フォース戦の第13話
『なん、だと…!?』
『えっ、え、マジ?!』
『ウッソだろおい!?』
『あの大和撫子が、MS斬りの悪魔のダイバー!?』
アズキの駆る愛機、そしてGBNに名を轟かせる『MS斬りの悪魔』こと『ガンダムバルバトス・
「いやぁ、まさかビルドライジング側にMS斬りの悪魔が居るたぁなぁ~。こりゃとんでもない展開になるぞ~♪」
其の様子を横目に、フランシスはアイテムボックスからLLサイズのジュースカップを取り出し、ガブガブと飲み始め、ものの数秒で飲み干してしまった。
「あらあら、フランシスちゃん。自分のフォースの応援はしないの?」
「そうだよー。フランシスさん、ブローセントに対して淡白過ぎてつまんない!」
フランシスの物言いに、マギーとフォルテが各々反応して言葉を放つ。すると、『『
「こんな事を言ってはいますが、姐さんは仲間や戦友を大事にしています!何も知らない人が、姐さんを愚弄しないで!」
「己に厳しく!他者に優しく!弱きを守り!悪意は砕く!其れが私達、フォース・ジェントルズの指針!姐さんのモットー!」
『『『私達は姐さんと共にッ!!』』』
ザッ!と右手を拳と変え、心臓に添えるジェントルズのフォースメンバー達。まるで統一された軍の師団であるかのような、阿吽の呼吸を以て繰り出された其れに、フランシスは言った。
「アンタ等、アタシは堅苦しいのはしなくて良いって、言ったハズなんだがなぁ……。どーしてこーなったんだ……ったく」
愚痴を溢すも、其の表情は何処か誇らし気にも見える。そして観客席のダイバー、ライブ中継を見守る者、そしてディメンションに集い、戦う者達の耳に、開幕を告げるアナウンスが響き渡る。
『Battle Start!』
********************
フォース・ブローセント陣営………
『各機目標地点到着後、状況を報告せよ』
相対するフォースに名だたる強者が居ることが判明しても尚、リーダーのモリアは冷静さを失うことなく、ディメンションの水上を駆けながら、メンバーに通信を送って接敵に備えていた。
『ドレイク。アメイジングズゴック、共に異常無し!』
『ペルティエとウロッゾ、此方も大丈夫です』
『モラルタ、愛機のドーシートⅢ、何時でも行ける』
『此方タスマリン、EZ-SRマキシマ。クローラルのフォックスハウンドと共に索敵継続中』
『各機の状況確認完了、モリアとアトラスガンダム、各部異常無し。クローラル、何か分かったか?』
GBNやGPDよりも以前、ガンプラバトル時代において『戦場の支配者』と呼ばれたチームが作り上げた3機のガンプラの機能を、1つに纏めた機体。そして其の機体を、ある伝説のファイターが更なるブランシュアップを施した機体のレプリカ。
其れをグレー塗装に変更した、ブローセントの左目を担うたるタリスマンの『EZ-SRマキシマ』と、右目たるクローラルの『EZ-SRフォックスハウンド』は、バックパックのレドームパーツで拡張された索敵システムを用い、此方に近付いてくる機影を捕捉した。
『モリア、奴さんが来た。しかも此の反応……予測した中でも『一番最悪』なパターンで来たみたい』
『敵はエイハブウェーブ1つに、大きいのと小さいの、そして普通の奴。……感じからするにMS斬りの悪魔、SDガンダムに支援メカ、そしてハイモック。……ヤバいね、モリア』
イベントバトル前にブローセントが手に入れた情報では、ハイモックが敵陣唯一のオールレンジ持ちである事と、最近フォースリーダーがダイバーランクDになった事。そして新しくビルドライジングに加わったミシェルが、GBNにおいて最強を争う程の超々長距離狙撃を得意としている事のみ。
其処に追い打ちを掛ける、MS斬りの悪魔の参戦。普通ならば動揺の1つや2つ起きても、何等おかしくは無い。しかし、フォースを統べる者としての絶対の責任が、モリアの心を強く持たせた。
『ドレイク、ペルティエ、モラルタは水中へ潜航し、此方に向かう敵の背後を取れ。タリスマン、クローラルはミサイルで牽制しつつ、中空でジャミングチャフを展開。
MS斬りの悪魔及びパーフェクトジオングベースの機体を最終撃破目標とし、残りを先に叩く!』
冷静沈着な判断で優先順位を付け、ブローセント陣営は行動を開始した。
水中戦を可能とする3機が濁った河中に潜航しつつ、マキシマとフォックスハウンドは、アトラスガンダムに有線通信用ワイヤーを繋いだ後、ホバー移動をしながら、情報遮断子機を発射・展開し、中空で留めながらチャフをバラ蒔く。
