才覚溢れる凡夫   作:神無明夜

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お久しぶりです。
暑くなってきましたね。




昔は楽しかったけど今乗ると地獄を見ることもある

 

 

〜フェニックスワンダーランド〜

 

地上から約100メートルの上空から西の地平線に沈む太陽を眺める。空は赤らみ、眼下に広がる町はまるで燃えるように見える。それはまさしく幻想的で……成程、観覧車で告白するカップルの心情が今ようやっとわかったような気もする。

と言っても俺に関しては「これって左右に動いたら揺れるのかな?」「ちょ、瑞希やめなって!?」「………(景色に感動してる)」とムードの欠けらも無い騒がしい雰囲気で満たされている。ってかほんとに元気だなこの2人。

 

瑞希のせいで左右に動く観覧車の中から外を眺めていると携帯に着信が入る。

 

 

 

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TSUKASA:『今ショーの片付けも全て終わったんだがまだ園内にいるか?』

 

マヒロ:『今は地上800メートルくらいにいる』

 

TSUKASA:『……観覧車か?』

 

マヒロ:『正解』

 

TSUKASA:『回りくどい言い回しをするな!とりあえず観覧車のところで待っていてくれ』

 

マヒロ:『いいけど、忘れ物でもしてたか?』

 

TSUKASA:『いや、うちのメンバーのひとりが園内を紹介したいんだそうだ』

 

マヒロ:『結構色々乗ったけどまだまだ体力ありそうなのが2人ほどいるからこちらとしては助かるが…疲れてんじゃないのか?』

 

TSUKASA:『未来の大スターの体力を舐めるなよ?ふはははは!観覧車を降りたら近くのベンチで待っているが良い!!』

 

マヒロ:『おk、ありがとな』

 

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チャットアプリを閉じて外の景色を見たがもうほとんど遠くの景色は見えなくなってしまっていた。

多分今が4分の3程度の位置なのであとは降りていくだけだろう。

 

 

「はい、ちゅーもーく」

 

「なになに、いきなりどうしたの先輩?」

 

「今司から連絡があってな、メンバーの一人が園内を案内してくれるそうなんだ。どうせ夜までいる予定なんだし頼むことにした」

 

「司先輩もいる……ということですか?」

 

「いるぞ……ガッツポーズするのはいいけどあんまり揺らすなよ、ただでさえさっき瑞希が揺らしてたせいでちょっと気持ち悪くなってるんだから」

 

「真尋さんがずっと外見てた理由ってそれだったんですね」

 

 

うだうだ駄べりながらも3人からOKは貰えた。

話している間に観覧車は一番下まで到着したようで係の人が鍵と扉を開けてくれた……観覧車って乗る時と降りる時が1番勇気いる気がする。止まってないのに飛び乗ったり降りたりするの普通にちょっと怖い。

 

観覧車から降りて近くのベンチに向かうと既に司とピンクの髪の女の子が待っていた。てか早くね?ステージからここまでそれなりの距離があるから待つつもりでいたんだが……もしかして走ってきたのか?

 

 

「おーい、司。やけに早いな?」

 

「はぁ、はぁ……え、えむのやつがいきなり走り出したんでな。1人先に行かせる訳にも行かんので追ってきたんだ。」

 

 

成程、となると類と草薙(くさなぎ)さんは歩いてきてるんだろうな。類はともかくとして草薙さんは激しい運動苦手そうだし。

 

唯一の初対面であるピンクの髪の女の子は早速瑞希と杏の3人で話していたが俺の方に視線を向けるとパッと花が咲くような笑顔を向けてくれた、この子絶対いい子やん。

 

 

「ねぇねぇ!キミが司くんと類くんのお友達?あたし(おおとり)えむ!よろしくね!!」

 

「入相真尋だ、いつも司や類がお世話になってるな。友人として感謝するよ」

 

「おい、いつオレがえむの世話になったというのだ」

 

「えっへへ〜、それほどでも〜!」

 

「えむも照れるな!」

 

 

面白い子だな、多分年下だろうが……鳳か。

あー、なんか司が鳳財閥の娘さんがメンバーにいるとか言ってたような気がする。

でも会って見た感じ『お嬢様』って感じは全くないな、友達に一人いると元気になるタイプの子だな。

 

 

