GBN ジャパン・ディメンション、キョウトエリア………
日本の京の街並みと、世界遺産を想わせる建造物が建ち並び、着物を着付けたダイバーやNPDが行き交い、様々な話題で語らい合う場所。
其の街の小高い丘に建つ、新撰組の屯所に似た建物が在る。其の場所こそが、
「面ッッッ!」
「わぁあ!?」
フォースネスト内の道場でトラムが見守る中、音速で振るわれた一刀が、相手の手より竹刀叩き落とし。激しき流水の如く、面防具に叩き付けられた。
「1本!其所まで!」
審判を務めるダイバーの一声で、両者は体勢を直すや竹刀を左腰に戻し、摺り足で始めの位置へと戻る。
「礼っ!」
「「ありがとうございました!」」
向かい合って御辞儀を行い、頭防具を外す。片や白短髪で童顔の少年が顔を出し、袖で額の汗を拭いながら対峙していた者へ声を掛けた。
「完敗でした!とても強いですね『アズキさん』!」
頭を覆う布を外し、艶やかな黒髪を靡かせるアズキは、自分と先程まで剣を交えた少年『ゼラ』を見て言った。
「君も良い太刀筋だった、ゼラ。これからも精進すると良い」
「はい!僕、もっともっと強くなります!」
ぞい!のポーズを取ったゼラを見ながら、アズキはコンソールのアイテムボックスから、飲料水入りのボトルを取り出そうとした時、メッセージボックスに1通のメールが着信していた事に気付く。
「アズキさん!次は俺と仕合をお願いします!」
「あ~!抜け駆け禁止だって!」
「アタシと戦ってください!」
ゼラとアズキの仕合に触発され、血潮が滾ったソード・ブリンガー・レヴのフォースメンバーが、続々とアズキに殺到し、道場内は騒がしくなる。そんな状況であるがアズキはメールを開くと、送り主がケイであることを知り、タタタと文字を打ち込み、送信ボタンを押した。
「落ち着け、君達」
そんな一同へトラムの重く、強い言葉が放たれた。
「アズキは強いが、連戦すれば集中力も体力も落ちる。疲弊した相手を倒した所で、其れを『本当の勝利』とは言わない。休息を与え、態勢が調った相手の『全てを引き出し』、其の『全てを上回って倒した』時、剣士としての『最低限の礼儀』は果たされる。
其の事を然りと肝に命じておけ」
彼女の一言で先程の騒がしさは道場より消えて、皆静かになった。
「済まないね、アズキ。私のフォースメンバーが騒がしくて」
「いや、良い。其れに私は、気を張り続けているよりも、少しくらい騒がしい方が落ち着く」
アズキは微笑みを溢し、しかし直ぐに気持ちを切り替え、頭に布を巻き付け、面防具を被る。
「休憩は十分取った。さぁ、次は誰が相手となる?」
轟ッ!とアズキの後ろから、突風が吹き荒ぶように、彼女の闘気が溢れ出し、トラムを含めた面々の毛が逆立ち、其の一部は獰猛な笑みを浮かべたのだった。
(ケイ、私は此所で強くなる。必ず迎えに来い、待っているぞ)
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同時刻、セントラル・ディメンション メインロビー………
「ケイさん、ウチとデートしよっ?」
「…………はい?」
ロリ巨乳セーラー美少女ダイバールックのフォルテから、突如としてデートの誘いが入り、ケイは困惑気味にそう答える。
「えっと、何で?」
「何でって?ウチがこの間、他のダイバー達に軟派されてた所を助けてくれたでしょ。いつか御礼をさせてって言ったじゃん。其の御礼を今したいんだ」
別れ際、確かに彼女がそう言ったのは覚えている。しかし、ナンパ1つ救っただけでデートに発展するとは、思いも寄らなかった。
彼女の御礼を無下には出来ないと考えたケイは、彼女に「分かった。デートに付き合うよ」と答える。するとフォルテの表情はパァァ!と明るく、溌剌としたものへと変わり。
「じゃあ直ぐに行こ!デート♪デート♪ケイさんとデート♪」
細身の腕で青年の利き手を握るや、猛スピードで牽引し始めたのである。