さらに装備するミサイルランチャーを、阿吽の呼吸で時間差発射を行いつつ、各々180mmキャノンで鉄鋼弾を曲射砲撃を敢行。そしてモリアのアトラスガンダムは、水中潜航する3機の狙いが敵に悟られぬように、囮の役目を担って移動する。
其の時━━━━━━━
『斬ッッ!!!』
凛と鈴音が木霊し、同時にレーダーに表示されたミサイルと鉄鋼弾、そしてあろうことか情報遮断子機が全て撃墜され、目の前の木々を無数の閃光で切り開き、赤黒に汚れた悪魔がガンメタル塗装のバインダーを足場に
其の悪魔に追随する形で計16基のバインダーと、水上をバシャンバシャンとロデオのように暴れ荒らしながら、ダイドラゴンに騎乗するリューナイトが現れた。
『アズキざん!バインダー暴れでるげんど、本当に大丈夫だが!?』
『問題ない、此のまま続けてくれ』
『わわわ!?あば、暴れないで、ダイドラゴン!』
チャフの妨害が無くなった事で、スピーカーに聴こえてきたのは、ギャオオオオオオオオ!!!!と雄叫び、水上を幾度も叩いては、火炎弾を放つダイドラゴンの特殊な形状の尾が、大きく水面を薙いで波立たせた時、一瞬だが河中の中に茶緑色の『何か』が見えた。
『!!アキト君ナイズだ!水中に何がいるべ!』
『は、はい!ボクがそっちを押さえます!』
偶然なのか運が悪かったのか、ブローセントのよって、水中を潜航していた3人の機体がハイモックを駆るダイバーに見付かり、彼の発言で狙いが水疱と帰す。
『モリア、ゴメン!見付かった!』
『くそ、あのデカいドラゴンめ!』
『やられた…!』
ドレイクとペルシア、モラルタの駆る機体の進行方向にダイドラゴンとリューナイトが躍り出て、其の行く先を塞ぎに掛かる。
(足止めはオラたづで頑張るだ…、だから『作戦』遂行ば頼んだだよ……ミシェルざん!ラルクさん!ケイ!)
FDCバインダーを操りながら、マキシマとフォックスハウンドを牽制するように、ハイモック・ガンオージャのバインダーガンを撃ちまくるカンタ。
其の脳裏を過るのは、戦闘開始直前の出来事である………
********************
数分前、ビルドライジング陣営……
『皆、話がある』
機体を顕現させ、戦いの始まりを待つ中でケイは、参加メンバー達にこう告げた。
『何だべ話っで』とカンタが問い、彼は言う。
『見ての通り、此のディメンションは水と森林で出来た場所。其れにラルクさんの情報だと、水辺は彼方の得意とする戦闘領域。まともに戦ったら経験を積んでる皆ならともかく、俺は勝てる気が全く無い。
だから、数日前に建てた『あの作戦』を直ぐに行って、ブローセントの面々を無理矢理、此方の土俵に引きずり込む。戦う場所が地上なら、俺達にも少なからず部がある筈だ』
あの作戦という単語と、開幕電撃速攻戦を執り行う旨を伝えたケイ。其れに対する皆の反応は━━━━━
『お、やるべな!』
『きましたわね……』
『アレか…よし、やろう』
『分かりました!やりましょう!』
『敵の誘導は任せる!』
全員満場一致の承認。そして言うが早いか、ビルドライジングのメンバーは戦闘開始と同時に、作戦通り行動を開始する。
其の作戦とは、先ずバルバトス・武とハイモック、リューナイトとダイドラゴンが敵陣に突貫し、敵の注意とヘイトを惹き付け、ミシェルは瀑布目掛けて狙撃を行い、其の水量やパワーをラルクが割り出す。
そしてジオンガーZの絶対零度冷凍光線なる、大火力の凍撃を行って瀑布を氷結させ、最後にケイが供給を絶った際に、ディメンション内に出来る淀みに向けて、デュアルドッズキャノンを最大出力で攻撃を行い、仕上げを完遂する━━━━と言った具合だ。
『ケイ、アキト達が敵の目を惹いている今がチャンスだ。言っとくが……一番最後を決めるのは、一番危険を伴う事でもある』
『最後の要を担う以上、ケイ様には相応の責任と覚悟が乗し掛かる事になりますわ。其れでも、やりきる意志は在りまして?』
モニターに映るケイに、ミシェルは問う。
役割の全うする事は、言うは易く行うは難い。
だが、ミシェルは其の質問が愚問だったと悟る。
『大丈夫、やれます』
ケイの強く、真っ直ぐな瞳は、己に課された使命を全うする者としての覚悟を秘めて、此の場所に立っている。其れを見た彼女はフッ…と微笑み、其れ以上は何も言わずに集中した。
そして現在へと時は進む━━━━
*********************
森林内から瀑布をロングレンジライフルのスコープで見据えるミシェルは、心を凪いだ水面のように集中し、呼吸を止める。
(ノブレス・オブリージュ……私はミシェル。千里の狙撃手………果たすべき事を、果たす!)
