才覚溢れる凡夫   作:神無明夜

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秋の日の脚は早そうで微妙にゆっくり

〜神山高校屋上〜

 

少し錆び付いたドアを押し開け外に出る。

10月も後半に差し掛かった今日この頃、日の脚が早くなってきたとは言え時刻は午後4時前、太陽もだいぶん傾いてはいるが夕焼けにはまだ早そうだ。

 

『アニメとか漫画で放課後の屋上って大抵夕焼けだけどそんなに遅くまで残ってることって部活してないとまぁないよな』

 

なんて考えながら入口の横に腰かけて読書を始める。ここ最近は新撰組に関する歴史物ばかり読んでいるが某アニメや某漫画の登場人物と名前が混じって仕方ない、面白いから全巻持ってるし映画も行ったんだけどさ。

 

そういえば暁山はどこで俺の名前を知ったんだ?

数少ない友人としては司か類、もしくは類の友達で1年の草薙さん、司の友達(信者?)の冬弥位のものだ。

司や類が暁山と知り合いだという話は聞いたことがないが……まぁ自分の交友関係を逐一報告し合うほどの関係という訳でもないし、

「え、お前あいつとも友達だったの?」なんてことは司に関してはよくある事だ。

類は……よくわからんな、今にして思えばなんで俺は類に気に入られたんだろうか?考えれば考えるほどわからんことが多いな。悪いやつじゃない、というかめっちゃ良い奴だしどっちでもいいけどな。

草薙さんと冬弥もよくわからん、学年が違うから会う機会も少ないしなんなら類か司がいないと音楽の話しかしないからそれ以外のことはよく知らん。

 

 

 

「んー、わからん」

 

「何が分からないの〜?」

 

 

1人なのをいいことに呟いた言葉に横から返事が聞こえてきた。

 

 

「……いつから居た」

 

「えっと、2分くらい前かな?」

 

 

と言われたので腕時計を確認すると時刻は4時5分と6分の間くらいだった、そこまで時間は経っていなかったようだ。

 

 

「声掛けてくれても良かったんだぞ?」

 

「なんか集中してるみたいだったし、邪魔しちゃ悪いって思ったんだけど、いきなり喋りだしたから声掛けちゃった」

 

「ちょっと考え事をしててな。暁山はどこで俺の名前を知ったのか考えていたんだ」

 

「あ〜なるほど、名前自体はだいぶ前から知ってたんだよ?先輩2年の中じゃ有名人だしね」

 

なんと、それは初耳だ。360度どこから見ても凡人な自分が噂されることなんかあるのか?

 

「ちなみにどう有名なんだ?」

 

「『変人男子三大巨頭(へんじんだんしさんだいきょとう)』ですかね〜。まぁ、ボクが本格的に知ったのは司先輩に動画見せてもらった時かな?

あと、『暁山』じゃなくて『瑞希』って呼んで、そっちの方がカワイイし」

 

「『変人男子三大巨頭』……もしかしなくても残りの2人は司と類か?」

 

「そうそう、前に校庭で何かを爆発させてたことあったでしょ?その時たまたま補講受けてたんだけど、先生が『あぁ、またアイツらか……』って溜息付きながら注意しに行ったんだよね、それで帰ってきてから話聞いたら『2年にヤバい男子が3人いてな、そいつらにはいつも振り回されっぱなしだ』って言ってたよ」

 

 

『爆発』

と聞いて思い出すのは類が悪そうな高笑いをあげながら走り去って行ったあの悲しき事件のことだろうか?あの時は司が人ばし……ゲフンゲフン、身を呈して俺と類を逃がしてくれたという感極まるエピソードがあるのだが。今は置いておこう

 

 

「むぅ、しかし納得できないな。司や類は兎も角として俺はあいつらほど奇天烈な行動はとってはないぞ?なんなら先生方とは同学年の生徒よりも良好な関係を築けていると自負している」

 

「それはそれで悲しいけどね、ん〜でも確かに、話してみると先輩ってそこまで変人って訳でもないね。多分奇天烈な人達と一緒にいるからそう見えるんじゃない?」

 

 

それはありそうだ、だが今更そんな噂の一つや二つ流れたところで関係をどうこうしようとは思わん。なんならその噂にすら気づいてなかったわけだしな。

 

 

「って、ボクはこんな話がしたいんじゃないよ!今日は先輩に聞きたいことがあるんだよ」

 

「そう言えば用事があるって言ってたな、すっかり忘れていた」

 

 

思ったより会話が弾んで当初の目的を忘れていた。

と言っても呼び出されて話しずらい内容と言われると……あれか?

