物語とかで、よくある話。
魔女から貰った【惚れ薬】。
飲めばもう、我慢なんか出来やしない。
いつもは言えない、ホントのキモチ。






※ニンテンドー発のSRPG【ファイアーエムブレム 封印の剣】の登場キャラクター
【ロイ】と【リリーナ】のカップリング二次創作小説です。

≪設定≫
・原作【ファイアーエムブレム封印の剣】本編中

※注意
・原作ネタバレ注意!
・多少の解釈違いがあるかもしれません

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【FE封印の剣】秘めた想いに、効く薬【ロイ×リリーナSS】

「――――――わたしからは、こんなところかのう。」

今は【エトルリア軍】と称する、リキア諸侯同盟とエトルリア王国の連合軍。

その一軍の拠点から、しわがれ声がひっそりと怪しく聞こえてくる。

 

【山の隠者】ニイメ。

戦乱の中で連合軍と出会い、自らの研究、興味の為に同行している年老いた女性の闇魔道士。

その経験豊富な知恵を借りんと、ロイは彼女の元へやって来ていた。

「貴重なご意見、ありがとうございます。参考にさせていただきます。」

ニイメから助言をもらったロイは、すぐさま持ってきた帳面や地図に書き込む。

進軍もいよいよ敵の本丸であるベルンへと向かう為か、彼の筆にも力が入る。

そんな彼の姿を見て、ニイメは笑みを浮かべる。

「ふぇっふぇっふぇっ…真面目じゃのう、お前さんは。」

「そうですか?」

「これだけ男女が入れ乱れている環境に身を置いた若い男が、色恋沙汰に現を抜かすこともなく地に足をつけて…まぁ随分と立派なもんだ。」

そう言われたロイは、益々真剣な表情になり、

「…これからベルンの本陣に向かう大事な時ですからね。そんな事を考えている暇は…。」

…と彼が言うと、何かを察したのか、ニイメはにやりと不敵な笑みを浮かべ、

「おや…?ということは、誰か気になる娘でもいるのかい?」

…と、聞いた。

「それは…。」

彼が言いかけたところで、また別の人物が訪れ、遮られた。

「失礼します。ニイメさん、そろそろお食事の時間ですよ。」

リリーナが、そう彼女に告げる。

「おや、もうそんな時間かい。」

「リリーナ、わざわざありがとう。」

「あら、ロイもいたのね。ニイメさんと作戦会議?」

「うん。次はいよいよベルンだ。一筋縄ではいかないだろうし、色んな方の知恵をお借りしたいと思ってね。」

「ふふっ。ロイは真面目ね。」

「それ、さっき、ニイメさんにも言われたよ…。」

二人が談笑している側で、ニイメも椅子から立ち上がり食事へ向かおうとする。

 

――――――その時。

ニイメは、足がもつれ態勢を崩した。

「おっとっと…?」

「!ニイメさん!」

それにいち早く気づいたロイは、素早く彼女の背後に回り込む。

膝をつき、後方へと倒れ掛かる彼女をしっかりと受け止めた。

「大丈夫ですか?」

「すまないねぇ。寄る年波には勝てんもんだ。」

二人とも怪我はなかったが、その衝撃で周囲の机や椅子が揺れたようだ。

「ロイ!上…!」

「え…?」

 

バシャッ――――――

 

瓶に入っていた生温い液体がこぼれ、ロイはそれを頭から被ってしまった。

「ロイ、大丈夫!?」

リリーナが、彼に駆け寄った。

「うん、だいじょ…!!?」

彼は言いかけて、止めた。

「…?どうかした?顔も真っ赤だけど?」

リリーナが、ロイの顔を覗き込むと、彼は慌てふためいたように立ち上がって、

「だ、だだ、大丈夫!!それじゃ僕は先にいくね!!」

…と、そのまま部屋から出ていってしまった。

突然の彼の行動に、リリーナは首を傾げる。

「…ロイ、どうしちゃったのかしら?私も行きますね。ニイメさんも気を付けて向かってください。」

そう言うと、リリーナも部屋を出た。

(ふむ…彼は一体どうしたんだろうねぇ…。この瓶の薬だったようだが…。)

部屋に一人残されたニイメは、ロイが被った薬の空き瓶を手に取った。

(これは…!)

