ガンダム・ビルドライジング   作:ガリアムス

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Twitterのだむぴょい伝説聞きながら作った、トラムの事を話し合うマギー姐さんとフランシス姐さん、そしてケイとフォルテちゃんの馴れ初めの第17話です




Ep,17 フォルテのお礼

「う~ん……………」

 

現実世界・ガンプラの箱━━━GBNにて、トラムとの変則フラッグ戦に敗北した日より2日が経ち、ケイのリアル事『朱鳥(あすか) (けい)』は此所でバイトをしている。

 

そんな彼は現在、商品棚に置かれたガンプラのキットを整理しながら、外装の汚れや歪みが無いかを調べる仕事の最中だが、其の手は普段に比べて遅い。

 

「拡張性と汎用性……言ったは良いけど、いざ作ろうとしてもベースキットを決めてないから、此所まで難しくなるとは……」

 

頭を捻り、キットの外装にある写真から其のガンプラのイメージを膨らませるが、ガンプラを両手で数えられる程度しか作っていない慶にとって難航し、どうしたものかと悩む。

 

「店員さーん、すみませーん!此方のHGのノーベルガンダムの箱を取ってくれませんかー!」

 

声の方に顔を向けると、芦毛色のショートボブに赤の蝶リボンのヘアピンを掛け、水色のワンピースを着た小さな女の子が居た。

 

「あ、はーい!少々御待ちください!」

 

今は仕事中である事を思い出し、青年は営業スマイルと共に、買い物客の対応に当たるのだった……

 

 

*********************

 

 

「何れが良いんだろうか…………」

 

バイトの休憩時間中、慶はベースとなるガンプラを探すべく、ネットの海に多々あるガンプラキットレビューブログを読み漁っていた。

 

現在、ジム系列や陸戦型ガンダムといった汎用機のレビューを見ながら、使えそうなパーツをチェックし、メモに書き移す作業をしている。

 

「およおよ、慶ちん。なーんか悩み顔してるけど、どったよ?」

 

そんな彼の顔を真横から覗き、健司が声を掛けてくる。

 

「あ、健司さん。実は━━━━━━」

 

慶は何か良いアイデアを貰えないかと一縷の望みを持ち、健司に新しいガンプラの事とベースとなるキットを探している事を話す。

 

「成程成程~じゃさ慶ちん、『自分の好きなガンダム作品の機体』を書き出してみたらどうかな?」

「自分の好きな機体?」

「そそっ、そうすれば何か見えてくると思うよん♪其れと、そろそろ休憩時間終わりだからね~」

 

「えっ!?」と驚きながらに壁掛け時計を見上げると、休憩時間終了まで後10分残っていた。

 

「……まだ残ってるじゃないですか」

「あ、ごめんごめん!ちょっとせっかちになっちった!」

 

おちょくりながら「先に戻ってるぞ~」と、健司が店に戻っていく。其の様子に、青年は溜息を溢した。

 

「━━━━自分の好きな機体……か」

 

作品としては『機動戦士ガンダムAGE』が好きだ。だが、機体ともなれば1つの作品に2つか3つは在る。寮に帰るまでに、洗い出してみるのも良いかも知れない。

 

そう思いながら、慶は休憩時間を終えて再び自分の仕事をこなすべく、店へ戻っていった…………

 

 

**********************

 

 

同時刻、GBN ハワイアン・ディメンション。

 

照り付ける太陽の日射しと、純白の砂浜に綿菓子の様な雲、水平線の果ての果てまで満ちる蒼い海に囲まれた此の場所には、大小列なる入り組んだ1つの列島が存在する。

 

中でも其の島々で一番小さく、一番高い火山を持つ島の、断崖絶壁を切り出し整え、太陽と月と海と空を一望千里出来るようにした『秘密基地』がある。

 

「~~~♪」

 

年代物のラジカセから流れる陽気なジャズを聞きながら、サングラスとビキニを纏い、ビーチソファーで優雅な一時を楽しむ、海賊帽子を手元に置く女性ダイバーは、ふと何かを感知したのかサングラスを額に上げた。

 

「姐さん姐さん!此方に接近する機影を確認しました!パターン『ハート』!」

「マギーさん、か…。アンタ達、持ち場に着きな!大切な御客だ、丁重に『おもてなし』しないとね」

 

フォース『ジェントルズ』━━━━此所はハイランカーダイバーのリーダー、女海賊風ルックの『フランシス』が率いる『フォースネスト』なのだ。

 

 

**********************

 

 

「やぁ、マギーさん」

「あらぁ~フランシスちゃん!其の水着、と~っても似合ってるわぁん♪」

 

