*2話構成の前編です
「アズキ、我がフォースに入らないか?」
モニター付きインターホンのカメラに映る、トラムと名乗った女性ダイバーが放つ一言に、ビルドライジングを衝撃が襲った。所謂ヘッドハンティングに、ケイは慌てた様子でモニターに映る彼女に言う。
「ちょ、ちょっと待ってください!いきなり何を言ってるんですか!?」
「其の言葉の通り、アズキを我がフォース『ソード・ブリンカー・レヴ』へのスカウトに来たのだが?」
「いやいやいやいや!?!?」
ワーワーギャーギャーと騒ぐ青年を見て、カンタは傍観していては一触即発になりかねないと悟る。アズキを渡さないと主張する彼を、後ろから羽交い締めにしてモニターから引き剥がし、代わりにラルクが対応に出た。
「どうも、ビルドライジングのラルクという者です。初めまして『
普段より店長代理として接客や電話対応に当たっている事はあり、落ち着いた物腰でトラムに交渉の場を提案。数瞬の沈黙の後、彼女から「良いだろう」と返事が来て、一先ずは大事に至らなかった。
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ビルドライジングのフォースネストに入室し、ケイと向かい側の席に座ったトラムは、無言でフォースリーダーの青年の顔を見つめ。
ケイもまた、自分達のフォースにやって来て、いきなり『メンバーをスカウトする』と言ってきた彼女の態度で、普段落ち着きは何処へやら、敵意剥き出しの猫のように、何も言わずとも圧を放つ。
「………………………」
「………………………」
(き、気まずい………)
冷戦か戦場最前線か、張り詰めた空気に肌がピリピリと刺激され、喉が乾く。下手に口を出せば、話が余計に拗れる可能性も有るために、此のような状況に陥っている。
しかし其の沈黙を破ったのは、ケイでも無ければ、ラルクでもカンタでもなく。ビルドライジング所属のELダイバーヒノワだった。
「なぁなぁなぁ。トラムはどうして、アズキが欲しいんだ?」
純粋無垢な声で、一件の核心部を突いたヒノワに、皆驚きの表情を向ける。子供とは時に無情に、時に冷静に真実を言い放つが、今回は現状を打破する助け船として、繰り出された。
其れを聞いたトラムは、微笑みの後にビルドライジングへと自身の思う事を伝えるのだった。
「君、中々良い所を突いたね。私がアズキを欲する理由、其れはアズキの噂を以前より耳にし、GBN内に存在する戦闘データを片っ端から全て洗い出して、漸く見つけた時の事だ。唯一刀に己の魂を乗せ、あらゆる飛び道具を、MSを、其の一撃の元に切り捨てる其の姿。
久々に衝撃が走った。此程までの技術と強さを得る為に、不屈の研鑽を、血の滲む努力を、想像を絶する鍛練を常日頃から行い続けてきたのが、私にはよく理解出来た。一度、其の強さを目にした時から、アズキを是非我がフォースに迎え入れ、剣を、刃を愛し、信じる者同士、共に其の道を極めようと心に決めたのだよ。
まぁ…私よりも先に、君達が彼女をスカウトしてしまったから、どうにか此方に引き込めないかと思考を巡らせ、今こうしてフォースネストに来たわけなのだが」
詰まる所トラムは、アズキの圧倒的な戦闘センスに惚れ、同じ剣の道を志した者として共に戦い、遥かな高みを目指して行きたい………という事らしい。
「トラムさんの言い分は分かりました。強くなりたい事、彼女と一緒に戦いたい気持ちも」
「ほぅ……では」
「ですが」とケイは彼女の言葉を遮り、そしてゆっくりと立ち上がって堂々とした態度を以て、己の旨を告げたのだった。
「アズキさんは俺達のフォースメンバーで、俺は仲間達の意思や、自分のしたい事を尊重し、己の行く道は己自身で決めるべきだと考えています。そして━━━其の最終的な意思決定は、アズキさん自身が選ぶ事も」
あくまで個人の意思や想い、自由を尊重し、行く道に干渉しないケイの姿勢。個性派揃いの此の面々とアズキが、彼に付いてきている理由を少しだが理解出来た気がした。
「トラム、私は此のフォースの一員だ。貴女程の強者よりの誘いは嬉しいが、今は此所で過ごす時間が好きだ」
「すまぬ」と〆て、一礼したアズキ。此れで引き下がってくれれば……そう思った矢先、トラムが一瞬獰猛な笑みを浮かべ、高らかに語り始めた。
「フフフ━━━━━。そうか…!そうか、そうか、成程!君達の言い分は良く理解した。アズキの意志も確かな物だと分かった。━━━━━だがッ!私は納得していない、このまま引き下がるつもりもないッ!!