とりあえず全員自己紹介を終えたので類と草薙さんの到着を待つことにした……飲み物買ってこよ。

 

 

 

ちょっと高めの自販機で水を買って戻ってくると類と草薙さんの2人も既に待っていたが……みんな自由だな。冬弥は司の武勇伝を今日も聞いてるし、杏と草薙さんは鳳さんに学校での様子について色々聞かれているみたいだし、類は瑞希と何やら随分と親しげに話している。

 

傍から見てるのも楽しいがその気持ちを抑え小走りで集団の中に向かう。

一言謝ってから類と草薙さんに挨拶。

 

鳳さんの『レッツ、わんだほーい!!』の号令のを皮切りに園内の案内を初めて貰った。

 

 

──────

 

 

鳳さんの先導のもと、手始めに近くにあったお化け屋敷に入ってみたんだが……あれだな、1人めっちゃビビってる奴がいると逆に落ち着くってやつはホントだったんだな。杏のおかげで、というかビックリしても杏が先に悲鳴を上げてくれるから冷静になれた。

叫び続ける杏に何故か1番前を歩かせながら無事外に出る。

 

 

「はぁ……。そ、そこまで怖くはなかったね」

 

「そうだったのか?全力で走って逃げていたからてっきり怖いのかと思っていたが……」

 

「めちゃめちゃ面白かったね〜、特にコンニャクが杏のおでこにピタ……ってなった時が最高だったよ!」

 

 

傍から見てたら『何故コンニャク?』ってなったが見事に食らっていた杏は『ひあゃっ!?』と普段の言動からは感じられないなんとも可愛らしい女の子な悲鳴が漏れていた。…もちろん録音しておいた、後で彰人と謙さんに送ろ。

瑞希は大爆笑していたが冬弥は悲鳴の発生源が分からずそっちにビビってた。

 

俺としては何が起きてもずっと笑ってる鳳さんも怖さを紛らわしてくれる要因だったが杏には全く効果はなかったらしい。

 

 

 

足がすくんで動けない杏を引きずりながら次は空中ブランコへ。ジェットコースターのこともありかなりビビっていたがこちらはかなり優しめで全然楽しめた、風を切りながら回るのは爽快でとても気持ちよかったが終わった後、真っ直ぐ歩けなくなってしまっていた。ジェットコースターの時も思ったが俺は三半規管がかなり弱いみたいだ。

 

 

「大丈夫ですか先輩?」

 

「お、おぉ……冬弥か。気持ち悪くはないんだが単純に目が回ってな、冬弥こそ大丈夫なのか?」

 

「俺は風に靡く司先輩を見ていたらいつの間にか終わってました」

 

「そうかそうか、平常運転で安心だ」

 

 

司全肯定マシンと化してしまった冬弥はもう俺たちの理解が及ばない領域まで行ってしまったらしい、これにはさすがの瑞希も苦笑いを浮かべていた。

 

 

この後も色々と回るのかと思いきや類の提案で夜のパレードを最前列で見るために場所を確保しておくことになった。

時間も時間だしちょうどいいかもしれない、何より正直疲れた。

 

 

──────

 

 

鳳さんに『えむって呼んで!』と言われたのでえむと呼ぶことにしたり、瑞希が買ってきたポップコーンを類と冬弥と俺で半分くらい食べたり、司や類、えむのハチャメチャっぷりに対する愚痴を草薙さんから聞いたりしていたらあたりは真っ暗に、どうやら時間になったらしい。

 

奥の方から煌びやかな飾りを施された乗り物が軽快な音楽とともにゆったりと流れてくる、どう見てもペンギンのように見えるマスコットキャラクターのフェニーくんが色違いで多数風船を持ちながら歩いていたり、類が子供たちに歩きながらバルーンアートを披露したり……何やってんだアイツ。

止めに行った司も巻き込んでパレードの一部みたいになってしまった。あ、えむも走ってった。

ちらりと草薙さんを見るとため息を一つ着いたあとテクテクと3人の元に歩いていく。

 

成程、普段からこんな感じなんだろう。まぁ結果的に子供たちやその親御さん達からは大盛況のようだしいい……ことはないか、現に今警備員さんが走って行ったし。

 

あ、追いかけられながら全員こっち来た。

 

 

「じゃあね真尋くん、是非また僕たちのショーを見に来ておくれよ?フフフ、ではまた学校で会おう!」

 