「ちょ、ちょっと早いっ!?」
「ケイさんとデート♪ケイさんとデート♪」
ケイの静止も虚しく、其の勢いは留まる事を知らずに、フォルテとのデートはセントラル・ディメンションより開幕する。
しかし、其の様子を何処から見ていた十数人の影が、2つか3つのグループに分かれて、一部はコンソールよりメッセージを送り、残りは2人の後を追跡していたのであった…………
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「ケイさんケイさん、此所だよ!此所!」
ケイとフォルテ、此の2人のデートはセントラル・ディメンションの街並みの中にある、超大型ショッピングモール内部を散策する事となった。
「でっっっっか」
「でしょでしょ?セントラル・ディメンションで、一番の大きさを誇るショッピングモールなの。GBNで使える食料品や装飾品、衣服に靴、あとはガンプラや製作用工具なんかもあるんだよ」
「食料品も売ってるって……GBNで料理バトルのイベントでもやってるのか?」
ケイの問いに、フォルテが「うん、そうだよ?」と即答。最早何でも有りかと思いつつも、2人はショッピングモールの内部へと入って行く。
入って早々視界には、硝子張りの吹き抜けとエレベーター、そして奥へと果てしなく広がる、商品棚達の地平線が広がっていた。
「此れは全部回るとしたら、相当時間が掛かるな……」
「普通に歩いて商品を見てみるのも良いんだけど、此所のエントランスにはワープ機能が有って、指定したフロアへショートカットしてくれるんだ。座標値を設定すれば、より細かい場所に行くことだって出来るよ」
ガンプラの箱にもワープ機能が着けば、もっとスムーズに買い物や仕事が効率化出来るようになるのかと、未来の事を脳内でイメージするケイ。
そしてフォルテに導かれ、ガンプラの購買が行われているエリアにワープする。
「わぁ……!」
2人の目の前に飛び込むは、電子の世界で組み上げられたガンプラ達と、様々なグレードと作品別で区分されたキット達。古いキットから最新版、話題の物やプレミアム仕様で以前に販売された物等、ケイが働くガンプラの箱以上の品揃えと売場の広さが在った。
「凄い品揃えだな………」
「でしょ?色んなガンプラが有るし、キットの組み上げ手順を3次元で見る事が出来るんだ」
説明書だけでなく、組み立て方も見れるとは、GBNは凄いなと青年は思う。
「ケイさん。こっちこっち」
フォルテに呼ばれて視線を移すと、其処には『HG フルアーマーユニコーンガンダム(デストロイモード)』の箱を持つ彼女が居た。
「ガンプラのキットを選んだら、其処に在る『組み立て工程モニター』に置くと、キットのデータを起こして、全部自動で組み立てられてく様子を観察出来るの」
見ててと、彼女がデータを読み取り台にユニコーンのキットを置く。するとモニターには、箱の中からキットのランナーが取り出され、頭・胴体・左腕・右腕・腰部・左足・右足・武装のパーツごとに分類されていく様子が映った。
そして説明書通りに頭から始まり、細かなパーツ達が組まれ、1つのパーツへ変わり、パーツは部位として確立し、最後には命の輝きを乗せた一角獣の機神が降臨するに至る。
「ほぇ~……こうやって作られてるのか……」
関心するケイの横で、フォルテは己の体験を含めてこう言った。
「ガンプラを作る時って、どんな風にしたいとか色々考えて作るのが本当に楽しいの。特に、完成形を頭の中で『イメージ』して、飛びっきり『自由な発想』で作れた時は、ガンプラ作って良かったって思えるんだから!」
えっへん!と、大きな胸を張って少女は得意気に言い切った。
「イメージと、自由な発想……か」
自分の脳裏に先程のモニターと同じ物をイメージ、そして同時に『ガンダムAGE-1 ノーマル』のランナーを思い浮かべる。