其処で1つ、フォースらしく『フォースバトル』で雌雄を決したい!」
どうやらトラムは何としても、ビルドライジングからアズキを引き抜きたいつもりのようで、此方にフォースバトルを提案してきた。
「フォース…バトル……?」
「そうだ。ルールは『変則フラッグ戦』、互いのフォースでフラッグ機を決め、殲滅戦を行うというもの。無論、私は強い。其の強い私が本気で戦えば、ものの数分で決着が付いてしまう。だから幾つかの『ハンデ』を背負い、戦わせて貰う」
トラムは己の利き腕である左手を、ケイの目の前に見せながら、指をピンっと立ててルールを伝えていく。
「1つ、私の使う機体は『耐久値が2割を切っている設定』だ。下手なビームが当たろうものなら、即爆発四散する未来が決定付けられている。
2つ、私は『時限強化及び遠隔武装の使用を禁止』する。1人の剣士として、己の力の全てを以て挑む心構えと受け取ってくれて構わない。
3つ、フォース戦の開催日・時間・場所は全て君達に決定権を譲渡する。今すぐでも、1週間後でも、1ヶ月後でも問題ない。
そして4つ、変則フラッグ戦の『フラッグ機』は私であり、そして他のメンバーは『参戦しない』。私個人対ビルドライジングのフォースメンバー全員との戦い、といった所になる」
残り体力20%、遠距離攻撃禁止━━此れだけでも十分キツイ縛りである筈なのに、更に其処にソロプレイと、切札であろう時限強化も封じているという状況。
自分……いや此のビルドライジングのメンバーも、そんな正気を逸した縛りの上で、クエストやミッションをクリアせよと言われたなら、先ず苦い表情を浮かべて、次いで御断りをいれるだろう。
「これだけのハンデを入れた上で、もう1つ……万が一にも君達ビルドライジングが、私の愛機に『1度でも』触れたり、攻撃を当てられたなら━━━」
私はフォースを解散して、君達ビルドライジングの軍門に下る事を、今此の瞬間に誓おう。
『『『…………はぁ???』』』
トラムの爆弾発言に、ヒノワを除くビルドライジングの面々は、ほぼ同時に素っ頓狂な声を挙げた。無理もない……其の縛りを入れ、尚且つ負けようものなら、責任を取ってフォースを解散する事すら厭わない。
そうまで己の強さと力を疑わず、絶対に勝てると確信して止まない。『狂っている』━━━━其れがトラムに対し、ケイが抱いた感情であった。
「さて、私は此れだけのハンデを己に課し、君達にフォースバトルを挑む。禁止兵器だろうと、核を使おうとも、君達は私の機体に触ったり、攻撃を当てれば勝てる戦い。対して私は、君達を全員殲滅しなくては勝利不可能の、圧倒的に不利な戦いだ。
さぁ━━━君達の答えを聞かせてくれ」
一見すれば、ビルドライジングが有利な条件であるのは間違いない。しかし、此所まで言った上で絶対の勝利を確信して止まない彼女に、恐ろしさを覚えたのも事実である。
「……皆はどうしたい?」
フォースリーダーの判断だけで、解決出来る問題ではないと思ったケイは、仲間達に問う。
「……負げれば、アズキざんを失う結果になるがもじれねぇ。だけどもケイ、勝負に『絶対』っで言葉は無いんだ」
「カンタさんの言う通りです!やってみなくちゃ、最後まで分からないと思います!」
「本来なら断固拒否一択なんだが……天剣の女王が新参フォースに挑戦状を叩き付けたって事実は変わらねぇ。やってみようぜ」
「遠距離攻撃が無いのであれば、私の狙撃が火を噴きますわ。トラムさん…ヘッドショットで決めさせて頂きますので、覚悟してくださいまし」
「私が言うのも何だが、彼等は強いぞトラム」
「皆、頑張って!」
