The Gate Wars (旧:銀河共和国軍、彼の地にて斯く戦えり) 作:ウエストモール
オリキャラ(メイン)
◯ジン・サトー軍曹
第1機甲師団所属で高いスピーダーの運転技術を持つ軍曹。また、近人間種に強い興味がある。第3偵察隊に所属し、その運転技術で貢献する。
◯フォックス・シュトルム提督
宇宙軍派遣部隊の指揮官
◯リサ・フェレル
厄介者と呼ばれる女ジェダイで、とあるクローン分隊を率いている
◯アンティリーズ曹長
ベテラン兵士
オリジナル兵器
◯装甲ランドスピーダー
共和国軍が保有するランドスピーダーであり、装甲を有している。見た目はガンダムに登場するホバートラックであるが固定武装は搭載せず、Z-6回転式ブラスター砲を設置できるようになっている。
◯汎用ランドスピーダー
共和国軍の保有するもう1つのランドスピーダーで、自衛隊の73式小型トラックのイメージ。後方の4席はむき出しになっており、幌で覆う形となっている。乗員は6名。
1
翌日の朝、朝日に照らされているアルヌスの丘は、人馬や怪異の骸、レーザー砲で撃ち落とされた飛竜で埋め尽くされており、共和国軍はその後片付けに追われていた。
「これは酷いな・・・」
ジークは呟く。その目線の先には、今まで生き物だった筈の肉塊が多く転がっていた。これは、対人弾によって体を引き裂かれた者共の成れの果てだ。さらに、レーザー砲やブラスター等のプラズマ兵器によって撃たれた死体はその熱によって焼けただれており、肉片は腐乱臭を放ち、武具を構成する鉄の臭いと混じって周囲を不快な空気にする。
「ウッ・・・何てヒドイ臭いと光景だ。ヴァイス大尉、しばらくは肉も食えませんよ」
スピーダーの操縦席からそう言うのはジン・サトー軍曹。彼はジークの部下であり、スピーダーやウォーカーの操縦を行うコンバットドライバーである。ヘルメットを被っていて表情は見えないが、不快そうな顔をしているのは間違いない。
「そうだな。しばらく俺はイウォークジャーキーを断つことになりそうだ」
イウォークジャーキーは、その名の通りイウォークの肉を材料にしたスナックである。
「サトー、これは早く片付けないとまずい。片付けが1日遅れるごと1日肉が食えなくなるぞ。そう言えば、司令室からは遺体と鎧を別々にするように命令が来ている」
「わざわざ分ける必要なんてあるんですか?」
「どうやら、鎧や剣を鉄屑として売り払って遺族への賠償金の一部に充てるつもりらしい」
「なるほど」
「とにかく遺体を運ぶぞ」
「ラジャー」
他のトルーパー達によって後部座席に遺体が積まれていき、一杯になったスピーダーは助手席にジークを乗せ、サトーの操縦で基地へと向かった。
「将軍、戦死者数の集計が完了しました」
ジークの上官、ヴィアーズ大佐は派遣部隊司令官のメイディン将軍に報告する。
「ご苦労だった。それで結果は?」
「はっ、形を留めていないものやクリーチャーを除いて、合計6万人の遺体を確認しました。これ以前と合わせて12万人です」
「文明レベルから察するに、敵はおそらく惑星を統一していない小規模な国家だろう。そのような国家が12万人も兵士を失うということは大きな痛手、しばらくは攻撃も沈静化するだろうな」
「そろそろ偵察にも力を入れたいところです」
「勿論だ。3週間後にアルヌス要塞が完成し、第2陣の212突撃大隊や宇宙軍派遣部隊が到着すると思われる。そのタイミングで6個の偵察隊を派遣し、現地の民間人と接触させる。人員に関してだが、大半はストーム兵団から出すことになっている。コマンダー、人選は君に任せる」
「了解しました、将軍」
2
3週間後
アルヌス要塞は完成した。門を囲むように建築されたデュラスチール製の防壁は五角形の星形となっており、その回りには堀や塹壕が張り巡らされている。
内側には門だけではなく、司令室や兵舎を含めた駐屯地、ファイターやガンシップ、地上ビークルの格納庫、さらには小型のスターシップやシャトルが着陸可能な着陸パッドが設置されていた。
防衛用の装備も整備されており、AV-7対ビークル砲や対空用のレーザー砲、ブラスター砲、ターボレーザー砲、シールド発生装置が設置され、陸や空だけでなく宇宙からの脅威にも対抗出来るようになっている。
「ヴァイス大尉、君には第3偵察隊を率いてもらう」
ヴィアーズ大佐はジークに命じる。
「ラジャー」
「大半のメンバーは我々第1機甲師団、それも君の元部下達から出すことになっているが、ジェダイが率いるクローン分隊も同行することになった」
「どうしてジェダイが?」