『撃ちます━━━!』
其の一言と共に、ミシェルのアルケインが握るロングレンジライフルが唸りを上げて、戦場を駆ける流星と成り。其の一撃が轟音轟く瀑布を貫いた。
『毎秒落水量およそ1100……瀑布を凍結に必要な絶対零度冷凍光線照射時間、最大出力で約30秒……いける!』
狙撃の状況を見たラルクは、此処まで溜めに溜め続けたアキトニウム全てを解放。覚醒した脳内コンピューターとシミュレーションをフルスロットルで稼働し、数式を暗算で割り出しながら、レバー操作で『絶対零度冷凍光線』のスロットを選択。
ジオンガーZのモノアイが強く輝き、頭部にある角型のアンテナが蒼白く染まり、其処から冷気を纏ったスパークが迸る。
『絶対零度冷凍光線ッッッッッ!!!』
周辺の空気が白亜に染まり、氷結の稲妻が空気を凍てつかせ、瀑布に直撃。バキバキバキバキィ!!!と其の勢いはとてつもなく、落ちる水という水の全てを凍らせ、水源へと続く川すらも、其の動きを止めてしまった。
『いっけぇぇぇぇぇぇ!ケイぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!』
『いきまぁぁぁぁぁぁぁぁぁす!!!』
ラルクの声と共に、ケイとフルリビルドは空へと駆け上がった。高く、ひたすら高く飛翔し、淀みが見える位置まで飛んで。其の手に握るデュアルドッズキャノンを合体し、淀んだ水面に狙いを定める。手持ち武装のリミッターを解除し、ライフルのエネルギー全てを此の一射に込めた。
『あの上昇、まさか…!タリスマン、クローラル!AGE-1を狙え!奴等、とんでもない事をやるつもりだ!』
モリアが狙いに気付き、タリスマンとクローラルに指示を飛ばす。
『分かってるけど…!』
『悪魔が…しつこ過ぎて……!』
『やらせんよ、彼の邪魔は!』
何とかしてフルリビルドを狙い撃ちたいところだが、アズキとバルバトス・武の猛功を前に、2人は回避行動で精一杯。
『いくだよ、ケイ!』
『ケイ、やれぇー!』
『ケイさーん!』
『ケイ様……!』
戦場に立つ仲間達の声が彼の耳に届く。時に声援は、戦う者達に勇気を、力をくれる事がある。
「ケイー!!!頑張れー!」
「やっちゃえー!ケイさんー!」
観客席からヒノワとフォルテの声が、ほぼ同時に響いた瞬間。ケイは引き絞ったトリガーを押し込みつつ、叫んだ。
『ぶちぬけぇええええええええええええ!!!!』
其れは劇場版ウイングガンダムゼロが、大破に等しい状態でありながら、己の代名詞とも呼べるツインバスターライフルで、対核シェルターを貫いたように。
ドッズ系列の螺旋回転と、二重に重なった一撃が淀みの一点に降り注ぎ、大爆発が発生。
其の数瞬の後、溜まった水に回転を与える事で素早く抜ける特性と同じく、ディメンション全域の水が物凄い勢いで穿たれた穴へと吸い込まれ、軈てフィールドから水が消え失せたのだった。
『さぁ…!速攻で終わらせよう、皆!!』
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水源地たる瀑布を凍結し、川が淀み溜まりとなった部分に風穴を穿ち、ディメンション内部の水を全て抜く━━━━。
ビルドライジングの行った、此の馬鹿げた作戦によって、水に溢れたバトルフィールドは一転、水没していた木々と川底が露出する地の世界へと変わった。
『何て奴等だ……!』
事の端末を見たブローセントのリーダー、モリアは内心で舌打ちをしながら、思うままの言葉を溢す。ディメンションに風穴を穿つ火力に加え、おそらくぶっつけ本番でありながら、其れをやり遂げたアドリブ力の高さ。そして其の危険な役割を、自ら行う選択が出来る気概の強さ。
