The Gate Wars (旧:銀河共和国軍、彼の地にて斯く戦えり)   作:ウエストモール

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炎龍は次回出ます


オリキャラ
○クリスチアン大佐

銀英伝にいる同姓のキャラクターと同様に、ろくでなしだったりする


第4話 過去

 

「後片付けは完了です」

 

死体の後片付けを終えたリーパーはリサに報告する。それと同時に、ロックオンとアイアンも集合した。

 

「野郎共、これからジークの所に戻るよ」

 

「「「ラジャー!」」」

 

そして、スピーダーバイクの所に戻ろうとするが・・・・・

 

「?!・・・・全員伏せろ!」

 

何かに気付いたのか、リサは分隊の全員に伏せるように命令し、全員が即座に伏せた。同時に彼女は後ろを向き、掌を開いた右手をまっすぐ突き出した。

 

次の瞬間、風を切るような音とともに飛来した高速回転する斧槍が彼女の右手の前で静止する。

 

「何だこの斧は?!俺のハンドアックスよりもデカイじゃないか!」

 

アイアンは言う。

 

「これだけ大きな斧を投擲するくらいだ、こいつの持ち主はアイアン以上の大男の可能性が」

 

ロックオンは冷静に分析した。

 

「いや、持ち主はあんた達が思っているような奴じゃないみたいだね」

 

3人のクローンはリサの目線の先を見る。そこには、黒い服装に身を包んだ黒髪の少女がおり、その白い肌は美白と言えるようなもの。そして、その華奢な身体からは重いハルバードを持っている姿を想像することはできない。

 

「いきなり斧を投げるなんて、穏やかじゃないねぇ。いったい、お嬢さんは何者なんだい?」

 

「わたしはロゥリィ・マーキュリー、暗黒の神エムロイの使徒」

 

エムロイ、それは初めて聞く言葉だった。

 

「エムロイだか何だか知らないが、何故俺達に近付いた?」

 

リーパーは目の前の神官を名乗る少女、ロゥリィ・マーキュリーに問う。

 

「お礼を申し上げるためよぉ。わたしの代わりに盗賊に手を下して、彼らの魂を主神に捧げてくださったのですから」

 

斧を投げつけてきた上、「神」だとか「魂を捧げる」だとか言っている少女に対するガンマ分隊の面々の評価は、「危なそうな奴」で統一されていた。

 

「それじゃあ、斧を投げつけてきたのは何故なんだい?場合によっては、いきなり敵対するなんてこともありえるからねぇ」

 

今度は、リサが問う。

 

「あなた達に興味が沸いたからよぉ。試すために投げつけてみたけど、対応できたから合格よぉ」

 

「一体、何の合格だい?」

 

「私があなた達に付いていくに値するかどうかよぉ。もしも不合格なら、あなた達の魂を貰うところだったけど」

 

「そうかい。まぁ、あたし達に付いてくるのなら勝手にしな。別に、拒みなんかしないよ」

 

リサの発言に、リーパー達はヘルメットの下で驚愕の表情を浮かべる。少女とはいえ、相手はあの重そうな斧槍を持てる程の怪力であり、場合によってはこちらの命を狙ってくる可能性もあったため、警戒するのは当然だ。

 

「姉御、いいのか?彼女は危険だ」

 

少女に分からないよう、リーパーは異世界の言語ではなく銀河ベーシック標準語でリサに言う。

 

「スリルがあった方がいいでしょ?それに、あたし達は今まで多くの危険をくぐり抜けてきたし、このくらいじゃビビってられないよ」

 

「ラ・・・・ラジャー」

 

このような出来事で少し遅れることになったが、ガンマ分隊はようやく出発することができた。

 

 

 コダ村の避難民を乗せている大量の馬車と、先頭を進む第3偵察隊のスピーダー3台は荒野を進む。彼らは、行く当てのない逃避行を続けていた。

 

「大尉、前方より何かが接近しています」

 

軽装甲ランドスピーダーの銃座についている重装トルーパーのルイス軍曹が報告する。

 

「分かった、総員警戒せよ」

 