「ジェダイオーダー曰く、現地人との交渉の人材として派遣するらしい。が、おそらく実態はお目付け役だろう」
「ところで、第3偵察隊にはどのようなジェダイが?」
「それについてだが、ジェダイオーダーで厄介者と呼ばれている女ジェダイが来ることになった」
「その噂、聞いたことがあります。たしか、ジェダイなのにコルサントのホストクラブに行ったりしていたとか」
「彼女がオーダーを追放されなかったのが不思議だよ」
その後、ジークは大佐に指定された格納庫の前へと向かい、元部下達と再会。さらに、同行する例のジェダイと顔合わせした。
「あんたが不死身のジークかい?思ったよりも強くは見えないねぇ」
例の女ジェダイの第一声がこれである。
「ヴァイス大尉です。あなたは?」
「あたしはリサ・フェレル、かの有名な厄介者のジェダイさ。そして、後ろにいる野郎共はあたしが率いているガンマ分隊だ」
フェレルと名乗ったその女ジェダイは、長い黒髪を後ろで1つに縛っており、顔には十字の傷があった。さらに服装はよく見るジェダイの服ではなく、有名なアソーカ・タノのような袖が無い服になっていた。腰には2本のライトセーバーを下げている。
「ガンマ分隊の野郎共のことを紹介してやる。あんた達!大尉に自己紹介しな!」
3人のクローンが歩み出てくる。
「CT-2006、キャプテンリーパー。姉御の副官だと思ってくれ」
ヴァイスと同じ大尉であるリーパーの装甲服は全身が灰色となっており、黒いポールドロンとカーマを装着している。ヘルメットには赤いバイザーとアンテナが付いていた。
「CT-2008、アイアン。大好物は近接戦闘だ」
アイアンの装甲服は名前の通りに鉄の色となっており、背部には2本の振動刃トマホークが装備されていた。そして、胸部や肩のアーマーが他のトルーパーよりもゴツくなっていて、ヘルメットには赤いトサカが付いている。
「CT-2283、ロックオン。特技は狙撃、ガンマ分隊の中では新参者の部類です」
ロックオンの装甲服は深い緑色となっていて、ヘルメットには暗視装置に近い構造の装置が装着されていた。おそらく、狙撃を補助する装置だろう。
「癖は強いが、頼れる野郎共だ。使ってやってくれ」
「は、はい」
この女ジェダイ、本当にジェダイなのか?
「そういえば、フェレルさんはどうしてオーダーから厄介者と言われているんですか?」
「そのことかい。話せば長くなるし、道中で話すことにしよう」
3
ジーク達が出発するのとほぼ同時の時間、派遣軍第2陣が到着した。
門からオレンジのペイントを施されたクローントルーパーが続々と入ってくる。彼らは第212突撃大隊、ケノービ将軍とコマンダーコーディが指揮する部隊である。
その後に続くように入ってきたのは、リパブリッククルーザーやゴザンティ級クルーザー、ペルタ級フリゲート、分解された共和国軍軽クルーザーだ。いずれも浮揚式の荷台で運び込まれており、よく見ると建設用や採掘用の資材も確認できる。共和国軍が異世界の宇宙で何かをしようとしているのは確実であった。
「将軍、宇宙軍派遣部隊の提督が来ています」
「通せ」
執務室のスライドドアを開けて入ってきた提督は、明らかに20代前半の金髪の男だ。
「宇宙軍派遣部隊指揮官、フォックス・シュトルム提督です」
「私は総司令のメイディン将軍だ。提督に1つ質問があるのだが」
「どうぞ」
「単刀直入に聞こう、宇宙軍が来た目的は何だ?上に聞いても開示されなかったものでね」
「将軍に対して宇宙軍派遣部隊の目的をお話するように上から言われています」
「今になってから説明するとは、簡単に出せない内容のようですな」
「我々の目的の1つ目は、異世界の宇宙を探索し、宇宙に採掘場や工場を作ることで自給自足できるようにすること。もう1つは、宇宙に工場を作る過程で造船所を併設した宇宙港を建設し、そこで建造したスターデストロイヤーで火力支援を行うことです」
「こんなことを独立星系連合が知ったら、ますます圧力を掛けてきそうだ」
「だから開示されなかったわけです。ところで将軍、ここでは話せないことがあります。場所を移して2人だけで話しましょう」
移動した2人は、運び込まれていたリパブリックフリゲートの中へ入る。乗艦する人員がまだ到着していないため、艦内は空だ。
「現在、我々宇宙軍は共和国特殊兵器部門と協力し、とある計画を押し進めています」
「とある計画?」
「はい。その計画は〈異世界門解析及び他世界渡航技術開発計画〉通称、フロンティア計画です」
「それはまさか・・・」