フォース自慢の展望台エリアで、半袖夏服姿のマギーと握手を交わすフランシスは、吸熱率が高い白石で出来た椅子にマギーを案内し、フォースメンバーに目配せでドリンクを持ってくるように頼む。

 

「とても良い所ね、貴女のフォースネスト」

「あぁ、フォースメンバー全員で勝ち取った場所だ」

 

何気無い会話を数度、冷えたドリンクで喉の乾きを癒し。そしてマギーは、フランシスに突然の訪問の『真意』を話す。

 

「……フランシスちゃん。貴女は『トラムちゃん』を、どう思ってる?」

 

トラムという単語に、マギーを見るフランシスの側近達の視線が変わる。皆少なからず『敵意』を抱いているようだ。

 

「……この間の変則フラッグ戦の事か?」

 

「えぇ」と言って、話を続ける。

 

「貴女が以前助けたダイバーのケイ君、彼が立ち上げたフォース・ビルドライジング相手に、トラムちゃんが単騎で多重の縛りを設けた戦いを仕掛けた。

 

結果は一切の被弾すら無く、トラムちゃんの完全勝利。フォースのエースで『MS斬りの悪魔』を駆るアズキちゃんを、自軍に引き抜いていったの」

 

簡潔に事情を説明するマギー。其れを聞いたフランシスは自分のドリンクを喉に流し込み、一息置いて言う。

 

「………あのバカは、アタシが何を言おうが、其れを決して止めるつもりは無いね。叩き潰されても『絶対』に変わらない………其れがトラムって女の性分なのさ」

「そう言えば…貴女とトラムは、元々同じフォースの。『ジェントルズ』を立ち上げたメンバーだったのよね」

 

マギーの言葉に、「あぁ」と一言答えるフランシス。

 

「フォースを結成した時は、アタシとトラムの2人だけ。あの頃のアタシ達はGBNのテッペン目指して、ただただ走っていた。各地の有名ダイバーの噂を聞いては、其所を訪れてスカウトしたっけな…。いろんなフォースと戦って、戦って戦って、戦い続けて。

 

勝ったり、負けたり、其れを繰り返してる内に、ランキングも上位になってった。何時の間にかアタシ等の後ろには沢山の仲間が居て、何気無い時間が大切な宝物になった」

 

「だけど、そんな日々も『あるフォース戦』を境に━━終わっちまった」とフランシスは岩の天井を見上げ、昔の出来事をマギーに語る。

 

AGE大好きのアイツ(クジョウ・キョウヤ)の前の『チャンプ』がGBNに居た頃、アタシ達は『あるフォース』を相手にフォース戦を挑み、ぐうの音も出ない程に叩きのめされた。相手の圧倒的な強さに戦慄したが、何よりも『勝利』に対する貪欲な迄の姿勢と、敵を如何にして蹂躙し屈服させる愉悦と快楽で染まった『狂気』に、前身の毛という毛が逆立ち、身体は恐怖に震えたよ。あん時の完敗っぷりは今思い出しても、アタシのダイバー史上一番さ。

 

……トラムが変わっちまったのは、其のフォース戦からだ。結成当時から負けず嫌いで頑固一徹な面はあったが、あの戦いで一番痛め付けられたのがアイツだった。機体が大破しても、絶対に諦めずに食い掛かったトラムは……大破したアタシ等の目の前で、観戦していた全てのダイバー達の『見せしめ』として、フォースリーダー達に『蹂躙』された。

 

機体が破壊されてリタイアになる前に『リペアツール搭載機』で修復され、破壊と再生を何度も何度も、何度も何度も繰り返し、パイロットのトラムが『半殺し』になっても続け、一思いにやれと叫ぶアイツの心が、完全に屈服するまで続け…………結局、運営が介入してフォース戦はアタシ等の勝ちって事にはなったが。

 

其の一戦からトラムは『勝つ事』に異常な執着を抱くようになった。此方の勝ちは決まっているのに、必要以上に敵を痛め付け、闘争心を打ち砕かれた相手が見せる表情を刮目し、歪な笑みを溢して口角を上げる………。あの瞬間、アタシはトラムが『狂気に犯された』と確信するには十分で。アイツを友として止めるためにタイマンを張り、死闘を繰り広げ、其の末に何とか倒す事が出来た。

 

どうして、こんな風になっちまったんだ!と。

昔のお前は、そんな事は決してしなかった!と。

 

そう問い詰めた…だけどアイツはこう言い切った」

 

 