そして事実を知り、彼女はただ仰天した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――――――というわけだ。この険しい山岳地帯は、特にベルン王国きっての竜騎士隊の精鋭が集まってくるはずだ。囲まれないように、部隊を二分して迎撃したいところだね。」

広げた地図を見ながら、ロイが軍議を先導する。

「これに加えて、今までの戦闘でも対峙してきた【戦闘竜】を、今まで以上に投入してくる予想だ。」

「ふむ…多数の【竜】が行く手を阻む、となると…これまでと手強さは段違いでしょうね。」

「あいつら、硬くて武器攻撃じゃなかなか倒せねぇからな…。大将、勝算は?」

仲間たちの質問にも、彼は堂々と答える。

「それについては、【竜】の事を研究しているニイメさんからも意見をもらっています。彼らは確かに生半可な武器での攻撃は、簡単に跳ね返してしまうほどの強靭な身体や外皮を持っているけれど、魔道での攻撃は武器に比べると効果的なようです。」

「魔道なら、私たちの出番ね。」

解説を聞き、自身が役に立てると思ったリリーナは、意気揚々と彼に言う。

しかし、

「そ、そうだね…。」

ロイは、そんなリリーナを見るや否や、また顔を紅潮させ、たどたどしく返事をしてしまった。

リリーナがまたしても首を傾げながら不思議そうに見つめる中、彼はなんとか普段通りを装い、

「…というわけなので、戦闘竜との対峙の際は魔道士主体の攻撃で戦おう。とはいえ、それでも相手は【竜】だ。かけられる状況なら人数をかけてもいいし、すでに手に入れている【神将器】を使っても構わない。ここが正念場だ、みんながんばろう!」

…と、軍議を締めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―――――ロイ、待って!」

軍議の後、リリーナが彼を呼び止めた。

ロイはその呼び声にビクッと、いつも以上に過敏に反応してしまう。

「り、リリーナ、どうかしたの?」

「どうかしたの、じゃないわ。それは私が聞きたいの。ロイ、大丈夫?具合悪い?」

リリーナは、ロイの顔をまじまじと見ながら問いかける。

あまりにじっと見られるせいもあるだろうが、ロイの顔はまた紅潮した。

先ほどの軍議よりも随分と近い距離で彼女と接するせいか、心拍数も体温もどんどん上がっていく。

「だ、大丈夫…!何ともないよ!」

そう言いつつも、動揺を隠しきれない彼の表情。

幼い頃から彼の事をよく知るリリーナには、お見通しだ。

「嘘ばっかり!ニイメさんを庇ってから、様子がずっとおかしいわよ?」

「そ、そんなことないよ。身体は元気だし、何も変わりないよ?軍議だって、ちゃんと進められていたでしょ?」

「そうだけど…。」

心配そうな瞳で見つめるリリーナを見て、ロイはまた感情が動く。

 

ロイにとって彼女は、物心ついた頃からの知り合いで、なんでも話し合える仲だ。

でも、日頃話すときは、今のように、ドキドキしてしまったり、顔が赤くなるほどに体温が上がったり、心配そうな顔をされても胸が締めつけられたりしない。

(…なんでだろう。いつもはリリーナと話していても、こんな事にならないのに…!)

自分でもわからない感情の動きに、戸惑うロイ。

(…ダメだ。自分が抑えられなくなる…!でも、リリーナに迷惑をかけるわけには…!)

なんとか心の中で自分に言い聞かせ、己を律する。

しかし、それも表情や身体に現れる。

「…ロイ?どうしたの怖い表情して…?汗もすごいわ。」

リリーナは更に顔を近づけ、彼を心配そうに見つめる。

持っていたハンカチで、汗をそっと拭う。

その行為は、今の彼にとって戦闘竜に対しての魔道攻撃よりも効果的な一撃。

ロイは、益々たじろいでしまい、思考がおぼつかなくなる。

「り、リリーナ!本当に大丈夫だから!!」

「で、でも…!」

(うぅ…まずい!これ以上は…!)

ロイがそう思った、その時だった。

 

「ロイ様。」

彼を呼ぶ声がする。

「エルフィン!今、行く!ごめん、リリーナ、行ってくる!」

「あ、ロイ!待って!」

彼女の声も届かず、彼は急ぎ足でその場を去った。

「…ロイ、本当にどうしちゃったんだろう…?」

心配する彼女の瞳は、どこか悲しげで、

「…私の事、嫌いになっちゃったのかな…。」

…と、寂しそうにぽつりと呟いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その日の仕事を一通り終えたロイは、自身の休息地点へと戻っていく。

その足取りは重く、とぼとぼと歩いていた。

(今日は、なんだか疲れたな……それに…。)

ふと、立ち止まって空を見上げた。

(リリーナにも、申し訳ないことをしたな…。)

そう思った瞬間に、また鼓動が高鳴る。

(…まただ。なんだろう…今日は本当におかしい。リリーナを見たり、リリーナのことを想うと、感情の制御ができなくなりそうで…。)

自身の胸に手を当てる。

鼓動が収まる気配がしない。

(ダメだ…。まずいな…こんな時にリリーナに会ってしまったら…。)