自分達よりも遥か格上のダイバーからの挑戦、勝てばハイランカーが仲間に加わるリターンと、負ければ仲間を失うリスク、其れを加味してビルドライジングはトラムを迎え撃つ覚悟を決める。
「……トラムさん。俺達、ビルドライジングは貴女の挑戦を受けます」
「良き覚悟だ。其の覚悟、私の全身全霊を以て応えるとする」
力強く提示された握手に彼女は応じ、此所にビルドライジングvs天剣の女王による変則フラッグ戦の開催が決定される事となったのだった。
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「はぁぁぁぁぁ……。…これ、本当にどうしよう」
トラムがフォースネストを後にしてから数分後、ケイは室内中央に座すテーブルに頭を埋め、大きな溜め息を付いている。
「過ぎた事を嘆いても何も変わらない。今の私達がやるべき事は、トラムとのフォース戦の日時と作戦を決め、彼女に一触一撃を与え、勝利する事。私も全力で戦う、ケイも弱気になってはいけない」
「だな。お前は家のリーダー、ドンと構えて戦えば、俺達は負けないさ」
「私も出来る限りの準備を致します。ビルドライジングのエースを、ハイランカーに易々と引き抜かせませんわ」
「天剣の女王なんて呼ばれてはいますけど…相手に少しでも触れられれば、此方が勝利ですから希望は有りますよ!」
「ケイば、ここぞど言うタイミングできっぢり自分の役目をやっでくれるがら、頼りにしてるべさ!」
「ケイ、優しい!俺に、ヒノワって大事な名前、くれた!俺も、皆の応援頑張る!」
フォースメンバーの言葉が心に染みて、ケイは目頭が熱くなってきた。そして天剣の女王トラムとの変則フラッグ戦に向けて、ラルクの説明より作戦会議が始まった。
「フラッグ戦を行う場所は『小惑星帯』で行う予定だ。障害物が多い上、ケイの異能とカンタのFDCバインダーが活かしやすい。先ずは2人が各々で敵の位置を洗い出し、俺のジオンガーZとアキトのダイガンダムの大火力で追い込む。
其れで仕留められずに、俺達兄弟がやられたらケイとカンタには玉砕覚悟の特攻をして貰い、アズキさんがトラムさんとの一騎打ちに持ち込めるように御膳立てを頼む。そしてアズキさんが戦い始めたら、隙を突いてミシェル嬢に狙撃して貰う━━というのが、今回の作戦になる。此所までの説明で、何か質問は有るか?」
作戦の内容を説明された後、カンタが手を上げて質問を1つ投げ掛ける。
「小惑星帯っで事だけんど、そいつば『鉄血』が『ガンダムOO』、もしぐば『宇宙世紀』の3つの世界の何処がで行うんだ?」
「小惑星帯……正確には『宇宙ゴミ』が流れ着く場所って感じになるわ。それから其の場所、常に『霧が発生している』から、目眩ましにも一役買える場所だ」
宇宙ゴミというワード、霧が発生している環境によって、ケイはラルクが戦いの舞台を何処にしたのかが分かった。
「ラルク、もしかして其の場所は……」
「あぁ。俺達が戦う場所は『暗礁宙域サルガッソー』……AGEの中で、トップクラスにヤバい危険地帯って訳さ」
バミューダトライアングルと並ぶ、魔の海域の1つである『サルガッソ海』の名を冠した場所である。
「後、彼女とやるからには全員の予定も確認して、参加可能な日を合わせておきたいな」
「ですね、兄さん。相手はハイランカーのトラムさん、ハンデを貰っているとはいえ、全員の力を合わせないと此方は勝てないかも知れませんし………」
「確かに……皆の今後の予定を教えてください」
トラムとの戦いに備える一同は、各々の予定を提示し合い、今後のフォースの行方を左右する大一番に向けて、調整を計るのだった。
そして4日後、其の時はやってくる━━━━━