「おー、気を付けて逃げろよー」

 

 

駆けていく類を追うように司、えむ、ロボットに乗った草薙さん、警備員さんの順で通り過ぎて行った。

え、そのロボットどっから出したの?てか操縦上手いな、あの人混みをうまく避けながら速度を維持しつつ逃げている……。

 

 

「しかしまぁ、まさしく嵐のようだな」

 

「ほんと、楽しそうだったね」

 

「なんだ瑞希、交ざりたいのか?」

 

「あはは、まっさかー……でも、ちょっと羨ましいかな」

 

 

なんか悩んでそうなのでじっと瑞希を観察する、『羨望』『安堵』『不安』……相変わらずヘラヘラしてるように見えて色々と抱え込んでるな。

 

 

「何がそんなに不安なのか知らんが悩み過ぎるなよ。ただでさえお前は取り繕って心配かけないようにしようとするタイプなんだからいつか爆発するぞ。」

 

「人の心読むのやめてもらっていいかな?……でも、うん、そうだね。悩み過ぎるのは確かにダメかも。よーし!ボクたちもパレードが終わったら帰る?」

 

 

どうやら()は大丈夫らしくパレードに集中していた杏と冬弥の方に行ってしまった。……偶に息抜きしてやらないとダメそうだな。

 

 

「あ、だったらお土産買って帰ろうよ!」

 

「お土産…小豆沢にか?」

 

「うん、あとお父さんに」

 

「ボクも友達の分買って帰ろーっと♪」

 

 

結局パレードを最後まで見ることはなく途中でお土産屋さんに移動、各々お土産を買ってフェニックスワンダーランドを後にした。

帰りは駅前までは一緒に歩いたがそこで解散となった。

 

 

 

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マヒロ:『みんな家にちゃんと帰れたか?』

 

AN:『帰れましたよ〜、って久々に孫が泊まりに来た後のおばあちゃんみたいなこと言うんですね』

 

mizuki☆:『何その例え(笑)』

 

マヒロ:『一応聞いただけ』

 

AN:『さっきお父さんにお土産渡したんですけど私の顔見ながら「今日は随分と可愛かったな」って言われたんですよね……なんか知りません?』

 

mizuki☆:『杏のこと大好きすぎるだけなんじゃない?』

 

マヒロ:『ソウニチガイナイナー』

 

AN:『……何送ったんですか?』

 

マヒロ:『ヒント、コンニャク』

 

AN:『月曜日が楽しみですね真尋さん♪』

 

mizuki☆:『ヒェ…コレガチ切れのやつだよ先輩』

 

マヒロ:『ありがとう瑞希、どうやら俺はここまでみたいだ』

 

toya:『すみません、お風呂入ってました』

 

mizuki☆:『流れぶっ壊れた(笑)』

 

マヒロ:『冬弥もお帰り、今日はありがとな』

 

toya:『こちらこそありがとうございました、本当に楽しかったです』

 

mizuki☆:『あ、ボクも誘ってくれてありがとう、すっごく楽しかったよ!』

 

マヒロ:『それは良かった、じゃあそろそろ落ちるわ。みんなも今日は疲れたろうから早く寝るんだぞ』

 

toya:『俺も今日はもう休みます、おやすみなさい』

 

mizuki☆:『ボクはもうちょっとしたら寝ようかな〜』

 

AN:『もうちょっと(3時間)』

 

mizuki☆:『さすがにそこまでは起きてないよ』

 

マヒロ:『早めに寝ろよー、じゃあおやすみ』

 

AN:『ほんとに覚えてろよ?……です』

 

mizuki☆:『爆笑』

 

 

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なんだか怖い文字が見えた気がするが見なかったことにして寝るとしよう。今日は本当に疲れた、だいたいジェットコースターのせいだけどな…

 

ベットに身を預けるとすぐさま眠気が襲ってきたのでそのまま抗わず眠りにつくのであった。

 

 





観覧車の思い出は本当に小さい頃のものなんですが確か止まらなかったはずなんですよ(曖昧)。

書いてて思ったんですがうちの冬弥くんギャグに全振りになってますね、司狂信者度が増してます。

お化け屋敷のコンニャクはレオニのストーリー参照です

続けれたら頑張ります

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