嘗て説明書を見ながら1つ1つ慎重に、丁寧に組み上げて行ったのと同じように、ランナーからパーツを外して、各部位ごとに区分。パーツ同士を組み合わせ、完成した部位組み上げ、あの日に作り上げたAGE-1 ノーマルをイメージの中で組み上げたのだ。
「あ……イメージの中でだけど、AGE-1 ノーマルが出来た」
「ケイさん、すごいじゃん!其の調子で、他のキットもモニターを観てから、自分の頭の中で組み立ててみて!時間が掛かっても良いから、何度もやってみるの!」
そう言ったフォルテが、次々と歴代ガンダム作品の主人公機体を持ってきて、読み取り台に乗せてくる。
「え"っ、ぢょ…多くない?」
「何事も経験と馴れだよ!トラムって人に本気で勝ちたいなら、何倍も努力しなきゃ!」
何故かケイ以上にヤル気を出しているフォルテが、ずずずいっと彼に迫り来る。彼は後に、此の時の出来事をこう語ったという。
『彼女のお陰で、あの瞬間に俺はダイバーとして1つ、成長し前に進む出来た。本当に感謝している』
━━━━━━━━と。
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数時間後………
「はぁ……はぁ……。め、ちゃくちゃ、疲れた………」
歴代主人公機体のガンプラ達の組み立て工程を見届け、脳内で組み上げる事を終えたケイ。思考をフルに使った結果、電子の世界であるにも関わらず、風邪を引いたような倦怠感に見回れて、肩で息をしていた。
「お疲れ様、ケイさん。オレンジジュースは飲める?」
そんな彼を労うように、彼女がボトル付きのキンキンに冷えきったオレンジジュースを手渡してきた。
「あ、ありがとう……いただきます」
ボトルを開封し、中身のオレンジジュースを一気に飲み干す。柑橘類特有の酸味と仄かな甘味、そして清涼感が、疲れきった脳細胞の隅々まで行き渡り、疲労に苛まれていた感覚が退いていった。
「ぷはぁ!はぁ~…美味しい……」
「ふふ、良かったぁ♪」
そんなケイの隣に寄り、フォルテもまたオレンジジュースを風呂上がりで珈琲牛乳を一気飲みするように、ゴクゴクと喉を鳴らしながら、ものの数秒足らずで飲み干していく。
「ぷぁ~♪美味し~♪」
「早いね、ジュース飲むの……」
「こう見えてウチ、早食いや早飲み、大食いが結構得意なんだ。GBNのそうゆう大会でも、良い成績取った事あるしね」
小さな身体でありながら、そういった事に挑戦し、好成績を納める。自分の可能性と限界に挑む其の姿勢は、ケイにとって彼女は『格好良い少女』として瞳に映る。
そして意図せずして、彼の口から「フォルテは本当に凄いダイバーだね」と、不意にそんな言葉が零れた。其れを聞いた彼女の頬は一瞬だけ赤らんで、青年にこう言った。
「………えへへ♪ケイさんってば、人を褒めるのが上手だね♪ありがと」
「そう…なのかな?」
「そうだよ~。多分ビルドライジングの皆も、ケイさんのそんなとこに惹かれたんだと思うんだ」
其れから2人は何気ない会話を少しと、今日の事を記憶に残すために写真を1枚撮影と、お互いにファイルへ保存を行い、此の日はログアウトとなった……。
そして、此所までの2人の行為を見届けた複数人のダイバーは、GBNのインターネットに存在する『掲示板』へとアクセスし、特定の項目に記載を行う。
其の掲示板のタイトルはこう書かれている。
『《メスガキ》フォルテちゃんの掲示板《ダイバー》』と。
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《メスガキ》フォルテちゃんの掲示板《ダイバー》
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……………
…………
360:名無しの見守り隊員
速報:フォルテちゃんが男とデート
361:名無しの見守り隊員
360、ま?
362:名無しの親衛隊員
360、は?