「そのまさかです。それが成功すれば、我々共和国軍は自由に世界間の壁を通過して戦力を行き来させることができます。それどころか、様々な異世界に存在する勢力と事前に交渉することで、コルサント事件のような悲劇を減らすことができるでしょう」
「しかし、門は科学とは無縁な技術で作られていると聞いている。科学で再現できるはずがないのでは?」
「将軍、あなたはハイパードライブテクノロジーがどのようにして普及したのかご存知ですか?」
「宇宙関係の技術には疎いものでね」
メイディンは首を左右に振って言う。それに対し、シュトルムは説明を始めた。
「共和国が誕生する前、ラカタン無限帝国によって使用されていたハイパードライブは、フォースという超常的な力がなければ利用できませんでしたが、帝国の滅亡後にコレリアの科学者によってハイパードライブは科学で再現されました」
「なるほど、今回の門もそれと同じということか」
「はい。仕組みを理解できれば、何でも科学で再現できるのです。では将軍、私はこれから宇宙に上がりますので、失礼します」
4
アルヌスを出発した第3偵察隊は、5台のスピーダーに分乗していた。構成は装甲ランドスピーダー1台と汎用ランドスピーダー2台、サイドカー付きBARCスピーダー2台であり、BARCスピーダーの方にはジェダイとガンマ分隊が搭乗する。
「それじゃあ、あたしの過去について話すとしようか」
リーパーが操縦するBARCスピーダーのサイドカーに座っていたジェダイのフェレルは、コムリンクを通して話し始める。
「あたしは、気づいた時にはコルサントのアンダーワールドで孤児として暮らしてた。だから、両親の顔は知らない。そして、推定年齢10歳の頃にフォース感応者としてジェダイからスカウトされたの」
「10歳でスカウトですか・・・普通、ジェダイって幼少期にスカウトされるものだったはずじゃ?」
不思議に思ったジークは尋ねる。
「そう、普通はね。けど、アンダーワールドにはジェダイもあまり踏み込まないから発見が遅れたみたい。あのスカイウォーカーも、アウターリムのタトゥイーンにいたから発見が遅れたらしいね」
「なるほど」
「そして、あたしはジェダイの訓練を受けて腕を認められ、無事にジェダイナイトになった。そこまでは良かったんだけど・・・」
刹那、彼女は沈黙する。
「お忍びで聖堂を抜け出して、いろいろな男と交際してしまったの。もしかすると、あたしは愛に飢えていたのかもしれない」
ジェダイの規則では、執着はダークサイドに繋がるとして恋愛は禁止されているのだ。
「で、すぐにバレた。一部のジェダイ評議員はすぐに聖堂から追放しろと訴えていたけど、大半の評議員は腕の立つあたしがダークサイド側に流れる可能性を考えて、不問にするという判断を下した」
「それで、また男と交際したんですか?」
「もちろん、その通りさ。その時のことがもとになって、厄介者と呼ばれることとなった」
「フェレルさん、その時いったい何があったんです?」
「あたしがこれ以上様々な男と交際すると、ジェダイオーダーの威厳が潰れるから、逆に評議会は私に結婚を許可して、1人としか付き合わないようにしたのさ。まあ、誰とも結婚せずに数年経ったけどね」
「どこに厄介者の要素があるんです?」
ジークの乗る汎用スピーダーを操縦しているサトーが突然発言した。
「この後が問題なのさ。あたしが結婚を特別に許可された後、同世代のジェダイ達が自分達にも結婚を許可しろと訴え始めたんだけど、一斉にオーダーを離れられても困るから、評議会は渋々それを認めた。その結果どうなったと思う?」
「いえ、予想がつきませんよ」
「それを渋々認めたことにプライドを傷つけられた一部の評議員が隠居してしまった。とにかく、ここまでオーダーを狂わせた原因であるとされたあたしは、厄介者と呼ばれるようになったのさ」
「は、波瀾万丈の人生ですね・・・」
ジークは若干引いていた。
「ヴァイス大尉、そろそろ偵察機が発見した集落に到達します」
コムリンクに割り込んできた声の主は、アンティリーズ曹長。大戦のときは常にジークの隣にいた男だ。彼は元傭兵であり、経験はジークを上回る。
「分かった。驚かせないように集落から離れた場所に停車し、最初は少人数で接触する」
その後、平和的な交渉によってこの集落の名前がコダ村であること判明、偵察隊は村長から紹介された森の中に存在する村に向かうこととなる。
用語まとめ
◯無限帝国
ラカタによって統治されていた、最初に銀河を支配した国家であり、各地の他種族を支配下においた。