休まることが無かった。一方、今まで戦火の及ぶことの無かった首都惑星コルサントにおいては、完全に人々は油断していた。そして、そのコルサントで事件は起きたのだ。
大戦終結から半年程経ったころ、コルサントの中心部に謎の門のような構造物が突如出現、中から現れたのは鎧を着こんで剣や槍、弓で武装している兵士や空飛ぶ生物に騎乗した騎兵であり、彼らはその場にいた市民達を殺戮すると、コルサントに侵攻を開始した。数時間後、ショックトルーパー隊や駆けつけて来たその他の部隊、ジェダイやセネトコマンドーによって侵略者は撃退されたが、コルサントには大きな爪痕が残された。後に、この事件はコルサント事件と呼ばれることとなる。
コルサント事件について、共和国元老院最高議長であるシーヴ・パルパティーンは翌日に声明を発表した。
「今回の事件において、門より現れた謎の侵略者によって多くの市民が虐殺された。彼らに全く罪は無いというのに・・・この虐殺に対して私はとても強い怒りを抱いている。今すぐにでも共和国軍を派遣し、奴らを殲滅したいところではあるが、それでは奴らと同類になってしまうだろう
そこで、まずは門の防御を固めた上、向こう側・・・つまり異世界の調査を行う。無論、門へ近付こうとする侵略者には容赦なく攻撃を加えるつもりだ。最終的には侵略者の親玉を無理矢理にでも交渉のテーブルに着かせ、国境の線引きや賠償についての交渉を行う。そして、賠償の大半は遺族や被害者への賠償金に充てることとする。
また、侵略者を撃退する際に、クローン軍やセネトコマンドーだけではなく志願兵の部隊であるストーム兵団が大いに活躍してくれた。特に、非番であったストーム兵団のジークフリート・ヴァイス少尉が勇敢な市民達とともに、市民が避難する時間を稼いだ結果、被害を押さえることに貢献した。そこで、ヴァイス少尉や勇敢な市民達、さらにストーム兵団の兵士達に勲章を授与することを決定した」
なお、独立星系連合国家主席を務めるシスの
2
クリストフシス星系近郊
結晶構造が多く見られる惑星クリストフシスの所属する星系の近郊では、クローン大戦が終わっても未だに共和国軍と独立星系連合軍の艦隊が睨み合いを続けていた。当初は送り込まれる軍艦も軽クルーザー程度であったが、やがて双方の主力艦も送り込まれるようになり、現在では共和国軍は最新鋭艦のリパブリック級スターデストロイヤー、独立星系連合は量産型サブジュゲーター級重クルーザー*1を送り込むようになっていた。
クリストフシス近郊に配置された1隻の巨艦、それはリパブリック級スターデストロイヤー2番艦リバティ。リパブリック級はヴェネター級の装甲及び火力強化型であり、ヴェネター級にあった上面のハンガードアを廃止した代わりに砲台の配置を増やしている。現在、2番艦リバティは両勢力の境界付近に接近している量産型サブジュゲーター級重クルーザーを制止するために進んでいた。
「こちらリバティ。貴艦は境界に接近しつつある、直ちに回頭せよ!繰り返す・・・」
小さい玉のようにしか見えない程遠くにいる相手に向かい、通信士は呼び掛けを続ける。
「艦長!相手から返答ありません!」
通信士は、悲鳴のような声で艦長に報告する。それもそのはず、連合のドゥークー伯爵は共和国に武力行使する可能性を表明しており、相手艦が攻撃する意思を持っているかもしれないからだ。
「艦長、攻撃すべきでは?こちらから攻撃しなければ、確実にやられます」
そう進言するのは砲雷長。
「慌てるな、砲雷長。先制攻撃してしまったら、それこそ相手の思う壺だ。連合がこちら側に攻め込む口実となるだろう。衝突寸前まで相手に接近し、我々の意思の強さを見せつける」
艦長は一切慌てない。
「ラジャー」
やがて、双方は境界線を挟んで向かい合う形となり、正面衝突するのも時間の問題となっていた。
「艦長、このままでは衝突します!」