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『そろそろかな?』
『WKWK』
『はようはよう』
『早くしてくれ、待ちきれん』
AGE・ディメンション内、暗礁宙域サルガッソー…白い濃霧とガラクタが力なく漂う、薄気味悪い宇宙艦の墓場とも呼べる此の場所で、此れより行われる死闘を一目観ようと多くのダイバーが集い、ライブ中継にも観戦者達が寄せてきた。
と、白い霧の中をジグザグにUFOが飛び回り、中から宇宙服を身に纏ったDJアルルが現れる。
『ヘーイ!皆、元気にやってるかーぅい!DJアルルだウェーイ!』
『ウェーイ!ウェーイ!』
『ヤッハアアアアアアア!』
『オオオオオオオオオオ!』
『待ってた』
『今日のバトルは、先日の初陣戦を見事完全勝利で飾ったフォース、ビルドライジング!対するはフォースランキング62位の座に位置し、剣や刃に見鋳られた者共が集って出来た!斬擊が喚ぶのは惨劇、掲げた剣に死角なし!フォース、ソード・ブリンガー・レヴだぁ!』
DJアルルの実況を横に、ビルドライジングとソード・ブリンガー・レヴのフォースメンバーが並ぶ。ケイ達は7名に対して、トラム達は計23名と3倍の差が有る。
胸に3つの剣を重ねた紋章を刻んだエンブレムを掲げ、腰にサーベルや刀、剣を鞘に納めるダイバー達が纏う覇気は皆強く、特にリーダーの横に立つ2人と後ろに控える4人は、自分に比肩する実力者のようである事が、アズキには分かった。
「先ずは礼を。私、トラムの挑戦状を受けてくれた事に、心より感謝を申し上げる」
トラムが一礼、其れに続きメンバーもまた頭を下げた。
「始める前に確認しておく。今回のフォース戦は変則フラッグ戦であり、私個人とビルドライジングの戦いである事。私の機体は様々な制約が掛けられており、遠距離武装と時限強化は使えず、一撃を喰らった瞬間に破壊される。
そして私が
━━━━━━以上、其の約束に相違無いな?」
互いにフォースの未来を賭けた一大戦、其の開幕を前に敵大将のトラムが、ケイへ最終確認を取る。覚悟は決めた、後は今の自分の全てをぶつけて戦い切る以外に、残された道は無い。
「はい。相違有りません」
「そうか。では、武運を祈る」
交わす言葉は少なく、礼儀の元に握手を行う。背を向け合えば敵同士、両陣営共に、どのような結果になろうとも覚悟は出来た。
「トラム、勝てるか?」
ビルドライジング側が所定の位置に移動するのを見送った後、彼女の左隣に立つ、赤髪金眼ギザ歯のローブを纏う女性ダイバーが、そう問い掛ける。
「問題無いさ。何時ものように踊り、戦い、そして勝つ。其れに━━━━」
戦いは常に愉しまなくては損だからね
そう言ったトラムは目を閉じて、深呼吸を一度行う。軈て胸に手を当てながら、空いた片手でコンソールを操作、己の愛機を顕現させた。
其の機体は、重圧感に満ちた黒緑の塗装を施された『ガンダムサバーニャ(最終決戦仕様)』であり。しかし関節や一部装甲、ホルスタービットの位置が変更され、バーニアやフレーム等は『ガンダムヴィダール』の要素を取り込んでいる。
両手には、ヴィダールのレイピア型近接武装『バーストサーベル』を元に、サバーニャが持つ『GNピストルビット』の機構を以て、近接及び中距離武装へ改造した『GNナイフビット』。
サバーニャのホルスタービットは、姿形こそ其のままではあるが、納められているのはライフルビットではなく、バーストサーベルの刀身を改修し、鉄血世界の禁止兵器ダインスレイヴと同じ高硬度レアアロイ製の『GNレイピアビット』。
天使の中に悪魔を宿す機体、其れがトラムのガンプラで。其の名を『ガンダムサバーニャ・ソーディアス』。
