The Gate Wars (旧:銀河共和国軍、彼の地にて斯く戦えり)   作:ウエストモール

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新年明けましておめでとうございます


ようやく、炎龍戦です


第5話 炎龍を倒せ

 

「なあ、サトー。この逃避行はいつまで続くんだろうな?」

 

ジークは、運転席のサトーに話しかける。

 

「このスピードだと、もうちょっと長くかかるかもしれないですね」

 

「そうだな・・・」

 

 そう言いながら、ジークは空を見上げる。そこには、ジリジリとこちらを照りつける大きな太陽があった。

 

「タトゥイーン並みに暑いな・・・・ん?」

 

 呟いたその時、彼は太陽の中に小さな黒い影があることに気付く。そして、その影は大きくなっていった。

 

「小型飛行クリーチャーだ!」

 

 それは、異世界の国家が保有している航空戦力、翼竜の野生種だ。翼竜はこちらに向かってくるが、それは突然大きな口に飲み込まれた。

 

「何だと?」

 

 そして、翼竜を食した存在は咆哮する。赤い鱗で体を包み、巨大な翼を持っているそいつは、以前エルフの村を焼き払った炎龍であった。

 

「炎龍だ!戦闘用意!」

 

 ジークは咄嗟に命令を下す。そして、各々がブラスターを構えると、5台のスピーダーは炎龍の方へと向かった。

 

 

 炎龍に対して、避難民達は無力だ。炎龍はその脚で、その長い尾で馬車を破壊し、大きな翼の風圧で吹き飛ばす。逃げ遅れた者は馬車ごと潰され、運良く馬車から脱出できた者も、多くはそのまま丸飲みにされるか、火炎放射でこんがりと焼かれてステーキと化している。

 

 やがて、生き残りの人間の中でも動きの鈍い中年の農夫に狙いを定め、襲いかかろうとする。しかし、突然青い光の弾が炎龍に殺到し、炎龍は弾が飛んできた方向に注意を向けた。そこにいたのは高速で走る鉄の箱であり、それに乗っている人間達が青い光の弾を撃っていた。

 

「隊長!ブラスター砲が全然効いてませんよ!」

 

 重装トルーパーのルイス軍曹は、装甲ランドスピーダーに搭載しているZ-6回転式ブラスター砲を炎龍へと放つが、炎龍の鱗に弾かれて火花を散らす程度だ。ブラスター砲でこれなのだから、ブラスターライフルが効くはずがない。

 

「構わず撃て!奴の気を引ければいい!」

 

 効果が無いことは百も承知、動きの遅い避難民から炎龍を引き離すことが目的なのだから。やがて、完全に炎龍はこちらへと狙いを定め、火炎を口内に集束させていく。

 

「火炎が来る!シールドを!」

 

 各ランドスピーダーにはドーム状のシールドを張るシールド発生装置を乗せており、シールド同士を合わせて大きなドームを形成する。すかさず、ガンマ分隊の乗るスピーダーバイクもその中に待避した。

 

 すぐに火炎が放射されるが、シールドを張っている第3偵察隊は火炎の中を素通りする。そして、黒煙の中から偵察隊は無傷な姿を現した。

 

 火炎放射には耐えた。だが、シールドはエネルギーがいつか尽きてしまう。加えて、決定的なダメージを与えられていないし、炎龍にロケットランチャーを撃ち込む隙を作ることも出来ていない。大きく怯ませることができれば良いのだが・・・・

 

「ono! yuniryu!! ono!」

 

 ジークが思慮しているところに突然割り込んできた高い声。後ろに振り返ると、寝ていたはずのエルフとかいう種族の金髪少女が一糸纏わぬ姿で立っており、自らの碧眼を指差しながら何度も「ono!」と発音していた。

 

 “ono”

 

たしか、現地の言葉で・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・目だ!