「分かっている!衝突寸前で舵を切る!武装を向けることも忘れるな!」
双方の先端が200mの距離まで接近した時、相手の量産型サブジュゲーター級が左に舵を切った。それに合わせ、リバティも舵を切る。
「右に回頭せよ!」
2隻は並走する形となり、双方が互いの武装を向け合う。誰かが1発でも撃ったその瞬間、全力の撃ち合いが発生して地獄となるだろう。それだけではない、共和国と連合の全面戦争が発生してしまうのだ。
「撃つなよ・・・絶対に撃つなよ・・もし撃てば、その時は地獄だぜ・・・」
砲雷長はコムリンクでクローンガンナーに対し、絶対に撃たないように呼び掛ける。艦内を、そしてその宙域を沈黙と緊張感が支配した。
その後、この並走は1時間近く続き、進む先に小惑星が多く存在していた量産型サブジュゲーター級は境界線から離れていった。この事件から数ヵ月間は連合の艦が接近することは無かったらしい。
3
俺の名はジークフリート・ヴァイス。共和国軍志願兵部隊、ストーム兵団の第1機甲師団所属の
クローン大戦の序盤、宇宙軍提督だった父が戦死したという報せが入った。惑星ナブーで1人暮らしていた母は、そんなことを信じることが出来ず、まるで父が生きているかのように生活していた。例えば、俺が実家に様子を見に行った時なんかは、俺の分も含めて3人分の食事を作り、存在しないはずの父親と会話していたのだ。俺はその光景に我慢出来ず、父はもう存在しない真実を伝えてしまった。このことを、今でも俺は後悔している。何故ならば、それを聞いた母は精神が崩壊し、焼身自殺してしまったからだ。
その時から、俺は自暴自棄になり、死に場所を求めて様々な惑星を放浪した。そんな中、共和国軍は志願兵部隊の募集を開始、死に場所を求めていた俺は真っ先に志願したのだ。
訓練の終了後、俺達志願兵はストーム兵団として編成されて様々な惑星に送り込まれ、連合軍の
4
帝国元老院
銀河共和国へ侵攻した謎の軍勢を門によってコルサントへ送り込んだのは、異世界において〈帝国〉と呼ばれる国家である。帝国は異世界の大陸の1つであるファルマート大陸を支配しており、多くの属国を抱えている。そして、その帝国にも銀河共和国と同様に元老院は存在した。
「大失態に終わりましたな、皇帝陛下。全軍の過半数を失うという予想外の事態が諸国に露見するようなことがあれば、属国等の周辺諸国はたちまち反旗を翻して帝都に進軍してくるでしょう。陛下、如何にして対策を講じるおつもりか?」
元老院議員である貴族のカーゼル侯爵は、皇帝モルト・ソル・アウグスタスを追及する。通常、皇族に対してそのような振る舞いをすることは厳罰に値することであるが、この議会の中に限り元老院議員がそれをすることが許されるのだ。
「なるほど。侯爵、そなたは反乱を起こした属国の軍勢が帝都を包囲することを恐れて眠れないのだな?」
皇帝モルトのカーゼルをからかうような発言によって議会の中には彼を嘲笑する流れが生まれ、カーゼルは言葉を失う。そして、皇帝はさらに話し始めた。
「確かに由々しき事態ではあるが、帝国にとってこのような事態は初めてではない。250年前のアクテクの戦いでは、全軍が崩壊している。それに比べて今回はまだマシな状況である」
皇帝は、過去の例を上げる。
「しかし陛下、昔と異なり今は反旗を翻しかねない属国がおります。それに、アルヌスの敵が帝都に侵攻してくる可能性もありますぞ」
「そのことについてだが、策はすでに用意されている」
「陛下、それはいったい?」
「聖地アルヌスを汚す異世界の賊徒がファルマート大陸全土を狙っているとして、連合諸王国軍を召集する。そして、アルヌスの丘に攻め入るのだ」
「連合諸王国軍?」
議会内にざわめきが広がる。連合諸王国軍とは、約200年前に東方の騎馬民族の帝国の侵攻に対抗するために諸王国が結成した連合軍であり、有名なそれを知らない者はいないという。