個性的で我の強い塊のフォースを、あの青年がどうしてリーダーを務めているのか………其れがモリアには分かったような気がした。
『フッ……!良いな、こうでなくちゃ…!そうだろうケイッッ!!』
アトラスガンダムのツインアイが見上げる先、エネルギーを使い果たしたデュアルドッズキャノンを投げ棄て、腕部複合兵装ヨルムンガルドの銃口を構えながら、此方に突撃するフルリビルドの姿が映る。
『勝負です!モリアさん!』
エクセントブースターが唸りを上げて、森林に隠れたアトラスを炙り出すように、木々を凪ぎ払う。
『其処ッ!』
『やぁあ!』
木が吹き飛ばされた隙間を縫いながら、ブレードシールドからメデューサの矢で攻撃を掛けるモリア。其れを見たケイは、脚部にあるトリモチミサイルを発射。
ミサイルの直撃箇所から膨張するも、瞬間接着剤によって阻まれ、其のまま地面に落下する。
『メデューサの矢……当たるわけにはいかないから!』
『カーフミサイルの中に瞬間接着剤入りプラ棒を仕込むなんて、何つう狂気の沙汰……!』
火花を散らし、2機は森林へとほぼ横ばいで同時に駆け出した━━━━
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そして同じ頃━━━━━カンタとアズキは、タリスマンとクローラルのコンビを相手取り、戦局を押し進めていた。
『おりゃああああ!』
ガンオージャのFDCバインダーが縦横無尽に飛び交いながら、森林を幾度も切り裂き、地面に風穴を空けながら暴れ狂い。其処にアズキのバルバトス・武が神速の踏み込みで攻めを仕掛け、タリスマンとクローラルは精神的に追い詰められていく。
『流石に不味いね……!』
『あぁ、でも簡単にはやられない…!』
残された武器で何とか一矢報いようと、タリスマンとクローラルは奮戦。しかしそんな2人の機体、マキシマとフォックスハウンドのバックパックを一閃の煌めきが貫き、爆発。体勢が大きくぐらついてしまう。
『な…!?』
『一体何処から━━━━』
『フフフ━━━━私も居ること……御忘れでして?』
数百㎞先、森林の中からロングレンジライフルの銃口が見えた。此方が見せた一縷の隙を突いて、千里の狙撃手が寸分狂わぬ狙撃で、此方の機動力を奪ったのである。
『アズキざん!頼んだだ!』
『任された』
そして此処までどうにか逃げ切れていた2機にとって、バックパックを失った事実は大きく。まるで死神のようにMS斬りの悪魔が、其の手に唯一握る
『う、うおおおおおお!』
『わああああああああ!』
絶対強者が纏う覇気が、彼等彼女等の恐怖心を掻き立て。必死の抵抗とばかりにサブマシンガンを撃ち放つも、其れ等が届くことは無く。
『斬━━━━━!』
吹き抜ける風のように2機の間を凪いだ悪魔が、刀を鞘に納めた瞬間、2機の身体は細切れと化して爆発四散の結末を辿ったのであった。
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『やるぞ、アキト!』
『はい、兄さん!』
アキトの掛け声と共に、リューナイトが、ダイドラゴンが。天へと高く昇り、其の身を変形させていく。
ダイドラゴンの胸部が開き、前足が降り畳まれて強靭な両足へと変わり。尻尾は割れて手腕と転じ、後ろ足は両肩を守る装甲に。開かれた尾元は、SDガンダムが余裕で収まる空間が生まれる。頭部は首元が折れて背中に付き、胴体は180度回転。巨大な砲筒が左肩に、六角形のバックパックが右肩に収まった。
剣を盾に納め、リューナイトは盾を背中に合体し、腕と足をくっ付け、ダイドラゴンの開かれた空間へと吸い込まれてドッキング。頭部の甲冑が前に出て、口元をマスクが覆い、其処から白い蒸気を吐き出した巨大なる機神は、ブローセントの3人の前に躍り出た。