 

「総員、奴の目を撃て!」

 

 ブラスターの集中砲火が炎龍の目の辺りに浴びせられ、炎龍は大きく怯んで動きが止まった。すかさず、ジークは命令する。

 

「動きが止まったぞ!ルイス!ロケットランチャーだ!」

 

「ラジャー!」

 

 先ほどまでブラスター砲を撃っていたルイスは、RPS-6ロケット・ランチャーを取り出して構える。そして、炎龍へと指向した。

 

ヤロウオブクラッシャー!(野郎ぶっ殺してやる!)

 

 ルイスは叫ぶと、ランチャーの引き金を引く。しかし、彼の乗るランドスピーダーがたまたま岩の上を通過してしまい、少し揺れる。そのせいで、発射されたロケット弾は炎龍に当たらないコースを突き進んでいってしまった。

 

「まずい!外れるぞ!」

 

隊員の誰かが叫ぶ。

 

「あたしに任せな!」

 

 しかし、ここでジェダイのリサが動く。右の掌をロケット弾に向けると、フォースの技であるテレキネシスを行使。ロケット弾の軌道を炎龍に当たるように戻した。そして、ロケット弾は炎龍の胸部へと一直線に吸い込まれていき、そのまま直撃して爆発する。爆音の直後、空気を震わせたのは悲鳴と思わしき炎龍の咆哮。それは、炎龍の断末魔となった。

 

「命中したぞ!」

 

 やがて黒煙が晴れてきて、炎龍の姿があらわになった。その姿は変わり果てており、胸部には大きな穴が穿たれ、頭部は脱落しそうになっている。

 

「目標の死亡を確認!」

 

「やりましたねキャプテン!」

 

「そうだな、サトー。だが・・・」

 

 ジークとサトーは周りを見渡す。辺りに転がっているのは、黒焦げであったり、壊れた馬車の板材に体を貫かれている遺体。そして、酷い場合には手足しか残されていない遺体も存在していた。もちろん、偵察隊の奮戦によって生存者もそれなりにいるが、あまりにも犠牲が多すぎたのだ。

 

「総員、これより救護活動に当たる。また、アルヌス基地には応援を要請する」

 

 

 炎龍が討伐された。その噂はコダ村の避難民達によって広められ、ついにはアルヌス偵察の任務に就いていた皇女、ピニャやその護衛の騎士達の耳に入っていた。

 

「騎士ノーマ、どう思われますか?」

 

 宮廷にて侍従武官の地位である女性準騎士、ハミルトンはとあることについて、先輩であるノーマに意見を求める。それは、今滞在している酒場の中で流れている、炎龍が討伐されたという噂についてだ。

 

 ふと、ノーマは話が盛り上がっている席の方へと視線をやる。そこでは、コダ村の避難民だという女給が、目撃したという炎龍の討伐について客達に話しており、その対価にチップを受け取っていた。

 

「にわかには信じがたいが、ここに来るまでにも多くの避難民が言っているのだから、嘘だとは思えない。まあ、もしかすると大型な亜龍や飛龍を見間違えたのかもしれないな」

 

 その時、先ほどの女給が酒の入った瓶をピニャ達騎士団のテーブルに置いて言う。

 

「いや、あれは間違いなく炎龍だったね」

 

「あの、もしよかったら話を聞かせてもらえませんか?お金も払いますんで」

 

 そう言うと、ハミルトンは銅貨を3枚取り出し、女給の手に乗せた。

 

「ありがとう、若い騎士さん」

 

 そして、女給は礼を言うと炎龍とそれを討伐したという白い兵士の話を始めた。

 

 

 

 炎龍が現れて村人達を次々と殺していったそのとき、私達には絶望しかなかった。

 

「ところが、そこに白い兵士達が駆けつけてきたのさ」

 

 白い兵士達は浮遊する馬車みたいな乗り物で、炎龍の周囲を風の如く走り回りながら、手にした魔法の杖で攻撃を加えて炎龍の注意を引いてくれた。

 

「そのおかげで、私達は逃げることができた」

 

