ガンダム・ビルドライジング   作:ガリアムス

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作者のガリアムスです。

今作の『ガンダム・ビルドライジング』は最近まで書いていた作品の再執筆となっております。

キャラクターの性格等に差異があるので、御注意ください。


※体格とケンさんのやり取り、慶の学生部分に修正を加えました


Ep,1 始まりの瞬間

皆さんは『GBN』と言う、今現在世界中が熱狂している、1つの遊戯(ゲーム)があるのを御存知だろうか?

 

えっ、知らない?

 

そうか━━━━━ならば教えよう。

 

GBN…正式名称を『ガンダムバトルネクサスオンライン』。電脳空間に出来たガンダム作品の仮想世界を舞台に、自分の分身となるアバターこと『ダイバー』となって、色々な事を楽しめる。

 

…難しそう?御安心を。

 

必要な物は『ガンプラ』と呼ばれるガンダム作品の模型と、自分の分身『ダイバー』のデータがインプットされた『ダイバーギア』…これだけだ。

 

GBNには無限の可能性がある。私はGBNを初めた事で、沢山のダイバー達と繋がり、かけがえのない仲間と出逢う事が出来た。

 

何より此の世界は『なりたい自分』になれる。

 

………始めてみたい、か。

 

私は其の言葉を待っていた。

 

自らの手を伸ばして、自分自身の可能性を掴み取り、なりたい自分を目指せ。

 

さぁ、行こう!!!

 

 

 

**********************

 

 

 

『まだ見ぬ君を見つけよう。GBN』

 

 

 

「━━━━━━━相変わらず、PRが凝ってるなぁ」

 

東京都内某所に在る某大学、其の屋上にあるベンチに座る青年は、スマフォの『GBN』公告を視聴し終え、思った事を口にする。

 

青年の名は『朱鳥(アスカ) (ケイ)』、某大学内の寮で生活する大学3年生。身長175cm、体重59kg。成績と身体能力こそ『並』だが、ガンダム作品の知識は『豊潤』。

 

特技は『手先が器用』な事。

 

そして━━━━━━━極一部の人間しか知らない、産まれ持った『異能』が1つ。其れ以外は何の変哲も無い、至って真面目な性格の、健全な日本男児である。

 

「俺にも出来るかな……GBN………」

 

自分の掌を五月晴れの空へと翳し、手を閉じる。

此の手で。自分の可能性を、未来を、掴み取れる世界。

 

やってみたい…自分が何処まで行けるのか。

確かめてみたい…自分の可能性の光の果てを。

 

「慶、空に手を翳じてどしだべさ?」

 

ベンチの後ろから声がして、青年は顔を上げる。其処には腕や胸の筋肉を魅せるような服装の、身長200cmは越えている日焼けした小麦肌の男子が居た。

 

「あ、カンタ。今ちょっと考え事してた」

 

彼は『上条(カミジョウ) 順太郎(ジュンタロウ)』━━━慶と同じ大学の3年生で別のクラスに在籍している、高身長と田舎訛りの言葉遣いが特徴的な男子。

 

慶にとって順太郎は、数少ない友人の1人であり。

同時に、自分の持つ異能の理解者でもある。

 

「ん?慶、其ればGBNの公告だべな?」

「うん。俺もGBN、やってみようかなって」

 

慶の観ていた映像に気付いた順太郎が問い掛け、青年はGBNを始めてみる旨を話した。すると順太郎の表情は、燦々と降り注ぐ太陽の輝きのように明るく、晴れ渡った物に変わる。

 

「おおおおお!遂に慶もGBNデビューだべか!だっだら話は早かと!おらの知り合いざ、ガンプラ作りが上手い人知ってるだよ!」

「ちょっちょっちょっ、近い近い!?分かったから!分かったから、取り敢えず落ち着いてくれ!?」

 

シイタケ眼でズイズイ迫り来る順太郎に、気圧され気味に顔を反らした慶。

 

「どにがぐ!今から一緒に行くべよ!善は急げだべ!!」

「え!?今から!?」

「今からっ!さぁ行くべさ!」

 

順太郎に腕を引っ張られながら、慶は階段を駆け降りて、大学の外に飛び出した。バスに乗り、電車に乗り、2人は都内でも有数のGBNの機材と、ガンプラの品揃えを誇る施設である『ガンダムベース東京』へと向かう━━━━━

 

 

**********************

 

 

午後2時………ガンダムベース東京内・会計スペース。

 