363:名無しの親衛隊員
360、どういうことだ……今すぐ説明求む
364:名無しのわからせ隊員
KWSK
365:名無しのわからせ隊員
説明してください…俺は今、冷静さを欠こうとしてます
366:名無しの見守り隊員
ちょっと待ってろ。今から書き出すから。
フォルテちゃんとデートしてたのは、ケイというダイバーで、セントラル・ディメンションのメインロビーから同ディメンションのショッピングモールに入ってたのを見た。
で、2人でガンプラ売場に行ったのを確認して付いていったら、何かフォルテちゃんが其のダイバーに、キットの組み立て工程が分かるモニターの映像を、数時間見せ続けてるのを見ましたわ。
何かガンプラ製作?に関係が有るとか何とか。しかも最後には記念撮影してました
367:名無しの親衛隊員
デートで写真撮影とか裏山けしからん
368:名無しの親衛隊員
で、其のケイって奴の事は何か解ってるのか?
369:名無しの見守り隊員
確か此の前、ソード・ブリンガー・レヴ相手に完敗喫して、MS斬りの悪魔を取られたフォースのリーダーじゃん、ソイツ
370:名無しのわからせ隊員
あーアイツか。見た感じ初心者だよな~
371:名無しの親衛隊員
370、其れは俺も思ったわ
372:名無しの見守り隊員
フォルテちゃんが何故そんな奴とデートしたのか………コレガワカラナイ
373:名無しの見守り隊員
ネー
374:名無しの親衛隊員
弱みを握られてる…とか?
375:名無しのわからせ隊員
は?
376:名無しのわからせ隊員
ハ?
377:名無しのわからせ隊員
オマエナニイッテンダ?
378:名無しの見守り隊員
怖すぎィ!
379:名無しの見守り隊員
おまいら落ち着けwwww
380:名無しのわからせ隊員
弱み…其れが解れば、どれだけ……
381:名無しの親衛隊員
380、ボコボコに熨されてわからされたんですね、分かります
382:名無しの親衛隊員
まぁ、フォルテちゃん様はつよつよですからね
383:名無しの親衛隊員
わからせ隊員ダイバー5000人相手に、たった1人で無双したんだから、其れは強いのだわ
384:名無しの親衛隊員
おまけに、其のダイバー達のランクは最低でもB以上だからなぁ……。滅茶苦茶だよね~
385:名無しのわからせ隊員
そして何より、積み上げられた俺等の上で「ざーこ♥️ざーこ♥️よわよわダイバー♪」と煽られるのだから最高ですな!
386:名無しのわからせ隊員
わかる
387:名無しのわからせ隊員
わかる
388:名無しの見守り隊員
わかりみ深い
389:名無しの見守り隊員
せやな
390:名無しの親衛隊員
ほんそれ
391:名無しのわからせ隊員
メスガキが…絶対にわからせてやる……
392:名無しの見守り隊員
なお、返り討ち
393:名無しの見守り隊員
『ざーこ♥️ざーこ♥️よわよわ単細胞~♪』
394:名無しのわからせ隊員
ありがとうございます!ありがとうございます!
395:名無しの見守り隊員
394、うわぁ…
396:名無しの親衛隊員
394は危険人物…と
397:名無しの見守り隊員
おまいら辛辣で草
398:名無しの親衛隊員
フォルテちゃん様はつよつよですので、仕方ないのですわ
399:名無しの親衛隊員
それな
400:名無しのわからせ隊員
近接戦闘激強美少女だもんな
401:名無しのわからせ隊員
メスガキをわからせてやろうと思ったあの頃のオレを殴り倒して止めたいわ……
402:名無しの見守り隊員
401……もしかして、2ヶ月前の挑戦者君?
403:名無しのわからせ隊員
402、うん………
404:名無しの親衛隊員
嫌な、事件だったね……
405:名無しの見守り隊員
近接マシマシで勝てると何故思ったのですか?
406:名無しの親衛隊員
南無阿弥陀仏
407:名無しの見守り隊員
(‐人‐)
408:名無しの見守り隊員
ショッギョムッギョ
409:名無しの親衛隊員
一先ず、ケイがフォルテちゃんに何か良からぬ事をしない限りは、基本我々は手を出さずに居るという事で。もし万が一にも、奴が手を出したならば我々の力を以てケジメを着けようぞ
410:名無しの見守り隊員
おー!
411:名無しの親衛隊員
おー!
412:名無しの親衛隊員
おー!
413:名無しのわからせ隊員
おー!
414:名無しの見守り隊員
おー!
…………
………
……
人は学び、成長する