そう考えていたりすると、出会ってしまうのが運命の悪戯。

向かい側からリリーナがやって来て、バッタリ鉢合わせてしまった。

「「あ。」 」

二人の声が、揃う。

「ロイ、お疲れさま。今、終わったの?」

リリーナは、至って普段どおりだ。

当然、普通に声をかける。

「う、うん、そうだよ。ありがとう。」

ロイは、次第に抑えられなくなる自分を何とか律しながら、リリーナに返事をする。

すると、リリーナから更に声をかけられた。

「ロイ…。私、あなたに何か嫌なことしちゃった?」

「え…?なんで?」

「だって、今日のロイ…私以外には普通なのに、私には何か変なんだもの。嫌われるような事、しちゃったのかな、って…。」

 

今にも泣き出しそうな彼女の表情を見てしまえば、もう彼は自分自身を止める術はなかった。

「――――――!!」

その華奢な身体を、強く抱き締める。

もう少し力を入れてしまえば、壊れてしまうのではないか。

それぐらい、力一杯に抱き締める。

「ろ、ロイ!!?どうしたの!?」

急な出来事に、リリーナはもちろん動揺が隠せない。

しかし、何が起きているのか一番わかっていないのは、ロイ自身だ。

(僕は…なんで今、リリーナを抱き締めてしまったんだろう…!感情や行動が、自分で抑えられなくなっている…!)

混乱したまま、それでも尚、彼女を抱き締め続ける。

「ごめん、リリーナ…。我慢できなくなって…。」

ロイがボソリと、彼女の耳元で呟いた。

「我慢…?どういうこと…?」

その一言を聞いても、全く事情が飲み込めない。

 

我慢していた?

何を?

私の事?

ロイ自身の気持ち?

リリーナも、その一言のせいでますます混乱する。

すると、ロイがこんな言葉を口にした。

「…僕だって、けっこう力ついたでしょ…?」

「え…?力…?」

リリーナは、キョトンとして間の抜けた返事をしてしまった。

「うん。ゴンザレスやガレット…それにオスティアの重騎士のみんなほどの筋力じゃないけれど…でも僕だって、それなりにちゃんと鍛えてるんだよ。」

抱き締める力が、少し増す。

ギュッと締められた身体は、少し痛む。

でも、不思議と嫌じゃないと思う彼女は、クスリと笑った。

「ロイ、もしかして――――――

 

 

 

焼きもち妬いてるの?」

 

そう聞かれた彼は、顔をまた真っ赤にさせながら、コクリと頷いた。

「リリーナが最近、そういう人達と仲がいいみたいだから…ちょっとだけ…悔しかった…。」

「そんなこと我慢してたの?もう、ロイったら。」

少し、馬鹿にしたかのようにクスクスと笑う。

すると彼は、ちょっとムッとして言う。

「だって、僕はずっとリリーナの側にいたのに。それはこれからも一緒なのに…!それに…。」

「それに…?」

聞き返すリリーナに対し、恥ずかしそうにしたロイは、

「…なんでもない。」

…と、誤魔化した。

「もう、そこまで言ってなんでもない、って。なんだか、昔の小さい頃のロイみたいよ?」

クスリと笑いながらそう言うリリーナだったが、彼女もまた、彼を抱き締め返した。

 

 

 

 

 

「大丈夫。ロイの努力、知ってるよ。私、いつも見てるから。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「こんにちは、ニイメさん。借りてた本、返しに来ました!」

翌日、リリーナはニイメの元へとやって来た。

魔道の修行の為、研究資料を色々借りていたようだ。

「おや、リリーナかい。わざわざすまないね。」

「いえ、大変参考になりました。ありがとうございます。それでは、失礼しますね。」

「あぁ、ちょいと待ちな。」

リリーナは部屋を後にしようとしたが、ニイメが呼び止める。

「どうされました?」

「昨日、彼は…ロイは大丈夫だったかね?何か変わりなかったかね?」

「ロイですか…?何か、というと…?」

リリーナが聞き返すと、ニイメは昨日ロイが被ってしまった薬の入っていた瓶を手に取った。

「それは、昨日の…?」

「こいつは自白剤の類の薬でな。これを飲んだ者は、自分の中に秘めた物を暴露してしまう代物なんじゃ。」

「自白剤…?」

「まぁ、こいつは失敗作で、最初に見た人物に対しての感情が素直になるぐらいだし、所謂【惚れ薬】みたいなもんじゃな。それに、彼も飲んだわけじゃなく被った程度だからのう。多少は自制もできたんじゃないか、と思うんじゃが…。」

「最初に見た人物に対しての、感情が素直に…。」

リリーナは、ニイメの話を聞いて、黙り込んでしまった。

(それで顔を赤くしたり、目を反らしたり、焼きもち妬いたり…。)

「おや、どうした?大丈夫かい…?」

そして――――――

 

 

 

 

 

 

(もう…ロイの馬鹿…!!)

昨日の彼のように、顔を真っ赤に染めた。


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