「ケンざん!ケンざん!来ただぁよ!」

「おぉ、順太郎君じゃないか!今日もGBN、プレイしに来たのかい?」

 

慶を若干引き摺り気味に連れつつ、順太郎がドタバタと店内に入るや、元気溢れる大声で誰かを呼んでいる。其の数十秒後、彼の声に反応して此方にやって来たのは、ガンダムベースのエプロンを着けた、少し恰幅の良い細目の男性だった。

 

「おや?其処には居るのは、順太郎君の知り合いかな?」

「んだ!おらの親友、朱鳥 慶っで言うんだよ!」

 

順太郎に背中を押され、慶は少し緊張しながらも、背筋を真っ直ぐ伸ばし、男性に挨拶を行った。

 

「は、初めまして!順太郎の親友の朱鳥 慶と申します!よろしくお願い致します!」

 

腰を90度まで曲げる直角の御辞儀、自身の存在をハッキリと述べる姿。此の一連の行動が、男性…『マツムラ・ケン』の印象を良いものとした。

 

「慶君だね。僕はマツムラ・ケン、此のガンダムベース東京の店長だ。よろしくね」

「はい!此方こそ、よろしくお願いします!」

 

ケンの差し出した右手を優しく掴み、握手を交わした慶。

 

「ケンざん。慶は今日から、GBNを始めるんだ。其れで慶のガンプラ作りのレクチャー、お願いじだいだよ」

「ほほぅ!つまり慶君はガンプラ製作とGBN、両方ともデビューする事になるんだね!よーし、僕もガンプラマイスターとして力を貸そう!」

 

ドン!と胸を叩き、ケンは自信満々に力強く言ったのだった。

 

 

**********************

 

 

「慶ばGBNデビューを、どんなガンプラにするんだか?」

 

ケンさんがガンプラ製作の為の道具を準備する間、順太郎は慶のガンプラ選びに協力していた。

 

「うーん…特に決めてないかな。取り敢えず、目に止まったガンプラにしようかな…って」

「いやいやいやいや!?そげじゃ、駄目だべ!GBNを、ガンプラ製作を始めるなら、まさに『コレだ!』っでヤツにしなくちゃアカンでべよ!!!」

「近い近い近い!?分かったから、ちゃんと選ぶから!?」

 

グイグイと迫る順太郎に、またしても押され気味になる慶。と、彼の耳に『声』が聞こえてきたのである。

 

 

 

━━━━私を見つけて

 

 

 

「順太郎、しー………」

「……!」

 

唇に指を起き、耳を澄ませる仕草。順太郎は知っている━━━此の仕草は、朱鳥 慶が自分が産まれ持った力…『人が創った物の声』を感じ取った時に、其の声を聞く為の行動。

 

無論、上条 順太郎には此の能力は無く、朱鳥 慶は其の異能故に孤独であった。対極の性格の2人が紆余曲折を経て友となり、今の関係に至ったのか。

 

其れはまた、別の機会に語ることとしよう。

 

 

閑話休題。

 

 

常人には聞こえない其の声に耳を傾けながら、慶の歩みは始まって。其の足は『機動戦士ガンダムAGE』の商品棚の前で止まり、彼は1つの箱に手を伸ばした。

 

「順太郎。俺、この子にする。この子と一緒に、GBNを始めるよ」

 

慶が手にしたのは『ガンダムAGE-1 ノーマル』。此のガンプラはGBN初心者ダイバーにオススメの『エールストライクガンダム』・『RX-78-2 ガンダム』・『ガンダムエクシア』と並ぶ『四大ガンプラ』の1つと知られ、取っ掛かりの無い『オールラウンダーな機体性能』と『組み立て易さ』が特徴となっている。

 

「AGE-1 ノーマル…うん!良いチョイスだ、慶!早速組むべ!」

 

ガンプラが入った箱をレジに持っていき、会計を済ませ終えた慶は、順太郎に連れられながら、ケンが確保・用意した作業スペースのテーブルと椅子に座る。

 

「慶君。ガンプラを製作する時には、説明書を良く読んで、パーツがごちゃごちゃにならないように、1つ1つ丁寧に組み立てる事が大事になる」

「はい。分かりました」

 

ガンプラマイスターの称号を持つケンから教わり、慶は人生で初めてのガンプラの製作を始めた。

 

「ニッパーは力を入れ過ぎない事と、ランナーからパーツを切る際は余裕を以て、二度切りする事が大事になる。パーツが白化してしまうと直すのに苦労するし、白以外の色付きの物、クリアパーツなら、尚更気を引き締めて行うと良いよ」