スピーダーは停止し、命令を聞いた兵士達はDC-15AブラスターライフルやDC-15Sブラスターカービンを準備。ジークは携帯式の望遠装置を覗いた。

 

やがて、接近している何かの姿が望遠装置に映る。それは、2台のスピーダーバイクであった。

 

「あれは・・・軍のスピーダーバイク!それもガンマ分隊だ!総員、警戒を解除」

 

そして、ガンマ分隊のBARCスピーダーがジーク達第3偵察隊の目前で停止する。ジークはランドスピーダーを降り、ガンマ分隊を出迎える。

 

 

 

「フェレルさん、1つ質問いいですか?」

 

「別に構わないよ」

 

「膝の上に座っている少女は誰ですか?まさか、どこかの村から拉致・・・?」

 

リサはスピーダーのサイドカーに座っているが、その膝の上に黒い服を着た少女が座っていた。

 

「何言ってんだい、ジェダイの素質が無い人間を拉致なんてしないよ。そもそも、彼女が勝手に着いてきただけさ。ロゥリィ、彼に自己紹介しな」

 

ロゥリィと呼ばれた少女は、リサの膝から降りると、ジークに自己紹介する。

 

「私はロゥリィ・マーキュリー。暗黒の神エムロイの使徒よぉ」

 

「俺はジークフリート・ヴァイス、この部隊の隊長だ」

 

ロゥリィは、ジークを品定めするかのようにじっくりと観察した後、突然人差し指を彼の頬に当てて言う。

 

「ふーん、あまり強そうに見えないけどぉ、あなたからは戦いと血の臭いを強く感じるわ。あなた、戦場で相当な数の敵を殺して破壊したようねぇ」

 

その発言に対し、ジークは沈黙する。

 

「・・・・・・」

 

その様子を見たロゥリィは、そのまま立ち去っていった。

 

戦いと血の臭いか・・・・・

 

やはり、簡単に洗い流せるものではないのだな・・・・・

 

やがて、ジークがスピーダーに戻ると、馬車の列は再び逃避行を始めた。

 

 

 あれは、俺が新兵として志願兵部隊に配属された頃の話だ。その時、俺が配属された大隊は、独立星系連合側についた民兵を鎮圧するため、とある惑星に投入されていた。

 

 野生動物の気配のない荒野に掘られている2つの塹壕。1つは民兵の塹壕、もう片方は共和国軍志願兵部隊の塹壕だ。共和国軍の塹壕には、白い装甲服やヘルメットを土で汚し、ゴーグルやマスクを装着した志願兵達が互いの肩がぶつかりそうな程に横隊で並び、命令が下されるまで待機する。

 

「志願兵の諸君!私は指揮官のクリスチアン大佐だ。今対峙している相手は、あの分離主義の屑どもになびいた連中であり、テロリストと呼んでもよいだろう。そして、テロリストに容赦する必要はない!」

 

 クリスチアン大佐は、共和国軍内において過激派の急先鋒に位置する軍人であり、ジュディシアルフォース時代には収監されている犯罪者に対して過剰な暴力を振るったことで問題になったらしい。そして、共和国軍に入ってからは、分離主義者に対して強硬な姿勢をとっている。

 

「偵察によれば、敵の武装はブラスターライフルぐらいらしい。我々は、AT-TE部隊を全面に押し出して矛と盾とし、総崩れになった塹壕に歩兵部隊が突入して殲滅。その勢いのまま、その後方にある惑星シールドの発生装置を破壊する」

 

やがて、後方から貨物用のガンシップが到着し、AT-TEが塹壕の目の前に下ろされた。

 

「あぁ、もう1つ言っておくが、ガンシップやボマーによる支援は期待するな。全て別の戦線に持っていかれている」

 

その時は来た。

 

「突撃せよ!」

 

 大佐の声と共にAT-TE部隊が地面をしっかりと踏みしめながら前進し、塹壕から飛び出した志願兵達はその後ろを進む。

 

 AT-TEは民兵のブラスターを装甲で弾きながらマス=ドライバー砲の砲撃を撃ち込んでいき、塹壕からは煙が上がった。

 