『私は至ってマトモだよ、フランシス。いや、君の方がクルッテいるのかな?フフフ……!アハハハハハハハ……!!!!!』

 

 

長年GBNのダイバー達と関わり、様々な話や伝説を見聞きしてきたマギーでさえ、フランシスが語ったトラムの過去話は、じっとりとした嫌な脂汗を浮かばせ聞いていた。

 

「トラムは、アタシの知るトラムじゃ無くなった。あの時の顔は今でも夢に出てくる時がある。其のフォース戦から暫く間が明いたある日、アイツはメンバーの一部と共に突然フォースを脱退し、今のソード・ブリンガー・レヴを立ち上げた。

 

貪欲に強さを求め、歯向かう敵を蹂躙し、自らが見定めた強者を引き抜く。満たされぬ飢えと、底無しの渇きを癒すように…な。

 

━━━これが、アタシの知るトラムさ。マギーさん」

 

長らくトラムの事を語り終えて、フランシスは大きく大きく息を吐いた。

 

「フランシスちゃん。貴女達が戦ったフォースは、一体何なの………?」

 

マギーの真剣な問いに、フランシスは暫く口を閉じ。其れから己の声で、其の存在をマギーに明かした。

 

「………『アルデヴァロン』。嘗てガンプラバトルと呼ばれる競技が栄えた時代、其の刻を生きたという『二代目メイジン』の思想を以て、GBNに混沌と闘争の時代を呼び込み、僅か1年間の活動で『GBNの暗黒期と闇の面を残した』とされる一団。

 

アタシが知り得る中で『最強で最低で最悪なリーダー』と、ソイツと同じ『頭のネジが外れた糞野郎共』が集まった、此の世に生きる人の『悪面の全て』が詰まり積もったフォース。

 

初心者狩りが徒党やグループを組んで、効率化を謀るように仕向けたのも、大元にアルデヴァロンが居たと言われてるそうだ。だが最終的には、運営によって主要メンバーのアカウントが一斉BANされ、フォースは解体。メンバーはバラバラになって、僅かばかりいた生き残りも『第一次有志連合戦』でマスダイバー側に付いて、キョウヤ達に一掃されて、影も形も無くなったとか、風の噂で耳にしたぜ」

 

トラムが変わる原因となった、フォース・アルデヴァロン。今でこそクジョウ・キョウヤの活躍や、彼を慕う多くのダイバーや、彼を目標とする挑戦者達によって、美しい電脳世界の平穏と秩序は保たれている。

 

だからこそ、今のトラムが行っている事は、闇を生み出し蔓延らせたアルデヴァロンと同じ道を辿っている事に等しく、1人のダイバーとして黙って見過ごす事は出来ない。

 

「マギーさん。もしトラムが……アイツが本当に外道へ堕ちた時は、アタシが全責任を以て止める。アイツの友として、フォースを立ち上げたダイバーとして、きっちりケリを着ける」

 

静かに、しかし揺るがぬ決意を持った宣言。マギーは「もし、お姉さんに手伝える事があったら、何でも言って頂戴」と、GBNにある自分が経営するbarの『電話番号』が記された紙をそっと置いて、ジェントルズのフォースネストを後にした。

 

「さて……。アタシもアイツとヤる為の準備をしなくちゃだな。お前ら、アタシは暫く自分の機体調整で、フォースには来れねぇ!留守の間、フォースネストを頼んだよ!」

『『『『アイアイサー!』』』』

 

何時トラムが一線を越えるか分からない中、フランシスは最善を尽くすべく、愛機の強化の為GBNからログアウトしたのだった、

 

 

**********************

 

 

其の日の夜、都内某大学寮内一室━━━━━

 

「こんな感じか……」

 

時計の針が深夜11時に差し掛かる頃、慶は大学ノートに自分の好きな機体を書き終えていた。白紙であったノートは既に、機体の名前と其の理由で埋め尽くされており、現在候補は有るものの、数が多過ぎて絞り込めていない。

 

「う~ん………」

 

頭を捻るが、じわりじわりと押し寄せる睡魔に、思考と瞼が落ちてきて、時折コックリコックリと首振り人形めいて、寝落ちかける。

 

これはもう駄目だ。そう感じた場合に青年が取る行動は、よっぽどの急用で無い限りは、シャワーを浴びて直ぐにベッドで寝る事にしている。

 

(明日は受ける座学も無いし、ガンプラの箱のバイトも休み……。GBNを散策して、新しいガンプラのアイディア探しをしよう………)

 