アキトは高らかに、其の名を叫ぶ。其れこそが、リューナイトとダイドラゴンの真なる姿、そして自分のガンプラなのだと宣言する為なのだから。
『かっけえええええええええ!』
『うおおおおおおおおおおお!』
『しゅごいのおおおおおおお!?』
リューナイトとダイガンダムの合体シークエンスは好評らしく、観客席や視聴者達の感極まる声がディメンションに響く。
『流石アキトだ。なら俺も負けてられないぜ………』
深呼吸一度、ラルクもアキトに続かんとして、大声で叫ぶ。
彼の掛け声をトリガーに、ジオンガーZが其の巨体を分離・変形させていく。脚武は中央から縦長に開いて広い土台と成り、腰部と胴体が分かれて腰部が後方へ移動し、胴体が中央で各々ドッキング。
腕部を前に突き出し、キョンシーのようにしつつも、指先は真っ直ぐに構えるや、肩部に砲撃のトリガーらしきものが出て、頭部は腰部の上へと着く。
此れがジオンガーZの持つ形態の1つ━━敵や味方を其の巨体に載せ、別の場所に運送や運搬したり、狭い地形や悪路を越えるための形態、フォートレスモードへとなった。
其の上に先程、変形・合体を終えたダイガンダムが搭乗する。
『な、何……あれ……』
『が、合体ロボット……』
『デカ過ぎるんだけど……!?』
3人が身の危険を感じ取る中、ダイガンダムは腕部から突き出たトリガーに両手を添えて、己が必殺技たる一撃ドラゴンランチャーの砲撃シークエンスへ移行する。
砲身達にエネルギーが集束されていく中、アキトのコックピット内に在るスコープ機能が、アメイジングズゴックとウロッゾ、ドーシートⅢの3機を捕捉し、ロックオン。
『やれぇ!アキトォッッ!!』
『ジオニックッッッ!ランチャアァァァァァァ!!!』
ジオンガーZとダイガンダム、2人の兄弟が繰り出した砲撃は、Zのマークを形作った後に金色の竜へと変わり、大きく開いた口が3機を瞬く間に飲み込む。
直後、森林迷彩の機体は外側から掛かる圧力で押し潰され、遂には爆発して電子の粒へと還っていった。
『やったな、アキト!偉いぞ~!』
『えへへ……♪』
再び人型に変型したジオンガーZに、大きく高い高いされるダイガンダムは何処か嬉しそうであり。其の光景は戦場に居ながらも、シュールな光景として観客や視聴者の記憶に残ることとなった。
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『味方が、やられていく…!』
『皆、強いな!』
モリアが駆るアトラスガンダムのレールガンと、ケイが駆るフルリビルドの腕部複合兵装ヨルムンガルドの撃ち合いの最中に、ブローセント陣営をビルドライジング陣営が次々と打ち倒し、シグナルロストに追い込む様子に、リーダーは各々反応を示す。
『だが、まだだ!パーフェクトゲームにだけはさせん!ケイ、お前だけでも倒す!』
モリアは決意の声を上げ、ヨルムンガルドのビームが直撃する瞬間にシールドを横に移動させて受け流し、損壊を最小限度に留め、レールガンで武装の銃口や機体関節部を狙い、攻撃を加えてくる。
死線や修羅場を潜り抜けた場数なら、間違いなくモリアの方が多い。6対1の圧倒的な形勢不利ながらも、彼は此の瞬間も僅かに残されている勝ち筋を、必死に手繰り寄せようと戦っているのだ。
(あの人……いや、モリアさん。まだ諦めていない…!最後まで全力で勝とうとしてる…!)
━━━まだだろう、相棒!
━━━俺達なら、まだ戦える!
アトラスガンダムの声が聞こえる。ダイバーと同じように、彼もまだ勝機を逸せんと全力で戦っている。
ならば、自分に出来る事はなんだ?
決まっている。
其れは彼等の全力に応え、己の全力をぶつける事のみ━━━━!