大佐を含め、誰もが簡単に敵の塹壕を制圧できると信じていた。しかし、敵には思わぬ伏兵があったのだ。

 

「我が大隊は圧倒的ではないか・・・なっ!?」

 

クリスチアン大佐は笑みを浮かべたが、すぐに驚きの表情に変わる。何故なら、彼が眺めていた先のAT-TEが突然の爆発で吹き飛んだからだ。

 

「おい!何が起こった!」

 

大佐は近くの士官を捕まえて怒鳴る。

 

「てっ、敵の砲撃です!」

 

この時AT-TEを襲った攻撃は、連合から提供されたJ-1プロトン砲によるものであり、民兵によって隠されていたために共和国軍はその存在に気づいていなかった。そして、驚いている間にAT-TE部隊は壊滅してしまう。

 

「大佐、歩兵部隊を急ぎ退却させましょう」

 

「ダメだ!敵に背を向けるのは共和国に対する裏切りに等しい、そのまま行かせろ!」

 

クリスチアン大佐は筋金入りの愛国者であった。それも、過激派と言えるレベルでだ。

 

「しっ、しかし・・・・・」

 

「ほぅ、君は売国奴なのかね?」

 

そんなことは上官に言われてしまっては士官も黙るしかない。そして、そのまま前進するように命令が下された。こうして、無防備な状態の俺達は砲撃やブラスターの雨の中を掻い潜って進むことになる。

 

 

 

 

 

それは地獄だった。

 

 プロトン砲弾が着弾し、共に訓練に励んだ仲間達が吹き飛ばされて体をバラバラにされる。この攻撃で即死した者はまだ幸運な方だ、なぜなら、死ねなかった者は死ぬよりも辛い苦痛を味わいながら、じわじわと死んでいくのだから。

 

 右隣にいた奴が、ヘルメットごと額をブラスターで撃ち抜かれ、冗談を言い合って盛り上がっていた兵卒が首を撃たれて死ぬ。

 

 そんな中、なぜか俺には全く攻撃が当たらない。まるで、俺に対する攻撃を味方が引き受けてくれたかのように。そのまま、俺は敵の塹壕までたどり着き、銃剣を先端に取り付けたDC-15を槍のように持って飛び込んだ。

 

 飛び込んだ俺は、目の前にいた民兵の首を刺突。首から銃剣を引き抜いて横向きの斬激に繋げ、右から迫っていた民兵の喉笛を掻き切る。2人分の血が噴水のように吹き出し、その場は血の海になった。

 

 その後も、俺は暴れた。DC-17で民兵を射殺し、その死体を盾にしてブラスターを防ぎ、サーマル・デトネーターで一網打尽にし、後ろにいた民兵をDC-15のストックで殴り倒す。倒れた所で頭を撃ち抜いて確実に殺す。

 

 最終的に、俺が孤軍奮闘している間に生き残っていた味方も塹壕に突入し、塹壕を占拠した上で惑星シールドの発生装置も破壊。多大な犠牲を払いながらも勝利した。

 

しかし、問題はこの後だ。

 

 俺達は死体の後片付けに追われることになったのだが、とある死体のポケットに家族写真が入っているのを見つけ、その死体を確認してみると、それは俺が最初に殺した奴であることに気付く。

 

 俺はすでに両親、すなわち家族を失っている。しかし、俺はこの戦場で誰かの家族を奪ってしまった。家族を失った自分の手で誰かが家族を失ったという事実は、俺の心に大きな傷を残すことになったのだ。

 

 この戦いで俺は勲章を貰ったが、そんなものは慰めにもならない。暫くの間、俺は兵士として戦えなくなった。

 

 今でこそ普通に軍人として戦えているが、もしもあの時に今の上官であるヴィアーズ大佐やメイディン将軍に出会わなければ、今のように異世界の地を踏むこともなかっただろう。

 

 余談ではあるが、クリスチアン大佐は部隊の再編成の際に降格され、どこかの戦場でその命を散らしたらしい。

 




今回のメインは主人公の過去でした

次回こそは炎龍出します
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