「さぁ、今日も踊ろうか」
コックピットで操縦桿を軽く握り、トラムは戦場に身を投じる羅刹へと変わった。
「トラム、ガンダムサバーニャ・ソーディアス。これより、ビルドライジングを討ち果たす」
天剣の女王━━━其の実力が今、明かされる。
**********************
暗礁宙域サルガッソー某所、ビルドライジング陣営……
『トラムさんが俺達を捕捉するのは時間の問題だ。そうなる前に、ラルクとアキト君、そして俺が瞬間最大火力の先制攻撃を叩き付けて、流れを此方側に引き寄せる』
輪形陣形を組みつつ、白霧満ちる宙域を先頭で駆けるフルリビルドから、ケイの通信がバトルを見学するヒノワ以外のメンバーに届く。
今回の作戦は、初陣となったブローセントとのフォース戦で行った、相手の態勢が整う前に崩す物と同じ。所謂『速攻』の類いに当てはまる物であった。
『速攻か…相手が相手である以上、やるしかないよな』
『ボクも其れで良いと思います』
『オラも賛成だ。トラムざんはハイランカーのダイバー、アズキさん除いたオラだづばまともに戦っだら、木っ端微塵にされちまうべ』
『先達は、御願い致しますわ。私、必ずや撃ち抜きますので』
『必ず切り捨ててみせる』
意気込むビルドライジング。
が、そんな彼等彼女等のコックピットで、けたたましく接近を報せるアラームが鳴り響いたかと思えば、前方から宇宙に投棄された宇宙船の廃材が、超一流メジャーリーガーのボール、渾身のフルスイングでライナー打ちするかのような、超絶豪速の連続飛来で襲い掛かってきた。
『うわぁ!?』
『あっぶね!』
『皆、一旦避けて!』
到来した廃材を回避するビルドライジングの面々。しかし休む隙など与えんと、次々に飛んできては陣形の合間を引き裂き、バラバラにしようとしてくる。
『アキト、ダイドラゴンでカンタとミシェルを守ってくれ!』
『うん!兄さん!』
アキトのコマンド入力により、ダイドラゴンはカンタとミシェルの機体へ接近し、其の巨体の背中へ載せる。時を同じくして、ラルクのジオンガーZのスリットより、ガンダムフレームすらも溶かし尽くす、強烈な強酸風が竜巻となって放たれた。其の技の名は。
『ルストォハリケェェェェェェェェン!』
白霧を貫く荒れ狂いし魔神の息吹が、陣形を解体せんとする廃材を真っ向から受け止め、熟々に腐った果物がゆっくりと風化して朽果てるように、軈て一片の欠片すら残さずに此の宙域から抹消してしまう。
が━━━━━━
『わぁぁぁぁ!?』
『いきなり何ですの!?』
ルストハリケーンの強風放出が終わった瞬間、カンタとミシェルを乗せているダイドラゴンの左側をナイフの刺突のように鋭利で強烈な衝撃が襲い、3機は遥か彼方に吹っ飛ばされ、陣形から引き剥がされてしまう。
『何!?』
『ダイドラゴン!』
『カンタ!ミシェルさん!』
皆がダイドラゴンと、其れに乗った2人の心配する中で、アズキだけは唯一人、其の正体を視認出来た。
『あれは━━━━!』
エイハブウェーブとGN粒子を放ち、ダイドラゴンを吹き飛ばした方角へ、急速飛翔していく黒緑の機影が1つ。見違える筈はない、あれはトラムの愛機たるガンダムサバーニャ・ソーディアス。
『天剣の女王、ビルドライジングを強襲!ドラゴン型のサポートメカごと吹っ飛ばし、陣形を分断!たった一機ながら、ハイランカーとしての圧倒的なゲームコントロールを見せつけるぅ!』
どうやってあの強酸の竜巻を逃れて、此方に接近出来たのかを思考している暇は、アズキを含め全員に残されて等いなかった。このまま黙って相手に蹂躙される等、アズキは許す筈もない。