 

 

「先輩、『Soma』って知ってるよね?」

 

 

口元を小さく歪ませながら疑問と言うよりかは確認するように聞いてきた

 

 

「……正直いつかバレるとは思ってはいたがまさか初対面の1年にバレるとは思っていなかった。」

 

「ありゃ?随分あっさり認めちゃうんだね?」

 

「正直覚悟はしてたしな、司とか類辺りにはいつバレてもおかしくない…というか類は案外もう気づいてたりするかもしれんが。ともかく言いふらしたりするようなやつじゃなかったらバレていっかなって思ってた 」

 

「まぁ、ボクも初めは司先輩が見せてくれた動画に先輩の声が入っててそれを聞いた友達?が「この人『Soma』?」って言い出してさ。それでよくよく聞いてみたら確かに似てるって言うか生配信の時と声がまんま同じだったからほぼ100%かな?って思ってたんだ」

 

 

なるほど、というか友達凄いな。そんなびっくり人間なら是非一度会ってみたいものだ。

『というか生配信見てくれたのか、ご視聴ありがとうございます。』と心でお礼を言っておく

 

 

「それで?」

 

「ん?」

 

「いや「ん?」じゃなくて、俺が『Soma』だったとしたら瑞希はどうするんだ?」

 

「別にどうもしないよ?ただ個人的に気になってたからさ。

あ、あとは確認の意味もあったかな?」

 

「確認?そりゃまたなんで?」

 

「ん〜、秘密かな。大丈夫、言いふらしたりはしないからさ!そこは安心してよ」

 

「……まぁならいいが。ところで瑞希、俺だけ答えるというのもなんだか釈然としないからこちらからもひとつ質問させてくれ」

 

 

正直ずーーーーーーっと気になってた。なんなら朝の時点で思ってたけどそれこそ人前では言い難いことだったから言わなかった。

 

 

「いいよーなんでも聞いて聞いて」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

()()()()()()()()()()()()()()

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

話はだいぶ変わるが精神科医の母曰く、「徐々に慣れてくれる人は沢山いる、けど初めから理解してくれている人はほとんど居ないからね」

 

なんだそうだ、せっかく波長が合いそうな後輩ができたんだ、理解するならとことん理解したい。

 

 

「……へぇ、先輩はそういうこと言わないって思ってたけど。どうやら気のせいだったみたいだね」

 

 

『空気が死ぬ』というのはこういうのを指すのだろう。さっきまでの笑みは何処へやら、ピクリとも表情を動かさず淡々とそれでいて憤る様に告げてくる。

 

 

「そうか、それはすまんな。だが理由を言ってくれなきゃ解るもんも解らん」

 

「ボクがカワイイものが好きなのはわかるでしょ?それが答えだよ。カワイイのが好きだからカワイイ格好をしてるの」

 

 

瑞希の目を見る。母から教わったなんちゃってメンタルチェック曰く『目は口が言わぬ物を言う』らしいので目を見れば大まかな心理はわかるらしい。かくいう俺も小学生くらいの頃に母から教えて貰ってから面白半分で色々頑張って読み取ろうとしてたら高校にはいる頃には大まかにだが読み取れるようになっていた。母様万歳

 

瑞希に不安や恐怖は無い。それどころか失望と自信に満ち溢れていた。

 

 

「不安や恐怖はない……失望は俺に対するものか、自信は自分の考え方か?」

 

「っ!へぇ、そんな特技もあるんだね。やっぱり先輩も『変人男子三大巨頭』だよ」

 