『やろう、フルリビルド………』
━━━━━━━『俺達、2人で!』
ケイの想いに応えるように、フルリビルドのツインアイが強い光を放ち、背中に懸架したトライホルダーフレームが展開され、エメラルドグリーンの衣が放出。
そして腰部リアアーマーに在る、レイザーブレイド・スタートダッシュを手に取り合体、機体前方に構えながら、エクセントブースターとビームマント、各部スラスターをフルスロットルで掛け、実体大剣を高速で回転させつつ突貫。
『おおおお!りゃああああああああ!』
アトラスガンダムのレールガンから、連続して放たれる、超高速の弾丸を次々と弾き飛ばし、真っ直ぐに一直線で駆け抜ける。
『くっ…!弾丸が通らない……!』
『今ッ!此の一撃で!』
トライホルダーフレームの展開で産まれたビームマントの加速と、大質量を誇るレイザーブレイド・スタートダッシュの切れ味が重なった結果、斬り抜ける形でレールガンが真っ二つに裂けた。
『ちぃっ…!』
サブレッグによる飛翔を行い、モリアは爆発寸前のレールガンを投棄し、アトラスガンダムのビームサーベルを抜刀。再びレイザーブレイドで突撃を掛けてきた場合、ブレードシールドを犠牲にコックピットを一突きにする魂胆が彼の思考にはあった。
『其処ッッ……!』
しかし飛んで来たのは、フルリビルドではなく。先程レールガンを仏陀斬ったレイザーブレイド・スタートダッシュだった。しかも其れは、オービタル由来のブーストを噴かし、合体状態ではなく個別に各々槍投げのように投擲され、1本がアトラスのシールドを大きく弾き飛ばした。
『これで、終わりッ━━━━━━!』
速度を弛めず真上を取り、背中に懸架したトライホルダーフレームを大剣形態である『トライスラッシュブレイド』に変形。
出力最大の全ブースト、今現在のフルリビルドが繰り出せる最高速度で、最上段からの唐竹割りが炸裂し、アトラスガンダムの頭部から腰部を、一筋の翡翠の閃光が迸る。
『着地、あだばっ!?』
フルリビルドが着地の瞬間、泥に脚を取られて足首を挫き、ディメンションの泥地に其の白の御身が叩き付けられた。其の刹那、後方でアトラスガンダムが一刀の元に両断される。
『…負けた、か……』
悔しさを内封した台詞を吐露した瞬間、モリアとアトラスガンダムは電子の粒へと還り。同時にディメンション全域には、ビルドライジングの勝利を伝えるアナウンスが響いた。
『Battle Ended !』
『Winter, BUILD_RISING !』
歓声に沸き立つ観客席と視聴者達、其の中で1人のダイバーは静かに席を立つや、コンソールを操作して人混みの喧騒から抜けていった………
*********************
数時間後━━━━GBN内某所、ビルドライジング・フォースネスト内……
「では……ビルドライジング、フォース戦初勝利を祝して!乾杯!!!!」
『『『『乾杯~!』』』』
新参向けフォースバトルイベント後、フォースネストに戻ったケイ達は細やかな祝賀会を催していた。
「作戦は成功して良かったし、結果的にパーフェクトゲームに繋がったな」
「全員の活躍有ればこそ、ですね!」
「カンタのバインダーには戦闘中、本当に助けられた。感謝するよ」
「えへべ……嬉しいだぁ」
「ケイ様、最後の着地で失敗してましたが大丈夫でしたか?」
「うん、大丈夫。皆のお陰でフォース戦に勝てました、本当にありがとうございます!」
深く頭を下げ、感謝の意を示す彼に、皆の顔も綻ぶ。そしてヒノワが、目をキラキラと輝かせながら言った。
「皆のガンプラ、すごかった!ガンプラも、皆も、一生懸命に戦ってたの、すごく好き!」
とても良い雰囲気になりつつあり、ケイは次にフォースでやりたい事をしようと、皆に提案をしようとした其の時。
ピンポーン!とフォースネストのインターホンが高らかに鳴り、視線が出入口の扉に注がれる。
「誰だろう?」とケイが小さなモニターで応答すると、其処には1人のダイバーが立っていた。
身長は175cm程度で、中世ヨーロッパの将校が身に付ける茶色の軍服に袖を通し、肩には黒いコートを掛け、腰にはレイピアを納刀。肩まで届く髪は、髪元が緑で先になれば白へと変わり、黄色のキャッツアイとセピア色のオッドアイを瞳に持ち、凛とした顔立ちは帝国軍の女性将軍のようだった。
「あの…どちら様で?」
「む……いきなり押し掛けてきて済まないな。我が名は『トラム』。こうして来たのは他でもない、君達のフォースに居る『アズキ』に用があったからに他ならない」
そう述べた彼女は一拍置いた後、曇り無き眼を以てこう告げたのだ。
「アズキ、我がフォースに入らないか?」
其れは新たなる火種として。そして
ヘッドハンティングは冷めぬ内に