「諸王国軍が異世界の敵と対峙している間、アルヌスから帝都に至るまでの村や町を焼き払い、食料は全て運び出し、畑には塩を撒いて井戸には毒を投げ入れる。そうすれば、強大な異世界の軍であろうとも、帝都に至る頃には補給が持たずに弱体化するであろう」
皇帝モルトは、広大な国土を利用して焦土作戦を行うつもりなのだ。なお、焦土作戦の市民の生活を一切考慮しない性質上、民心が離れていくのは確定である。
「しかし陛下、異世界の敵には帝国軍でさえ勝てませんでした。もしかしたら、連合諸王国軍は壊滅するでしょう」
「仮に連合諸王国軍が壊滅するのであれば悲しいものだな。いずれにせよ、彼らは大陸を守るために戦った英雄達として記録され、我ら帝国は今まで通りに諸王国を指導して侵略者に立ち向かうだろう」
皇帝は、諸王国の軍勢を異世界の敵にぶつけて壊滅させることで、相対的に帝国の優位性を維持しようとしている。カーゼル侯爵はそんな皇帝の真意に気づいた。
「これが今回の事態に対する対策である。以上だ、今日はこれで解散とする」
皇帝モルトによって帝国の方針は決まった。
5
アルヌスの丘
あの忌まわしい惨劇から半年後、異世界門突入作戦を行った銀河共和国軍派遣部隊は、門の周辺を確保。アルヌス奪還のため送り込まれてきた帝国の軍勢を全て返り討ちにしていた。
第1陣として派遣されたのは、コルサント事件で活躍したストーム兵団の第1機甲師団、さらに精鋭クローン部隊の第501大隊である。第1機甲師団はヴィアーズ大佐が指揮を執り、第501大隊はジェダイ将軍が任務で不在のためにコマンダーレックスが指揮を執る。そして、派遣軍の各部隊を纏める最高司令官は、ストーム兵団司令のメイディン将軍が務めることとなっていた。なお、4週間後には調整を終えた後続部隊が到着する予定である。
1週間後、新たな軍勢がアルヌスに接近していることが偵察により判明し、守りが固められていた。共和国側は知らないが、その軍勢は帝国によって召集された連合諸王国軍である。丘の中腹の塹壕には501大隊隷下トレント中隊のクローントルーパーが展開し、後方には対異世界軍用に開発された対人用砲弾を装備したAV-7対ビークル砲が配置されていた。
「こちら、コマンダーレックス。キャプテンファイブス、応答せよ」
レックスは、塹壕のトレント中隊を指揮するARCトルーパーのキャプテンファイブスにコムリンクで連絡を取る。
「こちらキャプテンファイブス」
「ファイブス、もうそろそろで敵部隊がここから1kmのキルゾーンに到達する。照明弾で合図を出すから、そのタイミングで射撃を指示してくれ。その後、砲兵隊で総崩れとなった敵を完全に粉砕する」
「ラジャー」
通信を終了した後、レックスは望遠装置であるエレクトロバイノキュラーを覗く。すると、敵の部隊の中心がキルゾーンに入っていた。それを確認したレックスは、発射器を斜め上に向けて紫色に光る照明弾を打ち上げた。
「今だ、野郎共撃て!」
照明弾を見たファイブスの号令でトレント中隊のクローン達はDC-15ブラスターライフルを撃ちまくる。一斉に飛んでいった青いプラズマの銃弾は、前面に展開している重騎兵をなぎ倒し、その後ろの怪異や重装歩兵にも少なからず被害を与えた。この攻撃で混乱が起こり、敵の隊列が崩れる。
「砲兵隊、砲撃開始!」
砲兵隊にレックスがエレクトロバイノキュラーで攻撃目標を指示し、砲兵はそれに従って対人弾を発射。敵部隊の頭上で爆発した砲弾は、大量の子弾を撒き散らし、怪異や人間、軍馬をまとめてズタズタに引き裂く。そこには、身分も種族も関係なく体を引き裂かれる地獄があった。
その後、連合諸王国軍は2回目の攻撃も失敗し、しまいには夜襲も仕掛けてきていたのだが、暗視装置をヘルメットに装着したクローントルーパーの敵では無く、一瞬で壊滅したらしい。