『トラムの思い通りにはさせん…!私が切り捨てる━━━!』
『ア、アズキさん!』
『ケイ、アキト!追い掛けるぞ、俺に捕まれ!』
『兄さん、お願い!』
『さぁさぁさぁさぁ!状況は混沌とし始め、クローバーな匂いを帯びてきた!此の勝負、どちらが勝つかぁ!!』
戦局は少しずつ変わり行く。だがしかし、多くのダイバー達は確実にトラムの方へ、流れは傾いていることを感じていた……
そして、トラムというダイバーが一度でも。いや、流れを一片でも捕まえたならば。自身の勝利の宣言が響く刹那まで、決して手放す事はないのだと。
フォースの存続と仲間の運命を懸けた戦い
登場人物紹介
トラム(CV:大原さやか):ビルドライジングのフォース戦初陣後、彼等のネストを訪れた女性ダイバー。身長175cm程の中世ヨーロッパに在る帝国軍女将校をイメージしたダイバールックをしている。一人称は『私』か『我』、他者を呼ぶ時は『君』か『君達』、気に召した者は呼び捨て。イメージは『戦場のヴァルキュリア』に登場する『セルベリア・ブレス』。
普段は冷静沈着、しかし強さに対しては貪欲に餓えた性格で、GBN内のクリア報酬やビルドコインに殆ど興味を示さず、強いダイバーとの戦いや困難なミッションに挑み、其れを越える事にこそ、至高の喜びがあると考えている。また、バトル中に何らかの拍子でスイッチが入ると、敵の強さを含んだ全ての蹂躙を好み、完全なる敗北と二度と挑む事すら許さない屈服を与える『残虐なる女帝』となる。
ワールドランキング187位のハイランカーダイバーにして、フォースランキング62位のフォース『ソード・ブリンカー・レヴ』を指揮する存在で、構成メンバーは全て彼女がGBN内で選び抜いてスカウトしたり、フォース戦に勝利して相手側から引き抜いた面々であり、個々人の力量は勿論だが、フォースとしての実力も凄まじく、成長を続ければ『AVALON』に比肩する可能性を持っている事で有名。
新参向けフォースバトルイベントの見学中に、前々からマークしていた『MS斬りの悪魔』が現れ、其のダイバーがアズキであることを知り、彼女をスカウトするべくビルドライジングのフォースネストに突撃。彼女を自フォースに加入させるべく、ビルドライジングに変則フラッグ戦を仕掛けた。
使用ガンプラは、ガンダムサバーニャ・ソーディアス。
ガンプラ紹介
ガンダムサバーニャ・ソーディアス:ガンダムサバーニャ(最終決戦装備)をベースに、ガンダムヴィダールを組み込み、トラムが製作したガンプラ。元々遠距離戦闘を得意としている本機を近接戦闘に対応するようにしたのと同時に、GNドライヴをデュナメスやケルディムのような尾部へ移植する形に
GNピストルビットとGNライフルビットはオミットされ、代わりにガンダムヴィダールの『バーストサーベル』の合体・換装と、キマリスヴィダールの『ドリルニー』のギミックを取り込んで、精錬時に高硬度レアアロイを混ぜ合わせたという設定を組み込んだ、『GNナイフビット』と『GNレイピアビット』。
レイピアビットはホルスタービットから超高速射出を可能とし、彼女の脳量子波によって『追尾するダインスレイヴ』となり、仇なす敵の全てを駆逐する凶器となる。更にホルスタービットと合体したまま、持ち手を握ることで『ホルスターメイス』として鈍器にも使用可能。
各部にあるGNミサイルポッドは、全て『GNクナイ』に置き換え収納されており、投擲や近接戦、ワイヤートラップに転用と、幅広い応用が効く優れ物。
トランザム及びリミッター解除も出来、其の身を真紅に染め、敵を切り刻み屠る姿は美しくとも、残酷なる天使サバーニャにして、数多の剣を天より振るう