残った気力を振り絞り、シャワールームで頭と身体を洗い流してスッキリし、寝間着に着替えてた慶は充電器にスマフォを繋いで、ベッドに其の身を委ねる。

 

そして其のまま目を閉じ、十数分後には寝息を立てて眠りに着いたのであった………

 

 

*********************

 

 

翌日、GBN セントラル・ディメンション……

 

「やるか…新しいガンプラ製作のアイデア探し」

 

電子の世界にログインしたケイは、何を思ったかコンソール画面を開き、自身のフレンドリストに目を通す。彼の視線はリストの上にある『アズキ』であり、彼女の名前の横には『ログイン』を報せる赤文字が灯っていた。

 

「アズキさん……元気かな」

 

ソード・ブリンガー・レヴとの戦い、そして彼女の去り際に見た血の雫を思い出し、己の未熟さが招いた浅はかな出来事を、熟思い出す。

 

現在の彼女の事が気になり、フレンドリストよりアズキ宛にメッセージを送る。

 

『アズキさん、御元気ですか?ビルドライジングのフォースリーダーのケイです。

俺達ビルドライジングは、ソード・ブリンガー・レヴへのリベンジに向けて、一同奮起し貴女を取り戻す為、各々の戦いを始めました。時間が掛かっても、必ず成し遂げます。

なので、待っていてください』

 

「━━━と、送信」

 

送信ボタンをタップし、メッセージが入った封筒を緑色のハロが口に咥えて、ピョンピョンと跳躍しながら届けに行っている画面が映った。

 

「返事、返ってくるかな………」

 

心配しつつもコンソール画面を閉じて、本来の目的である新しいガンプラのアイデア探しをするべく、散策を開始しようとした時である。

 

「うびゃぁ!?」

 

自分の背中、其れも背骨を突如として逆撫でられ、思わず変な声が出てしまう。

 

「だ、誰…!?」

「お久し振り、ケイさん♪」

 

恐る恐る振り向いた所、自分を見上げながら悪戯気に微笑む、セーラー服の上にコートを羽織り、マフラーを巻いた少女ダイバーが1人。

 

彼女の胸はFかGは余裕である程に豊満であり、押し上げられたセーラー服によって、彼女の可愛らしいヘソと、健康的に締まった腹部がチラリと覗いている。

 

「あ、フォルテちゃんか…いきなり背中を撫でられたからビックリしたよ」

 

カンタと共に、GBNでチュートリアルバトルをした日、他のダイバー達に軟派されていたのがフォルテだった。ケイは、自分より背丈の低いフォルテの視線に合わせて屈むと、彼女は其の行動が嬉しかったのか「にひひ♪」と笑う。

 

「あ、ケイさんって今1人なの?」

「え?あぁ、うん。新しいガンプラ製作のアイディア探しで、GBNの散策をしようかなと」

 

ありのままにGBNでの目的を話したケイに、フォルテは「ふぅ~ん…」と、彼をまじまじと見つめた後、何かを思い付いたように、突如として彼に言った。

 

「ケイさん、ウチと『デート』しよっ?」

 

ロリ巨乳セーラー美少女から、突然のデートの誘い。女気に飢えた大半の男ならば、此所で直ぐ様「喜んで!」と誘いに乗ってしまうだろう。

 

しかし、ケイというダイバーはそうは成らず。困惑の表情と共に「…………はい?」と、動揺の色の中でそう述べたのだった。

 

 

 




其れは突然の御誘い


フォース解説

フォース・アルデヴァロン:数年前にGBNに存在していたとされるフォースの1つ。フォースリーダーが誰で、メンバーは何人居たか等、詳細なデータが極端に少なく、謎に包まれていた。

しかし最近、GBNの歴史を研究しているダイバー達によって、アルデヴァロンの活動期間が約1年程度であった事が判明し、其の活動が少しずつだが判明し始めている。

フォース戦において、アルデヴァロンは圧倒的な実力を以て、勝利する事を絶対の心情としていた。其の一方で、対峙したダイバーの闘争心を粉砕し、二度と牙を剥く事を許さぬように屈服させる事を、至高の快楽と愉悦として覚えたダイバーが多く、初心者だろうと上級者であろうと襲い掛かる者が多かったらしい。

そんなアルデヴァロンだったが、ジェントルズとのフォース戦により、其の悪面が白日の下に曝された事で、運営によってフォースリーダーと主要メンバーのアカウントは停止され、フォースは解体されたとされている。

だが、彼等彼女等が残した悪意の芽は、フランシスの親友であったトラムを始め、様々なダイバーに伝染し、GBNの影と闇を生み出す原因を作ったとされている。


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