「失敬な、まぁそれは置いておくとしてだ。そういった方面での不安やその格好による人間関係の悩みは……あるに決まってるよなぁ、そこまで敏感に反応するってことは。あ、だから不登校なのか?まぁ仕方ないとは言いきれんが理解がない人間が多いっていうのも事実だし……」

 

「ちょ、ちょっと待って!なんでいきなりカウンセリング始まってるの?というか人の感情勝手に読まないんで欲しいんだけど」

 

「いや、わけアリなんだろうなとは思っていたが全く話してくれなさそうだしこっちからストレートにぶっ込んだ方が色々話してくれるかなと思ってな、案外吐き出してみるとスッキリするもんだぞ?診た感じ本当に『やりたい事をやりたいようにやっている』みたいだからな、だから瑞希も自信に溢れてるんだろ?」

 

「なにそれ……もういいや、ピリピリしちゃったボクがバカみたいじゃんか。つまり先輩は理解しつつもあえて核心に爆弾投げ込んできたってことでしょ?」

 

「まぁそうなんだが、そう言われると我ながらかなり無遠慮だったな、素直にすまん許してくれ」

 

「あー、もういいって。ボクのことちゃんと解ってくれてるならそれでいいからさ」

 

「そうか、それは助かる。ついでに最後の小言だ、これは精神科医の息子としてお節介という形で言わせてもらうが……」

 

「なに?ボクはボクであることを辞める気は無いよ?」

 

「そんなことは言うわけないだろ、そうじゃなくて『何か言われないと理解できない人もいる』ってことを覚えて欲しい。人間は他人への関心が案外薄いんだ、心当たりあるだろ?」

 

「痛いほどあるよ、無関心で無遠慮な言葉ならよく聞いてきたからね。」

 

「まあ、司とか類の周りにいるヤツらはそういうの全く気にしないタイプだからな。瑞希からしたらああゆうタイプ付き合いやすいだろうし、それに友達ってお前の口から言えるやつもいるんだろ?なら大丈夫だとは思うが一応考え方のひとつとして覚えておいてくれ。誰しもが『言われなくても解る』ほど他人に興味を持ってる訳ではないってことな。」

 

「ほんと、カウンセリングの先生と話してるみたい。でも覚えとくよ、僕のこと心配して言ってくれてるんでしょ?」

 

「そらまぁな、会って数時間だが結構波長が合うタイプだと思ってるし。」

 

 

でもこの様子だとほんとに余計なお世話だったかもな、傷つきはするがちゃんと立ち直り方をわかってるみたいだし。ほんとに強い子だ。

 

 

「……やっぱり先輩って変人だね」

 

「もしかしなくてもバカにしてるか?」

 

「あはは!どうだろうね?じゃあ僕帰るから。バイバーイ

あ、そうだ。()()()よろしくね♪」

 

「?今夜もってどういうことだ?……ってもういないし」

 

 

静かになった屋上は肌寒く、少し寂しいようにも感じたがそんなことより、

 

 

「『男子変人三大巨頭』なんて呼ばれてたのか……」

 

 

司や類は兎も角、自身のことも指す不名誉な通り名に思った以上に心を傷つけられつつ、鞄を持って瑞希が開けっ放しで出ていったドアをくぐり、帰路に着いた。




変人ワンツーフィニッシュは男子変人三大巨頭に改名しました。変人ワンツーフィニッシュのファンの皆さん誠に申し訳ございません。

瑞希ってこんな感じ?というか司との繋がりって文化祭後からだよね?なんか時系列わからなすぎてすごい不安になるんだけど。

あと瑞希は『慣れ』て欲しいんじゃなくて『理解』して欲しいって言うのがネックかなと思ってマシュ。男の娘とはひと味違う。

因みにオリ主のお母様は名前のない精神科医です。私にそういう知識は一切ありません。
「いや、それはおかしい」と思っても「まぁ、頭悪いやつが書いてんだな」
程度に思っててください。



読んでくれてありがとうございます。
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