 彼らの魔法はあまり効果はなかったけれど、彼らは攻撃を続けた。やがて、炎龍は火炎を彼らに浴びせかける。彼らに避ける素振りはなかったから、思わず目をふさいだ。

 

「けど、彼らは魔法の障壁みたいなのを張って火炎の中を素通りしたのさ」

 

 そして、弱点だと思ったのか白い兵士達は炎龍の目を狙って攻撃を始めて、炎龍の動きを一時的に止めた。

 

「そこで、彼らの頭目が何かを叫ぶと、ついにアレが出たんだ」

 

「アレって何ですか?」

 

「デカイ魔法の杖さ。私達は勝手に鉄の逸物と呼んでいて、呪文も聞いたよ。たしか、ヤロ・オブ・クラッシャとか言ってた。そして、炎龍の胸に大きな穴を穿ったのさ」

 

「炎龍を倒した武器か、興味深いな」

 

 これまでの話を聞いていたピニャは、小声で呟くと目の前にある骨付き肉にかじりついた。

 

 

 避難民達の集団は、大きく3つに別れた。1つ目は先ほどの女給のように働きながら再び戻る時を待つ者、2つ目は親類縁者のところへ身を寄せる者、3つ目は炎龍によって家族を喪った孤児や怪我をした老人といった身寄りの無い者達であった。

 

 ジークは、3つ目の人々を保護することをアルヌスの本部に提案し、それを了承した本部からは回収のガンシップ部隊が飛んできた。また、ガンマ分隊が連れてきた神官や、偵察隊が保護したエルフ、コダ村のカトー老師と弟子のレレイもアルヌスへ同行することとなった。

 

「凄いぞレレイ!わしらは鉄の箱で空を飛んでおるぞ!もう思い残すことはない!」

 

 レレイとその師匠であるカトー老師はリパブリックガンシップの一機に乗っていたのだが、カトー老師は横の出入口から転落しそうになるレベルで興奮していた。

 

「師匠、あまりはしゃぎすぎると地面に落ちる。それに、白い兵士達も困ってる」

 

 回りを見ると、ヘルメットの前面にT字の黒い模様?が入った兵士達が困惑していた。

 

「すまんなレレイ。興奮しすぎてしもうた」

 

 カトーがようやく落ち着いたのを確認したクローンパイロットはガンシップの高度を上げはじめ、乗っていたクローントルーパーは両側の扉を閉じた。そして、ガンシップはアルヌスへと向かうのであった。

 

 

 

 

 

アルヌス基地 メイディン将軍の執務室

 

「偵察任務ご苦労だったな、ヴァイス大尉」

 

将軍に対してジークは敬礼で返す。

 

「しかし、難民とはいえ現地人の保護を提案してくるとは驚きだったよ。本来なら現地の民間人を招き入れるのはもう少し先の予定だったからな」

 

と、将軍の隣にいたヴィアーズ大佐が言う。

 

「すいません大佐、孤児達を見捨てられなかったもので」

 

 俺は家族をすでに失っている。だからこそ、同じ境遇の者を見捨てるわけにはいかなかった。

 

「こちらから本国に指示を仰いだところ、すぐさま許可を出してくれたくらいだ。だから、問題は無い」

 

大佐はそう言うと、俺の右肩を軽く叩いた。

 

「大尉、まだ佐官以上の人間しか知らない話なのだが、共和国は保護した人々を共和国市民として登録することを画策している」

 

「市民として登録ですか・・・しかし、何故?」

 

「合法的にアルヌス周辺を勢力下に置くためらしい。そのためには、避難民達の集落を周辺に作る必要があるがな。そこで、彼らを保護してきた第3偵察隊には避難民の支援任務についてもらう」

 

「書類や物資、人員の申請はすでに私が済ませた。君たちの武器庫の前に集結させてあるから、すぐに始めてくれ」

 

「ありがとうございます大佐。将軍、大佐、これより任務に取り掛かります」

 

そして、俺は執務室から退室した。

 

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