「成程………」

 

「シールを貼る時は、可能なら1回で済ませられるようにしよう。何回も張り直しをすると、粘着力が落ちたりシワが寄ったりして、見た目にも影響する」

「1度で…決める……」

 

「慶、其のパーツと此方のパーツは間違いやすいから、手の届く範囲で分けた方が良いべ」

「間違いやすいパーツもある…注意しないとか……」

 

ケンの指導、順太郎のアドバイスを貰いながら、青年は1つずつパーツを切り出し、鑢でランナー痕を平らに調え、説明書を何度も見返しながらパーツを組み立て、ピンセットでシールを慎重に貼り付ける。

 

組み立て開始から1時間30分…最後にパーツに細かなスミ入れを施し。

 

 

「………出来た!完成だ!」

 

 

100年に渡る長き戦いの始まり。アスノ家の歴史の原点を元に『フリット・アスノ』が作り上げた『ガンダムAGE-1 ノーマル』……其のガンプラが、慶の手により組み立てられ、命が吹き込まれた瞬間だった。

 

「出来たべな、慶!コレは正に、慶だけのガンプラだべよ!」

「順太郎君の言うとおり、此のガンプラは慶君だけのガンプラ。君の作り出した最初のガンプラになったんだ」

「俺だけの…ガンプラ…」

 

白い救世主を見つめ、自分の手に取る慶。小さなプラスチックの模型である其れは、手の上でズッシリと重くなったような気がした。

 

「さぁて!自分のガンプラが出来上がったら、次に必要なのはダイバーギアの登録だよ!」

 

ケンはウキウキとした様子で、ダイバーギアに必要な情報を記入する紙と筆記具を手渡してくる。青年は順太郎に教わりながら、必須項目に記入してケンさんに提出。

 

受け取った彼が、其のデータを元にGBNへの登録とダイバーギアへのインストールを行い、5分後には慶のダイバーギアが完成したのだ。

 

「これがダイバーギア…」

「GBNをプレイする時、ダイバーギアは絶対に必要になるから、忘れないようにする事。さぁ、いよいよだ!」

 

ケンさんに案内され、2人がやって来たのはGBNの機材が並ぶ一室。機器ごとに区切られた個室のような空間が合計で10あり、現在は3つが稼働しているようだ。

 

「VR型のゴーグルを掛けた後、ダイバーギアをセットして、自分のガンプラを置くんだ。そうすれば機械が自動的にスキャンを行って、GBNにログイン出来るよ。

 

2人とも楽しんできてね~!」

 

そう言い残し、ケンさんは自分の仕事に戻っていった。

慶と順太郎は小さく頷いて、ゴーグルが視界を覆うように掛け、ダイバーギアと自分のガンプラをセットする。

 

すると機械が稼働し、緑の光が自分のガンプラを、上下から二重スキャンを行った次の瞬間、2人の耳に響く音声と共に、意識がデータとして吸い込まれる感覚を味わう事となった。

 

 

『Welcome to GBN!!』

 

 

此れは後に、GBNに新しい風を巻き起こす事となるフォースを作り上げる、1人のダイバーの物語。

 

ダイバーネーム『ケイ』の始まりの物語である。

 

 

 




此処から始まる、彼の物語



人物紹介

朱鳥(アスカ) (ケイ)(CV:鈴村健一):本作の主人公で、年齢は21歳。東京都内某所に在る大学に通う3年生の青年。普段は1人で居るか、順太郎に連れられて一緒に出歩いている様子が見られている。

ガンダム作品は一通り観ており、其れなりの知識はあるものの、オタクの知識量には敵わない。ガンプラ製作は初めてだったが、持ち前の手先の器用さと真面目な性格で、教えられた事を吸収していく。

GBNへの参加は公告の視聴による興味と、親友の順太郎による後押しが切欠。

また、物心付いた頃から『人が創った物の声を聞ける』特殊な感覚を有しているが、其れを知るのは順太郎を含め、指で数えられる程度しかいない。



上条(カミジョウ) 順太郎(ジュンタロウ)(CV:中井和哉):慶と同じ大学に通う、程好い筋肉が付いた高身長の男児。年齢は22歳で、親しい人との会話では田舎訛りの言葉遣いをするのが特徴。

物静かな慶とは対照的に、押せ押せイケイケの元気っ子。ダイバー歴は1年。GBNを始める事にした慶を、先輩ダイバーとしてサポートしていく。
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